トリオのレシーバーKR2170、KR5170、スピーカーシステムKL2060、アナログプレーヤーKP2022の広告
(スイングジャーナル 1971年10月号掲載)
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トリオ KA-3002
岩崎千明
電波科学 10月号(1971年9月発行)
「電波科学テストルーム」より
トリオが全段直結アンプの新シリーズアンプの戦列に、4万円級の主力製品を加えた。
この5万円前後という価格は、コンポーネントステレオにおけるアンプの手頃なレベルを意味し、商品としてこれから大いに売りまくりたい層をねらったクラスである。つまり、中心商品なのである。
私はつい3カ月ほど前、本誌でほぼこのクラスと同じレベルのオンキョー・インテグラ725を、このクラスのベストアンプとして紹介したばかりである。
KA3002にみられるトリオの商品企画のうまさは、この4万5千円のアンプが、倍近いアンプEKA7002とまったく同じ寸法の、同じデザインポリシーのパネルデザインに統一されていることにある。
逆にいえば、KA7002は半値近いアンプとほぼ同じ外観的イメージでとられてしまうおそれがある。
商品、KA3002に対して、メーカー側は、より多くのウエイトをかけているということを、明白に物語るのが、このKA3002のデザインであるのだ。
僅か数カ月で、紹介し賞賛したオンキョーと肩をならべ、少なくとも、私がいつも愛聴するジャズをプログラムとする場合はオンキョーのインテグラ725にまさるアンプが出現したのだ。
さらに、ルックスの点では、おそらく、多くのオーディオファンが、今回のトリオKA3002の方に、より魅力を感ずるであろうことは間違いない。
ルックス、外観上の魅力は、コンポーネントアンプにとってかなりの重要性を意味する。信頼感、融和性というものは、まずその商品に対する外観的な好みから出発するからだ。
慎み深い第三者的な立場と、コンピュータ的な冷たい限で比較したとしても、トリオの新製品KA3002の方により魅力を感じてしまうのは、外観的な企画のうまさがまず物をいっているのだ。
しかし、こういう話の進め方をすると、何か、外観以外の内的な性能において、いいわけがましく聞きとられてしまうように思われよう。しかし、これはただひとつの点だけとってみてもトリオKA3002がジャズを聞くに適しているということができ得る。
このただかとつの点というのは、ほかならない低音のサウンドである。
ジャズサウンドという再生音があるとしたら、それは、ひとつひとつの楽器の音を、生演奏を間近かで聴くときのエネルギーを感じさせるということにつきる。ここで必要なのはクラシックの場合とはやや要求されるサウンドに違いがある。
というのは、クラシックではストリングを中心としたオーケストラのハーモニーこそ目的であって、楽器のひとつひとつのエネルギーではない。
要求されるサウンドが違う以上ジャズに対して低音の音量というか、迫力がまず第一に望ましい。
この点がある故に、ジャズの再生はクラシックのそれよりむずかしいとし、うのが通念だ。
トリオのアンプは、他社に先駆け、トランジスタアンプを手がけて以来、常に、このサウンドの迫力、特に低音のエネルギーを再現するのに非常に優れたキャラクターを示してきた。それは、この新形KA3002においてもはっきりと再確認できたのである。
私はオンキョーのインテグラ725を試聴して、やはり同じことを感じとったのだが、2台を並べて切替えて試聴してみるとトリオの方に、より分があるのを認めないわけにはいかない。
この違いはさらに使用してみて、オンキョーにおいてのプリアンプにあるということと、オンキョーに低音および中高域のソフトな音色を感じることを申しそえておこう。
トリオのこのサウンドの迫力は、価格において倍に近いKA7002と同じ線上にあるものであり、さらに新シリーズのスピーカKL5060AマークIIにおけると、共通のサウンドポリシーにあるのも事実だ。
トリオというメーカーは、どうも製品に対して、正直すぎるようである。
それは、ステレオ専門メーカーの中でもひときわ技術的レベルが高いという一般的な見方が、そのままうらがえしされて映る面なのである。
常に、新らしい技術を他社に先駆けて開発しながら、その商品的な巧妙さの点でいつもあとを追い上げるメーカーに一歩退れをとってしまう。そんな技術屋メーカー的体質が、いつも商売の面にちらつくようだ。
くり返されてきたこういう商売に対する正直さが、今度の普及形アンプにおいては、大きなプラスとなるに違いない。
それは、サウンドのクォリティーが物語る。
回路構成の、おそらく簡略化が、かえって各ステージの設計、特にレベルダイアグラム上の構成に大きな利点をもたらしたのであろう。
普及度といっても質的には高級機との差のない直結アンプでは、トリオの正直さがプラス面のみに作用したとみるべきだ。
トーンコントロール、アクセサリー回路の充実などという月並みなことを今さらここで述べる必要はない。
ただ、はっきりいっておきたいことは、最近の直結アンプすべてに共通していえるのだが、スピーカ側に事故がある場合、または、突然の過大入力によるショックなどが、大きすぎる場合スピーカの事故を誘発し、次の瞬間、アンプ出力段が破壊するというトラブルが発生しやすいというウィークポイントが、直結アンプにつきものだ。
当然出力段保護に万全の対策が講じられていなければならない。
この保護回路に関して、私はKA3002の回路がどう対策を立てているかを見きわめたわけではない。
しかし、実際、2週間の使用においては、かなりの過大入力にもびくともしなかったし、むろん、オーバーヒートなどの出力段のトラブルもまったくみられなかった。
スピーカ端子のショートや、過大入力がつづくと音が一瞬止まるが、すぐにもと通りの音を出してくれ、この時チェックさえすれば、あとはいかなるトラブルの心配もない。
最後にひとこと誤解をといておきたい。KA3002が、ジャズ再生においてのみ優れた性能を示したからといって、それがクラシック音楽ファンには適していないというわけではない。
ジャズの苛酷な使用状態に十分威力を発揮すれば、それは最近のクリアーな録音の迫力に満ちたマルチマイク録音を駆使したクラシック再生に際しても、今までより以上に好ましい結果を得られるに違いない。
ジャズのみを聞いたのは、私個人の好みの問題であって、KA3002が適しているからでは決してない点だ。
〈試聴に用いた横種〉
トリオ KA7002
トリオ KT8001
トリオ KL5060
トリオ KL3060
エレクトロボイス エアリーズ
JBL ハークネス
フィリップス EL3120カセットデッキ
トーレンス TD124+SME 3009アーム
カートリッジ シュアV15/II
エンパイア 888PE
フィデリティ・リサーチ FR5E
グレース F8C
オルトフォンM15, SL−15
米CBS サンタナ/天の守護神
米RCA プレスリー/オンステージ
米コンテンボラリー シュリーマン
トリオ KN-6644, KA-8044
トリオ KL-4050, KL-5060A, KL-7050
トリオ KL-7050
菅野沖彦
スイングジャーナル 8月号(1971年7月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
音響メーカーにとってスピーカーが、そのメーカーの音への感性を示すものとして大きな意味をもつ製品であることは常に述べている通りである。それは、アンプのように電気理論ですっきりと解決できる(ともいえないが……)ファクターの大きなものとちがって、変換器というものは、独自の音質形成の要素を多く含んでいることによる。特にスピーカーの場合はその動作自体が決して満足のいくものではないし、エンクロージュアを含めたアクースティックなファクターは複雑をきわめ、結局のところ、製作者の音に対する感覚や嗜好が入り込まざるを得ないというのが現実であるから、スピーカーこそ、そのメーカーの音のポリシーを代表するものといわれても仕方がない。優れたスピーカー・システムというのは優れた測定データを示すけれど、優れた測定データを示すからといって、即、優れたスピーカー・システムとは限らないといえるのが現実なのである。一般的に、スピーカーの特性として示されるいくつかのデータ、つまり周波数特性、指向特性、インピーダンス特性、高調波歪特性などからはかなりの程度その全体の性能を推察することが可能だが、それらが、音の全てを象徴するとはとてもいえないのである。
さて、トリオがKLシリ−ズで発売したスピーカー・システムは、それまでのトリオのスピーカーにおける低迷を一掃するもので、その積極性をもった表現力の大きな音が既に好感をもって迎えられたことは御承知の通りである。ややもすれば、その派手さ、華麗さのために内的、静的な味わいをもつ音楽の再現を好む人々には敬遠される嫌いもあったと思われるが、KL5060に代表されるそれらのシステムのもつ大らかな、力強い音は、音楽の表現力をよく伝えてくれたといってよい。KL5060は、KL5060Aとしてトゥイーターに変更をうけて発売されたが、今度のKL7050はまったく新しいユニットとエンクロージュアによる完全な新製品であって、従来の表現力の大きさに加えて、さらに充実した密度の高い質的な高さを兼備するにいたったシステムである。
構成は、30cmウーファー、116cmスコーカー、セクトラル・ホーンつきトゥイーターという3ウェイで、クロス・オーバー周波数は低中音間が600Hz、中高音間が6kHzそれぞれ12db/octのネットワークをもつ。ウーファーは、きわめてヤング率の高そうな剛性の大きなコーンがロールエッジでフリー・サスペンスされ強力な磁気回路によって駆動される。大きなバック・キャビティーをもったスコーカーは、システムの音質の中核を受けもつといってよい質の高いもので、かなり広帯域特性をもつもののように思われる。セクトラル・ホーンをもつトゥイーターは従来のシステムには使われなかった新しいもので、このシステムの高域の質の高さに大きく役立つものだ。よくしまったトランジェントのよい高音は冴えて清澄である。バーチカル・スライディングの中、高音独立型のアッテネーターは流行といえばそれまでだが、ヴィジュアルで一目で増減の判断が出来るし、バッフル・フェイスのデザイン的効果も上っている。よく仕上げられたバスレフ・ポートは制動を加えられ密閉型のよさを兼ねたもので、しまった低音が、チューンされた低域特性ののびと、ともに豊かでスケールの大きな音質を可能にしている 前傾グリルは品位の高い美しいもので、このシステムにふさわしくすっきりした印象を与える。デンシティーの高い材質で作られたエンクロージュアは音質の面でもフィニュシュの面でも好ましく高級感をもったものだ。入力端子はトリオらしく、2、3チャンネルのマルチ・アンプ・システム用のダイレクト端子も備えている。明るく締った音質は、大変気持ちのよい切れ込みのよさと、質の高さをもち、特にSJ読者の聴かれるジャズの鋭いパルスへのレスポンスは抜群だしデリカシーやソフィストケイトされたプログラムソースにも美しい再生音を聴かせてくれる。数多くのスピーカー・システムの中でも特筆に価いするものといいたい。国産のブックシェルフ型としては価格的にも高級品だが、それにふさわしいトリオの力作であった。
トリオ KR-2170, KR-5170, KR-6170
トリオ KN-6644, KW-6044
トリオ KL-5060A, KL-2060
トリオ KN-6644, KW-6044
トリオ KX-7010A, KX-7010
トリオ KT-8001
トリオ KR-5170
トリオ KT-7000
瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
トリオとは商売敵のメーカーのある男に言わせると、トリオのアンプがよく売れるのは、アンプ自体の性能よりもKT7000の性能の良さに引きずられて売れる、のだそうだ。むろん私自身はそんなふうには考えていない。それどころか新製品のKA7002、5002あたりは実にすばらしいプリメインだと思っているが、裏がえしていえば、そういう「伝説」が生まれるくらいにKT7000の性能は高く評価されている、とみることができるだろう。つややかでのびのある美しい音質に特徴がある。この本質はゲーT5000、30000にも共通していえる。
しかし操作上では、やはり本機にもいくつかの難点が見うけられる。第一に、ダイアル目盛の色の光りかたにどことなく安っぽさが残っていて、高級感を損なっている。メーターのスタイルや光の洩れもそれに輪をかけている。ダイアル面はシンメトリーにこだわりすぎたのか、同調メーターとシグナルメーターが左右両端に配置されているが、これを一ぺんに見ようとしたら、目はロンパリになる。指針がやや不明瞭。スケールは約20センチと長くてよいが、そろそろ目盛を等間隔に改善して欲しい……等々。
トリオ KT-5000
瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
KT3000と7000の中間に位置するごく標準的な製品で、とうぜん全体の感じやダイアル面などはほとんど同じ印象だが、AM-FMのセレクターすいっ,地が、3000と7000は共に右端にあるのに、どういうわけか5000だけがセレクターのツマミを左端に置いて電源スイッチとセレクターをひとつのツマミで兼用させている。こういう操作上の約束事のようなものは何もないから自由だが、同じシリーズのデザインをした場合、中の一機種だけ操作の手勝手が違うというのは賛成しかねる。こういう点に、デザインの(単にみてくれの意匠だけでない、機能的な意味まで含めての)スジを通してもらいたいものだと思う。
音質の方は、ふつうに切換え比較したのでは3000、7000との区別がつきにくいほど、三者はよく似ている。しかし今回のテストに限っていえば、むしろ3000とくらべてこちらの方が、強音の部分で飽和的というか、心もち音ののびが不足しているように(ごくわずかの違いだが)感じられた。
トリオ KT-3000
瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
ATCシリーズの一連の外観を受けついだチューナーのうち最もローコストでありながら、パネルやツマミの材料にKT7000や5000と同じものを使っているために、価格の割に安ものにみえず、このクラスの製品の中では最も見ばえのするチューナーである。KT2001とならべると大柄に見えるが、今回テストした33機種の中ではごく中庸を得た大きさといえる。
ダイアルスケールは有効長約20センチ。これは非常に長い方でよいが、目盛は等間隔でなく、またKT7000、5000と同様に指針が暗くやや見にくい。しかしツマミは大型で滑らかに動き、メーター指針の応答速度も適当で、操作は比較的容易な方だろう。ダイアル指針がもう少しくっきりと浮かび上ってくれれば申し分ないのだが。
同調指示はSメーター一個だけだし、出力レベル調整も背面に半固定でついているなど、機能的には必要最小限におさえてありながら、音質は粗さがなくなめらかでのびがよく、ローコスト・チューナーとは思えない立派なものだった。
トリオ KT-2001
瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
KT3000から7000までのシリーズとは全然別の系統の、トリオの新しいローコスト・シリーズのチューナーで、同じパネルのKA2002とペアでデザインされた、小型でメカニックで、しゃれたスタイルだ。同調ツマミのほかには、パワースイッチを含んで5個のプッシュボタンだけというように、必要最小限に機能を単純化している。
ダイアルスケールは実効長約14センチで目盛は等間隔ではない。文字の書体や色調でKT7000以降と共通のイメージをうまく表現しているが、灯を入れるとダイアル指針がシルエットになってバックの黒の中に溶けこんでしまいちょっと暗いところでは針がみにくくなるという欠点を同じくこの製品も持っている。
ところで音質の方は、KT3000から7000までがよく似た作りかたをしていたのに、それら一連のシリーズと比べるとやや線が細く、とくにほんのひとクラス上のKT3000の滑らかな美しい音質と比較すると、わずかながら粒が粗く、奥行きが浅くなったように感じられる。2001と3000との四千円の差はかなり大きいと感じた。



















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