ラックスのプリメインアンプSQ606の広告
(スイングジャーナル 1969年6月号掲載)
Category Archives: プリメインアンプ - Page 38
ラックス SQ606
サンスイ AU-222, AU-555, AU-777, TC-505, BA-60, BA-90, TU-555, CD-5
パイオニア SA-90, TX-90
パイオニア SA-70
菅野沖彦
スイングジャーナル 5月号(1969年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
プリ・メイン・アンプSA70はパイオニアが新しく発売した一連のアンプの中の一つで、求めやすい価格で高級アンプの機能をそなえた注目の製品である。アンプの形式として、プリ・メイン型は最も人気のあるものだし、事実、使いやすさの点でもセパレート型や一体型の綜合アンプよりも好ましい。プリとメインの独立したセパレート型は、それなりに設計上の理由があるはずだが、市販製品のすべてがそうした必然性から生れてきたものばかりともいえない。プリとメインが一体になっていて感じる不都合さはないといってもよいほどなのである。ただし、それにはプリ部とパワー部とが切離すことができるというのが条件であるが、この点でも最近のプリとメイン型は考慮がされているし、このSA70は後で述べるが、特にこの点には細かい気の配ばられた設計である。一方、チューナーつきの綜合アンプ、いわゆるレシーバーと称されるものも、ほとんどの場合、別に不都合はないのだが、チューナーを使わない時にも電源が入っていて働いているといったことや、配置の変化や機能的な制約などで不満がでることもある。また、なんといっても、各種単体パーツを自由に選択し使いこなすといったマニア心理からすれば綜合型は向かないだろう。そんなわけで、アンプの主力がプリ・メイン型となったわけだろうが、ここ当分はこのタイプの全盛時代が続きそうである。当然のことだが、このタイプのアンプには各社が最も力を入れていて種類も豊富だし、性能のよいものが多いのである。そうした状況下で発売されたのが、SA70とSA90だが、共にパイオニアとしては初の本格的なTRプリ・メイン・アンプなのである。同社がこの製品にかける熱意がよくうかがえる力作だ。まず音質についてだが、大変好ましいバランスをもっていて、高域の癖がなく自然な再現が得られ、中低域の量感が豊かで暖い。切れこみのよい解像力は音像がくっきりと浮彫りにされて快い。パワーも十分余裕があって、能率のよくないブックシェルフ・タイプのスピーカー・システムでも思う存分ドライヴすることができる。この価格として考えると大変プライス・パフォーマンスの優れた、まさにお買徳品といった印象が強い。
このアンプの機能的特長としては最高級アンプと同等の、ないしは、かつてのアンプにはない、豊富なユティリティを持ち、アイディア豊かな、そしてユーザーの立場に立った親切な設計が感じられる。その最たる点はプリ・アンプ部とメイン・アンプ部とのジャンクションである。最近のプリ・メイン型はすでに書いたようにプリとメインを切り離して独立させて使えるようにジャンパー・ターミナルのついたものが多くなったが、特にこの製品では、プリ・アンプの出力を大きくとって単体として使いやすいように工夫されている。スイッチによって、結合状態と分離状態とで入出力のゲイン・コントロールをバランスさせているのが興味深い。これは、後日チャンネル・アンプ・システムなどに発展させるにあたって便利である。プリ・アンプの出力とメイン・アンプの入力レベルの規格が各メーカーによって異る場合にも心配がない。さらに、フォノの入力は2系統で、フォノ2は前面パネルに設けられたプッシュ・ボタンでMCカートリッジ用の入力回路に切り換えられるし、−20dbのミューティング、2組のスピーカーの切換と同時駆動スイッチなど万全のアクセサリーだ。トーン・コントロールは3dbステップのスイッチ式というように、なかなかこっていて、いかにもマニアの心理を知りつくしたサービス精神にあふれている。
短時間ではあったが使ってみて感じたことは、最近の製品の共通した特長であるパワー・スイッチとスピーカー切換スイッチの共通は必らずしも便利とは云い切れないこと、モード切換スイッチのST、L、R、L+Rの順序は
ST、L+R、L、Rのほうが使いよいと思ったぐらいで、非常に使いよく、デザインも美しく、コンパクトなサイズとよくバランスして愛着を感じるに十分な雰囲気をもったまとまりである。全予算を10〜15万円位にとった時のアンプとして最適のものだし、将来のグレード・アップにも立派にフォローできる。
サンスイ Multi Amplifier System
ビクター MCA-104
サンスイ AU-222, AU-555, AU-777, TC-505, BA-60, BA-90, TU-555, TU-777
ラックス SQ606
トリオ KA-4000, KT-5000
ラックス SQ78, SQ606
JBL SA600
岩崎千明
スイングジャーナル 3月号(1969年2月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
私のリスニング・ルームには時折米国のハイファイ・マニアが出入りする。都下の米空軍基地の将校たちである。米国ハイファイ界のニュースなども話題になるが、彼らにとってもジム・ランシングという名は超高級イメージである。日本ではジム・ランシングと同じ程度にハイ・グレードと思われているARスピーカーというのは優秀品には違いないがどこにでもあり、いつでも買える身近なパーツのようだ。ところが「ランシング」のブランドは多いに買気をそそられる魅力、またこれを使うことによる大いなるプライドを持てる商品というように価値づけられているようである。
ジム・ランシングは本来スピーカー・メーカーで音響専門であったが60年代に入って、ステレオ・アンプを発売した。それ以前から「エナジザー」と名でパワー・アンプが出ており、ごく高級のスピーカー・システムに組み込まれて存在した。
独立したアンプ商品としての第一陣はプリ・アンプSG520であったがパワー・アンプを組み込んだSA600が、2年ほど前から米国内で発売され、マニアに注目されている。このSA600の優秀さはいろいろな形で、昨年中の米国オーディオ誌に採り上げられているが、その代表的な一例を68年春のエレクトロニクス・ワールド誌にみてみよう。この雑誌はかなり技術的な専門誌であるが、この号には、米国市場にある20種の代表的なアンプの特性を権威ある研究所でテストした比較書がのせてある。
その試聴結果をみて、私は眼を疑ったほどである。ジムランSA600の最大出力についてメーカー発表の規格値は左右40/40ワットの最大出力になっているのに、試験によると「60/60ワットを超える出力がとり出せる」となっている。つまり規格値を超えること50%も最大出力が大きいという点である。むろん20種のテスト製品の中で、これほどゆとりある設計は、ジムランのアンプだけであることはいうまでもない。
この点にジムランというメーカーの製品に対する考え方、メーカーのポリシーを感じることができる。ほかの性能も一般のアンプにくらべてずばぬけて優秀であり、20種中、ベストにランクされていたのもむろんである。
SA600のこの優れた性能は、あなたが技術的にくわしい方なら、このアンプの回路をみれば完全に納得がいくはずだ。そこには普通のアンプとは全然違った技術を見ることができよう。コンピューターの中の回路と同系の、バランスド・アンプの技術が中心となっているのである。ジムランでは、これをTサーキットと呼んでおり、ハイ・ファイ用として特許回路である。コンピューターと同じくらい厳しく、しかも安定な動作がこの回路でなら楽々とこなせるはずだ。SA600のこのTサーキットはジムランのもうひとつのアンプSE400シリーズに採用されているが、さらに後面パネルはスピーカー組込み用SE408パワー・アンプの前面パネルとまったく同じデザインであり、パワー・アンプがほとんど同じことが外観からもうかがい知ることができる。アンプの後面についているべきターミナルは、ジムラン独特のケース底面に集められており、実際に使用の際の合理的な設計が、身近に感じられる。
SA600は日本市場価格は24万だが、プリ・アンプSG520がデザインこそ豪華だがほぼ同じ価格。さらにパワー・アンプSE400シリーズが、20万円弱ということで、この両者を回路的に組み合せたSA600の価格としては割安で、このアンプがベスト・バイとなるのもうなずけよう。
パイオニア SA-70, SC-70, SM-70
パイオニア SA-90
トリオ TW-31, AFX-31
トリオ TW-31, AFX-31
パイオニア SA-70
ラックス SQ505
岩崎千明
スイングジャーナル 1月号(1968年12月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
昭和のごく初めのラジオが普及期を迎える頃から、戦前の電蓄大流行の時期は今日のステレオ大全盛期と同じように多くの国内の新進メーカーが隆盛をきわめた。その中にあって、高品質のスイッチ、端子類、ソケットの類のメーカーで規模は大きくないが、ひときわ有名だった錦水堂というキャリアの長いメーカーが関西にあった。このメーカーはトランスをも手掛けていた。このトランス類を初め、全商品ともかなり高価であったが、みるから豪華な神経の行き届いた仕上げのたまらない魅力であった。私の家に戦前直前、つまり昭和16年頃作られたと思われる錦水堂と銘うった多接点のロータリー・スイッチがあるが、引張り出して確かめたら30年後の今だに接点不良を起すことなく、使用に耐えそうである。この錦水堂こそ、今日のラックスなのである。
高品質という言葉はいろいろな意味を持っているが、ラックスのアンプの場合は特に信頼度が高いという点が強いようだ。
ラックスのステレオ・アンプにSQ5Bというのがあるが、これは昨年末やっとカタログから姿を消したが、過去8年間にわたって、ままりステレオが始まってから、ずっと作られていたという日進月歩の電子業界にあって、まったくまれな存在の驚くべき製品であった。これも高い信頼性の裏付けであろうが、こんな例はラックスではちょっとも珍しくはない。SQ38Dというアンプもそうだ。今から4年前の製品で、しかも今なおマイナー・チェンジを受けたSQ38Fが現存し、管球式のステレオ・アンプとして貴重な存在にある。昭和初期からのラックスのポリシーは、ステレオ全盛の今日なお輝きを失っていない。トランジスター・アンプが各社からぞくぞく発表されるや、管球アンプで「もっとも頼りになるアンプ」う送り続けてきたラックスの、トランジスター・アンプが待たれた。それが1昨年末発表されたSQ77Tであり、そのデラックス・タイプが、301であった。SQ301は、管球アンプの音を、トランジスター・アンプによって実現すること技術を集中したと伝えられた。それは当時の他社のトランジスター・アンプとはかなり異った音色で、それが、ファンだけでなく専門家の耳さえも賛否の両論に別かれさせた。これはSQ301の存在が、アンプ界において大きなウェイトを占めていたからにほかならない。
’68年後期、つまり昨年の後半になってやっとラックスも今までにない意欲的な姿勢を示した。それがSQ505、606アンプの新シリーズの発表なのである。この新製品は、まさにラックスのイメージを一新した。ここには今までの、のれんを意識した老舗の感覚は見当たらない。しかし今までの永いキャリアは、全体の貫禄の中にずっしりと感じることができる。だがパネルにおけるデザイン、アンプ全体の仕様はまるで違う。フレッシュだ。まるでジムランのインテグレイテッド・アンプSA600にあるような、センスのあふれる仕上がりだ。パネルやつまみのつや消しや磨き仕上げの良さにもその新しいセンスがみられ、しかもスイッチの感覚に昔からの技術的神経の細かさが指先を伝わってくる。このアンプの音は前作得スキュー301とはかなり違う。もっと澄んだ音で、301をソフト・トーンとすればかなりクリアーな感じである。しかし、それでも他社のアンプとくらべると暖かさを感じる。いわゆる真空管的といわれているウォーム・トーンだ。
つまりラックスのアンプに対する音楽的良心はフレッシュなセンスのSQ505にも少しもがけりなく光っているのを感じる。
ラックス 25C43, 25C44, 30C74, SQ38F, SQ78, SQ301, SQ505, SQ606, WL313, WL515, P-22
ビクター MCA-104
トリオ TW-31, AFX-31
ラックス SQ505, SQ606
サンスイ AU-555
岩崎千明
スイングジャーナル 11月号(1968年10月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
山水が、67年度ハイ・ファイ市場のベスト・セラー・アンプである傑作AU777を曹及型化したAU555を発表したのは、今春であった。そして、ちょうど同じ時期に、米国ハイ・ファイ市場で長期的なベスト・セラーを約束されたARのアンプが日本市場に入ってきた。
この2つアンプはいろいろな意味で、それぞれの国民性をはっきりと表わしている点で、同じ普及型アンプながら対照的といえる。
もっともARのアンプは、米国市場でこそあのあまりに著名なスピーカーAR3とともに、250ドルという普及品価格である、その点にこそ大きな価値があるのである。つまりコスト・パーフォーマンスの点でずばぬけているのであるが、日本市場では、ともに10万をかるくオーバーする高価格な高級品としてみなされており、その本来の価値がどこにあるのか見うしなわれてしまっている。しかし、本国では平均的月収の1/2〜1/4程度のあくまで普及品なのである
さて、ARのアンプであるが、ARの創始者であり今春の組織変えまでの中心であり社長であったエドカー・ヴィルチャーの完全な合理主義にのっとった厳しい技術の集成である。そこには、スピーカーにみられると同じの、不要な所は徹底的に省略し、必要な所はとことんまで追求して費用も惜しみなくつぎこむという、いかにもきっすいの技術者根性がむき出しにみられる。そして、そのパネル・デザインは無雑作で、かざりひとつないみがきパネル、そこに5つのつまみが、デサインもなしにといいたいほど無造作に並ぶ。しかし、このつまみの間かく、大きさまで使いやすさを計算したものに違いないことは扱ってみて納得できる。もっともニクイ点は、スピーカー・システムAR3とつないだときに最大のパワー60/60ワットをとりだすことができる点であろう。
しかし、ここであえて断言しよう。暴言と思われるかも知れないが。もしARのアンプの日本価格が半分になったとしても日本市場では、ARのアンプは売れることはないだろう。歪なく、おとなしい、優れた特性だけでは日本のマニアは承知しないのである。ARのスピーカーが圧倒的に高い信頼性を得ている日本においてもである。
その解答が、AU555にある。AU555をみると国こそ違うが、それぞれの市場においてほぼ同じ地位にある2つのアンプのあり方の違いが、そのままその国のマニアの体質の違いとか好みを表わしていることを発見する。
AU555には、ARアンプのような大出力はない。ほぼ半分の25/25ワットである。しかし、その範囲でなら0・5%という低いひずみは実用上ARアンプにも劣るものではなかろう。
しかも、ARと違って入力トランスのない、つまり位相特性のすぐれた回路構成とフル・アクセサリー回路がマニアの好みと市場性をよく知ったメーカーらしく、AU777の爆発的な売れ行きのポイントが、この3万円台のアンプにも集約されているのをみる。
25/25ワットの出力も日本の家屋を考え、サンスイのスピーカーの高能率を考慮すると、ゆとり十分といえよう。加えて、プリ・アンプとパワー部が独立使用できる点も、マルチアンプ化の著しい日本のマニア層の将来をよく見きわめたものといえよう。そのひとつがダンピング・ファクター切換にもみられる。2組のスピーカー切換と6組の入力切換はマニアにとって、グレード・アップのステップを容易にしよう。最近、さらにこのAU555と組み合せるべきチューナーTU555が出たが、共に今後当分の間、中級マニアにとってもまた初歩者にとっても嬉しいアンプであるに違いなかろう。
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