サンスイの4チャンネルデコーダーQS1の広告
(スイングジャーナル 1970年9月号掲載)
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サンスイ QS-1
パイオニア S-70/IS
パイオニア E-1000
パイオニア E-1000
オンキョー MC3400
ソニー QR Stereo
アイワ TP-102S
岩崎千明
スイングジャーナル 8月号(1970年7月発行)
「SJ推薦ベスト・バイ・ステレオ」より
ズバリいおう。このカー・ステレオなら、本当のカー・マニアでも自分の車に搭載するのにためらうことがないだろうし、もしカー・マニアにしてジャズマニアなら、それこそ本当にカー・ライフにジャズがふんだんに取り入れられるに違いない。大いなる可能性が溢れているのである。
つまりカセットが実用的に使い得るし、自動逆転(オート・リバース)により今までの8トラックのカートリッジと同様に併用できるのだ。
さて、このことがどんな意味もをっているのか、今までのカー・ステレオをよく知っている者や、すでに8トラック・カー・ステレオを搭載しているカー・オーナーならばよく判っていただけるに違いない。つまり8トラックはたしかにカー・ステレオ用とし、車載を条件としたテープ・メカニズムを基に開発されたステレオなのである。これはこの目的範囲ですでに完成されている。とはいうものの、それを使ってもっとも不便を感じるのはマガジンの大きいことである。軽自動すなわち360c.c.クラスの日本の大衆車にとっては、このマガジンを10本ものせると1人分のシートが分捕られてしまう点である。さらに経済的な理由、つまり音楽テープが1巻2、600円前後と高価なため、ふんだんにというほど新譜をいつも買入れるわけにはいかないのも8トラックの大きなマイナス面だ。
テープ・メカニズムが今日のように大きく発展普及したのは、いつでも自分自身ですきなプログラムを録音でき得る点にあるのだが、8トラック・カー・ステレオだけはごく最近まで、録音するためのデッキが製品として市販されていなかったし、また現在市販されていても3万円以上で、かなり高価である。つまり8トラック・カー・ステレオは、プログラムとして必ずミュージック・テープをレコード1枚分よりぐんと高価であるにもかかわらず購入せざるを得なかったわけだ。
カー・ステレオにカセットが採用される可能性を論ぜられてすでにまる2年かなりの期間が経った。しかし、この2年の間にもカセット併用のカー・ステレオが製品として出たには出たが、実用価値は低く、使いものにならないような価値の認められないといってもよいものだった。つまりカセットでは往復動作が必要であり、左→右が終れば裏がえして左→右をもう1度プレイしなければならない。片面が終ったときテープはストップしたままであり、内部メカニズムを破損に導き得る危険があった。これをカーステレオではカセットを飛び出させるか、終了標示ランプで示すまでしかなかった。
アイワの新製品TP102Sは片面演奏終了と同時に自動逆転して、カセットを裏返すことなくプレイバックしてくれるのである。そして両面終了と同時にカセットが飛び出し、メカニズムは終了停止してくれる。
むろん8トラック・マガジンについては従来通りに自動演奏するし、自動チャンネル切換えや手動切換えもできるので変るところはない。
もう1つ注目してよいのは、8トラックのマガジンとカセットの挿入カ所がひとつであり、わかれていない点だ。当り前といえば当り前であるが、この当り前が今までなおざりにされていた点で、それを実現したアイワのテレコとカー・ステレオを作ってきたキャリアと技術を見ることができる。
手持ちのカセット・レコーダーでFMから録音したカセット・テープが、そのままカー・ステレオで聞ける。これこそ新しいカー・ライフを開くと評してよかろう。
製品の質的な優秀さもアイワの永いカー・ステレオのキャリアがあってこそ到達したものに違いない。力強い低音とシャキッとした歯切れよい高音、やや華やかであるが快適なサウンドもカー・マニアライクな明快さで快よい。
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