Category Archives: 国内ブランド - Page 81

トリオ L-07C

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

「オテロ」冒頭のトゥッティでも埋もれがちのディテールをむしろくっきりときわ立たせ、弦楽四重奏では倍音の方にやや注意力を向ける傾向があるというように、一聴する途中〜高音域にエネルギーが片寄るかに思えるが、低音域にはかなりの重量感があるので、一見骨細だが骨格はしっかりしている。ただ低音はクラシックの持続音ではおさえぎみだが、ポップスの打音ではかなり量感を出すという二面性が聴きとれる。目鼻立ちのクッキリしたタイプの音だが、音楽を楽しませるカンどころのとらえ方は本質を衝いていると思う。本調子が出るまでに時間のかかるタイプだ。ただ内蔵MCヘッドアンプは情報量がやや減ってクォリティがともなわない。

テクニクス SU-A2 (Technics A2)

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ひんやりした肌ざわりはかなりウェットな印象で、ぜい肉を極力おさえたかのように、かなり細身の音。しかし質感はかなり緻密に練り上げられたらしく、細くウェットな見かけの割には、骨格のしっかりして芯の強い音を持っている。バランス的には中高域にややエネルギーの集まるタイプで、相対的に低音域はかなり抑えぎみに聴こえる。音の透明感はなかなかのものだが、肌ざわりの冷たいせいか、とちらかといえばやや素気ない印象。しかし曲によってはオャ? と思うほど強引なところもある。途中でトラブルを生じてMCヘッドアンプのテストが十分できなかったのは残念。A1と違ってプリプロ機らしいが、A1の音から想像してこの方向でのいっそうの完成を期待したい。

テクニクス SU-9070II (Technics 70AII)

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 以前の70Aとは中味が全く別ものといっていい。かつてのいかにもセパレートアンプの流行に便乗した感じのある安手の音が記憶に残っているせいもあるが、II型になって印象は一変して、たいそう密度の高い、充実感のある聴きごたえのする素晴らしい音質だと感じた。従来のテクニクスのアンプが、一体に音の表情の乏しい傾向があったのに、70AIIは音の起伏が豊かで彫りが深く、パースペクティヴな音場の奥行き感もとても良い。ディテールの解像力と音の鮮度も十分だ。内蔵のMCヘッドアンプは、MC20に対してはオルトフォンらしさはやや減るもののやや線の細いきれいな響きは美しく、DL103Sではトランスにくらべて幾分若やぐが音が生き生きしてとてもいい。

スタックス SRA-12S

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 明るく滑らかで、いかにも明瞭度の高い感じの音を聴かせる。たた、その明るさがやや一様で、音の陰影の不足した感じはするが、弱音での汚れも少なくくっきりときれいに音を並べる。しかしその並べ方は、音像を一面に力で押し出したようでやや奥行きに欠けるところがあって、パースペクティヴな立体感が出にくい。たとえばアメリンクの独唱で、歌とピアノが同一平面に聴こえ、パッセージによっては声の方がピアノにめり込んだように聴こえることもあるというように、音のデリケートな分離あるいはニュアンスがもう少し欲しく思われる。マランツ510Mのハイエンドでの危ない部分をよく抑える点はとても良いが、反面脂気も取り去ってしまう傾向もあった。

ソニー TA-E88

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音の骨格はたいへんしっかりしている。少なくともそういう表現をまっ先に思いつかせるほど、かなり硬質の音といえそうだ。バランス的にみて中低音域から重低音域にかけての支え、あるいは豊かさが不足ぎみに思われ、そのことがいっそう音を硬く感じさせるのかもしれないが、それにしてもたとえばベートーヴェンの弦楽四重奏でも、弦の音がどこかPAでも通したように人工的に聴こえ、かなりきつく、一本調子で色気がない。アメリンクの声にもやさしさが足りない。それらにかぎらずどうも音の姿をことさら裸にしてむき出して聴かせる傾向があって嬉しくさせない。MCヘッドアンプの音は、高域がよく伸びて解像力は上るが音の支えが弱く、ニュアンスが減る。

ソニー TA-E86

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音のバランスという面では音域内での過不足もことさら指摘しにくいし、質感も滑らかで耳ざわりの悪い音を鳴らさない。ウォームな音の中にも現代的な反応の鋭さもある。ただ、アメリンクの独唱で、声自体がやや張り出す反面、伴奏のピアノはむしろ音像がことさら後に引いて、タッチも暗い感じがするというように、コントラストが強く聴こえた。また、「SIDE BY SIDE3」のベーゼンドルファーの音の丸みと艶が不十分で、打音がどこか輪郭だけのように聴こえる。MCヘッドアンプの音は、MC20に対しては切れ込みは良くなるが素気なくなる傾向。DL103Sでは解像力はトランスより良くなるが骨ばる傾向で、どちらかといえば乾いた音と聴きとれた。

サンスイ CA-2000

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 たとえば「オテロ」の冒頭からしばらくのトゥッティでも、またそれとは対照的なベートーヴェンの弦楽四重奏でも、またエリー・アメリンクの声でも、総体に中〜高域にやふ強調感のある華やいだ音のするところがこのコントロールアンプの特徴といえる。ハイコントラスト型、ともいえるし、逆に少々明るすぎるとも音質ともいえる。したがって音の輪郭は鮮明だがくまどりがきつすぎるように感じることがある。音像のひろがりはよく出る反面、並び方がいくらか平面状になって奥行きの表現がいまひと息だ。また、フィルターやトーンコントロールのスイッチをONにすると、コントラストはやや弱まる反面、音の反応がいくらか鈍くなる傾向が、他の類機にくらべるとやや大きく感じられる。

ラックス MB3045

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 球と石という単純な分類には賛成しないが、トランジスターアンプでかなりの水準を実現させたラックスがあえて残しているだけの理由は、音を聴いてみて十分に納得できる。旧型の管球アンプの概して不得手な音の切れこみの悪さがこのアンプにはあまり感じられず、LNP2Lのように解像力の良いコントロールアンプと組み合わせることでいっそう引き締った現代的な面をみせながら、しかしマーク・レビンソンのときとして鋭くなりがちの高域を適度に甘くやわらげて、ついいつまでもボリュウムを絞りがたい気分にくつろがせてしまう。弦やヴォーカルには素晴らしく味わいの深い良い音を聴かせるが、打音に対していささか締りの不足する感じがやはり管球アンプの性格か。

ラックス 5M21

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

「オテロ」冒頭のトゥッティの鳴り方から、音の密度のきわめて高く、混濁感のない品位の高さが聴きとれる。概して不満の多いホルンの響きも自然なバランスでとてもいい。弦楽四重奏、ヴォーカル、ピアノ、すべてに格調の高い安定感があって、やや細身ながら品の良いバランスの良さが一貫していて、たいへん良く練り上げられたアンプであることを思わせる。キングズ・シンガーズの六声のよくハモること、そして声の向うに広がって消えてゆく余韻の響きのデリケートな美しさなどは、リファレンスの510M以上だ。ただやはりこれはいかにもラックスの、あるいは日本の音で、いわゆる脂っこさ、あるいはハメを外す寸前までの自在な躍動感という面はここにはない。

ラックス M-12

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 すっきりと上品な透明感のある、よく磨かれた音質のパワーアンプだ。音の品位を大切にしている反面、ローエンドの延びあるいは量感のやや抑えられた感じの、どちらかといえば細身の音質で、たとえば「オテロ」の冒頭のオルガンの持続音が十全に聴きとれたとはいいにくい。しかし中低音域以上高域にかけては、音の芯もしっかりして密度もあり、弦合奏やクラシックのヴォーカル(テストソースではエリー・アメリンク)の美しさはなかなかけっこうなものだった。シェフィールドのパーカッシヴな音も意外にしっかりと鳴る。ただ、菅野録音のベーゼンドルファーの脂っこい丸味のある艶を要求するのは少し無理のようで、そこはいかにも日本の音、という感じだった。

Lo-D HMA-9500

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 すでに各方面で評価の高い製品だが、こうして内外の最新機種の中に混ぜて試聴しても、全力投球のあとが聴きとれて、優秀なパワーアンプのひとつだということがよくわかる。音の傾向は本質的にはハードでかなり力強いところがあるが、緻密で腰の坐りがよく、低音の支えもしっかりしているので、音にうわついたところが少しもなく、ハイパワーでも全く危なげのない充実した音を聴かせる。音の力強さがいかにも男性的で、底力のある重量感に満足をおぼえるが、反面、ここにもう少しやさしさが加わるとさらに素晴らしい音に仕上ると思う。入力にあくまでも素直に順応するというより、どこか一ヵ所力づくの強引さがあるところがもうひと息、なのだ。

Lo-D HMA-7300

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 HMA9500のきわめて男性的な音と比較しての話でなく、この7300自体が本質的にどこか女性的な、硬さを嫌ったかなりウェットな音を持っていると聴きとれる。やかましい音、あるいは張り出す音を嫌ってのことだろう。たとえばダイヤトーンではきわめて張り出していた中〜高音域が、難しい弦の音でテストしてみてもHMA7300ではよく抑えられ、耳たぶをくすぐられるかのような細身の音色で聴こえる。その意味ばかりでなくこういう音はやはり女性的といえるだろう。もうひとつ、音の基本的な質がかなりウェットで、音の密度も薄手のため、プログラムソースによってはもう少し中味の埋まった音が欲しいというように思われることも少なくなかった。

Lo-D HMA-7500

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 たとえば「オテロ」冒頭のオルガンの低い持続音がやや聴きとりにくく、低音の量感が不足ぎみであることを感じる。国産アンプには案外多いが、続いてのトゥッティの部分でも、総体に音が細身で重量感や厚みや奥行きが出にくい。音の硬さやおしつけがましさがよく抑えられているのでやかましくない点はよいが、弦楽四重奏でさえいくぶんオフマイクぎみに音像が遠ざかる感じで、もう少し実態感や充実感が欲しく思えてくる。骨ばってこない点が好ましいともいえるが、どこか軟体動物的で頼りないところもあって、フォルテ・ピアノのはげしく入れ変るような曲では音がふわふわとあおられて抑揚の強調される感じもあって、もう少しふんばりが欲しい。

パイオニア Exclusive M4

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 国産に珍しいロングセラー機だが、こうして何度聴き直してみても、やや線が弱い面のあるもののやはりこのアンプならではの音のしなやかさでやさしく、いくぶんウェットだが繊細で上品な音の良さは、他に類機の得がたいという意味で、これから先も十分に存在理由のある製品といえる。ことにAクラス独得の、おそらくマイクロワット・オーダーのミニパワーの弱音でも、弦の音などニュアンスが美しくしっとり聴かせるところがいい。ハイエンドにやや独得のキラッと光る強調感があって、そこがM4であることを特徴づける個性になっている。重低音の支えがいくぶん弱くそれでいて音が重いところがあるがそれは聴感上マイナス要因にはならない。

ダイヤトーン DA-A15DC

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 弱点をどんどんおさえていって、欠点も少ないがおもしろみに欠けた音になってしまう、いわば減点法で仕上げる例の少ないとはいえない国産機の中では、かなり積極的に音を作り上げたという感じの強い、なかなかユニークなパワーアンプだ。ダイヤトーンのスピーカーもそうだが、どちらかといえばクラシックの弦やヴォーカルよりは、ポップスの打音の切れこみのよさや、張りのある力強い音の再現を狙っているらしく、やや金属質ともいえるハードによく張った音といえる。非常にクリアーな印象で、たとえばシェフィールドでテルマ・ヒューストンのヴォーカルがバックからよく浮き出すというように、コントラストを高めて輪郭の鮮明な音に仕上げてある点が特徴。

ダイヤトーン DA-A10DC

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 A15DCの弟分ということをかなり意識して仕上げたのか、それともむしろ意図して音の傾向を変えているのか、ともかくA15とはずいぶん音質が違う。兄貴分がかなり硬質の、むしろ金属質のハードでクールな音を聴かせたのに対して、A10DCの方はもう少し力の誇示をおさえて、おだやかな鳴り方をする。ただそれはあくまでもダイヤトーンどおしの比較の話で、他社の音の中に混じるとやはり硬質の傾向で、たとえば弦楽四重奏でもA15DCのときほど各声部を目立たせることはないが、本質的にポップス系志向の傾向はあって、弦や声はどちらかというと骨ばって聴こえる。反面、ポップスの打音の系統は、かなりシャープに浮き上って聴こえる。

デンオン POA-1001

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 価格も出力も1003とそんなに差があるわけではないのに、音質はその差以上に大きく、国産の水準の中ではかなりのできばえといっていいだろう。国産の、とあえて断わるのは、海外のアンプのあの湧き上ってくるような積極性に富んだ、良くも悪くも個性の強い音とは違って、やはりどこか平板だし、音の艶もやや抑える方向で鳴らすからだが、しかし抑えた中に力も充分に感じさせるので、1003では十分でなかったシェフィールドのレコード等でもかなり聴きごたえがある。ただ、弦合奏やキングズ・シンガーズの声のような場合、もうひと息冴えた立体感や躍動感が欲しくは思われるが、音楽を楽しませるという点で相当に良い部類のパワーアンプだと感じた。

パイオニア C-77

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音のバランスのととのえかたは一応手なれている。国産ではわりあい手薄になりがちの中低域から低音域にかけての支えもかなりしっかりしていて、重心の低い、腰の坐りの良い音が聴ける。むしろ低音がやや重すぎて、いくらか下半身肥大的だ。そのためかアメリンクの声などいくらか太めになるし、どことなく品位が感じとりにくい。また「オテロ」のようなスケールの大きな曲で、フォルティシモでの音の伸びがいまひとつ不足する反面、ディテールのニュアンスが出にくいので、ダイナミックレインジが狭いような、あるいは反応が少々鈍いような感じを受ける。ややグラマーでプロポーションは整っているが生れや育ちのあまりよくない娘、とでもいった印象の音だった。

パイオニア C-21

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 パイオニアのアンプは、エクスクルーシヴ・シリーズを含めて総体にどちらかといえばソフトでウェットな音を聴かせるタイプが多いが、このC21はその中ではむしろ例外的に、かなり乾いた感じの、わりあい素気ない音がする。音の表情が硬いというか、音をひとつの鋳型に押し込んだように、練り固めたような骨っぽい感じに聴こえる。6万円という価格は今日とりあげたコントロールアンプの中でも最もローコストの部類だから多くを望むのは無理かと思うが──。サブソニック・フィルターをONにすると音の硬い傾向がわずかとはいえさらに増す。ゲインコントロールは0のところよりも一杯に上げた方が、音の伸びとしなやかさが出てきてこの方がよかった。

オンキョー Integra P-303

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 リファレンスのLNP2Lとくらべれば、むろん価格が違うのだから比較するのは酷であるにしても、しかしLNP2Lとは別の魅力で十分に聴き惚れさせるだけの良さを聴かせるコントロールアンプは少ない。細部での解像力ではLNPに及ばないが、少しのやかましさもないバランスの良く質の高い音質は相当の水準で、たとえば「オテロ」冒頭のトゥッティでもソノリティの良さを失わず弦や管の調和の美しいこと、声のニュアンスの良く出ること、得がたいコントロールアンプといえる。本質的にはウェット型の音。だが8万円としては破格のできばえといっていい。ヘッドアアンプは、MC20ではやや鈍く、103Sではトランスの場合よりかなり良かった。

ヤマハ C-2

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ソリッドで引締った硬質の魅力をもつコントロールアンプである。
 聴感上の周波数レンジは、ナチュラルに伸びており、バランス的には中低域が少し薄めであり、音色では、低域がやや甘く、柔らかく、中域から高域は粒立ちがカッチリと引締った硬質な魅力がある。音の表情はややマジメ型で、音を整理して聴かせる傾向がありながら、音の表現力はかなりのものがある。
 付属のMC型用ヘッドアンプは、MC20では柔らかい低域をベースとした、細やかな表情を感じさせる音であり、103Sでは、ナチュラルにレスポンスが伸びた、滑らかで細かいおとなしい響きのキレイな音である。

デンオン POA-1003

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 85W×2という出力はそれ自体では決して小さなパワーではないが、100Wを超えるアンプが居並ぶ中に混ぜて聴くと、やや小ぶりで可愛らしい音に聴こえる。その点は価格等とにくみあわせて多少割引くとすれば、音質そのものは、クラシック・ポピュラーを通じてかなりの水準をゆく。ことに、演奏のデリケートなニュアンスがかなりよく出てくることに感心させられる。決して積極的な音ではないが、プログラムソースのディテールに素直に順応してゆく良さを持っていて、音楽を楽しむ気持をしぼませることがない。だたシェフィールドのダイレクトカッティングのようなレコードでは、もっは張りのある力が出てくれないと不十分だが、総じてよくできたアンプといえる。

ラックス 5C50

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 リファレンスのLNP2Lとくらべてそう聴き劣りしなかったコントロールアンプは少ない。強いていえばLNP2Lがどんなプログラムソースにもどこまでもしなやかに反応してゆくのにくらべると、いくらか真面目で姿勢が固く、音の脂こさが少ないので、たとえばシェフィールドのテルマ・ヒューストンの声など、多少おもしろみを欠くことはあるが、総じて音のバランス、密度、質感、どこをとっても極上のできばえといえる。発売以後、数回に亘って内部が小改良されていると公表されているが、今回のサンプルについていえば、現在入手可能なコントロールアンプの中でもかなり上位にランクされるだろう。個人的にはトーンコントロールアンプの5F50と組み合わせて使いたい。

ビクター EQ-7070

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 反応が早い、シャープで細やかな音をもつアンプである。聴感上での周波数レンジは、かなりワイドレンジ型で伸び切っており、バランス的には、低域が柔らかく少し重いタイプで、中域は少し密度が薄く、中高域には硬質な面が潜在的にあるようだ。表情は、豊かで活気があり、音場感はやや奥に引っ込んでナチュラルに広がり、パースペクティブをもかなり聴かせる。音像はかなりよくまとまり、定位はクリアーである。
 付属のMC型用ヘッドアンプは、MC20では低域から中低域が豊かで余裕があり、中高域から高域もナチュラルで細やかである。103Sでは、キャラクターが少ない、伸びやかで細部を充分に引き出す音が気持よい。

オーレックス SC-77

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 パワーアンプ単体のテストには、コントロールアンプにマークレビンソンのLNP2Lを組み合わせているわけだが、ときに必要以上に音をこまかく浮き上らせるとさえ思えるLNPの音が、SC77と組み合わせると意外に起伏のおさえられて一様に均されたような音になる。そのことからSC77自体の持っている方向は、かなり客観的でおとなしい、ややスタティックな音質であることが想像できる。バランス的には重低音域がおさえぎみ。またステレオの音像は、奥行きを感じさせるよりも平面状にひろがるタイプだ。「オテロ」冒頭でも歪感はなくクリアーで混濁しない点は立派だが、総じて音は淡泊な傾向で、いわゆる音の深味や充実感をことさら聴かせるというアンプではない。