Category Archives: 国内ブランド - Page 25

ノリタケ NC-02, Ceramic Base

ノリタケのスタビライザーNC02、スピーカースタンドCeramic Baseの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Noritake

ジェルマックス JPC, CL-10EX, ALW-30, CHA-1

ジェルマックスのケーブルJPC、シェルリードCL10EX、配線材ALW30、ヘッドシェルCHA1の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Jelmax

マランツ Sc-1000, Sm-700

マランツのコントロールアンプSc1000、パワーアンプSm700の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Sm700

アキュフェーズ C-280

アキュフェーズのコントロールアンプC280の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

C280

ビクター SX-10 spirit

菅野沖彦

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 今さらのような気もするが、スピーカーというものは、物理情報を忠実に処理するハードマシーンという面と、感覚・情緒的に人の心を満たす個性的美学をもったソフトマシーンという二つの側面をもっているのが現実である。このことは、スピーカーの設計思想に始まり、それを使って音を聴くリスニング思想にまで一貫して流れており、オーディオの世界を多彩にいろどることになっている。そしてまた、考え方の混乱のもとにもなっているようだ。どちらに片寄っても十分な結果は得られないもので、この二面の寄り添い加減が、よいスピーカーとそうでないものとの違いになっていると思わざるを得ない。物理特性志向で技術一辺倒の思想のもとに作られたスピーカーが、音楽の人間表現を享受しようというリスナーの知情両面を満たし得るとは思えないし、同時に、変換器としての技術をないがしろにして、よいスピーカーができるはずもない。この二つの要素を1と0という信号に置き換えたとすれば、まさに、あの複雑な情報処理を行なうコンピューターのごとく、その組合せによってありとあらゆる性格を備えたスピーカーシステムができ上ることになるし、複雑なオーディオ・コンセプトにまで発展することにもなるのである。
 今回、日本ビクターから発表されたSX10スピリットの開発思想は、明らかにソフトマシーンとして、人の感性と情緒を捉えることを目的にしているように思える。その手段として、長年のスピーカー作りの技術の蓄積が駆使されていることはいうまでもないだろう。ユニットの設計からエンクロージュアの材質、加工・仕上げにいたるまで、このシステムには並々ならぬ努力と情熱が傾注されていることが解るのである。このような角度から、このSX10スピリットを少し詳しく見ていくことにしよう。
 まず、外側からこのシステムを見てみると、エンクロージュアは凝りに凝ったもので、材質や造りに、かなり楽器的な思想が見られる。つまり、バッフルボードはエゾ松 ──ピアノの響板に使われる材料──のランバーコアであり、天地および側板には針葉樹系のパーティクルボードを使う。表面材はヴァイオリンに用いられるカエデ材、そして、六面一体留めの構造、内部にはコントロールのきく響棒を採用するといった具合に、変換器としてのエンクロージュアの有害な鳴きに留意しながらも、美しい響きを殺すことを嫌った意図が明白である。また、SX10のマークは、24金メッキ仕上げのメタルエンブレムで、ピアノの銘板のように象眼式に埋め込み、さらに磨き上げるという入念なものである。全体の仕上げは19工程もの艶出し仕上げを経て、深い光沢に輝いているのである。カエデ材の木目を活かすために、このような色調が選ばれたのであろうが、その色合いはやや癖の強いもので、好みの分れる危険性をもっているようだ。
 ユニット構成は、3ウェイ・3ユニットであるが、SXシリーズでビクターが自家薬籠中のものとしたソフトドーム・トゥイーターとスコーカー、そしてコニカルドーム付のクルトミューラー・コーンによるウーファーが採用されている。もちろん、すべてのユニットは新たに設計し直されたものであり、従来の経験を生かしたリファインモデルといってよいだろう。各ユニットの口径は、ウーファーが32cm、スコーカーが6・5cm、トゥイーターが3・5cmで、クロスオーバー周波数は450Hzと4kHz、減衰特性は12dB/octに設定されている。ネットワークに入念な配慮と仕上げをもつのはビクターの特長だが、ここでも徹底した低損失化と低歪率化が行なわれている。
 このように、SX10スピリットは、ビクターのスピーカー作りの技術を集大成したものといってもよい。現時点でこれだけの情熱的な力作を作り上げた姿勢に、敬意を表したい。作る側のこうした誠意と情熱は、必ず受け手にも伝わるものである。仏作って魂入れず式のマスプロ機器が全盛の現在、この姿勢は実にさわやかだ。そしてまた、ともすると技術に片寄った志向が目立ちがちな日本のオーディオ界にあって、先述したハードとソフトのバランスの重要性を示す姿勢としても、大いに共感できるものだ。
 音は豊かであり、柔軟である。やや重くゴツゴツした感じの低音が気になるが、この程度の難点は、現在内外を問わず、どんなスピーカーシステムにも感じられる程度のものである。そして、この辺はユーザーの使いこなしによって、どうにでもなる部分なのだ。このSX10スピリットの快い質感こそは、ナチュラルなアコースティック楽器特有の質感に共通したものであり、こうしたスピーカー自体の素性こそ、使いこなしではどうすることもできないものだから、大変貴重なのである。弦楽器の中高音に関しては最も耳あたりのよいスピーカーの一つといってもいい。ヴォーカルのヒューマンな暖かさも出色である。
 SX10は、いかにも歴史の長い音のメーカーらしい企画である。ビクターの精神を象徴する〝スピリット〟という命名が、作り手の意気込みを表現しているのだろう。スケールの大きな再生音も、豊かさと力でその気迫を反映しているかのようだ。

ヤマハ C-50 + B-50

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 このスピーカーのもちあじをこのましくいかしていた。ひびきがみずみずしくあかいのがよかった。⑤のレコードではもう少しひびきにしなやかさがほしいと思ったが、ほかの4枚のレコードでの結果は、デリケートさにも力強さにもこのましく反応していて、ききごたえがあった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 このスピーカーの弱点をうまくおさえたならし方というべきであろう。総じてひびきがいくぶん重くなるところはあったものの、暗くくすんだ感じにならないところがよかった。⑤のレコードではこのスピーカーのもちあじがいかされていて、ふっくらとしたひびきに魅力が感じられた。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 ⑤のレコードでのチェロの音が太くきこえすぎるような傾向があり、その傾向が全体的にいえなくもなかった。②のレコードでの結果が、音のちらばり方の提示にしても力強い音の示し方にしてもすぐれていて、ベストであった。①のレコードでは弦のひびきがいくぶん硬すぎた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

マランツ Sc1000 + Sm700

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 このスピーカーのもちあじを目一杯示しているといった積極的ななりっぷりである。⑤のレコードなどではひびきに力がつきすぎているようにも感じられなくてもないが、提示がごり押しになることはなく、またひびきがぼてっとすることもない。いい意味での陽性の積極性があるためといえよう。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 このスピーカーじたいの力強い音に対する反応の不充分さをかなりの程度おぎなっている。しかしながら②のレコードでのバス・ドラムのひびきなどではつらいところがある。④のレコードであきらかにされる音楽の息づかいはなまなましい。音像は全体的に大きめではあるが……。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ⑤のレコードでひびきがいくぶん骨太になりすぎることを別にすれば、このアンプの陽性の積極性が充分にいかされている。②のレコードでのアタックの鋭い音などは力感にみちていて見事である。①のレコードではひびきのきめこまかさがいきている。4343のいいところがいかされている。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

デンオン PRA-6000 + POA-8000

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 たっぷりとして明るいひびきに魅力を感じる向きもあるであろう。よくみがきあげられた、しかも腰のすわった音である。⑤のレコードできけるようなひびきへの対応はかならずしもこのましいとはいいがたいが、①のレコードなどは堂々とひびかせて独自の迫力をうみだす。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 このアンプのもちあじであるところのみがかれた音がここでもいかされている。ここできける嫌味のないおっとりしたひびきはそのためのものと考えていいであろう。ただ、できることならシャープなひびきへの対応でもう少し敏感なところがあれば、さらにはえたであろうと思わなくもない。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 ②のレコードなどは独自の迫力を示す。腰のすわった見事なひびきというべきかもしれない。④のレコードできける声のなめらかさもこのましい。しかしながらここできける音は4343の音としてはいくぶん異色でル。迫力にとんではいるが、音場感の面で多少狭めである。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

パイオニア C-Z1a + M-Z1a

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 なめらかなひびきをきかせる。あかるく、あたたかいひびきである。いくぶん力強さの提示に不足がちではあるが、③のレコードでのベースの音がふくらみすぎないところにこのアンプのよさを認めるべきであろう。⑤のレコードでもひびきのデリケートさによく対応できている。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 総じて音像が大きくなりがちではあるが、ひびきにきめこまかさがるので提示がごり押しにならないところがこのましい。④のレコードで歌い手たちがマイクロフォンの近くでうたっていることをなまなましく示す。①のレコードでの弦のひびきなどは艶があって美しい。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 スピーカーに、あるいはソースにしなやかによりそうアンプとみるべきであろう。それぞれのレコードのあちあじをこのましくいかしていた。ただ、パワー不足ゆえであろうか、もう一歩踏みこんでの力感にみちた音を望みたくなる。全体的に音像は心もち大きめであった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

テクニクス SU-A8 + SE-A7

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 もう少しシャープな反応を示すアンプの方が、このスピーカーのよさをあきらかにするであろう。④や⑤のレコードでのひびきのやわらかさはそれなりにこのましいが、音にべとつきがなくもない。そのために音像が心もち大きめである。③のレコードはこのましかった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 ④のレコードではしたっ:ている人と人との間が狭く感じられた。わざとしらい今日朝刊の内のはこのましいが、総じてひびきがったりするので、いきいきした感じがあきらかになりにくい。①のレコードでは細部の音の動きがいくぶんあいまいになっていたのがおしまれた。
JBL・4343Bへの対応度:★
 このスピーカーの反応としては思いもかけぬ反応というべきであろうが、ひびきがたるんで重く感じられた。④のレコードではきわだって音像が大きかった。③のレコードでのベースの音もふくらんで本来の迫力を示しえていなかった。①のレコードでの結果がもっともこのましかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

エスプリ TA-E900 + TA-N900

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 いずれのレコードでもすっきりと提示されていた。いくぶんクールにすぎるかなと思わなくもなかったが、この示し方の「正確」さはやはり美点というべきであろう。しかしながら③のレコードなどではひびきの熱を伝えきれていなかった。音の距離を感じてしまうなり方とでもいうべきか。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ひびきの暗さが気にならなくもないが、バランスのよさが印象的であった。④と⑤のレコードでのきこえ方が、ひびきのきめこまかさによく対応できていて、このましかった。③のレコードでは迫力に欠けるきらいはあるとしても、まとまりがよかった。①のレコードでは遠近感もよく示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 過度にきらびやかになることをおさえて、JBLから品位のある音をひきだしたといっていいであろう。総じてひっそりとはしているが、みがきあげられたなめらかな音のこのましさがあった。いずれのレコードに対しても、それぞれのひびきの特徴をひかえめに示した。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

アキュフェーズ C-240 + M-100

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 音がこっちに向ってくるというより横にひろがる傾向があるようである。ひびきには多少の湿り気があり、そのために⑤のレコードでの音などは独自のなまなましさを示すともいえる。②、ないしは③のレコードなどは、この組合せに適していない。力強い音への対応でいくぶんものたりないところがある。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ごり押しにならないところは美点であるが、消極的にすぎるといえなくもない。①のレコードではひびきが音場的に横にひろがり、そのためかどうか、音の身ぶりが大きく感じられる。しかしながら音像そのものはかならずしも大きいとはいえない。ひびきは暗めである。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 4343でのきこえ方としては異色というべきであろうが、③のレコードでのベースの音がふくらみぎみであった。①のレコードではひびきが総じて重く感じられた。②のレコードは効果的にきかせはするものの、本来の力強さを求めるといま一歩といわざるをえなかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

パイオニア Exclusive C3a + Exclusive M5

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 みがきあげられた音をきかせた。①のレコードでのヴァイオリンの音には充分ななめらかさがあった。⑤のレコードでの三つの楽器の音色面での、さらに音場面での対比も十全であった。①のレコードでのトゥッティでさらに細部が鮮明になればいうことないのであるが。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ①のレコードでの遠近感の提示はすぐれていた。腰のすわった音をきかせはしたものの、③のレコードではスケール感にいくぶん不足する。④のレコードの音場は狭めだが、⑤のレコードではひろがりが感じられた。⑤のレコードでのヴァイオリンはしなやかでとびきり美しかった。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 すばらしい。①のレコードでのトランペットの直進するひびきの提示は見事である。その一方で④のレコードでは音が織りなす綾を立体的になまなましく示した。③のレコードでピアノによってたたきだされる和音には充分な重量感があった。それぞれのレコードの音の特徴をこのましく示した。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ケンウッド L-02A

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 よくぞこのスピーカーからこれだけ艶があってみずみずしい音をきかせてくれたと思わないではいられなかった。rrd きけた音はなによりもまず鮮度の高さで魅力があった。Aのレコードできけるホルンの音は力をもってひろびろとひびいた。きめこまかさにも不足していなかった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 刺激的な音をださないところはこのましいが、音像はいずれのレコードにおいても大きめであった。ただついに音の輪郭をぼけさせないところにこのアンプのよさがあるというべきであろう。しかもそれぞれの音の提示のしかたが積極的であいまいにならい。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 Bのレコードでのきこえ方はこれまでの中でもっともすぐれていた。三つの楽器のひびきのバランスもよく、力強い音の提示にもすぐれていた。ただCのレコードでは、たとえばヴァイオリンの音がいくぶんきつくなり、Aのレコードでも声が硬めに感じられなくもなかった。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

サンスイ AU-X11

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 すっきりときかせるところがよさというべきか。Aのレコードでのオーケストラの各パートのきこえ方などにしても大変に鮮明であった。ただ、Bのレコードではもう少し力強さが示されてもいいように思った。Cのレコードでは三つの楽器のひびきのとけあった感じがききとりにくかった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 Aのレコードのきこえ方がもっともこのましかった。オーケストラのひびきのひろがりをよく示し、声はなまなましかった。Bのレコードでのきこえ方はこのスピーカーの弱点を拡大して示した。Cのレコードでの三つの楽器のひびきとけあいは1000Mよりこのましく示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 総じてひびきが浅いときいた。したがって力強い音への反応はかならずしもすぐれているとはいいがたかった。ただそれぞれの音の特徴を鮮明に示した。レコードでいうとA−C−Bの順でこのましかった。このスピーカーでBのレコードのベースの音が適度にふくれたのは意外であった

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

オーレックス SY-Λ88II + SC-Λ99

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 大変にクォリティの高い音である。音ばなれがいいためか、独特のなまなましさがある。力のある音への対応はすぐれている。問題はやわらかい音である。⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソの音がまるでモダーン・フルートの音のような感じであった。音場的にはある程度のひろがりを示した。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ①のレコードでのきこえ方が思いのほか平面的であった。とるべきは④、ないしは⑤のレコードでのきこえ方であった。ひびきのきめこまかさがそこではいきていた。③のレコードではベースの音がふくらみ、総じて浅いひびきになっていた。ダイナミックな音には不向きな組合せというべきであろう。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 もう少しパワフルであってもいいようにも思うが、ここにはモデラートの美徳があるといえなくもない。ただ、④と⑤のレコードではひびきが硬くなりすぎる。⑤のレコードでのチェロなどは太くひびく。③のレコードでのひびきのバランスはこのましい。①のレコードでは画期の音色が鮮明に示される。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ラックス L-550

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 きめこまかさがあかるい音をきかせるところにこのましさが認められる。L530との差は決して小さくない。Aのレコードでのパヴァロッティの声のきこえ方などは大変にこのましかった。Cのレコードではチェロの音がいくぶんふくらみぎみであったが、問題にするほどではなかった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 Aのレコードではオーケストラのひろがりは示すものの、パヴァロッティの声は硬く感じられる。もっともこのましくきこえたのがCのレコードであった。チェロがふくらみすぎることもなく、三つの楽器のバランスもよくとれていた。Bのレコードでは総じて鋭く、力感の提示も不充分であった。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 もっともこのましかったのがBのレコードであった。コードをひくピアノの力強さがよく示されていた。Aのレコードでもさまざまなひびきをバランスよく示した。もう一歩の積極性が望まれるものの、ここでの強調感のないきこえ方はこのましかった。Cのレコードもすっきりきかせた。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ビクター P-L10 + M-L10

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 暖色系の音である。ごりおしにならない積極性がこのましい。そのために①のレコードでは大編成のオーケストラならではの迫力があきらかになる。ただ、総じて音像がふくらみぎみで、④のレコードでは子音の提示が弱くなっていた。ひびきにぎすぎすしたところがないのはこのましい。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 アンプの性格がスピーカーのもちあじをおさえこんでいるというべきか。たっぷりしたひびきが特徴的である。①のレコードでのオーケストラの音がまるでフィラデルフィア管弦楽団のように感じられる。③のレコードでは腰の低い音がきわだち、独自のなまなましさを示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ひびきをおしだす積極性はかなりのものである。①、②、③のレコードでは力強い音をこのましく示したが、④のレコードではNS1000Mの場合同様に子音が弱く、⑤のレコードではひびきのしなやかさに充分に対応しきれていたとはいいがたかった。音場的なひろがりでももう一歩と思わせた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

アキュフェーズ E-301

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 やわらかくしなやか音に対して反応がすぐれている。したがってCのレコードでのきこえ方などは大変にこのましい。Aのレコードでのオーケストラのひびきのひろがり方などなかなかのものである。Bのレコードではいくぶんもったりした感じになりがちである。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 総じて音像は大きめである。しかしながら暖色系の音はこのましい。もっともこのましかったのがCのレコードで、フラウト・トラヴェルソの音は大変になまなましかった。ヴァイオリンの微妙な音色の変化もよく示していた。Bのレコードは水ぶくれした音のきこえ方で、疑問を感じた。
JBL・4343Bへの対応度:★
 どうやらこのスピーカーとは相性がよくないようであった。Aのレコードでは弦も声もきつくひびいて、しなやかさに欠けていた。Cのレコードでも本来はしなやかに感じられるはずの音が筋ばっていた。フラウト・トラヴェルソの音はいつになく太く力をもってきこえた。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

エスプリ TA-E901 + TA-N901

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 ひびきがいくぶん煮つまった感じになったのはいかなる理由によるのか。③のレコードでは熱くるしい音場感になっていた。②のレコードでは音のエネルギーを目一杯おしだしているという印象であった。①のレコードでの重量感のあるひびきはききごたえのあるものではあったが……。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ともするとひびきが粗くなるようなこのスピーカーの弱点をうまくおさえてはいたものの、総じて音像が大きくなるのは気になった。④、ないしは⑤のレコードでの無理なくひろがるひびきはこのましかった。⑤のレコードではまた、やわらかいひびきの特徴も充分に示しえていた。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 重量感のある音への対応のよさからこのアンプの力量を判断すべきかもしれない。②、ないしは③のレコードで示された力強い音にはきくべきものがあった。しかしながらその一方で⑤のレコードではチェロが太くひびきすぎるきらいがなくもなかった。しなやかさより力強さの提示にすぐれていた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

パイオニア S-922II

井上卓也

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 S922は、パイオニア独自の新素材であるカーボングラファイトをウーファー振動系に初採用したパッシヴラジェーター方式採用のフロアー型システムであるが、S955IIIと同様な手法により大幅な改良を受けて、S922IIとして新発売されることになった。
 パッシヴラジェーター方式は、ドロンコーンをもつバスレフ型として、1935年に有名な音響学者H・F・オルソンによってパテントがとられた方式である。この方式は、ウーファー振動板と同サイズの振動板を、ボイスコイルと磁気回路を省いてエンクロージュアに取り付けて低域レスポンスを向上させるタイプで、ウーファーのエンクロージュア内側の音圧により振動板が駆動されるためドロンコーン(怠けもののコーン)方式という別名がある。
 ユニット構成は、低域に26cm口径、中域に6・5cm口径のコーン型ユニットを使い、高域に新開発ベリリウムリボン型ユニットを採用した3ウェイに、38cm口径バッシヴラジェーターを加えた方式である。
 コーン材料は、中域、低域、パッシヴラジェーターともにパイオニア独自のカーボングラファイト振動板採用で、低域はS922より20%磁束密度を向上した磁気回路、ガラス繊維強化積層ポリイミド・ボイスコイルボビン新採用で、耐熱性と弾力性を高め、さらに新開発ダイナミックレスポンス・サスペンション採用でリニアリティを向上、高耐入力、過渡特性に優れ、解像度の高さが特長である。中域は低域同様のボイスコイルボビン材採用。高域はリボン材料の変更が主な改良点だ。
 バッシヴラジェーターは、低域ユニット口径より大きい38cm口径採用が特長で、同口径振動板を使うタイプに比べ重低音再生を狙った設計で、オルソンの方式を発展させた、近代スピーカーシステムによく使われるタイプである。ここでの改良は、コーン支持部のワイヤーサスペンション採用である。
 S922IIは、S922に比べシャープで引き締まったソリッドな音が目立つ。低域はパッシヴラジェータ一方式としてはタイトで、ローエンドでパッシヴラジェーターが効果的に働く。中域はクリアーでコントラストがクッキリとつき、高域は華やかでシャープだ。表情は少し硬いため、柔らかく伸びやかなアンプの併用が決め手だろう。

サンスイ AU-D907F EXTRA

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 いくぶん硬質な音ではあるが、生気にとんだひびきには魅力がある。Cのレコードでのきめのこまかいひびきなどはすばらしく、音像的な対応も自然である。ひびきの細部にもぼやけたところがない。Bのレコードでもベースの音像が過度にふくらむようなこともなく、このましい。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 このスピーカーとの相性はよくないようである。Aのレコーでは声もオーケストラの音も硬すぎる。Bのレコードでは音像がふぐれすぎるために、鮮明さがそこなわれている。Cのレコードではチェロが過度に大きくきこえる。総じてぼてっとして重い感じになっている。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 Aのレコードでのオーケストラのひびきには迫力が感じられるものの、ひびきの硬さが気になる。Bのレコードのきこえ方がきわだってすぐれている。ピアノによる強い音への対応などまことに見事である。Cのレコードでは積極的に音が前にでてくる分だけ音像が大きくなっている。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

オーレックス SB-Λ77C

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 Bのレコードのきこえ方がもっともこのましい。ピアノにしてもベースにしてもきりりとひきしまったひびきが特徴的である。輪郭の提示にすぐれ、ぼやけたところのないのがいい。Cのレコードにしてもひびきのにじみの提示はかならずしも十全とはいえないが、すっきりしたきこえ方はこのましい。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 Bのレコードで音像がふくらみすぎた。Aのレコードではパヴァロッティの声に硬さが感じられたものの、直進してくる声の力の提示はすぐれていた。Cのレコードではひびきのまろやかさによく対応できていた。ただ、チェロのひびきがいくぶん強調されぎみではあった。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 総じて力感にみちた音に特徴があった。Aのレコードでのひびきはスケール感にみちていて、奥行きも感じられたが、しなやかさの点でいくぶんものたりない。Bのレコードでの力にみたち音のきこえ方から、エネルギー感のある音の提示にすぐれたアンプといえるのかもしれない。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ヤマハ C-70 + B-70

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 C50+B50のお姉さんとでもいうべきか。ひびきの直進力に対する反応ではC50+B50の方がまさっているが、ひびきのひろがりということではこっちの方が上である。総じてほっそりした寒色系のひびきをきかせた。①のレコードでの細部の音の動きに対しての反応にはきくべきものがあった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 エネルギッシュな音の表現ではいかにもものたりない。であるからといってやわらかいひびきの提示できくべきものがあるかというと、かならずしもそうとはいいがたい。④のレコードなどでは妙にひっそりとして、ひびきとしての生気が感じとりにくかった。いかにも弱いという印象であった。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 ともするとひびきがきつくなりがちなこのスピーカーの弱点をうまくおさえているというべきであろう。②のレコードでパワフルになりきれないものたりなさは残るものの、低い方がふくらみすぎないところはこのましい。⑤のレコードであきらかにしたしなやかなひびきはこのましかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

オンキョー Integra P-306R + Integra M-506R

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 このスピーカーとしては異色のなり方をした。ひびきの湿度の高いのが特徴的であった。①のレコードでの各楽器のひびきの特徴の提示のしかたとか、④のレコードでの声のまろやかさの示しかたなどはこのましかったものの、力強いひびきへの反応にものたりなさを感じた。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 レコード③で示される音場がかなり狭く感じられた。⑤のレコードでのひびきのとけあい方はこのましかったが、ひびきが総じて暗くなるきらいがなくもない。②のレコードでのベース、ドラムスのひびきなどは本来の力を示しきれず、このアンプとスピーカーとの組合せの弱点をあきらかにした。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ⑤のレコードでチェロが太くおしだしぎみにきこえたのが印象に残った。①や②のレコードでの力強い音への反応もまずまずといえるものであった。④のレコードでの提示がこのスピーカーのものとしてはめずらしくひかえめであった。⑤のレコードではひびきがきつくなりすぎるきらいがなくもなかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用