Category Archives: スピーカー関係 - Page 59

JBL 4333A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 定評あったモニタースピーカー♯4320が製造中止になって以後、マイナーチェンジを頻繁にくりかえして暗中模索していたかにみえたが、この4333Aになって、ようやくJBLはワンステップ前進して、新しいモニタースピーカーを完成させることに成功したと思う。Dレンジ、Fレンジともきわめて広く、フレッシュでリアルな音はどんな音量でもその魅力を失わない。4343には一歩譲るが、しかし優秀な製品だ。

JBL L300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 前面を軽く傾斜させ、四隅に丸みをもたせた独特のデザインは、日本の一般家庭でも違和感なく収まる見事なできばえだが、むろん内容的にも、現代の先端をゆくワイドレンジ型で、鋭敏で繊細で、しかもパワフルなサウンドを満喫することができる。どちらかといえば細身の音なので、アンプやカートリッジは逆にいくらかグラマー気味の音質でまとめる方がうまくゆくようだ。このクラスから、新しいJBLらしさが本当に出てくる。

ロックウッド Major

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 構造的にいえば、タンノイのHPD385A(旧モニター15)一本を、いくらか特殊とはいえ、一種の位相反転型のエンクロージュアに収めただけのシステムで、そう考えると、この価格はベストバイといえるほど割安ではないが、そういう形態から予想する以上に密度の濃く質の高い音が鳴ってくる。そしてエンクロージュアの構造や材質や工作が違うだけで、タンノイがこれほど違った面を聴かせることにびっくりする。

アルテック Model 19

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 周波数特性のワイド化と、ユニットやエンクロージュアの無駄な共鳴音や夾雑音の類をできるかぎり抑ええ込むというのが新しいスピーカーの一般的な作り方だが、アルテックの新型は、周波数特性こそ従来の同社製品からは考えられないほど広帯域化しながら、キャビネットやホーンの共鳴音も適度に残してあって、それが何ともいえず暖かくふくよかな魅力ある音に聴こえ、新型であってもどこか懐かしさのようなものを感じさせる一因だろう。

タンノイ Eaton

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 言うまでもなく旧IIILZの新版だが、音はかなり大幅に変わった。IIILZが中〜高域にウェイトを置いて、反面重低音が出にくかったのに対して、Eatonでは高域をやや抑えて低音は位相反転の助けをかりて量感を出しているので、聴感上のバランスが良くなっている。新シリーズの中では、やや甘口にできている。

ヤマハ NS-690II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 名作とか名器といった表現をやたらに使うのは嫌いだが、NS690IIにはこの賛辞を呈するに少しもためらう必要がない。マークIIでない方には、優しく繊細な良さがあったが、II型ではいっそう逞しさを加え、音楽のジャンルに選り好みの少ない、バランスのとれたスピーカーシステムに成長したと思う。

トリオ LS-505

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 過去一シリーズごとに暗中模索していた印象のトリオも、LS505で新生面を切り開いたと思う。真面目なとりくみかたがそのまま音に出てしまったような印象はあるにしても、基本から洗い直したという真剣さが、音のクォリティの良さとして聴きとれる。これを土台とした今後の新製品がいっそう期待できる。

オンキョー M-6

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 M6の鳴らす弾力的でスケールの豊かな低音は、これまでのオンキョー製品のイメージを挽回したばかりでなく、各メーカーからライバル視されるに至ったことをみても、国産スピーカーのひとつのステップを記したといってよいだろう。次の展開では、音域全体に音の品位を一層向上することがテーマだと思う。

アルテック A7-500-8

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 個人の住宅で、びっくりするほどおとなしい音に飼い馴らしている愛好家の例を知らないわけではないが、私個人は、特性も音質も外観も仕上げも含めて、狭い室内で至近距離で眺め・聴く製品とは思いにくい。反面、小ホール等公共の場所で鳴らしたときの、朗々と明るく気持よく響く質の高い音質は、他のスピーカーで代替できない優れたアルテックの特徴だと思う。もちろんそういう長所を自宅で生かしてみようと試みるのはご自由だ。

ダイヤトーン 2S-305

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 一年に一度は、郡山の三菱電機の研究所で新製品を試聴させてもらうが、比較のために鳴らす2S305が、いつでも、どんな新製品よりも申し訳ないが良く聴こえて、そのたびに305の優秀であることを再認識させられる。個人的な好みでいえば、一般市販はしていないがこれの改良型であるNHK現用のAS3002モニターの音の方がもっと上だと思うが、市販品としては2S305しか入手できない。

セレッション Ditton 66

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 仕事先に常備してあるので聴く機会が多いが、聴けば聴くほど惚れ込んでいる。はじめのうちはオペラやシンフォニーのスケール感や響きの自然さに最も長所を発揮すると感じていたが、最近ではポピュラーやロックまでも含めて、本来の性格である穏やかで素直な響きが好みに合いさえすれば、音楽の種類を限定する必要なく、くつろいだ気分で楽しませてくれる優秀なスピーカーだという実感を次第に強めている。

JBL L26

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 気づいた限りでも少なくとも三回のマイナーチェンジをしているが、いま出廻っている製品は見ちがえるほど質の高い滑らかな音質になり、従来無理とされていたクラシックの弦でも、傾向としては硬質ながらバランス的には十分聴ける音になっている。がL26の本領はやはりジャズ、ポピュラーで、ことにベースの音の弾みなど、ちょっと代替品を思いつかないくらいこのクラスではズバ抜けている。

デンオン SC-107

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ブックシェルフにしては大型のせいか鳴り方にゆとりがあり、肉づきの豊かでよく弾む音を聴かせる。パワーにも強いため弱音から強音までダイナミックレンジも広い。ただSC104にも同じ傾向があるが、管弦楽のトゥッティで中〜高域が他の音域より張り出す傾向がわずかにあって(これは国産スピーカーの大半に共通の弱点)、弦の再生にはもうひと息だが、ジャズの再生にはそれがかえってヴィヴィッドな魅力になっている。

ロジャース LS3/5A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 左右のスピーカーと自分の関係が正三角形を形造る、いわゆるステレオのスピーカーセッティングを正しく守らないと、このスピーカーの鳴らす世界の価値は半減するかもしれない。そうして聴くと、眼前に広々としたステレオの空間が現出し、その中で楽器や歌手の位置が薄気味悪いほどシャープに定位する。いくらか線が細いが、音の響きの美しさは格別だ。耐入力にはそれほど強い方ではない。なるべく良いアンプで鳴らしたい。

KEF Model 103

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ♯104が、音のデリカシーを大切にしている反面、耐入力にやや弱いという性格を改善したのが103で、密閉型であるために低域でのウーファーのはためきも少なく、104よりもタフネスさでは優っていて、その音質も、104ほど線の細い感じがしない。小型の割に意外に重いので驚かされるが、前面バッフルに鉄板を採用しているからで、バッフル版の向きを変えて指向性をコントロールできるのも特徴のひとつである。

ダイヤトーン DS-40C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 先に発売された50Cの音は、私には少し目の詰りすぎのように聴こえて、40Cの音の方が気楽に聴ける。価格的にはSB6000などとぶつかる製品だろうが、その音は全く対照的で、SB6000が音像をスピーカーの奥にひろげて展開する鳴り方ををするのに対して、DS40Cは音像をむしろ固めて押し出すような感じで鳴る。力や迫力ではダイヤトーン、空間の表現力ではテクニクスと、それぞれに特長がある。

サンスイ SP-G200

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ホーン型ユニットとダブルウーファーで構成したシステムとしてさきに発売されたフロアー型のSP−G300のジュニアモデルである。ウーファーは25cm口径で、G300と同様に特性が異なるユニットをスタガー駆動するダブル駆動方式で、低音輻射面積は、ほぼ38cmウーファーに匹敵するものがある。ダブル駆動の一方のユニットはシート・シームドコーンを使用して、ミッドバス的に使用され、トゥイーターとのつながりがスムーズな利点をもち、他方はセミ・コールドプレスコーンを使った専用ウーファーで、重低音までカバーする。
 磁気回路は直径145mmのフェライト磁石と銅キャップ付のセンターポールが採用され、ボイスコイルには直径65mmの耐熱処理を施した、ロングボイスコイルが使用されているが、Lシリーズのショートボイスコイルとは対照的な使用法である。
 トゥイーターは英タンノイの高音ユニットと同様な多孔イコライザーをもつ本格的なリアドライブ方式のドライバーユニットと、ショートホーンが組み合わされ、スラント型の音響レンズが付属している。磁気回路は外径90mmのフェライト磁石を使用し、ダイアフラムは厚さ40ミクロンの硬質ジュラルミン箔を成形歪が少ない空気成形法で成形してある。なお、ボイスコイルは磁束を有効に利用する線積率が高いタイプの銅被膜アルミ線で軽量化してある。
 ネットワークは、ラミネートEI型コアと線径が太い線を使った低抵抗コイルとMPコンデンサーを組み合わせ、エンクロージュアは、バッフルボードは米松合板、側版などは20mm厚パーチクルボード製である。
 SP−G200は、緻密さがありクリアで引き締り、質的に高い音である。スケール感が豊かで余裕があり、ことに実用的な小音量でプレゼンスある音を聴かせる点ではG300に一歩を譲るが、音像定位がシャープでコントラストが十分についたモニター的な性質では、むしろG200に利点があろう。トータルバランスが良い製品だ。

テクニクス SB-6000

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 2ウェイにしてはウーファーとトゥイーターの口径比があまりにも開いていて、はじめ見たときは中域あたりのつながりが悪いのではないかとさえ思ったが、いろいろな場所で鳴らしてみてもそのような心配は杞憂であることがわかり、バランスもよく音のつながりも問題ない。構成が簡潔だけに、かえってSB7000よりもすっきりした印象さえある。リニアフェイズ・シリーズの中で一機種あげるとすれば案外これかもしれない。

ヤマハ NS-500

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 中型のブックシェルフの中で、音の鮮明さあるいは明るい迫力のあるスピーカーといえば、JBLのL26あたりが浮かぶが、NS500をL26と比較してみると、音像のシャープネスや音のクリアーなことで、優るとも劣らない印象で、こういう音の傾向をねらった製品としては、相当によく出来たスピーカーだと思う。NS1000Mの弟にはちがいないが、これはこれなりに、鮮烈な音の魅力で十分に楽しませてくれる。

デンオン SC-104

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ヨーロッパのピアレス製のユニットでまとめられたスピーカーシステム。そのせいか、やはりユニットの性格が表われ、響きの豊かなヨーロッパサウンドである。本機の一番の魅力は、何といっても歪みが少なく、刺激的な音のしない中高域にある。マニアのセカンド用としても立派に通用するシステム。

スキャンダイナ A-403

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 25cmウーファーをベースにした3ウェイという構成で、国産の同様な製品と価格的に太刀打ちできるというのは、輸入品としては相当に割安だ。見た目には国産のようなキメの細かい仕上げはしていないが、音質はさすがにA25MKIIでヒットしたスキャンダイナだけのことはあって、聴感上のレンジはさほど広くないが、国産の概して苦手なオーケストラのトゥッティでも、バランスをくずすようなことはなく安心して楽しめる。

シーメンス Eurodyn

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 西独のシーメンスの大型2ウェイシステムで、バッフル状のフレームにユニットが取りつけられてはいるが、このままでは鳴らせない。指定では一辺2メートルの平面バッフルボードに取り付けることになっている。500Hzのクロスオーバーで、上をホーンドライバー、下を38cm口径ウーファーが受け持つ。輪郭の明確な、ガッシリとした音は、ソリッドな強靱さと、明るい朗々としたソノリティのバランスで、きわめて充実している。

サンスイ SP-L250, SP-L150, SP-L100

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 サンスイのスピーカーシリーズにはLMシリーズ、JBLのモニターユニットを使ったモニターシリーズをはじめ、10万円をこした価格帯で注目されたGシリーズなど、かなりバリエーションが多いが、これに加えて、新しくるシリーズの3機種が発売されることになり、一段と製品群としての厚味が増加した。
 Lシリーズは、各社の製品がもっとも激しく競合する価格帯に投入されたシリーズであり、構成面からみればLMやGシリーズと比較して個性が少なく、オーソドックスな手法により開発されている点が、返って特長といえよう。ユニット構成は各モデルともにコーン型ユニットを使う2ウェイ方式であり、エンクロージュアはバスレフ型で角型のパイプダクトを採用している。
 ウーファーはコーンに西独クルトミューラー製のパルプを使い、エッジには方向性がなく、内部損失が多い発泡樹脂を熱成型したロールエッジを採用している。ボイスコイルは超偏平リボン線を使いエッジワイズ巻きとしたショートボイスコイル型で、巻幅が狭いため大振幅にも磁気回路内で余裕ある動作が可能で、歪が少なく能率が高い特長があり、ボビンは強度が高く音の伝播速度が速い耐熱性樹脂製であり、ボイスコイル部分以外のボビン部分には強度を高めるために同じ材質を使ったシートで補強がしてある。磁気回路はセンターポールに銅キャップを使用し、中央には通気用の穴が貫通している。マグネットはフェライト磁石で、L250の30cmユニットには外径156mm、L150の25cmユニットには外径145mm、 L100の20cmユニットには外径120mmの大型なタイプが採用されている。各ユニットともに駆動部分のボイスコイルとコーン氏との結合が強固であるため、ウーファーとしてはかなり高域特性が伸びた、いわばフルレンジタイプであり、トゥイーターとのクロスオーバー周波数の選択の幅が広い特長がある。
 トゥイーターはコーン型であるが、ウーファーと同様にワイドレンジタイプで高域限界は50kHzと発表されている。振動板はコーンとセンターキャップを一体成型して特殊な樹脂溶液の含浸処理をし強化してある。ボイスコイルはボビンに耐熱性樹脂シート採用で剛性が高く、高域特性を向上するためにメリットがあり、コーン紙との接着は新開発の特殊接着剤を使用している。
 磁気回路は、L250/150が外径90mm、L100が外径80mmのフェライト磁石を使用し、16、000ガウス以上の磁束密度を得て磁気回路を完全に飽和させ、ボイスコイルに流れる電流により発生する電流歪を防ぎ、音圧レベルと高域特性をも改善している。また、磁気回路の空隙をなくすためにプラスチック材を使い振幅が大きくなるf0付近の第3次高調波歪を改善している。フレームはダイキャスト製である。
 クロスオーバーネットワークは、コイルはダンピングと能率の劣化を防止するために、線径の太い線と大型ラミネートEI型コアが使ってある。エンクロージュアは、バッフル版が共振が少ない三層構造パーチクルボード、他の部分は比重が大きいパーチクルボードで、結合は三方止めとし、エンクロージュア全体を一体化している。
 Lシリーズのシステムは、かなり反応が早く、伸び伸びと音を出し、そのクォリティがもっともローコストなL100でも充分に高く、聴く音楽のキャラクターにより、高級機、普及機といった区別なく使いわけられることが特長である。スピーカーシステムの理論どおりに中域にもっとも密度があるのは20cmウーファー使用のL100であり、スケール感が大きいのは30cmウーファー使用のL250で、さしてシステムとしてのキャラクターが変わらず充分に基本をおさえ、巧みにコントロールされている。何れのモデルを選択してもかなり使い込める点は、このLシリーズの魅力である。

JBL 4350A

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 JBLが現在製造する最高、最大のシステムがこの4350Aである。巨大なエンクロージュアに4ウェイ5スピーカー構成のユニットがつめ込まれ、これを250Hzのクロスオーバーでマルチアンプ駆動するべく作られている。4350WXというウォルナット仕上げのヴァージョンもある。JBLのシリーズの旗艦であるが、それだけに、そう簡単に使いこなす事が出来ないシステムだ。調整にはプロの腕が必要。

JBL 4343

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 4341の改良型として登場したのが、この4343である。4ウェイ・スピーカーで、構成としてはJBLの3ウェイにミッドバスをというコーン型25cm口径スピーカーを(2121)をプラスし、それぞれのクロスオーバーを上下に追いやり、寄り理想的な帯域動作を各ユニットに可能にしたシステムだ。エンクロージュアも強化され、可聴帯域内をびっしりと密度高く埋めたサウンドは圧巻であり、家庭用としても最高の可能性をもつ。