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ゲイル GS-401A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのゲイル・エレクトロニクスが発売するシステムで、大変ユニークでオリジナリティに溢れた製品である。構成は、3ウェイ4スピーカーで、20cmウーファーのトゥインドライブで豊かな低域再生を得ている。中域は10cmのコーン・スピーカーだが、よくコントロールされた振動板の設計だ。トゥイーターは1.9cmのドーム型である。401Aはブラックとクロームのユニークな感覚を見せるモダーンなデザインもポイントだ。

クワトレ DG-250

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのクワトレのパワーアンプで125W+125Wを持つ。いかにもパワーアンプらしい、簡素なまとめで、よけいな飾り気はまったくない。ブラック・ボックスという感じで、背面のヒートシンクが、パワー・ディバイスの存在を認識させる。ゆっくり試聴してはいないが、音質は、がっちりとしたソリッド感をもったもので、エッジ・オブ・サウンドは明解である。価格もリーズナブルな高級パワーアンプといえる。

スペンドール BCII

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 スペンドールのシリーズ中、もっとも、バランスよくまとまった傑作といってよいのが、このBCIIで、やや縦長のプロポーションをもった中型ブックシェルフ・システムである。構成は3ウェイ3スピーカーだが、2ウェイで時稀有分、全帯域をカバーして、その上にスーパー・トゥイーターを附加した作りである。比較的薄いが堅いエンクロージュアは、いかにも音のよさを物語る。透明で暖かい艶のある音は、大変品がいい。

ESS amt1

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカ生れのユニークなスピーカー・システムである。特長は、ハイル・ドライバーと呼ばれる新方式のトゥイーターで、アコーディオン・プリーツ状のプラスティック振動板が伸縮し、呼吸するように音圧を放射する。その原理構造も、外観上も、オリジナリティとユニークさに溢れたものだ。これを25cm口径のウーファーと600Hzでクロスオーバーさせた2ウェイ・システムで、きわめて繊細華麗な高音が今までにない新鮮な響きだ。

DBシステムズ DB-1

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 きわめてシンプルでコンパクトなプリアンプで、これも増幅度をった針金の基本思想から開発された製品だろう。黒い小箱のイメージをもったマニアライクなアンプである。マークレビンソン同様電源コンセントを差しておく限り常に入りっぱなしであるというそっけなさも、この製品のポリシーを示しているようだ。いかにも、現代のテクノロジーによるドライなコンセプションだがオリジナリティとユニークさは注目に値する。

クインテッセンス Preamplifier 1A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのクインテッセンスの作る、大変シンプルなプリアンプで〝増幅度をもった針金〟という理想にもとずいて開発された姿勢が伺われる。外観もブラック・パネルのシンプルなものだし、中味もIC化された超現代アンプである。トーンコントロールやフィルター類は全部省かれ、モードセレクターもないしテープダビングのコントロールも不能。いかにもマニアライクでモダンなコンセプションによる製品だ。

QUAD 405

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 クォードが従来のパワーアンプ303に加えてよりパワーの大きいアンプの要求に応えて出したのがこの405である。しかし、さすがにクォードはただのパワーアップに止まらず同時にクォリティ・アップをも実現した。カレント・ダンピングと称する新回路の採用で歪を大幅に押え、音質の向上を果たしたのである。パワーは100ワット/チャンネルで、能率の低いESLスピーカーを理想的にドライブできるものになった。

オーディオリサーチ D-150

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのオーディオリサーチ社は現在も管球式アンプだけを作るメーカーである。このD150は同社の最高級パワーアンプで150W/チャンネルの出力をもっている。6550真空管を10本、冷却ファン3個をもつ巨大なアンプでAC電圧計中央に、左右にパワー・メーターを配したパネルはいかにも重量級の風格だ。グリッド・バイアス電源の調整も可能という。管球式アンプのファンには魅力たっぷりのもの。

ハーマンカードン Citation 11

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 ハーマンカードンは、歴史のあるアンプ・メーカーとしてアメリカではダイナコと並んでシェアーを持っている。サイテイション11は現役のプリアンプで新しい回路構成を持っているが、そのイメージは昔ながらのハーマンカードンのサイテイションを引継ぐオーソドックスなものだ。5素子のイコライザーを内蔵し、きわめてすっきりとまとまった使いやすさが好ましい。価格も輸入品としては手頃である。

マークレビンソン LNP-2L

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 マーク・レヴィンソンという名前の示すように同名のオーディオマニアが、あらゆる贅を尽くして作り上げた最高級プリアンプである。選び抜かれたパーツの一つ一つにその意気込みと、最新のテクノロジーが感じられる。全体はモジュール8個による構成で、いかにも現代アンプの代表的存在にふさわしい。この製品は最新の改良型で従来のものより、さらに安定したコントロールが実現している。使い手にはかなりの知識が必要だ。

スレッショルド 800A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのスレッショルドは、最近登場したニュー・フェイスで、この800Aはあらゆる点で話題性に富んだ超弩級のパワーアンプである。定格出力は8Ω負荷時、20Hz〜20kHzの帯域で両チャンネル駆動時において片チャンネルあたり200Wということになっている。しかし、瞬間パワーは片チャンネル1kWを越える実力をもつといわれる。111万円という価格も凄いが、こういう超弩級はオーディオの世界に大きな夢をもたせてくれる。

QUAD 33

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのクォードの現役プリアンプで、いかにもこの社の製品らしいセンスの溢れた美しいプリアンプである。家庭で使う再生装置はかくあるべしというクォードの思想を強く前面に押し出しているのが、この社の製品の特色で、このユニークな美しさからもそれがわかるだろう。シンプルな中にも豊富なコントロール機能を持っている。端正な癖のない音だが、クォードらしいバランスと質感に個性が感じられる。

アルテック 9440A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのアルテック社はプロフェッショナル機器専門のメーカーで、同社の劇場用スピーカーのA7シリーズは有名だ。しかし、アルテック社はエレクトロニクスや各種の機器を開発していて、高級業務用のアンプ類が少なくない。この9440Aは、比較的新しく開発されたトランジスター・ステレオ・アンプで200W/チャンネル以上の出力で、モノでは800Wの大出力が得られる。いかにもアルテックらしい堂々たるコンストラクション。

SAE Mark 2500

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカ、 SAE社のパワーアンプ・シリーズ中の現役最高モデルであり300W+300Wの大出力と、高いリニアリティによる小レベル時の繊細な再生音。抜群の安定性と信頼性をもった高級パワーアンプ中の雄である。2400同様、全段ピュアー・コンプリメンタリーA級動作の回路、パラレルシリーズの出力回路と現代アンプの代表的存在。冷却ファンの音はさすがに気になるが、このアンプを使うぐらいの人は覚悟がある筈。

GAS Thaedra

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカの新しいメーカーのグレート・アメリカン・サウンドの作る高級プリアンプで、世界初のサーボ・ループ・コントロール・プリアンプを標榜する。サーボ・ループにより安定したDCアンプを実現し、低い入力抵抗によりMCカートリッジによる再生が素晴らしい。ネイミングのユニークさに見られるように、きわめて意欲的な製品で、新しいテクノロジーとセンスに溢れた個性的なアンプである。透明で弾力性のある音質が魅力。

ダンラップ・クラーク Dreadnaught 1000

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカ、ダンラップ・クラーク・エレクトロニクスが発表したセンセイショナルなパワーアンプである。そのトップモデルが、この1000でこの下に500というシリーズ製品もある。連続出力が両チャンネル駆動時、20Hz〜20kHzで250W+250W(8Ω)、500W+500W(4Ω)という大出力である。まさに、ドレッドノートの名にふさわしい超弩級のパワーアンプといえるであろう。これもオーディオに夢をもたらす超高級品。

GAS Ampzilla II

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 プリアンプ、テァドラと対で開発されたアンプジラのマークIIモデルだ。現在はこれが現役のパワーアンプの最高モデル。この下にサン・オブ・アンプジラというのがある。なんともユニークなネイミングであるが、同社のジェイムズ・ボンジョルノ氏の非凡な才能から生まれた傑作でありそのセンスのひらめきも鋭い。アンプジラはマークIIでさらに洗練され滑らかで透明。しかも力強い音質の200W/チャンネルの実力。

BOSE 901 SeriesIII

菅野沖彦

スイングジャーナル 7月号(1977年6月発行)
「SJ選定新製品」より

 ボーズ社はアメリカ、マサチューセッツ州フレミンガムに本社をおくメーカーだが、そのバックグランドはユニークである。マサチューセッツ・インスティテュート(MIT)の教授であるボーズ博士が、この会社の会長であるが、博士のオーディオに関する学術的研究がバックボーンとなって、その理論の具現化が、ボーズ社という企業に発展したものである。
 ボーズ901IIIは、合計9個の全帯域ユニットを内蔵する実にユニークなスピーカー・システムであるが、そのうち、リスナーに向って、取付けられたユニットは、ただの1個、残りの8個は背面に取付けられ、それぞれ4個づつが30度のアングルで後面に音を放射する。つまり、リスナーは、直接音1に対して間接音8の割合で、トータルの音を聴くことになるわけだ。この直接音と間接音の割合は、通常我々が、コンサート・ホールなどで聴く音の直接音と間接音の、比率にあたるものである。もちろん、その比率はホールのアコースティックや聴取位置によっても異るものだが、一般に、直接音を50%以上の割合で聴くことはないであろう。こうした直接音と間接音のバランスがもたらす〝自然さ〟を、いかにしたらスピーカーから得ることが出来るか? というところが、ボーズ博士のリサーチとこのスピーカーの開発の原点であった。これは過去100年近く、録音再生の世界にいつのまにか定着していた多くの矛盾を含んだ既成概念に対するアンチテーゼとして、きわめて興味深い。とはいえ、これは今までに決して未踏の考え方であったわけではない。しかし、再生においては、電気シグナルの忠実な変換という二次元的発想が圧倒的に強かったので、空間の位相差や時間遅延などの三次元への認識がおくれていたものだと思う。したがって、それらの空間要素は、プログラム・ソースに収録し再生空間では、それら間接音成分もプログラム・ソースの情報として得るという考え方が一般的である。もっとも、この理論からすれば、再生音場は無響室でなければならないが、現実には再生音場、つまり一般家庭の部屋のライブネスによる間接音も音のよさの要因として是認されていた。ボーズ博士の考え方は、すでに述べたように、再生音場のライブネスを積極的に生かすものだから、スピーカーを一つの発音体と考えた場合には、より自然な響きを可能にすることはたしかである。
 因みに、録音時に、直接音と間接音の比率を1:8の割合で収録したレコードを、このスピーカーで再生したらどうなるか。残念ながら、そういう録音は、ボーズのスピーカーならずとも、直接音だけをスピーカーの軸上で聴いても、まず美しい音としては聴えないであろう。なぜそうなるかというと、空間における直接音と間接音の1:8という比率の聴取位置における位相差や時間差は、物理的にもきわめて複雑なもので、これをモノーラルはもちろん2チャンネルや4チャンネルのシステムで収録再生することは無理で、録音時の1:8の電気的ブレンドは、再生時の1:8の空間ブレンドとは似て非なるものなのである。加えて、人間の音響心理作用が働くので、様相は全く異ってくるのである。したがって、直接放射も軸上で聴くことを建前としたスピーカーでの再生で適度なブレンドは、特に位相成分において間接音を不足としているのである。ここが、再生音場に豊かな間接音成分を生み出させることによって、音が自然になり、かつ、決して、不明瞭にな
らないというボーズのスピーカーの効果の現われるゆえんである。901IIIは従来のボーズ・スピーカーとはユニットもエンクロージュアも全く新しく設計し直されたもので、きわめて高度なテクノロジーと新しい着想に裏付けられた高級システムとして生まれ変ったものだ。これは、いわばシグナル・トランスデューサーの概念に対してアコースティック・トランスデューサーの概念で作られたものなのだ。

オンキョー Integra P-303

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 フラットなプリアンプの流行に流されず、必要な大きさを最小限確保してつくられたプリアンプで、コントロール機能が大きく省略されたイクォライザーアンプに近い製品にしては、大きいアンプである。しかし、このプリアンプの純度の高い音は第一級の品位といってもよく、プログラムソースの細やかな陰影のデリカシーやニュアンスも、クリアーに再生する。それでいて音のタッチは生硬ではない。

KEF Model 103

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 KEFとしては音の肉付が豊かで、しかも、骨格のしっかりしたよさは、このメーカーらしい魅力を感じさせる。端正なバランスは、クラシックの品位をよく再現するし、高弦の表現に生命感が生きる。また、ジャズを聴いてもよく力感を再生してくれるので、かなりハードな音楽性に不満が出ない。104からみれば、かなり小型にまとめられているから、インテリアとの溶け合いにはこのほうがよかろう。

テクニクス SB-6000

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ユニットの取付位置のコントロールによって、全帯域の位相特性の改善を狙ったシリーズの中級製品で、30cmウーファーとドーム・トゥイーターの2ウェイである。ユニットが裸で見えるメカニックなアピアランスもユニークで魅力がある。耳障りのよいなめらかな音で、かなり豊かなグラマラスなサウンドが楽しめる。ドームがソフト系とは思えぬ明晰な高域であるが、低音がやや重く、もう一つ軽い弾みがほしいと思う。

ヤマハ NS-500

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ブラックフィニッシュのエンクロージュアはNS1000シリーズと共通のイメージだし、トゥイーターにもベリリウム・ドームを使っているところも同じ、これは2ウェイで、かなりめりはりのきいた明瞭なサウンドである。陰影やニュアンスが少々乏しい嫌いはあるが、このクラスでは優秀なシステムである。強いていうと、クロスオーバー辺りに、やや耳を刺す傾向があるのが惜しい。外観と共通のイメージの音である。

デンオン DP-7000

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 デンオンの最高級ターンテーブルとして恥じない性能の高さと、作りの美しさをもち、レコード演奏の醍醐味を満たしてくれる高級機である。動力は、現在の回転機器の最高のテクノロジーでSN比、トルク、ワウ・フラッターなどに不満はない。ユニークなスタイルも高く評価できる必然性の濃いデザインだ。

オンキョー M-3

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 M6の成功に引続き、その下のラインを狙って開発されたのが、このM3であろう。やはり、2ウェイ構成で、28cm口径ウーファーと4cm口径トゥイーターを使っている。明るい大らかなサウンドはM6と一脈相通じてはいるが、さすがに、こっちのほうは、少々、小粒である。しかし、このクラスのシステムとしては、プログラムソースを効果的に鳴らすスピーカーで、音のまとめ方は堂に入っているもの。

パイオニア CS-955

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 おそらく、国産スピーカー中、もっとも音の美しいシステムではないだろうか。使用ユニットの一つ一つは、全く構造のちがう、3ウェイでありながら、それが、よく音色的にコントロールされていて、バランスがよい。最高級ユニットを使った、高級システムの名に恥じない力作といえるだろう。価値の高い製品だ。