Category Archives: プリメインアンプ - Page 19

テクニクス SU-8600, SU-8200

井上卓也

ステレオサウンド 38号(1976年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のアンプに目立つ傾向として、電源部分の音質に影響する点に着目して電源部の強化や、セパレート型のパワーアンプに採用されることが多い左右チャンネルの電源独立の手法が、プリメインアンプのパワーアンプにも採用されるようになっている。しかし、ことパワーアンプに関しては、かつてから経験豊かなファンはモノ構成のパワーアンプを使うことが音質を良くすることを熟知していたし、製品ではマランツの最初のソリッドステート・パワーアンプ♯15が、独立したモノアンプ2台でステレオアンプとしていたことは忘れられない。
 テクニクスのアンプは、従来から物理的な特性を重要視して、特性の優れたアンプが結果として音質の良いアンプをつくり出すというポリシーで開発されているように思われるが、今回の新しい2機種の8000シリーズのプリメインアンプも、とくに動的なトランジェント歪を追求して開発されたとのことである。
 音楽信号のように変化が激しい信号を増幅する場合には、安定度の悪い電源を使うと、無信号でにはアンプが最適動作点であったとしても、信号により電源が変動すると最適動作点からはずれて歪を発生することになり、これをトランジェント歪といっている。この解決は電源部の強化がもっとも有効で、SU−8600では3組の±電源をもつために±6電源方式をキャッチフレーズとし、さらにテクニクス独自のセルフトランジェント歪測定法により、一層の低歪化が図られている。
 フロントパネルは、2機種ともに横幅にくらべて高さが高く、両サイドにある大型のナットがメカニックな感じを出している。大型のボリュウムコントロールは、−30dB〜−40dBの間が2dBステップとなっている26接点のディテント型で、ラウドネス端子が設けられているために、小音量時には自動的に低域が増強されるタイプである。トーンコントロールは高音、低音ともにターンオーバー2段切替型で、SU−8600だけはトーンディフィートスイッチが付いている。フィルターは、SU−8600が12dB/oct.、SU−8200は6dB/oct.である。
 回路構成は、SU−8600の方がイコライザーに差動回路、変形SRPPの2段直結型、トーンコントロール段がカレントミラー負荷をもつ差動増幅を初段とした3段直結型、パワーアンプが差動増幅、エミッターフォロアー電圧増幅、出力段の構成で電源部の電解コンデンサーは15000μF×2となっている。
 一方SU−8200は、イコライザーがカレントミラー負荷差動回路と定電流負荷のエミッターフォロアーの2段直結型であり、パワーアンプは差動増幅、電圧増幅、出力段のシンプルな構成である。電源部は、プリアンプとパワーアンプが独立しており、イコライザーとトーンコントロールは定電圧化されている。

Lo-D HA-1100

岩崎千明

スイングジャーナル 7月号(1975年6月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 Lo−Dアンプが全製品イメージ・アップして、一挙に新シリーズに改められた。
 歪0・006%と、かつてない驚異的な低歪率特性で、名実とも、Lo−Dのトレード・マークはますますその輝きを増すことになったわけだ。音声出力に対して歪成分はなんと6/10万という信じられない値である。
 今ではすっかりスピーカー・メーカーとして体質を変えてしまったが、英国にリークというアンプ・メーカーの老舗がある。モノーラル最終期の50年代後半までは、英国を代表する高級アンプのメーカーとして今日のQuadよりもはるかに高高いイメージをもった高級志向の実力メーカーであったこのリークの名が、一躍世界の檜舞台へ踊り出て脚光を浴びるきっかけになったのが、歪0・1%のアンプで、その低歪をそのまま商品名としたポイントワン・アンプであった。
 10数年の歳月がたった今日、0・006%と2ケタも低い歪特性が達成されたのが、Lo−Dブランドであるのは決して偶然ではあるまい。例えばLo−Dの名をもっとも早く定着させたブックシェルフ・システムHS500は、歪0・5%という。これがデビューした当時にしては驚くべき低歪特性であったことは有名だ。その後昨年発表した大型スピーカー・システムHS1500は歪率0・1%を実現している。
 カセットにおいても、その常識をぶち破る低歪、ワウ・フラッター特性を、カートリッジにおいても……というようにLo−Dブランドの目指すものが、単にブランドとしての名だけでなくて、まぎれなく実のある低歪を確立しているのは、まさに瞠目べき成果であろう。そして、今日の新シリーズ・アンプの0・006%!
 新シリーズ・アンプに達する以前からも日立のアンプの高品質ぶりは、内側では早くからささやかれていた事実だ。ベテラン・ライターやエディター達はその擾れた再生能力については一目も二目もおいていたともいっても過言ではない。ただ、そのおとなしい再生ぶりとデザインとが、アピールをごく控え目におさえてしまっていた。新シリーズになって、それではデザイン・チェンジによって強烈なイメージを得たかというと、必らずしもそういう派手な形にはなっているわけではない。しかし、ごくおとなしい、つまり大人の雰囲気の中に外見からも格段の豪華さが加わったことだけは確かだ。パネルの右側に配された大型のコントロールつまみ。これひとつだけで、日立のアンプはまったくそのイメージを一新してしまったのだ。もっとも大きく変ったのは、外観ではなくて、0・006%歪の示すように、その内容面の質的向上である。もともと、日立のアンプの優秀性は、その電子技術の所産としての高性能ぶりにあったのだし、今日それは格段の高性能化への再開発を受けし、アンプとしてきわめて高いポテンシャルを獲得したのである。
 日立のアンプの大きな特長、オリジナル技術がこの高性能化の土台となっているが、それは例えば、ごく基本的なパワー・アンプについていえば、インバーテッド・ダーリントン・プッシュプル回路であろう。インバーテッド・ダーリントン・プッシュプル回路を採用しているアンプとしては、米国のマランツ社のアンプがトランジスタ化と同時に今日に至るまで、高級品がすべてインバーテッド・ダーリントン回路である。。他社製品が多くコレクタ接地回路のパワーステージであるのに対してのインバーテッド・ダーリントン回路はエミッタ接地のPP回路だ。これによって、パワー段の増幅度が大きくなるので、パワー・アンプは増幅度が高く、回路構成は簡略化されるので低歪のためのNFは安定化されるし、基本的に低歪であるが、そのためにはドライバー段の設計はきわめてむつかしいといわれ、マランツのアンプが日本メーカーコピーされることがないのもその辺が理由であった。日立の場合はすでにキャリアの永い「定電流駆動ドライバー段」の技術の延長上にこうしたインバーテッド・ダーリントンPP回路が成果を結んだとみてよかろう。
 パワー段のみに眼を向けるだけですでに紙面が尽きてしまったが、あらゆる点にLow Distortionへのアプローチとしてのオリジナル技術があふれる日立アンプは、他社にみられないすばらしい再生ぶりを発揮してくれる。品の良い力強さ、透明感あふれるサウンドが何よりこのアンプの高品質を物語るのである。

トリオ KA-9006

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 7006の音質をベースに、パワーの増加とそれにともなう中~低音域のいっそうの充実感で、耳当りのいい穏やかな音色ながらバランスの良い音質を響かせる。

ラックス L-507

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 SQ505、507以来、永い期間をかけて暖めてきたという、ロングセラーの実績を評価したい。但しパネルの色調は、507Xの明るい金色の方が品位が高かった。

オンキョー Integra A-733MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 A755/IIとくらべると、力強さや緻密さが増している反面、中~高域にやや硬い表情もわずかながら聴きとれるが、パワーやファンクションの充実した良い製品。

ビクター JA-S8

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 からっと乾いた陽性の音質。総体にビクターの音質にはある種のにぎやかさが感じられるが、この製品にもそういう性格は聴きとれる。もう少し余韻が美しく出るとよいが。

パイオニア SA-8900

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 音の楽しさをストレートに表現する感じで、入門者向きに説得力を持つ音質。反面、繊細かつ緻密な表情が出にくいが、のびのびと大掴みで気持のいい響きが特長だと思う。

トリオ KA-7006

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 弦楽器の倍音の漂い方など、8004の方に良い面が多かったが、中~高域の柔らかな表情を残しながら、総体に充実感を増した音質は好ましく思える。外観仕上げも悪くない。

ラックス L-606

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)

特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 中~高域でやや冷たい肌ざわりの切れ味のするどい音質は若向きを意図したものか。従来のラックスの音とは傾向が違う。単体よりもチューナーとペアで特色をみせるデザイン。

ソニー TA-8650

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 個人的にはこのメーカーの音質は必ずしも良いとは思えないが、大胆で新鮮なデザインの採用と、機能的に整理されたツマミのレイアウトの面白さの印象の強い製品。

アキュフェーズ E-202

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 音のバランスの作り方は、大掴みにはマッキントッシュ志向といえ、アンプの音質としては必ずしも新しい方向とはいいにくいが、円やかで聴きやすい独特の充実感がある。

テクニクス SU-9400

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 SU3500の音質にも、いかにもテクニクスの性格がよく出ているが、SU9400もそれをベースに、きれいさが少々物足りないほど、端正でよく整理された音を聴かせる。

ビクター JA-S20

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 スッキリとシャープで、中~高域などやや線の細い音質は、一聴したときはハイパワーらしくないが、繊細な切れこみと、反面、大出力での朗々と延びのよい鳴り方が見事だ。

ソニー TA-5650

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 60W/60WのFETアンプは、前作よりも中域のクリアーな音の粒立ちと引きしめた低音とで、音の麺で向上が感じられる。ただ価格からやむを得まいがいかにも中級の作りだ。

Lo-D HA-610

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 Lo−Dシリーズのアンプ中、最高出力製品で、従来の品のよい中低域を充実した点でパワフルだ。デザインもフレッシュだが音と同様ややおとなしく、それが大きな個性だ。

ラックス L-100

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ラックスの最新アンプは、セパレート型プリと同じデザインの110/110Wのパワーを収めた点で、質的には高級志向の強いマニア好みのアンプとして完成度が高い。

オンキョー Integra A-711

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ハイパワーアンプの数ある中でコストを考えると、もっとパワーをという声もあるが、高級アンプの何たるかを示すひとつの方向だ。高出力、小出力時の歪みの少なさは特筆。

トリオ KA-9006

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ハイアタックシリーズも四年になるので、この春は安くてハイパワー型も出るが、なおオーソドックスなこのシリーズも引き続き主力製品となる。それだけの質も持ち合す。

ソニー TA-8650

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 かなりメカマニア的なソニー8000シリーズ中、もっともおとなしいが、音の方もややソフト過ぎるかも。その点がいかにもV−FETらしいというベテラン好みの質だ。

アキュフェーズ E-202

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 プリメインとしては、このクラスより下も上も作らないという姿勢がまずなによりも好感がもてる。セパレートに比べてややソフトだが、パワーと内部の高級品らしさが魅力。

パイオニア SA-9900

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 プリメインとしてひとつの上限界にあるが、需要層のレベルの高さも意識して作られたシリーズ最高製品。あまりのまっとうな音は、ちょっと物足りないほどだが最高品質。

ラックス L-309

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 500シリーズで確立したラックス独特のデザインのイメージやファンクションの整理が、このモデルで完成度を高めた。パネルの色あいやツマミの感触は、もうひと息だが。

テクニクス SU-9400

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 若者にとって魅力あるスタイリングに収められたオーディオメカニズム、といいたくなるほどの技術志向のはっきりした点が、偉大なる商品としての価値の支えとなっている。

ビクター JA-S20

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ビクターの一連のアンプ中、最高出力の最新型。規格パワーの大きいことよりも実質的な鳴り方も力強く、回路の確かさ、電源のゆとりが感じられる。豪快なるデザインも良い。

オンキョー Integra A-722MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 中~高域の音色や表情は、755や733に一層の磨きをかけたという印象。低域は、グレイドを上がるにつれて甘さをおさえて抑制を利かせたという感じ。パネル面も充実。