Category Archives: ヤマハ - Page 4

ヤマハ FX-3

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 バスレフ型エンクロージュア採用のベリリウムドーム型ユニットと新開発36cmウーファーで3ウェイ構成としたフロアー型システムである。基本構成はブックシェルフ型のトップモデルとして定評が高いNS1000Mと同等であるが、各ユニットは全て新設計で共通性はない。
 36cmウーファーは、銅リボン・エッジワイズ巻ボイスコイルとコルゲーション入りコニカルコーン使用で、磁気回路は低歪型φ20cmの大型フェライト磁石使用。口径66mmのベリリウムドーム型中音は、銅リボン・エッジワイズ巻ボイスコイル使用で、φ156mmフェライト磁石の磁気回路採用で、磁束密度16000ガウスの強力型、センターポールは空気穴付でf0は300Hzと低く、10kHzまでのレスポンスをもつ。口径23mmのベリリウムドーム型高音は、2種の樹脂をコーティングした特殊繊維のタンジェンシャルエッジ付、銅クラッドアルミリボン線エッジワイズ巻ボイスコイルとφ100mmフェライト磁石使用で磁束密度18500ガウスである。ネットワークは、低損失の音質重視型で連続可変型の中音・高音用レベルコントロール付だ。
 FX3は、音の芯が強く、重厚で力強い低域をベースとした安定感のあるバランスで、スケールが大きく緻密で分解能が優れ、パワフルな中域、鮮明な高域が見事にバランスした充実した音だ。

ヤマハ HA-2 + C-2a, BX-1

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

 非常に鮮度の高い音で、ヴァイオリンの細かい音やピアノの粒立ちを克明に聴くことができる。音全体の感触にエネルギッシュで肉厚な充実感がある。解像力がいいが、決して弱々しい繊細な音ではなく、高音にもしっかりした肉付きを感じる。ジャズも血が通っている。

ヤマハ MC-7

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 独特の発電構造を採用した純粋MC型カートリッジMC1X、MC1Sに続く第2弾のMC型新製品である。発電方式は、バルクハウゼン効果が少ないセンダストの十字型巻枠を縦と横方向に配置した垂直・水平型発電タイプで、コイル巻線を使うマトリックス回路で、一般的な45/45方式に交換するMC型としては最初の製品である。このタイプは、十字型巻枠の幅による縦・横方向コンプライアンスの調整、現実の45/45方式でカッティング角度の変化範囲が数度に達している実状に任意にフォローでき、コイル巻数による任意のクロストーク特性や音場感のコントロールが自在である。
 MC7は、スクラッチノイズが量的に少なくパーカッシブな音を正確に再生する特長がある。音色は明るく、低域には安定感があり、鮮明な表現力が特長。

ヤマハ A-3

瀬川冬樹

別冊FM fan 25号(1979年12月発行)
「20万円コンポのためのプリメインアンプ18機種徹底レポート」より

 A3は型番からもわかる通り、A5の上級機種ということだが、今回テストしたアンプの中では発売時期が一番古く、七八年の四月。この本が出るころにはそろそろ二年目を迎える。
 まず結論を一言でいうと、これは大変に良くできたアンプの一つだという印象を持った。ヤマハのアンプには、A5のところでも言ったように共通の明るさ、清潔感といったものがある。どこかさっぱりしており、変にベトベトしない、いい意味での乾いた一種の透明感を感じさせる。このA3は一番そこのところをよく受け継いでいる、いいアンプだと思う。
音質 耳当たりがさっぱりしているから、どこか物足りなさを覚えるかと思って、いろいろ聴いてみたが、音の一つ一つがよく練り上げられており、いわゆるごまかしのない大変オーソドックスな音がする。いくら聴いても、聴きあきない、聴きごたえがする。五万九千円という価格、しかも開発年代がそろそろ二年目を迎えるということを、頭に置いて聴いても、なお良くできたアンプだという印象を持った。
 一つ一つの曲について、これは細かく言うと、いくらでも言える、また言いたいアンプだが、ちょっと紙面が足りないので、要約して言うと、例えばピアノの強打音、あるいはパーカッションの強打音のように、本当の意味で音の力、内容の濃さを要求されるような音の場合でも、このアンプがそこで音がつぶれたりせず、大変気持ちがいい。
 そしていろいろなプログラム・ソースを通して、音のバランスが大変いい。音域によって、音色や質感、あるいはバランスといったものを、時々変えるようなアンプがあるが、このA3に関してはそういう点が全くない。それだけでも大したものだと思う。
 ただ一つお断りしておくと、このアンプはヤマハの上級機種にも共通した一つの作り方の特徴だが、パネル上半分のボリュームの隣のディスクという大きな、押すと薄いグリーンの色がつくボタンを押すと、トーン・コントロールその他を全部パスしてしまい、ダイレクトなアンプになる。その状態で、いま言ったようないい音が聴こえるわけだ。
 ダイレクトにしないで、トーン・コントロールを使おうとすると、いま言った特徴は、注意深く聴かなくては、という前提をつけなくてはならないが、ごくわずかながら、いまの良さは後退するという点を一つお断りしておく。
MCヘッドアンプ このアンプもMCのヘッドアンプが付いている。例によってオルトフォンMC20MKIIとデンオン103Dと両方テストした。
 MC20MKIIの方はボリュームをかなり上げないと十分な音量が出ない。しかし、ボリュームをいっぱいに上げてもノイズが比較的少なく、ノイズの質がいい。MC20MKIIが一応使えるということ、これにはむしろびっくりした。
 五万九千円というこのクラスの中では、なかなか良くできたMCヘッドアンプではないかと思う。もちろんデンオン103Dに関しては、問題なく、十分力もあるし、音質もいい。
トーン&ラウドネス トーン・コントロールの効きは比較的さっぱりした効き方だが、もちろんその効き方は耳で聴いてはっきりと聴き分けられる。トーン・コントロールのターンオーバー切り替えが付いているということも、さらに一層きめの細かい調整ができるわけで、非常に便利だと思う。ファンクションは充実しており、スピーカー切り替えもA、B、A+Bとある。いろいろ機能も充実しているということを考えると、これは総合的になかなか良くできた、買って大変気持ちのいい思いのできるアンプではないかと思う。
ヘッドホン ヘッドホンについては紙数が尽きてしまい残念。特に問題はなかった。

★★

ヤマハ A-5

瀬川冬樹

別冊FM fan 25号(1979年12月発行)
「20万円コンポのためのプリメインアンプ18機種徹底レポート」より

 このヤマハのA5は、四万五千円というプリメインとしてはかなりローコストの部類だが、この製品をいろいろな角度からながめてみると、高級プリメインが備えている機能を最小限に集約して、できるだけ安い価格で提供しようという作り方がうかがえる。
 例えばMCのヘッドアンプを内蔵しているということも一つ。それからインプット系統がなかなか充実しており、テレビの音声チューナーを接続できるようにもなっている、といったことだ。見た目は一連のヤマハのアンプのデザインの系統で、大変さっぱりして清潔感のある印象を与える。
音質 この製品は前号でも試聴した製品なので、音は前にも聴いていた。今回改めて同じような価格ランクのアンプの中に混ぜてみて、どういう位置づけになるかというところが大変興味があったわけだが、この価格の中で、もしヘッドアンプまで入れて機能を充実させようと考えて作ると、やはりどこかうまく合理化し、あるいは省略しなくてはならない部分が出てくるということは、常識的に考えて当然だと思う。実際に音を聴いてみた結果、大づかみに言えば、これはヤマハの一連のアンプに共通の明るさ、軽やかさ、それから音が妙にじめじめしたり、ウェットになったりしない一種渇いた気持ちの良さ、そういった点を共通点として持ってはいる。
 ただ、いろいろなレコードを通して聴いてみて、一言で印象を言うと少し薄味だということだ。それからの音の重量感のようなもの、あるいはスケール感のようなものが十分に再現されるとは言いにくい。
 前号でプレイヤーのテストをした時に、レコード・プレイヤーが三万九千八百円というような価格でまとめたものから四万円台に入るとグーンと性能が上がるという例があったように、アンプでもやはり中身を充実させながら、コストダウンさせるためには、どこか思い切りのいい省略が必要ではないかということは当然考えられる。
 そういう見方からすると、このA5はいろいろな面からかなり高望みをして、本質の方はほどほどでまとめたアンプという印象がぬぐえない。トータルとしての音のまとめ方としては、さすがに経験の深いヤマハだけに大変手慣れたものだが、そのまとめ方の中身の濃さが伴っていないという感じだ。
トーン&ラウドネス ところでこのアンプをいろいろ操作してみての感じだが、トーン・コントロールの効き方は、低音、高音ともいわゆる普通の効き方をする。ラウドネス・コントロールは割合にはっきりと効く感じで、わかりやすい効き方をする。
MCヘッドアンプ MCヘッドアンプだが、MC20MKIIはボリュームをあまり上げたところでは使えない。つまりあまり大きな音量が出せない。ゲインも足りないし、ボリュームを上げていくと、ヘッドアンプのノイズのほうが、かなり耳障りになってくる。これはかろうじて使うに耐えるという感じ。しかし、デンオンの103Dの方は十分に使える。ゲインもたっぷりしているし、ヘッドアンプとしての音質も、四万五千円ということを考えれば、まあまあのところへいっているだろうと思う。
ヘッドホン ヘッドホンの端子での音の出方の理想というのは、ごく標準的な能率のスピーカーをつないで、ボリュームを上げて、適当な音量を出しておく。その音量感とそのボリュームの位置で、ヘッドホンに切り替えた時の音量感が、大体等しくなることが理想だ。その点、このアンプのヘッドホン端子で出てくる音量が、スピーカー端子よりもやや低めという印象がした。
 ヘッドホン端子での音質は、スピーカー端子で聴く音とほぼ同じで統一がとれている。

ヤマハ NS-590, NS-890

ヤマハのスピーカーシステムNS590、NS890の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

NS890

ヤマハ C-2a, B-5

菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポート」より

 音に勢いのある、明解な再生音で、低音もよく締り密度が高いし、中高域の冴えた再生音も美しい。パワーアンプのプロテクションが、やや安全度の見過ぎか、公称パワーの大きさの割には、低域の大出力に余裕が欠けるようだ。充実した高品位の再生音。

ヤマハ NS-100M

井上卓也

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 オーソドックスなブックシェルフ型スピーカーシステムであるNS1000に対して、そのエンクロージュア仕上げを、ブラックのモニター仕上げとしたNS1000Mは、業務用機器的な性格が強い製品としては、国内初のブックシェルフ型システムであり、その性能と音質の優れていることでは発売以来高い評価を保ち、いわば日本を代表するブックシェルフ型システムである。このNS1000Mでスタートを切ったMシリーズには、その後ブックシェルフ型システムとミニスピーカーシステムの中間的な外形寸法を採用したNS10Mが発売され、外形寸法、価格帯ともに従来にないコンセプトによるものとして性能、音質をも含めて注目され、新しい需要を換起して、ここに新しいマーケットを築き、その後各社から同様な製品が続いて開発される契機を作った。
 今回発売されたNS100Mは、Mシリーズの第3弾製品で、外形寸法的にはNS10Mよりワンサイズ大きいが、製品としての性格は、NS1000Mに近く、小型サイズの外形寸法のなかに高度な性能、音質を凝縮して作られた、いわば高密度設計の小型ブックシェルフ型システムである。
 ユニット構成は、20cmウーファーにソフトドーム型のスコーカーとトゥイーターを組み合わせた3ウェイ型である。
 ウーファーは、外国産の針葉樹系材料を旧来の和紙系統の技術を加味して独自のシート製法により作られた白いコーンに特長があり、4種類の粘弾性体を塗布したロールエッジ、大型ダンパーと直径5・2cmのクラフト紙ボビンに銅平角線を巻いたボイスコイルが組み合わされ、磁気回路は、110φ−60φ−15tの大型フェライト磁石とセンターポールに銅キャップを装着した低歪磁気回路を使っている。
 スコーカーとトゥイーターは、NS690以来の伝統をもつエッジ一体成形のソフトドーム型で、繊維には7種類のコーティング材を混合して、表と蓑の両面から50μ厚で塗布し、熟圧成型で仕上げ振動板とし、スコーカー、トウイーターともに同上塗布剤を使用している特長がある。
 スコーカーは、口径5・5cmで100φ−50φ−15tのフェライト磁石を使う大型磁気回路と、空気穴のついたガラス繊維を素材としたFRPシートボビンに銅平角線ボイスコイル使用で、f0は400Hz。
 トゥイーターは、口径3cmで、鋼クラッドアルミ線をエッジワイズ巻としたボイスコイルは振動板直付けで、70φ−32φ−15tのフェライト磁石採用である。
 エンクロージュアは、三方流れ留め組み採用の完全密閉型。ネットワークは、低歪設計の音質重視型で中音高音レベル調整付。
 NS100Mは、スムーズな周波数帯域と各ユニットの調和のとれた音色に特長がある。音場空間は十分に拡がり、定位は明確で声のナチュラルさは見事である。

ヤマハ CA-S1

瀬川冬樹

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「JBL♯4343研究(2)」より

 ここで再び価格ランクが一段下がる。
 音の質感は相当高度だ。ヤマハがCA2000の頃から完成しはじめた音の滑らかな質感、クォリティバランスとでもいうべき音の質感の整った点は、9万5千円という価格以上の音と思わせる場合がある。しかし数多くのレコードを聴き込んでゆくにつれて、どこか音に「味の素」をきかせたとでもいおうか、味つけが感じられる。たとえば「ザ・ダイアログ」のドラムスの音。バスドラムの量感、スケール感、パワーを上げた時に聴き手の腹の皮を振動させるかのような迫力が、この上の15万円クラス、あるいは20万円クラスのプリメインでは、セパレートと比べると、本当の意味で十全に出にくい。ところが高価格の製品から聴いてきて、CA−S1まできてむしろそういう部分が一種の量感を伴って出てくるように感じられた。しかしこの価格のプリメインで本当にそういう音を再現することは、無理があるわけで、そこが、なんとなく「味の素」を利かせた、という感じになるのだ。このクラスのプリメインでは、その辺の量感が不足しがちなことを設計者自身が意識して、意図的に作為をもって量感を加えるように計算づくで味つけしたように、わたくしは感じた。それはあるいは思いす
ごしかもしれないが、プリメインを何台か聴いてきて、そういうことを意識させる点がまたCA−S1の特徴、といえないこともないだろう。
 中音域以上はクォリティの良い、たいへん滑らかな、密度の十分な安定感や伸びが、90W+90Wというパワーなりに感じられる音だ。しかし高域にわずかに──たとえばフランチェスカッティのヴァイオリンの高域で、弦そのものの音を聴いているというより、上質なPAを通して聴いていると思わせるところがある。あくまでも録音した音を再生しているのだと意識させる、その意味でもかすかな作為が感じられる。低音に関しても高音に関しても、つい作為ということばを使いたくなったという点が、このアンプ自体、一種上等な「味の素」のような調味料をうまく利かせてまとめられているという説明になるだろうか。

ヤマハ NS-1000M(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第18項・こんにちの日本を代表するヤマハのNS1000M」より

 この辺でそろそろ、わが日本のスピーカーについて研究してみる。私自身は国産のスピーカー全般をあまり高く評価しないものだから、日本のメーカーやオーディオ界から、舶来主義者みたいに言われているが、しかしアンプ類は十二分に評価しているし、事実、国際市場でも、日本のアンプやその他のパーツは高く評価されながら、スピーカーだけは、いまひとつ良く言われないということは、周知の事実なのだ。
 そうした中で、ヤマハのNS1000M(モニター)は、スウェーデンの放送局でモニター用として正式に採用されるなど、いわば国際的な市民権を獲得した国産最初のスピーカーと言ってよい。またわが国でも、発売後すでに5年を経てなお、人気がおとろえないという実績が、スピーカーの良さを裏づける。このスピーカーは,とくに一〜二年以上ていねいに鳴らしているうちに、次第に音がこなれて滑らかさを増してきて、いっそう評価が高くなるということもロングセラーの秘密のひとつかもしれない。
 難をいえば、黒の半艶のいささか素気ない塗装に、金網をかぶった低・中・高音の三つのユニットのむき出しの、機能本位といえば体裁がいいがいささか挑発的ともいえるデザイン。ただ、それを嫌う人のためには、MのつかないNS1000という、渋いデザインの製品もあることをつけ加えておく。音質はわずかに異なり、M型よりも少々おっとりしている。
 いずれにしてもNS1000(M)は、大別するとアキュレイトサウンドのグループに入れることができる。そして、いままでに例にあげた中では、KEFやスペンドールよりもJBLの鮮烈な鳴り方のほうに近い。したがって、コンサートプレゼンスよりは楽器を眼前にリアルに展開するタイプ。
 ブックシェルフ型、といってもやや大ぶりだし、重量もかなりあるから、本棚等に収めるわけにゆかないし、その性能を生かすためにも、周囲にあまりものを置かず、周辺を広くあけて、三十センチ前後のしっかりしたスタンドに乗せ、タテ位置で使うのが標準的な鳴らしかただ。その点はスペンドールなどの置きかたと共通点がある。
 音量は相当に──楽器のナマの音量程度までも──上げることが可能だが、かなり鳴らし込んだ後でないと、少々やかましい感じがなくなりにくい。
          ※
 さて、NS1000Mう生かす組合せだが、なぜかこのスピーカーは、味の濃い音のアンプやカートリッジを拒む傾向があって、どちらかといえばサラッとした感じの素直な音で統一したほうがいいらしい。で、いろいろやってみると、アンプ(チューナー)は、同じヤマハがやはりよく合う。ほかにというなら、ラックスかテクニクスの系統だろう。また、カートリッジはここ数年来、ヤマハ自身が、アンプ、スピーカーの音ぎめに、シュアーをひとつの標準に採用しているので、やはりV15タイプIVはひとつあげておく。やや高価な組合せと、スピーカーの能力を生かすに必要最低のラインと、ふたとおり示しておく。

スピーカーシステム:ヤマハ NS-1000M ¥108,000×2
コントロールアンプ:ヤマハ C-2a ¥170,000
パワーアンプ:ヤマハ B-3 ¥200,000
チューナー:ヤマハ T-2 ¥130,000
プレーヤーシステム:ヤマハ YP-D10 ¥128.000
カートリッジ:シュアー V15 TypeIV ¥39,800
計¥883,800

スピーカーシステム:ヤマハ NS-1000M ¥108,000×2
プリメインアンプ:ヤマハ CA-2000 ¥158,000
チューナー:ヤマハ T-1 ¥60,000
ターンテーブル:ラックス PD-441 ¥125.000
トーンアーム:SME 3009/SeriesIII ¥74,000
カートリッジ:スタントン 881S ¥62,000
計¥695,000

ヤマハ NS-890

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 先の690IIに比べ、より明るく説得力のあるスピーカーで、スケールの大きさ、パンチ力がある。

ヤマハ NS-10M

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 小型ブックシェルフスピーカーながら、迫力ある音を再生する、どちらかというとヤング志向の音楽に向いた製品だ。18cmウーファーと3・5cmドーム型トゥイーターによる2ウェイ。

ヤマハ NS-690II

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 いい意味での日本的な良さをもった数少ないものの中の一つだと思う。淡泊な美しさの中に透明な味わいがあり、品のいい音を再生してくれる製品だ。

ヤマハ NS-1000M

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 ロングランを続けている、ベリリウム蒸着振動板をスコーカー、トゥイーターに使ったモニタースピーカーだ。新しい素材を使いながらその長所のみをうまく抽出した成功作といえ、いつどこで聴いてもしかるべきバランスで鳴り、音のタッチも明快で、プログラムソースのありのままを再生してくれる標準的なシステムといえる。

ヤマハ MC-1X, MC-1S

ヤマハのカートリッジMC1X、MC1Sの広告
(ステレオ 1979年2月号掲載)

yamaha_MC1X

ヤマハ CA-R11

ヤマハのプリメインアンプCA-R11の広告
(ステレオ 1979年2月号掲載)

CA-R11

ヤマハ T-3, T-4

ヤマハのチューナーT3、T4の広告
(ステレオ 1979年2月号掲載)

T3

ヤマハ YP-D71

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 YP−D7を大幅にグレイドアップした新製品である。クォーツロックPLLサーボ方式、高トルク・コアレスモーター、4点ピボット完全ジンバル支持高感度アーム、重量ラミネート構造ソリッドボード黒檀仕上げのプレーヤーベース、非接触光電流検出方式オートアップ機構、NEGLEX2重円筒シールドケーブルなどの特徴をもつ。性能を重点的に追求したセミオート機である。

ヤマハ CA-S1, CA-R11

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 CA−S1は、価格的には、かつてのCA1000の位置を受け継いだヤマハの新しいプリメインアンプである。4石構成のMCヘッドアンプを除く、イコライザー、トーン、パワーの各アンプはFET差動入力のDC構成で全て0・005%以下の低歪率を誇り、実装時に各コントロールを操作しても特性の変わらない動的にも静的にも追求された回路構成をもつ。
 機能面では、セパレート型アンプのC4で開発されたターンオーバー連続可変型トーンコントロール、同じく、B4のR0コントロールを初めてプリメインアンプに導入したのが目立った特長である。
 シリーズ製品として連続可変ターンオーバーを省き、出力を70W+70WとしたCA−R11が同時に発売された。
 CA−S1は、基本的にはやや硬質な音をもつが、音の粒子が充分に磨き込まれ、エネルギー感があるために、プログラムソースに幅広く対応し、余裕のある落ち着いた穏やかな音を聴かせる。

ヤマハ MC-1X

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 今春ころより話題となっていたヤマハ最初の自社開発の鉄芯を使わない純粋MC型カートリッジが完成し発売されることになった。ベリリュウム・テ−パードパイプカンチレバーと平行な面をもつ左右独立型の2個の薄膜積層ICコイルは振動支点上に十字型支持板で保持され、左右独立型希土類磁石使用の差動磁気回路内に位置決めしてある。磁気ギャップは0・6mm、磁束密度は11、000ガウス以上と強力で30Ωのインピーダンスで0・2mVの出力電圧を得ている。MC1Xはアルミダイキャストシェル一体成形のモデル、MC1Sは通常のモデルで共に規格は同一である。
 MC1Xは、1・8gの指定針圧で激しい音溝の変化にも優れたトレーシングを示す。聴感上のfレンジはかなりワイドレンジ型で、古典型のMCにくらべると中域の薄い傾向はあるが、音の粒子は細かく、適度な反応の早さを聴かせる点はいかにも現代型MCらしいところだ。昇圧には現在ヘッドアンプしかないが、できれば専用トランスを開発してほしいと思う。

ヤマハ C-2a

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 セパレート型アンプのジャンルで例外的に数多くのファンに愛用されているヤマハのC2は、現時点での技術、素材をベースとして完全に設計変更されて、今回C2aとして発売された。
 基本的な回路構成面での特長は、MCヘッドアンプを含めて全てのアンプは平衡形全段プッシュプル構成で、原理的に歪の発生が少なく、しかもDCアンプ構成となっている。MCヘッドアンプは低雑音トランジスターを4個パラレル接続とし、さらに一石のカスコード段をもつプッシュプル構成。イコライザーアンプは超低雑音高利得デュアルFET差動増幅回路にカスコードブートストラップを組み合わせた初段、カレントミラープリドライブ、2段エミッターフォロアー出力段をもつプッシュプルDC構成である。トーンコントロール段には、イコライザー段とほぼ同様なNF型を使い機械的中点で完全ディフィートできる特殊カーブのコンダクティブプラスティックボリュウムを採用している。機能面ではサブソニックフィルター、入力系と独立した信号を選べる録音出力セレクター、ミューティングスイッチを備える。
 C2aとなり、特に感じられるのは、中域以上の解像力が一段とシャープとなりキビキビとした反応の鋭い音を聴かせる点である。

ヤマハ NS-590

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トールボーイ型の独特なプロポーションをもつNS890の系統を受け継いだヤマハの新製品である。構成は3ウェイタイブで、30cmウーファーは1000M系のマルチコルゲーション入りコニカル型のコーン紙とエッジワイズ巻ボイスコイル、銅キャップ付低歪磁気回路採用。12cmコーン型スコーカーは銅リボン線エッジワイズ巻ボイスコイル使用、トゥイーターはペリリュウム振動板採用のヤマハ独自のタイプで豊かな低域をベースに緻密な音をもつ

ヤマハ T-4

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 既に同等のクラスにT3が発売されているが、新製品T4では、画期的なユニレゾナンスフィルター、高性能オーディオ専用MPX・IC、DC・NFB・PLL・MPX回路、トラッキング型パイロット信号キャンセル回路、AUTO・DX回路などを採用し、チューナー内部で発生する諸歪の新測定法による解析、解決をするなど、高価格帯のチューナーの水準を抜いた新製品ならではの内容をもつ製品である。AM部では低雑音ループアンテナを新開発し採用しているため、AM放送のクォリティが格段に高いのが見逃せない点だ。

ヤマハ JA-0506

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 発泡ポリスチレン振動板を採用したヤマハ独特の平板型ウーファーJA5004、30cm口径のコーン型ウーファーJA3053Aと組み合わせるトゥイーターが、このJA0506である。ダイアフラムは厚さ30ミクロンの硬質ジュラルミンのリング型で、ボイスコイルの直径は23mm。磁気回路は、φ40mm鋳造マグネットで17、000ガウスの磁束密度を得ている。ホーンは、アルミ削り出し型で、中央の砲弾状イコライザーともどもリング状のホーンを形成していると考えられる。

ヤマハ PX-1

黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より

●オルトフォンMC20で聴く
 音像を肥大させないところにこのプレーヤーシステムのよさがあるというべきだが、総奏でのひびきの力の提示にもう一歩ふみこんでの積極性がほしい。ひかえめなところはこのましいのだが。

●デンオンDL103Sで聴く
 さわやかだし、すっきりとしているが、ひびきのこくといった点で、多少ものたりない。声など、もう少し、声ならではの湿りけが感じられた方がいいだろう。細部の鮮明な提示はいいが。

●シュアーV15/IVで聴く
 示すべきものをすっきり示して、しかし決しておしつけがましくならないよさとでもいうべきか。もう少し力感がほしいと思わなくもないが、リズムの切れに鋭く反応するあたりはいい。