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アキュフェーズ P-400

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 B級A級切替のできるパワーアンプで、8Ω負荷時にそれぞれ200W、50Wのパワーを引き出せる。また、モノーラル接続では、ほぼ倍のパワーとなる。ピークホールドの可能なメーターの精度は高く読みとりやすい。ステレオ両チャンネルが電源から独立し、MOS・FET使用のDCアンプという、アキュフェーズとしてはP260とともにより新しい設計のセカンドジェネレーション・アンプと見ることができるものだ。

音質の絶対評価:9.5

アキュフェーズ P-300X

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 姉妹機P300Sのリファイン・モデルと見ることもできるが、内容は別物だし、デザインイメージもフェイス・リフトされている。4Ω負荷で200W+200Wが保証されている。8Ω負荷では150W。あらゆる点で、P300シリーズを土台にしただけあって、充分信頼性の高いものだし、物理特性も、よくリファインされている。モノ接続が簡単にできて8Ωで400Wとなる。メーターはピーク、ピークホールドで見やすい。

音質の絶対評価:9

アキュフェーズ P-260

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 アキュフェーズらしいといえばいえるが、あまり重厚なデザインではない。MOS・FETを使ったDCアンプで、A級、B級の切替ができる現代アンプ。B級130W、A級30Wというパワーは、単体パワーアンプとしては標準的で使いやすい。出力直読、ピークホールドのできるメーターを備えているが、照明色調ともに、本格派というよりはデザイン的である。それも、少々センスが安っぽいのが惜しまれる。

音質の絶対評価:7

アキュフェーズ C-240

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ボリュウムとバランス・コントロールだけが回転式で、あとはすべて、プッシュ式という新鮮なアイデアで登場した高級プリアンプ。C230という弟分でもこのデザインを踏襲していることからみても、アキュフェーズのプリアンプの代表的な顔として、今後もこのマスクが続くだろう。コンピューター・エイジにはふさわしいとはいえるだろうが、それだけに、反面、音楽表現に連る心情性は希薄な印象。しかし中味は凄い。

音質の絶対評価:8.5

AGI Model 511

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもアメリカのプリアンプらしい、マランツの伝統を踏襲したものだ。より簡略化し、フォノ1系統、ラインレベル入力4系統をプッシュボタンでまとめ、これとシンメトリックに配したダビング機能、モードセレクターのプッシュスイッチ類、大型のマランツ・ツマミの音量とバランスの2個を左右に配したデザインは秀逸。トーンコントロール類は一切ない。いいかえれば青臭いマニアライクな製品ともいえる。

音質の絶対評価:7

アドコム GFA-1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 見るからに、アメリカのヤンガー・ジェネレーションを感じさせられる雰囲気をもっている。ビスは丸出しで、フレームに鉄板をただ当てつけたというスタイルだ。それに黒塗装、スクリーン・プロセスのモダンなロゴのプリントといった様子は、まるで、倉庫かガレージといった感じである。信頼性のほうはどうなのだろうという気にさせられる。200W+200Wの高効率アンプで、冷却ファンつきだ。

音質の絶対評価:8

ヤマハ BX-1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 100Wパワーのモノーラルアンプで、ピュアカレント・サーボアンプ回路採用とあるが、内容的にも充実したマニアックなアンプである。モノーラル・パワーアンプとして、これ以前に出たB3の系統といえるが、実力的には価格差以上ものをもつ。配線ロスの少ないコンストラクションは、アンプとして純血派であるが、緻密な仕上げを含めて、大人の風格も持っている。完成度の高い製品である。

音質の絶対評価:9

パイオニア M-Z1

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 Zシリーズのパワーアンプで、独特の奥行きの深いプロポーションを共通してもっている。ノンNFB思想によって開発されたのが、このZシリーズ共通のコンセプトである。このアンプも、実際上はNFBループをもたないストレートアンプであって、音もきわめて直裁感に満ちていて、屈託のないものである。純Aクラスアンプで、出力は大きくないが、音の力感は充実している。独創性と完成度が、高い次元で一致した優れた製品だ。

ヤマハ B-5

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 見るからに美しく、すっきりと、しかも落着きと重味を感じさせる質の高さが、外観に滲み出ている。ブラック・フィニッシュの色調仕上げもキメが細かく、好ましい質感で仕上げられている。オブジェとしてみても美しく、B6と並べて楽しめる。オーソドックスな完成度の高いアンプである。240W+240Wのパワーも、独立パワーアンプとして本格派で、内部のコンストラクションも整然としていて質が高い。

音質の絶対評価:8.5

ヤマハ B-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 実にユニークでオリジナリティに溢れたパワーアンプである。こういう製品を作るヤマハに拍手をおくりたい。決して使いやすくもないし、必然性があるとも思えないが、フリーな感覚があってもよい。ピラミッド型、しかも、コンパクトで、200W+200Wのパワーをもつ。魅力的だ。多少内容に不満があっても、技術的興味とデザインのユニークさにカバーされて、愛着をおぼえる製品である。

音質の絶対評価:7

ヤマハ C-2a

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 仕上げも作りも立派な緻密な製品で、ブラックフィニッシュながら、スマートな印象を受ける。デリカシーのあるアンプ。MCヘッドアンプ内蔵DCアンプ構成の先進的なプリアンプだが、外観にも音にも気張ったところがなく、大人の雰囲気をもっている。こういう製品はロングライフになり得るだろう。コントロール類も使いやすく、感触も洗練されている。地味だが落ち着いた風格を感じさせる次元の高い完成度をもっている。

音質の絶対評価:8

ヤマハ C-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 A級ピュアカレント・サーボアンプ方式を採用したヤマハの新しいコンセプトによる製品で、デザインも、それなりに若返ったイメージである。豊富なファンクションをもったフル機能のコントローラーとしてユティテリティは大きい。全体にブラック仕上げは美しいが、品位と格調はそれほど高くない。価格からしても、独立型プリアンプの普及型であり、その限りにおいてはよく出来ている製品だ。

音質の絶対評価:6.5

テクニクス Technics A1 (SE-A1)

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 もう4年前に発売になったテクニクス・アンプの旗艦としての存在。出力は350W+350W(8Ω)で、スピーカーは4系統使える。独特な、クラスA+と称する回路で、A級、AB級の中間的な動作でノッチング歪のない設計。さすがに、その堂々たる体躯で貫禄充分だが、雄々しさやヒューマンな暖かみのあるものではない。どちらかというと端整で、少々冷たい感触を受ける。悪くいえば、やや陰湿なのである。

音質の絶対評価:8

テクニクス Technics A3 (SE-A3)

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 200W+200WのニュークラスAアンプで、スピーカー切替は2系統と、A+Bの3点。ローレベルの読みやすい大型パワーメーターを装備、これがパネルフェイスの基本となっている。テクニクス・アンプに共通の、日本的ともいえる、さっぱりしたデザインイメージが、どこか音と共通するニュアンスを持っている。決して重厚感や、強い個性的主張のあるほうではない。この辺がよきにつけあしきにつけ印象の薄い原因。

音質の絶対評価:7.5

テクニクス Technics A5 (SE-A5)

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120W(8Ω)のパワーアンプで、スイッチ切替で30W+30Wにパワーを押え、メーター・イルミネーションを消して省エネ使用ができる。スピーカー切替2系統。テクニクスのパワーアンプの中では最も新しく、普及タイプともいえるが、総合的に完成度が高い。ただし、ややスピーカーを選ぶ傾向があるようだ。大型のパワーメーターはVU的な動きでピーク指示はしない。デザインセンス、仕上げは中の上。

音質の絶対評価:8.5 

テクニクス Technics A2 (SU-A2)

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 超弩級のプリアンプである。一目見ただけでは、とても理解し切れないコントローラーが所狭しと並んでいる。ここまで出来るぞという姿勢の表現だから、こうなるのも仕方なかろう。それにしても凄いプリアンプを作ったものだ。値段も重量(38kg強)も世界有数のプリアンプである。こうなると批評の埒外で、ただ圧倒されるのみ。一度のみこんで整理してみると意外に使いやすいのだが、使いこなすチャンスは滅多にない。

音質絶対評価:7.5

テクニクス Technics A4 (SU-A4)

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 一目でポジションがよくわかるという理由は理解できなくないのだが、この縦長のツマミには抵抗を感じてしまう。使いやすさでは文句ないが、バラバラと互いにそっぽを向いている様は美しくない。サブパネルを閉じれば、すっきりと必要なものだけがメインパネルにあるという合理性に、音楽機器としての情緒性もブレンドしてほしいところ。パネルとツマミの色のバランスも成功しているとはいえない。貫禄が不足だ。

音質の絶対評価:7

テクニクス Technics A6 (SU-A6)

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 すっきり、さっぱりといえばよい表現になる。どうも、こういう厚みや暖かさにかける機械は個人的には好きになれないのである。プリアンプというものは、レコード音楽の演奏にあたって、プレーヤーとともに直接、手で操作する機会の多いものだけに、もっと夢のある、楽しさを感じさせてくれるものであって欲しいのだ。こういう生硬なフィーリングは音楽をプレイする心情とはうらはらなのである。悪趣味よりはずっとよいが……。

音質の絶対評価:8

マッキントッシュ MC2500

菅野沖彦

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
特集・「第3回《THE STATE OF THE ART 至上のコンポーネント》賞選定」より

 マッキントッシュのMC2500は、同社の最新・最高の製品として、昨年(一九八〇年)発売された、超弩級アンプである。このアンプのパワーは、片チャンネル500Wという公称値で、実測では600Wオーバーという強力さである。しかもそれが、単にパワーの大きさにとどまらず、ローレベルからのリニアリティや、音の緻密さ、繊細感が瑞々しい雰囲気の再現とともに第一級の品位をもっているのである。
 MC2500は、今から約13年前に、マッキントッシュのパワーアンプの最高峰として君臨した、MC3500のピュア・ディグリーである。管球式のモノーラルアンプで350Wのパワーを誇ったこのアンプは一九六八年の発売で、20Hz〜20kHzのバンドウィズス、0・15%の歪みをフルパワーまで保証された、まさに当時の王者各のアンプであった。もちろん、同社の伝家の宝刀であるアウトプット・トランスフォーマーの特別に巨大なものが使われ、1Ω〜64Ωまでものインピーダンス・マッチングが得られる代物に目を見はったものだ。これとほぼ同形のシャーシにトランジスター式ステレオアンプとして構成された製品が、MC2300であって、この製品の登場とともに、MC3500は、その位置をトランジスター式ハイパワーアンプに譲り渡すことになった。
 MC2300は、300W+300Wのパワーで、トランジスター式ながら、依然としてアウトプット・トランスをもち、信頼性と安定性に充分な配慮がなされている点は、他のマッキントッシュアンプ同様である。このアンプの登場によって、マッキントッシュの全製品が、トランジスター化されたわけだが、一九七三年というこの時期は、大変遅い転換であり、同社の信頼性を第一に考える慎重な姿勢が現われているといえるだろう。
 以来、7年目に登場したが、このMC2500であって、80年代の幕開けに、MC3500の孫に当るMC2500が、マッキントッシュ艦隊の旗艦となったわけだ。3代にわたって、共通のデザイン・イメージをもつ、こトップモデルは、内容もまた、脈々と流れるマッキントッシュのアンプ作りの一貫した技術個セプトとノウハウの上に実現したものであって、この姿一つとっても、マッキントッシュが、いかに信頼性の高い筋金入りのメーカーであるかが理解できるであろう。創立以来35年、同社は、現在アメリカで、真の意味での独立企業として、最も古い伝統と、新しいテクノロジーをもち、積極的に開発とマーケティングに取り組んでいるメーカーの数少ない一つである。多くのアメリカのオーディオメーカーが、経済的に独立できず、古いメーカーは、ただ伝統の上にあぐらをかき、まるで老人のような体質になってしまったり、あるいは経験不足の新しいメーカーが、やたらに新しいテクノロジーだけを振りかざし、信頼性のない素人づくりのような製品を馬鹿げた高い値段で売ってみたりする中で、マッキントッシュ社は、確かな手応えの高級機器を、プロの名に恥じない完成度をもってわれわれに提示してくれるメーカーとして、今や貴重な存在なのだ。
 MC2500は、そうした同社の代表製品にふさわしい充実したもので、500Wオーバーのパワー、モーラルでは1kWを超える大出力を、高効率で得、しかも20Hz〜20kHzにわたって0・02%の歪みを保証している。118万円という価格は決して安くはないが、因みに、他の同級アンプの内容、価格と比較してみるならば、これが破格といってよい安さであることもわかるだろう。ましてや、一度このアンプを目前にして、使ってみるならば、もうお金にかえられない喜びと、充実の気持に満たされるはずだ。MC3500、MC2300と、常にその時代の最高のパワーアンプの後継にふさわしく、あらゆる点で、現代最高のパワーアンプの風格に満ちている。

マイクロ SX-8000

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 マイクロが専門メーカーらしいマニアックなターンテーブルの製品に徹したポリシーをとって生み出した最高級品がこれ。20kgのステンレス製ターンテーブルを糸あるいはベルトで駆動するが、駆動モーター部とターンテーブルアッセンブリーはセパレート型。重いターンテーブルのシャフトはエアーで負担を軽くし、ノイズも軽減し耐久性を確保している。ハウリング対策さえ解決すれば、このターンテーブルならではの澄んで確固たる音が聴ける。

タンノイ Autograph

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 デュアル・コンセントリックK3808ユニットは別名スーパーレッドモニターと呼ばれる38cm口径の同軸型2ウェイである。これを、複雑な折り曲げホーンの大型エンクロージュアに収めたもので、オリジナルは、タンノイの創設者、G・R・ファウンテン氏のサイン(オートグラフ)を刻印してモデル名とした名器。これを日本の優れた木工技術で復元したものが、現在のオートグラフ。高次元の楽器的魅力に溢れた風格あるサウンド。

マッキントッシュ XRT20

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 24個のトゥイーター・アレイをもつ、3ウェイ27ユニット構成というユニークなシステム。緻密な計算と周到な測定技術によって開発された抜群の指向特性によるステレオフォニックな音場再現、驚異的なリニアリティによるDレンジの大きなハイパワードライブ、広帯域の平坦な周波数特性など、物理特性でも最高水準のものだが、その音の品位の高さ、自然な楽器の質感や色彩感の再生は群を抜く、実に高貴な音だ。

マッキントッシュ C32

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 アメリカのマッキントッシュ社のプリアンプ中の最高機種である。多機能なコントロールマスターであり、5分割のイクォライザー、エキスパンダー、ヘッドフォン用パワーアンプなどをもつ。デザイン、仕上げの美しさ、高級感は最高峰で、オーディオファンの夢を実現したといえるだろう。そしてまた、音の素晴らしさ、操作類のプロ機器なみの配慮による円滑さなど、目に見えないところにこそ周到な作りがなされている。

スレッショルド STASIS 1

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 比較的新しいメーカーながら、スレッショルド社は堅実な製品づくりで信頼性が高い。技術的な内容とデザイン、創りの入念さなどがよくバランスしている最高級品である。中でも、このステイシス1は、同社のパワーアンプ中で最高の製品で、世界的レベルでみても堂々たる存在。200Wのモノーラルアンプで、実に大胆に物量を投入して最新のテクノロジーと合体させている。密度の高い、こくのある音は音楽の品位をきちんと出す。

100万円以上の価格帯の特徴(パワーアンプ)

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 全面的に海外製品の占める分野である。このクラスも、コントロールアンプのスーパーマニア製品の項で述べたことが共通していえる。パワーアンプの場合には、パワーで差が出るというのがコントロールアンプより誰にでも理解のいくところだが、かといって、実際にすべての100万円以上のアンプが超出力であるとは限らない。マーク・レビンソンのML2Lのように、モノーラルで25Wというものもある。これを2台そろえれば、198万円だ。ステイシス1は200懦夫るあるが358万円にもなる。同じパワーでステイシス2は半値以下の113万円である。マッキントッシュのMC2500は500Wのパワーで118万円。このように、パワーと価格も全く無関係というのが現実である。メーカーの実情と力などによっての価格水準も変わってくることも加わって、その価値判断は実に複雑な様相を呈することになる。これが趣味の世界というものなのかもしれない。