ティアックのプリメインアンプAS100、チューナーAT100、オープンリールデッキA1300、A2100の広告
(スイングジャーナル 1971年8月号掲載)
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ティアック A-1300, A-20S, A-21
ティアック AT-200S
瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
日本で最初に直結回路を採用したプリメイン・アンプ200誌リースが最近マイナー・チェンジされたが、それにともなって新たに製作されたチューナーである。パネルの下半分、木目の化粧貼りを施した部分に、同調ツマミ以外のすべてのコントロール類を収容しているので、ふたをしめた状態ではたいへんすっきりした意匠である。
ダイアルスケールは有効長約16センチ。本体の大きさにしてはやや短かい方だが、目盛は等間隔で簡潔に表示され、指針が赤く光るので指示は明確で、しかもダイアル目盛は、FMのスケールが上半分、AMのスケールは下半分にあって、使用中のバンドの文字だけが照明で浮き上がり、不要の帯域は消えているので、誤読がなく人間工学的に優れた設計である。また目盛の文字の明るさが明暗二段に切換えられる。
バックパネルにもこの親切さは行きとどいて、75Ω同軸ケーブルをハンダづけせずに接続できるようになっていたり、別売のAZ200(スコープインジケーター=マルチパス等を観測できる)に接続するための専用のコネクターがあるなど、マニアにはうれしい製品である。ごく標準的な、バランスの良い中庸を保った音質であった。
ティアック A-2300, A-21
ティアック A-2300
ティアック A-2050, A-4010S
ティアック A-6010, A-7010, A-7030
ティアック LS-360
瀬川冬樹
ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より
本誌10号のブラインド・テストにも登場したシステムだが、印象はそう変っていない。第一に、総体に良く鳴りひびくという音質で、特に中低域では箱の共鳴音のような感じの膨らみのある音質が、やや饒舌でさえある。中高域はかなりきらびやかで、曲によっては相当に派手な音になる。どちらかというと抑制のよく利いた音質を好きなわたくしにとっては、この社の製品は総体によく鳴る音で、これがティアックのキャラクターのようだが、音域をできるだけ広げ、音のバランスをとるという点では一応成功している。ただ、この製品では各音域の音色にやや統一感を欠くことと、音の品位の点で少々もの足りなさを感じる。限られた条件の中で、音域を広げるか、音域を狭くしても品位をあげるか、難しいところだろう。
採点表
大編成:★★★
小編成:★★★★
独奏:★★★
声楽:★★★
音の品位:★★★
音のバランス:★★★★
音域の広さ:★★★★
能率:★★★★
デザイン:★★★
コストパフォーマンス:★★★
(準推薦)
ティアック LS-80
瀬川冬樹
ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より
一聴した感じでは、これより安いLS360よりも音域などむしろせまいのではないかという印象を受けるが、たとえばバス・ドラムのようなソースでテストしてみても、重低音の出かたなど360とそう変るわけではなく、高域の方も、わりあいナチュラルによくのびて、全体としてそうレンジのせまいというわけではないのだが、中低音域の音質に少々ぼってりしたところがあるのと、中高音域に広い盛り上りが感じられること、それに加えて、LS360のよく鳴りひびく饒舌さがいくぶんおさえられているために、比較するとこちらの方がおとなしい感じを受けるのだろう。しかし、中低域の重さのためか、曲によっては音源がやや遠くにひっ込むような感じを受けることもある。中域をもっと軽やかに、しかもたっぷり充実させたいという感じだ。
採点表
大編成:★★★
小編成:★★★
独奏:★★★
声楽:★★★
音の品位:★★★
音のバランス:★★★
音域の広さ:★★★
能率:★★★
デザイン:★★★
コストパフォーマンス:★★★
(準推薦)
ティアック A-2300
菅野沖彦
スイングジャーナル 9月号(1970年8月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
4トラック・オープン・リールのテープ・デッキは、FM本放送にともなって増々その需要を高めているらしい。家庭用のステレオ・テープ・レコーダーとして、この4トラックの往復2チャンネル録音再生という規格は完全に定着した。もちろん、カセット式の高性能化、普及化など、常に新たな規格の製品が開発されていて、いろいろな面で落着きのない、刺激の強い、流動的なテープ界ではあるが、その中で一つ一つ残っていくものが標準と呼ぶにふさわしいメリットを持っている。テープ自体の高性能化はこれからもどんどん進むだろうから、今までのものより、より小単位面積で、より低速で同等の性能が得られる方向へいくであろう。しかし、常に時間当りの単位面積の大きなテープが有利であることはうたがいないので、ハイ・ファイ用のテープとしては現在の6mm巾に4トラックの録音帯を持つものが当分その地位を占めるだろう。テープ・スピードも、19cm、9.5cmというのが高品質の録音再生用として標準的なところである。
ところで、ティアックは、この4トラック、2チャンネルのテープ・デッキの普及の一翼をになって来た強力な専門メーカーだが、今度発売された新製品A2300は、今迄の技術の蓄積を生かして、もっともシンプルでオーソドックスなデッキとしてまとめ上げたという感じのする製品である。
まず、このデッキのフューチャーをみると、3モーター、3ヘッド式という高級テープレコーダーの標準モデルといってもよい構造である。したがって、オート・リバースはなく、往復動作はテープリールのかけかえでおこなう。つまり余計なものを排して基本性能を追求しようという開発精神がここにうかがえる。業務用のテレコはすべてこの形式によっているが、それは.テープ巾を片道だけで使い切ってしまうためもある。4トラックの場合はこの点でオートリバース機構の必然性があるのだが、実際に使ってみれば便利だが、必らずほしいという機構でもない。レコードだって裏返えすのが当然で、それほどわずらわしくもないし、テープリールのかけかえをいとうようなら、そもそもオープン・リール式のテープの高性能を追かけるという本筋からはずれているようにも思える。つまり高性能を追求することと、簡便さとはどうしてもうらはらなのである。また、オートリバースは録音再生両方に使えるものならよいが、高級機の録再独立ヘッド型では、再生だけのオートリバースがほとんどだ。しかし、本当にオート・リバースがほしいのはむしろ録音のほうだといってもよいのである。FM放送などで、連続的なプログラムを出来るだけ中断することなく録音したい時にこそ、オート・リバースは威力を発揮する。待ったをしてくれないプログラムで、あわててリールをかけかえるのはかなり骨が折れる。そこへいくと再生のオートリバースは便利この上ないが、ゆっくりかけかえても別にどうということはない。オート・リバース機能については人それぞれの考え方もあろうが、私としては再生には絶対必要とは思われないのである。とすれば、独立型の3ヘッド・タイプについてはオート・リバースのメリットがあまり認められないわけで、このA2300のような機構は大変好ましい。
3モーターなので、その操作性、動作の確実性はすばらしく、特にリレーとロータリー・スイッチの組合せによるコントロールは合理的であるし、きわめて使いよい。いちいちその使用方法を書くスペースがないが、使いこなし次第で大変便利だ。
使う身になった細かい配慮はテープデッキの専門メーカーにふさわしいもので、リール台の高さ調整もその一つ。またサービス性の向上も、メインテナンスの上での大きなメリットだ。そして特質すべきはロー・ノイズ・タイプのテープに対するバイアス量の変化をスイッチで切換えている点だが、その値が実に巧みに設定されているようで、バイアス量の変化によるピーキングを上手にバランスさせて、広い適応性を与え、スコッチ203、ソニーSLH、BASF35LHなどのロー・ノイズ・タイプに平均した動作で音質的にも妥当なバランスを得ているのである。最大の難点としては高級感がそのデザイン上にうまく表現しきれなかったことぐらいである。とにかく実力のある優秀なデッキであった。
ティアック A-2300
ティアック A-2300
ティアック LS-80
ティアック A-2010, A-2050
ティアック A-2010
ティアック AS-200
ティアック A-2010, A-2050
ティアック LS-360
岩崎千明
スイングジャーナル 5月号(1969年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
ティアックが最初にスピーカー・システムを発表したのはもう一年も前であった。かなり好評をもってむかえられたこの大型ブックシェルフ型スピーカーの音に、初めて接したとき、私はそれほど感じなかったがまた同時にテープレコーダー・メーカーとしてトップ・クォリティをうたわれるティアックの音に対する独特なポリシーないしは立場のむつかしさというものの一面をかい間みた思いがした。テープレコーダーというものはレコードと一律にして判断でき得ないきわめて優れた再生品位を持っている。これはまぎれもない事実である。そして、これと表裏一体のマイナスの面も無視はできないこのマイナス面にはヒスを主体とするSNがあり、あるいは位相の問題もあろう。このマイナス面を意識しすぎた音作りが最初のスピーカー・システムの音にあったといえるのである。
具体的にいうならば声や歌が生々しいプレゼンスを持っているのにかかわらず器楽曲における類をみない独得の音色的バランスである。ヒスに対しての心使いから生れたのであろうが、少し高域が足りないようである。
TEACというブランドの知名度は、日本においてよりも米国マニアの間での方がより高い。それもずっと以前、ステレオ初期から、超高級テープレコーダー・コンサートン・ブランドのメーカーということで伝説的でさえあった。
そして、このトップ・レベルののれんがスピーカー・システムという音作り一本の商品に気おいこみすぎた結果といえそうだ。さてこのところテープレコーダーのティアックがマニアの間でますます地盤を固めてきた結果プレイヤー、アンプなど商品の範囲を広げるのは当然である。プレイヤーはマグネフロートを吸収してティアック独特の精密仕上げにより性能を一新した傑作であり、また当初海外向けに出されたアンプはとかく、ユニークな設計と企画のインテグレイト・タイプAS200は、これまた高品位の再生に期待通りの真価を発揮する優秀製品である。JBLのアンプを思わせるAS200の出現は、引き続きティアックが本格的なスピーカー・システムにも力を入れてくることを予想させた。
今回発表された新型システムLS360は、まぎれもなく「ティアック」ブランドにふさわしいスピーカー・システムということができる。
30cmウーハーを使用した3ウェイという常識的な構成をうんぬんすることは、ここでは必要ないだろう。注目したいのは、単にハイ・ファイ・テープレコーダー・メーカーというせまい立場で、この音は企画され設計されたのではないといえる点だ。AS200の回路構成にみられるコンピュータ技術に立脚した回路、たとえば差動アンプ回路やその安定性、またこのハイ・レベルの音から知ることのできるハイ・ファイ的センス、これは単にテープレコーダーの高級品メカニズムだけを作っていた頃のティアックのものではない。
ハイ・ファイ総合メーカーに大きく飛躍していこうという姿勢から生み出された音作りを新型スピーカーにも見出すことができるのである。
きわめてクリアーな歪の少なさを感じさせる中音。かつてのシステムから一段とレベル・アップしたすぐれたバランスの上に成り立っている音は分解能力の点でもずばぬけ、手元にあったヴォルテックス・レーベルの前衛派の数枚は、定位よくマッシヴに再現され、ひときわ鮮烈さを増したことを伝えよう。中音域に起因すると思われるいま少しのブラスの輝きがほしいが、このスケールの大きな音がこの価格で得られるというのもティアックならではのことだ。
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