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マランツ Model P3600, Model P510M

菅野沖彦

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 この四半世紀アメリカの高級アンプリファイヤーの部門を、マッキントッシュとともに二分する一方の最高級メーカーとして、マランツのブランドは不動の地位を確立してきた。ソウル・B・マランツによってニューヨークのロングアイランドに工場を設立されたマランツ社は、それ以来きわめて優れたテクノロジーとオリジナリティをもった最高級アンプリファイヤーづくりに徹し、#7や#9など数々の名器を生んだのである。それらの数々のアンプリファイヤーが、世界中のほとんどのアンプメーカーの行き方に与えた影響は、デザイン面あるいはサーキットの面において大なり小なりといえども計り知れないものがある。したがって、マランツの名前が、今日世界最高のブランドとして光輝いているのも当然のことだろう。
 しかし、残念ながら現在のマランツは、スーパースコープ社の傘下に入り、ソウル・B・マランツが退いて同社の体質は変化し、普及機までもつくるようになったが、ただ単にブランド名だけが受け継がれたのではないことは、現在のトップランクのアンプリファイヤーを見れば理解できる。アメリカのメーカーの良いところは、ある会社を受け継ぐ、あるいは吸収するときに、そのメーカーが本質的に持っていた良さを生かす方向に進むということだ。マランツもそういう意味で、ソウル・マランツ時代のイメージが消えてはいない。特に、このP3600とP510Mという、同社の現在の最高級アンプリファイヤーは、やはり一流品としての素晴らしさを維持し、マランツの歴史に輝くオリジナリティと物理特性の良さを持っているのである。そして、デザインも明らかに昔からのマランツの血統を受け継いだものといえるし、クォリティも昔のマランツの名を恥ずかしめない実力を持つアンプリファイヤーである。パネル・フィニッシュなどには昔日のようなクラフツマンシップの成果を偲ぶことが出来ないのが残念だ。
 コントロールアンプのP3600、パワーアンプのP510Mは、同社のコンシュマーユースの最高峰に位置するMODEL3600、MODEL510Mの特に優れた物理特性を示すモデルに〝プロフェッショナル〟の名を冠した機種である。フロントパネルは、厚さ8mmのアルミのムク材をシャンペンゴールドに仕上げ、プロフェッショナル・ユースとしての19型ラックマウントサイズになっている。この二つのセパレートアンプは、マランツのステータスシンボルだけに、最新のエレクトロニクス技術の粋を結集し、シンプルな回路と高級なパーツで、オーソドックスなアンプの基本を守り、音質も、マランツらしい力感と、厚みを感じさせる堂々たるもの。中高音の艶やかな輝やきは、まさにマランツ・サウンドと呼ぶにふさわしい魅力をもっている。パネル仕上などには昔日のような繊密さがないと書いたが、現時点で求め得る最高のフィニッシュであることを特筆しておこう。ソウル・マランツ時代の血統が脈々と生きていることは心強い限りである。

マランツ Model 1250

岩崎千明

ジャズランド 8月号(1976年7月発行)

 今日、米国のオーディオ界で最も成功しているメーカーとして、名前を挙げるのがマランツだ。それは一度でも米国に行ったことのある人なら、否応なしに知らされる事実だ。
 ところで、日本のオーディオ界を考えると、オーディオの各パーツのなかで、アンプが他の部分より成功していることは誰もが気がつくだろう。事実日本の多くの製品が世界のオーディオ界に進出しているけれど、なかでもアンプは他の追随を許さないほどの成功を収めているのだ。こうした、国産アンプの優秀さは国内市場においても明らかで、アンプに関する限り、海外ブランドは超高級品以外は、全く国産ブランドの独壇場といってもよいくらいだ。たった一つの例外を除いて……。
 それが、実はマランツなのである。
 マランツのファンは大きく分けて、二つの世代に分れるといえる。その一つはいわめるオールド・マランツの支持者達であり、今はなきマランツの旧製品を愛する古くからのファンだ。それに対して、黒い窓枠を与えられた個性的なフロント・マスクに代表される新しい製品群を手許に置き、あるいは置きたいと願う若い世代のファンがいる。この両者は重なり合うこともあるし、はっきり区別されることもある。
 ただ、これを個々の製品の内側からみると、ニュー・マランツにおいても、マランツの伝統を踏まえたサウンドを持ち、その意味ではまぎれもなくマランツそのものだ。ただこの二つが違っているのは、ニュー・マランツの、現代のアンプとしての多機能性を盛り込むためにデザインされたフロント・パネルの違いだけだ。
 マランツの製品の最高ランクのプリメイン・アンプとして登場したMODEL1250の大きな特長として指摘できるのは、1150などのそれとははっきりと一線を画したそのフロント・デザインから、かってのマランツのイメージをより豪華にアレンジしてパネルに盛り込んだという点である。高い完成度に優雅さを漂わせたともいえるそのデザインは大いに魅力だ。
 内容的には1150をさらにパワー・アップし、130W+130Wというハイパワーを誇り、テープ回路等に使い易さを拡大した点にある。漸新な回路技術を駆使して得られたその成果は、1250がマランツのみならず、全てのオーディオ・アンプの中の最前線に位置することを示している。
 1250は20万弱と決して安いアンプではない。しかし、オールド・マランツ・ファンも納得し、新しい若い世代のオーディオ・マニアにも熱い眼差しを向けさせるだけの、マランツ・ブランドの最高級たるに相応しいプリメイン・アンプなのである。

マランツ Model 1250

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 マランツのプリメインアンプは、普及機から徐々にラインナップを固めてきたが、そのトップモデルとして開発されたものが、このモデル1250である。基本的には、コントロールアンプのモデル3600とパワーアンプのモデル250Mを、ひとつのシャーシに組込んだプリメインアンプと考えてよいが、各ブロックのユニットアンプは、かなりモディファイされているように思われる。
 フロントパネルは、いわゆるマランツの伝統的なマランツサイズであるが、デザインは、最近の一連のモデルとは異なり、以前のマランツ同様にフラットフェイスになっているのが目立つ点である。この変更はモデル1250が、セパレート型アンプと比較されるスペシャルクラスのプリメインアンプであることを考えれば、他のモデルとの差別化の意味があろうし、それとは関係ないが、古くからのマランツファンには親しみやすいことは事実である。この変更で、副次的なメリットとして生じているのは、コントロールのツマミが大型化されたことで、実際に使ってみると操作性は、かなり向上していると思われる。
 なお、このモデルも、他のマランツアンプ同様に、オプションのRA−2ラックアダプターを使えば、標準サイズのラックに取付け可能であり、RA−2は、ゴールドメッキ仕上げで、横受ブラケットが付属した業務用的構造の製品である。
 機能は、モデル3600コントロールアンプや、モデル1150プリメインアンプに準じているが、本機独得のファクションとしてレコードセレクタースイッチがある。2個のスイッチがペアとなる、このセレクターは、RECORD・SELECTOR1が、メインのテープデッキの入力を選択し、RECORD・SELECTOR2がサブ、もしくはエクスターナルテープデッキの入力を選択する。2個のセレクターと入力切替スイッチを組み合わせて使用すれば従来のこの種のスイッチより、はるかに、多角的にテープデッキが活用できるメリットをもっている。
 回路構成上の特徴は、初段差動のイコライザー段は、40dBのゲインがあり、許容入力が1kHzで300mVと米国系のアンプとしては、充分なマージンがあり、MC型カートリッジを安心して使用できる。トーンコントロールは、高音と低音がターンオーバー2段切替型で、中音も±6dB変化することができる。パワーアンプ部は、全段直結OCLタイプであり、電源部は、他のモデルにくらべ、かなり強化されている。
 モデル1250は、よい意味で、マランツのアンプが伝統的にもつニュートラルでカラリゼイションのない音を受継いでいる。際立った特長こそないが、他と比較したときに初めてクォリティの高さが判かるという音である。パワーも充分にあり、グレイドの高い点では、セパレート型アンプの域に達したプリメインアンプである。

マランツ Model 510M

岩崎千明

サウンド No.7(1976年発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(アンプ編)」より

 わが家には、いつでもスイッチさえ入れれば動作してくれるアンプが何台もあって、その多くは何んらかのスピーカー・システムが接続されている。スイッチさえ入れ、プリアンプをつないでボリュームを上げれば、すぐ音が出る。ところで、こうしたアンプのうちで、もっともスイッチを入れるチャンスの多いのはマランツのモデル2というパワーアンプだ。これは6CA7というフィリップス系のパワー管のプッシュプル接続パワー段で40ワット出力のモノーラルアンプであって、後にこれを2台結合して同じ寸法のシャーシーに収めるため出力トランスを少々小さくして35W/35Wとしたのが、有名なステレオ用モデル8Bである。さて、この管球アンプは多くの管球アンプ海外製品の中でも、もっとも音の良いアンプだ。堂々たる量感あふれるこの低音は、一度聴くと手離せなくなる。これに匹敵する製品はいくら探しても見当らず、マッキントッシュのアンプですら、300/300Wの超出力MC2300以外ない。
 永い間、このアンプに相当するものがなくて、これに近いのが同じマランツが昔作ったソリッドステートのモデル15とそのパワーアップ型、モデル16であった。モデル15の方が、かなりおとなしい中音でオーソドックスなマニア好みはするだろう。共に低音の力強さはマランツ独特のものだ。特にモデル16は今日的な意味でのクリアーな透明感があって、ある意味ではモデル2よりも好みの音である。パワー80/80が、あとから100/100ワットにパワーアップされたとはいえ、現代のアンプとしては少々力不足はいなめない。音マイク録音のすさまじい立上がりの最新録音では、クリアーな音も越しくだけになってしまうのだ。
 マランツの最新型510Mは265/265Wの超出力で、その割にコンパクトなサイズ。それは100/100ワットのモデル16の50%増程度、重量も2倍ぐらいなものだ。クォリティーは、まさにモデル16をはるかに上まわる電気特性で、より透明で鮮明なサウンドがいかにも最新型だ。

マランツ Model 3600, Model 250M

マランツのコントロールアンプModel 3600、パワーアンプModel 250Mの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

マランツ

マランツ Marantz 4GII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 エレクトロ・リサーチと価格が近く、しかも生まれが同じカリフォルニアだから、つい比較してしまうことになる。能率はE-Rよりも聴感上で4~5dB高く、組み合わせるアンプはパワーの面で楽になる。E-Rが中域をやや抑えぎみだったのに対し、こちらは中域がよく張っている。輸入品を国産の同価格製品とくらべるのは少し気の毒かもしれないが、E-Rと同様にパワーにやや弱い傾向を示し、アン・バートンのバックのベースの音で、裏蓋ごとビリつくような音がで出たので、音量をおさえかげんで聴いた。総体にダウンタウン的イメージ、要するに音に品格が欠ける。音楽の大づかみな印象を的確にとらえて元気に鮮明によく鳴るが、いくらか手綱を緩めすぎたという感じ。もうひと息、磨かれた品位が加われば抜群の音質に仕上がるのに、と言いたくなるスピーカー。したがって細かなことにこだわらずに気楽に鳴らすという目的ならそれなりに十分楽しめる音、といえる。ただし、この値段であえてこれを選ぶ理由はやや希薄。

マランツ Model 120B

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 モデル10B以来のスコープディスプレイをもったマランツのトップ機種である。パネルフェイスの印象は、米国うまれのためか、最近の国産機とは異なるが、華やかである。

マランツ Model 250

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 マランツのセパレート型アンプとしては標準機種と考えられるアンプである。際立った特長はないが、或る意味では、それがマランツらしいところではないだろうか。

マランツ Model 500

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 マランツらしいゴージャスなデザインと風洞のようなトランジスターの冷却方法を採用した機械的構成に感心させられる機種である。充分に音量を上げて使うべきだ。

マランツ Model 1040

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 音の濃やかさとかニュアンスよりもまず、全体のしっかりしこ構築と明るい躍動感で聴かせる音質。歪感も少なくパワーもある方。ひとランク上の♯1070も秀作。

マランツ Model 1070

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 マランツのプリメインの最新製品は、パワーこそ40/40W程度だが、音を聴くとその倍くらいの力を感じさせ、やや鮮かな音がひときわ重量感ある迫力でマランツ直系の音。

マランツ Model 3600

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 内容、外観ともに従来のマランツの枠を破ったような印象の新製品である。いわゆるマランツファンには不満もあろうが、時代性を備えた製品化は見事といってよいだろう。

マランツ Model 240

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 かつてのモデル16の量産アレンジ版ともみられる240は、パワーの点で今や独立パワーアンプとして大きい方ではないがサウンドにおけるマランツらしさを強く感じさせる。

マランツ Model 125

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 10B以来と、この2月号の米オーディオ紙に絶賛されたサウンドは、マランツ直系であろう。スコープつきの高価格品と、無しの実用機120とがそろえられデビューした。

マランツ Model 1120

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 力のある華麗な音。明るく屈託なく鳴ってくれる。左右対称のシンメトリックデザインも伝統のマランツのイメージを生かして現代化したものでメカニズムの美しさがある。

マランツ Marantz 4GII

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 マランツの普及型で平凡な2ウェイ2スピーカー・システム。価格も安いが、音は素直で聴き応えのある製品。立体的なフロント・グリルもなかなか魅力的だ。

マランツ Model 1200B

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 基本型をセパレート型の♯3300と♯240に置くだけに、プリメインとして高度に洗練された内容と外観をもつ機種である。実質的にマランツの音を楽しむのに好適。

マランツ Model 1070

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ♯1040の上級機だけにやや落着きのある、いわば立派な音をもったアンプである。際立った個性というものは特にないが誰にでも容易に使える性格の良さが長所である。

マランツ Model 1040

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 小さな高級プリメインアンプというのが、もっとも適当な表現になるだろう。適度の響きを伴って整然と音を出すところが、好感のもてる点であり、印象的でもある。

マランツ Model 500

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 250W×2のパワーアンプ。堂々たる外観にふさわしい内容をもつ。パワフルで明るい音質は、ややキメの細かさには欠けるが、たくましく充実している。王者の風格だ。

マランツ Model 500

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 マッキントッシュも一目おく優れたアンプ。いかにもアメリカを感じさせる力量アンプである。伝統のゴールド・アルマイト・フィニッシュのパネルにシンプルな、それでいて美しいツマミ。メーター周りは、特に、よきにつけ、あしきにつけアメリカ的だ。音も凄い。すっきりした透明感で、しかし力に溢れた量感。ほかのアメリカ製ハイパワーアンプより一桁上のクォリティ。品位の高さではMC2300に匹敵する両雄だ。

ハイパワー・アンプの魅力

岩崎千明

スイングジャーナル 5月号(1974年4月発行)
「AUDIO IN ACTION」より

●アンプはパワーが大きいほど立上り特性がよくなるのだ! だからジャズには……
 アンプの出力は大きいほど良いか? はたまた、必要性のないただただぜいたくなのか?
 そうした論争や、論説はいいたいやつにいわせておけ。オレは今日も午前中いっぱい200ワット出力のアンプをレベル計がピクンピクンといっぱいに振り切れるほどの、ドラムの響きに身をまかせ切っていた。
 一度でもいい。キミも、大出力論争をやっているひまに、ほんのひとときを100ワット級のアンプで鳴らす空間にその身をさらされてみろ。一度でもハイ・パワー・アンプの洗礼を受けたが最後、ジャズを愛し、断ち切れないほどのファンなら、だれだって必ずやその虜になるぞ。必要ない、なんてうそぶいていたのは、実は、望んでも達せられないための、やっかみ半分のやつ当りだっていのうを、ひそかに思い当るに違いない。
 ハイ・パワー・アンプから繰り出されるこの上なく衝撃的なパルスは、現代に息吹く若者にとってあるいは麻薬の世界にも例えられるのかも知れない。一度覚えたそのアタックの切れ込みのすざまじさは、絶対に忘れられっこない経験として耳を通してキミの大脳にガキッと刻み込まれてしまうのだ。もうそれを消そうと思ったって薄れることすらできやしない。それどころか、口でけなし、あんなのはだめな音と、どんなに思い込ませようと努力したところで、逆にますます強く求めたくなってくるあこがれにも近い感情を内側でたぎらせてしまうだけだろう。
 恋の対象を初めて見かけたとき、それは少しも変りやしない。だから、ジャズ喫茶でスピーカーの前には、すべての環境から遮断されたマニアックなファンが少なからず、首をうなだれてサウンドにひたり切っているのだ。
 スピーカーは、例え小さくても良い、そのすぐ前で座ろう。プレイヤーは今までのでもいい、カートリッジの質さえある水準以上なら。
 ステレオの心臓はアンプだ。電気信号に変えてエネルギー増幅する、それがアンプの真髄。だから、アンプはきのうのより大きくしてみよう。2倍じゃなまぬるい。4倍も6倍も、いや10倍の出力のアンプなら一層結構、大きければ大きいほどいいのだ。それがたとえ借り物であっても、仮の姿でも、いつかはキミの所有になるはずだ。
 大出力のよさを身をもって知ったならば、もう逃れられっこないのだから。良さが判ればキミのステレオの次の標的として、大出力アンプは、大きくキミの前にほかの目標を圧して立ちふさがるだろう。キミはそれに向かって猛進するだけだ。100ワット/100ワットのジャンボ・アンプに向かって。

ソニー TEA-8250
 後から鳴らしたFETアンプのおかげでソニーのハイパワー・アンプはスッカリ形が薄れてしまった。けれど、1120のデビューのときの音そのものの感激がこのハイパワー・アンプ8250でもう一度思い出された。「あくまで透明」なサウンド。それは非情といわれるほどで、アタックの鋭さは正宗の一光にも似る。以前より低域の豊かさが一段と加わっているのは、単なもハイパワーのなせる所だけではないかも。

ソニー TA-8650
 20種にあまもハイパワー・アンプを並べたこの夜のSJ試聴室。編集F氏Sくんを含め、むろんこのオレも一番期待したのがソニーのこのFETアンプだ。球の良さをそのまま石で実現したといういい方は、気に喰わないというより本当にして良いのかという半信半疑からだ。
 その不安も、まったくふっとんでしまつたのだ。なるほど確かにハイパワー管球アンプの音だ。このFETアンプ8650に最も近いのは、なんと米国オーディオリサーチ社管球アンプだったから。
 低域の迫力の力強い響き、プリアンプのような超低域までフラットだが力強さがもうちょっと、なんていうのがFETアンプではうそみたいに直ってしまう。中声域から高域の力に満ちた立ち上りの良さプラス華麗さも、石のアンプのソッ気なさとは全然違う。
 こうしてまたしてもソニーは、アンプにおいて1120以来の伝統よろしくオーディオ界のトップに出た、といい切ってよかろう。製品が出たら、まっさきにオレ買おう。

オンキョー Integra A-711
 711はなんと20万を越す名実ともに一番高価なインテグレイテッド・アンプだ。しかし、音を聴けばそれが当然だと納得もいこう。ローレベルでの繊細さと、ハイパワー・アンプ独特の限りない迫力とを見事に融合させて合わせ持っている数少ないアンプだ。音の特長は、……ないといってよい。ない、つまり無色、これこそアンプメーカーの最終目標だろう。オンキョーのアンプがずっと追いつづけた目標は、このアンプではっきりと捉えられていよう。

オーディオリサーチ SP-3 + Dual75
 かつてマランツ社で真空管アンプを設計してたっていう技術スタッフが集まって興したのがこのメーカー。だからトランジスタ・アンプ万能の今日、その栄光と誇りはますます燃えさかり、このどでかいアンプを作らなければならなくなったのだろうか。なにしろ75/75ワットという実効出力にも拘らず、200ワットクラスの石のアンプとくらべても一歩もひけをとらず、それどころかサウンドの密度の濃さは、どうやら石のアンプでは比すべくもない、と溜息をつかせる。

SAE Mark 1M + IV C
 ロス周辺の新興エレクトロニクス・メーカーと初め軽く受けとっていたが、どうしてどうしてこの4年の中に、オーディオ界ではもっとも成功を収めたアンプ・メーカーだ。それだけに製品の完成度の高さと漉さは、抜群だ。プリIMと接続した状態で端正で品のよいサウンド。数あるトランジスタ製品中ベストの音色をはっきりと知らせたあたり、実力のほどをもう一度思い知らされろ。個性的でスッキリしたデザインはサウンドにも感じられる。

Lo-D HMA-2000
 やっぱり日本産業界切っての大物「日立」、やることが違う。というのがこのアンプのすべてだ。果しなくパワーを上げていくと、遂に突如、ひどくなまってくるのに慣らされた耳に、このアンプは不思議なくらい底知れずのパワー感がある。つまり音が冴えなくなる、という限界がないのだ。それはテクニクスに似てもっと耳あたりのよいサウンドの質そのもののせいといえる。日立のオーディオ界における新らたる実力だ。

フェイズリニア 700B
 そっけないくらいの実用的ハイパワー・アンプ。350/350ワットで700ドル台、日本でも40万円台と類のないハイCPのスーパー・アンプだ。今度バネルレイアウトを一新して、マランツ500そっくりのレベルメーターを配し、左右の把手のゴージャスな巨大さは、700ワットという巨人ぶりを外観にのぞかせたグッドデザイン。音はそっけないはどさっぱり、すっきりしているが、底ぬけのハイパワーぶりは低音の迫力にいやおうなしに感じられる。

マランツ Model 500
 今日マランツ社には創始者のMr.ソウル・マランツはいない。しかし、マランツのソウルは今もなおマランツの全製品に息吹いている。それをはっきりしたサウンドだけで聴くものに説得してくれるのが、モデル500だ。250/250ワットのアンプながら、それはもっと底知れぬ力を感じさせるし、モデル15直系の、音楽的な中声域の充実された華麗なサウンドはちょっと例がない。しかも現代のアンプにふさわしい豪華さを具え、この上なく超広帯域だ。

ダイナコ Stereo400
 なにしろ安い。アチラで600ドル、日本でも30万円で200/200ワットのジャンボぶり。すでに普及価格の高級アンプで定評あるダイナコの製品だけに前評判も高く、それらの期待に充分応じてくれる性能とサウンド。高音域のおとなしい感じもいわゆるウォーム・トーン(暖かい音質)というダイナコ伝統のマニア好み。うるさいヒトほど惚れ込んでしまう、うまい音だ。ボリュームを上げて行くと、分厚い低音の確かさにも一度惚れ直す。

ダイヤトーン DA-P100 + DA-A100
 ダイヤトーンのプリアンプの端正なたたずまいは、なにかマランツをうんと品よくしたといいたくなるような優雅さをただよわす。管球アンプを思わすパワー・アンプのゴツイ形態は、いかにもパワー・アンプだ。それはひとつの目的、エネルギー増幅の実体をそのまま形に表わした、とでもいえようか。このコンビネーションのサウンドはまた実に品のよいサウンドで、いかなるスピーカーをもこの上なく朗々と鳴らす。まさに、アンプはスピーカーを鳴らすためにある、ということをもう一度教えてくれるアンプといえそうだ。
 100/100ワットと今や、やや小ぶりながらひとまわり上のパワーのアンプとくらべても聴き劣りしないのは充実した中声域にあるのか、あるいはその構成の無理なく単純化された回路にあるのか。あまりワイド・レンジを意識させないのに、深々と豊かな低域、すき透るように冴えた高域、なぜか手放せなくなるサウンドだ。

パイオニア Exclusive C3 + Exclusive M3
 ズラリ並んだ国産アンプ中、スッキリとした仕上げ、にじみ出てくる豪華な高級感、加えて優雅な品の良さ。やはりパイオニアの看板製品にふさわしく、もっとも優れたデザインといえる。
 このデザインは、サウンドにもはっきりと出て、品の良さと底知れぬ迫力とを同時に味わせてくれろ。やや繊細な音のひとつぷひとつぶながら全体にはゆったりとしたサウンドはこうした超高級アンプならではで、さらに加えて「パイオニア」らしいともいえようか。このM3にさらにAクラス動作50W+50WのアンプM4が加えられるという。A級アンプというところに期待と限りない魅力を感じさせる。待ち遠しい。

アムクロン DC-300A
 ギラギラした独特のヘアライン仕上げのパネルは、いかにも米国製高級趣味といえようか。でもこのアンプの実力は、その製品名の示す通り、ラボラトリ・ユースにあり、直流から数100万ヘルツという超広帯域ぶり。ガッチリと引き締って、この上なく冷徹なサウンドが、なまじっかの妥協を許さない性能を示していも。米国でのハイパワー化のトリガーともなったこのDC300、今日でもずばぬけた実力で、マニアならマニアほど欲しくなりそう。

マッキントッシュ MC2300
 ここでとやかくいうまい。SJ試聴室のスタンダード・アンプというより今やあらゆるアンプがハイパワー・アンプとしての最終目標とするのがこの2300なのだから。サウンドの管球的なのもつきつめれば、出力トランスにあり、このアンプのあらゆる特長となっているサウンドに対する賛否もここに集約されるが、誰もが説得させられてしまう性能とサウンドに正面切ってケチをつけるやつはいまい。

サンスイ AU-9500
 黒くてデッカクて、やけに重いアンプ。山水の9500は75・75ワットっていうけれど、どうしてどうして、100/100ワットのアンプと互角以上にその力強い馬力をいや応なしに確かめさせてくれる。,
 ECMのすざましいばかりのドラムは、このアンプの13万なんぼというのが信じられないはどに力いっぱい響いてくれる。SJオーディオ編集者のすべてが認めるこのジャズ向き実力はハイパワ一時代、まだまだ当分ゆるぎそうもない。

テクニクス SU-10000 + SE-10000
 以前、SJ試聴室での試聴では保護回路の敏感すぎから、実力を知るに到らなかった10000番シリーズ、今宵はガッチリとたんのうさせてもらった。さすが……である。
 なんとも高品質な迫力と、分解能の良さに改めて10000番の良さを確めた。一式95万と高価なのだからあたりまえといえなくもないが、金にあかして揃えられるマニアなら、やはり手元にぜひおきたくなるだろう。物足りないくらいの自然さは最終的なレベルといえるだろう。

スタックス
 A級150/150ワットというそのメリットよりもスタックスの製品というところにこのアンプの意義も意味も、また魅力も、すべてがある。世界でもっとも早くからスタテック・イクイプメントコンデンサー・カートリッジ、コンデンサー・・スピーカーをファンに提供し続けてきたスタックス。数々の幻の名器を生んできたメーカーの志向がアンプの特長の根底にずっしりとある。サウンドは、それこそまさにコンデンサースピーカーのそれだ。加えてローエンドの底なしの力強さに惹き込まれて時間の経つのも忘れさせるワンダフルな機器だ。(発売時期末定)

ラックス CL350 + M-150
 309のパワーアンプを独立させたのがM150。75/75ワットというパワーもそれを物語る。アンプの高級ファンをガッチリと把握している企画と音作りのうまさはM150でもっとも端的にはっきりと現われている。しぶいが落ちついた品のよいその外観と音。加えてソフトながらいかにも広帯域をと力強さにも感じさせるサウンド。物足りないといわれるかも知れないが、しかし飽きのこない親しさもまた大きな魅力なのだ。

ESS/BOSE
 日本にはこれから入ってくるだろうと予想される話題のスーパー・アンプ2種。ハイル・ドライバーで一躍注目されてるESSのモデル500。みるからどでかくゴツい力強さを外にまでみなぎらせて、早く聴きたいアンプだ。
 もうひとつはペンダゴン型ボックスのスピーカーで有名なボーズのアンプだ。これは品のよいスマートな個性で粧おいをされた豪華大型。インテグラル・システム100/100ワットで200ドルと安いのが早くも出てきおったぞ。

アキュフェーズ C-200 + P-300
 国内製品では実力ナンバーワンを目されているのが、ケンソニックのP300だ。このところ目白押しの国内ハイパワー・アンプ。なんてったって世界市場を意識して企画され、価格を設定されたというところにこのケンソニックのすべての製品の特長と意義がある。つまりケンソニックのアンプは実力を世界に問うた姿勢で作られているわけで、逆にいえば世界のマニアに誇れる高性能を内に秘めてもってことになる。
 事実、このアンプをマッキンと較べ、マランツと比べても、一長一短、ブラインドで聴かせれば、どちらに軍配が上がるか率は半々。透明度の高さ、中域の緻密さにおいて特にすぐれ、高域の明るさと、低域の豊かさにおいて聴く者を魅了してしまう。
 プリアンプC200のこの上なくナチュラルな音に、P300の良さはますます高められて国産ハイパワー・アンプの大いなる誇りを持つものにじっくりと味わしてくれる。
 かくいうこのオレも、P300、C200のスイッチを入れない日はなく、メイン・システム、ハークネスはP300のスピーカー端子にガッチリと固定され、ひんばんに変っていたアンプが変わる気配もない。

マランツ Marantz 7

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 マランツ・セブンと聴くと一斉を風靡した名プリアンプの方を思い起こしてしまうが、スピーカーにこのナンバーをつけたのは、このモデルを決定版にしたいという意味なのだろうか。3ウェイという構成の割には周波数レインジが(少なくとも聴感上は)それほど広くないように感じる。高域のレインジが狭い或いは落ちているという感じは、アメリカのスピーカーには割合に多いタイプにちがいないが、たとえばテープ・ヒスのような高域のノイズ成分、あるいは実況録音の拍手の音などのノイズ性のスペクトラムが全体に低い方に引きずられるように聴こえ、トゥイーターの質があまり上等でないことが感じられる。バランス・コントロールは中、高音ともスイッチによる3点切替だが、高音を一段上げても音のスペクトラムの傾向そのものは変らず、むしろトゥイーターの鳴り方をよけいオーヴァーになる。パワーを送りこむにつれて明るくよく唱うような鳴り方はひとつの特徴だが、音の掴み方がやや大ざっぱで滑らかさ、緻密さをやや欠いた音質といえ、じっくり聴きこもうという目的には向きにくい。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆★

マランツ Model 1030, Model 105

マランツのプリメインアンプModel 1030、チューナーModel 105の広告
(ステレオ 1972年12月号掲載)

marantz

マランツ Model 3300, Model 500

マランツのコントロールアンプModel 3300、パワーアンプModel 500の広告
(ステレオ 1972年12月号掲載)

model500