井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
大型なブックシェルフ型らしく、スケールの大きな、のびのよい低音をベースに、あかるく透明感のある中高音を聴かせてくれる。外観こそ、やや落着いてはいるが、音は楽しい。
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
大型なブックシェルフ型らしく、スケールの大きな、のびのよい低音をベースに、あかるく透明感のある中高音を聴かせてくれる。外観こそ、やや落着いてはいるが、音は楽しい。
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
2ウェイ構成、バスレフ型というダイヤトーンモニターの伝統を受け継いだ唯一のシステムである。バスレフ型独特ののびのある低音は個性があり、聴いていて実に楽しい感じだ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
旧製品のDS26Bと、ヒット作DS251の良いところをとって作ったという感じの構成だが、結果的には251の延長線上でのグレイドアップモデルという印象で見事に仕上がった。
岩崎千明
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
スピーカーを、このアンプほどよく鳴らすアンプはない。それも当然ダイヤトーンスピーカーを伝統とする三菱郡山工場の開発アンプなのだから。規格出力より大きなパワー感。
菅野沖彦
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
歴史的な日本のモニターシステム。良くも悪しくも日本的な優等生だ。低音の厚みと豊かさ、弾力性に筆者としては不満があるが、さわやかなタッチの美音だと思う。
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
大変に真面目な性格のスピーカーである。適合アンプは100Wクラスを要求するが、ある程度以上の音量で鳴らすときの音は、想像以上に豊かであり、活気のある見事さである。
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
名実ともにベストセラースピーカーシステムとして定評の高い製品である。整然と音を整理して聴かせる、このシステムの性格はダイヤトーンモニターの系譜を受継いだものだ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
その安定したバランスと、かっしりとした音像再現は、ソースの内容を過不足なく聴かせてくれる。実に忠実に変換器としての責任をしっかり果してくれる優秀器だ。
岩崎千明
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
ややおとなしいがこのプリアンプのオーソドックスなサウンドの中にある最新技術に裏づけされた透明感は、質の高さ以上に音に対する正当な姿勢の確かさを知ることができる。
菅野沖彦
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
ロクハンの代名詞をほしいままにした伝統的な製品で、Bは8Ωヴァージョン。明快でバランスがよくモニターとしても、鑑賞用としても高く評価できる。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
厳選した最少のパーツで最大の性能を抽き出そうという設計思想は2S305とも共通の性格。パワーメーターなど一切省略して実質を置いた性能本位の正攻法に好感を持つ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
モニター用として設計され、永いあいだ改良を加えながら作り続けられただけあって、さすがに完成度の高いユニットである。世界に誇れる16センチ・スピーカーだ。
岩崎千明
スイングジャーナル 12月号(1974年11月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
この秋の新製品の中でも文句なしの出来と認められているのが、このダイヤトーンの新型システムDS28Bだ。
ダイヤトーンは、言うまでもなく、初心者にとっては名作といわれる16センチ・フルレンジ型ユニットP610のブランドとして良く知られ、オーディオ・ファンとしてそろそろ判ってくると、これまた日本の名作スピーカーDS251という名のブックシェルフ・スピーカーのブランド名として忘れられない名前となっており、さらにマニア度が昂じてくると、今度はNHKで活躍し本格派にとって目標とされるモニター・スピーカー2S305のメーカー名として脳に叩き込まれる。
つまり、オーディオ・ファンのあらゆる層に対して、ほんの、しかもオーディオという事象が日本で始まった時から、僅かでも絶えることなく、偉大なるウェイトと輝きをもってファンの上に聳え続けてきた。こうした事実は、三菱電機郡山音響部というより、ダイヤトーン・スピーカーの実力の高さを示す以外なにものでもないのだが、メーカーにとってはかえって不幸となるべき要素も胎んでいるのである。3つのピークが永い年月を乗り越えてきたので、あまりにも大きく裾が広く、まさに壮大というほどの輝やかしいものだから、その他の峰はすべて霞んで、いかに光ろうと、目立つことがないからだ。
かつてDS301という画期的な名作ブックシェルフがあった。決して影の薄い商品ではないし、現在でも、そのマイナー・チェンジ版がDS303として確固たる座にあり、海外誌でしばしばこのうえなく誉め讃えられてきた。にもかかわらず、DS301やDS303は果してDS251ほどの人気を持っているかというと、答えるまでもなく、P610と、251と、305の輝きの下で霞んでしまっているとしか形容できないのである。まだある。DS36Bというフロア型ともいえそうな大型ブックシェルフ・スピーカー・システムが、一部のファンの間で熱愛されているが、これまたDS251の前には商品としてすっかり薄れてしまう。つまり余りに3つの印象は大きく強烈なのである。そうした内側の問題ともいえそうな3つのピークは今秋遂に打破られた。そう言っても言い過ぎではなかろう。それは時間が証明するだろう。
かくて、DS251以来の、それ以上の出来をささやかれ、認められつつあるこのDS28Bは、今後のダイヤトーンの最も主力たるスピーカー・システムとなるであろうことは、まず間違いない。というのは、今やコンポーネントの一環としての、市販スピーカーは、ひとつの価格水準として、ほぼ4万前後がオーディオ・ファンの最も多くから認められる最大公約数といえるからである。もっとも、そうした最近の状況をよくわきまえた上で企画されたのがDS28Bであり、その成功を獲得するための、あらゆる条件を究めつくした結果と言うこともできる。
28Bは一見したところ、従来のダイヤトーン・スピーカーとはまったく異って、現代的なセンスに溢れる。まるで海外製品のようだ。更に前面グリルをはずしても、それが言える。
あるいは全世界の製品中、最も秀れた外観的デザインと云われる米国JBLのブックシェルフと間違えるほどに、フィーリングが相似であるのは今までの三菱というメーか−を知るものにとり、その製品の武骨な外観を見てきたものにとって意外なほどだ。その次に音に触れると、それは感嘆に変わるだろう。なんと鮮明な、なんと壮麗で豪華なサウンドであろう。そこにはブックシェルフ型というイメージはまったくない。もっと10倍も大きなシステムからのみ得られる、深々とした重低域の迫力と、歪を極端に抑えた静けきと、生命力の躍動する生き生きとした力とが、まったく見事に融合して湛えられているのを知るのである。音のバランスは確かにDS251と相通ずるものがあるが、その帯域の広さと音のゆとりとの点で一桁も二桁も高い水準にあり、DS251たりといえども28Bとは比べむべくもないほどだ。音像の確かさと広いステレオ感などとやかく言うこともあるまい。必ずや28Bは251を軽く凌ぐ人気と実績をものにするだろうから。
井上卓也
ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より
パワーアンプが自己の存在を主張し、フロントパネルをメーターなどで装う傾向が強いなかにあって、このアンプのように機能に徹したデザインはオールドファッションではあるが不思議に心をひかれる魅力がある。音の隈どりがナチュラルでローレベルの音の消え方が美しい。現在ではアンティーク化したと感じた往年の名器マランツ♯7に精気をよみがらせ、新しい原題の音の魅力として私に教えてくれたのは、このアンプなのだ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より
どことなくマッキントッシュやその類型のイメージが拭いきれなくて無条件にとはいえないにしても、ある種の凄味を感じさせ、ハイパワーアンプとして良いまとまりをみせている。この系統には管球式ではダイナコのMKIII、ラックスのMQシリーズや、トランジスターではC/Mラボの35Dなどのすばらしくチャーミングなデザインもあって、三菱だけが抜群という意味ではない。ペアになるプリはデザイン、性能とももう一息。
岩崎千明
スイングジャーナル 5月号(1974年4月発行)
「AUDIO IN ACTION」より
●アンプはパワーが大きいほど立上り特性がよくなるのだ! だからジャズには……
アンプの出力は大きいほど良いか? はたまた、必要性のないただただぜいたくなのか?
そうした論争や、論説はいいたいやつにいわせておけ。オレは今日も午前中いっぱい200ワット出力のアンプをレベル計がピクンピクンといっぱいに振り切れるほどの、ドラムの響きに身をまかせ切っていた。
一度でもいい。キミも、大出力論争をやっているひまに、ほんのひとときを100ワット級のアンプで鳴らす空間にその身をさらされてみろ。一度でもハイ・パワー・アンプの洗礼を受けたが最後、ジャズを愛し、断ち切れないほどのファンなら、だれだって必ずやその虜になるぞ。必要ない、なんてうそぶいていたのは、実は、望んでも達せられないための、やっかみ半分のやつ当りだっていのうを、ひそかに思い当るに違いない。
ハイ・パワー・アンプから繰り出されるこの上なく衝撃的なパルスは、現代に息吹く若者にとってあるいは麻薬の世界にも例えられるのかも知れない。一度覚えたそのアタックの切れ込みのすざまじさは、絶対に忘れられっこない経験として耳を通してキミの大脳にガキッと刻み込まれてしまうのだ。もうそれを消そうと思ったって薄れることすらできやしない。それどころか、口でけなし、あんなのはだめな音と、どんなに思い込ませようと努力したところで、逆にますます強く求めたくなってくるあこがれにも近い感情を内側でたぎらせてしまうだけだろう。
恋の対象を初めて見かけたとき、それは少しも変りやしない。だから、ジャズ喫茶でスピーカーの前には、すべての環境から遮断されたマニアックなファンが少なからず、首をうなだれてサウンドにひたり切っているのだ。
スピーカーは、例え小さくても良い、そのすぐ前で座ろう。プレイヤーは今までのでもいい、カートリッジの質さえある水準以上なら。
ステレオの心臓はアンプだ。電気信号に変えてエネルギー増幅する、それがアンプの真髄。だから、アンプはきのうのより大きくしてみよう。2倍じゃなまぬるい。4倍も6倍も、いや10倍の出力のアンプなら一層結構、大きければ大きいほどいいのだ。それがたとえ借り物であっても、仮の姿でも、いつかはキミの所有になるはずだ。
大出力のよさを身をもって知ったならば、もう逃れられっこないのだから。良さが判ればキミのステレオの次の標的として、大出力アンプは、大きくキミの前にほかの目標を圧して立ちふさがるだろう。キミはそれに向かって猛進するだけだ。100ワット/100ワットのジャンボ・アンプに向かって。
ソニー TEA-8250
後から鳴らしたFETアンプのおかげでソニーのハイパワー・アンプはスッカリ形が薄れてしまった。けれど、1120のデビューのときの音そのものの感激がこのハイパワー・アンプ8250でもう一度思い出された。「あくまで透明」なサウンド。それは非情といわれるほどで、アタックの鋭さは正宗の一光にも似る。以前より低域の豊かさが一段と加わっているのは、単なもハイパワーのなせる所だけではないかも。
ソニー TA-8650
20種にあまもハイパワー・アンプを並べたこの夜のSJ試聴室。編集F氏Sくんを含め、むろんこのオレも一番期待したのがソニーのこのFETアンプだ。球の良さをそのまま石で実現したといういい方は、気に喰わないというより本当にして良いのかという半信半疑からだ。
その不安も、まったくふっとんでしまつたのだ。なるほど確かにハイパワー管球アンプの音だ。このFETアンプ8650に最も近いのは、なんと米国オーディオリサーチ社管球アンプだったから。
低域の迫力の力強い響き、プリアンプのような超低域までフラットだが力強さがもうちょっと、なんていうのがFETアンプではうそみたいに直ってしまう。中声域から高域の力に満ちた立ち上りの良さプラス華麗さも、石のアンプのソッ気なさとは全然違う。
こうしてまたしてもソニーは、アンプにおいて1120以来の伝統よろしくオーディオ界のトップに出た、といい切ってよかろう。製品が出たら、まっさきにオレ買おう。
オンキョー Integra A-711
711はなんと20万を越す名実ともに一番高価なインテグレイテッド・アンプだ。しかし、音を聴けばそれが当然だと納得もいこう。ローレベルでの繊細さと、ハイパワー・アンプ独特の限りない迫力とを見事に融合させて合わせ持っている数少ないアンプだ。音の特長は、……ないといってよい。ない、つまり無色、これこそアンプメーカーの最終目標だろう。オンキョーのアンプがずっと追いつづけた目標は、このアンプではっきりと捉えられていよう。
オーディオリサーチ SP-3 + Dual75
かつてマランツ社で真空管アンプを設計してたっていう技術スタッフが集まって興したのがこのメーカー。だからトランジスタ・アンプ万能の今日、その栄光と誇りはますます燃えさかり、このどでかいアンプを作らなければならなくなったのだろうか。なにしろ75/75ワットという実効出力にも拘らず、200ワットクラスの石のアンプとくらべても一歩もひけをとらず、それどころかサウンドの密度の濃さは、どうやら石のアンプでは比すべくもない、と溜息をつかせる。
SAE Mark 1M + IV C
ロス周辺の新興エレクトロニクス・メーカーと初め軽く受けとっていたが、どうしてどうしてこの4年の中に、オーディオ界ではもっとも成功を収めたアンプ・メーカーだ。それだけに製品の完成度の高さと漉さは、抜群だ。プリIMと接続した状態で端正で品のよいサウンド。数あるトランジスタ製品中ベストの音色をはっきりと知らせたあたり、実力のほどをもう一度思い知らされろ。個性的でスッキリしたデザインはサウンドにも感じられる。
Lo-D HMA-2000
やっぱり日本産業界切っての大物「日立」、やることが違う。というのがこのアンプのすべてだ。果しなくパワーを上げていくと、遂に突如、ひどくなまってくるのに慣らされた耳に、このアンプは不思議なくらい底知れずのパワー感がある。つまり音が冴えなくなる、という限界がないのだ。それはテクニクスに似てもっと耳あたりのよいサウンドの質そのもののせいといえる。日立のオーディオ界における新らたる実力だ。
フェイズリニア 700B
そっけないくらいの実用的ハイパワー・アンプ。350/350ワットで700ドル台、日本でも40万円台と類のないハイCPのスーパー・アンプだ。今度バネルレイアウトを一新して、マランツ500そっくりのレベルメーターを配し、左右の把手のゴージャスな巨大さは、700ワットという巨人ぶりを外観にのぞかせたグッドデザイン。音はそっけないはどさっぱり、すっきりしているが、底ぬけのハイパワーぶりは低音の迫力にいやおうなしに感じられる。
マランツ Model 500
今日マランツ社には創始者のMr.ソウル・マランツはいない。しかし、マランツのソウルは今もなおマランツの全製品に息吹いている。それをはっきりしたサウンドだけで聴くものに説得してくれるのが、モデル500だ。250/250ワットのアンプながら、それはもっと底知れぬ力を感じさせるし、モデル15直系の、音楽的な中声域の充実された華麗なサウンドはちょっと例がない。しかも現代のアンプにふさわしい豪華さを具え、この上なく超広帯域だ。
ダイナコ Stereo400
なにしろ安い。アチラで600ドル、日本でも30万円で200/200ワットのジャンボぶり。すでに普及価格の高級アンプで定評あるダイナコの製品だけに前評判も高く、それらの期待に充分応じてくれる性能とサウンド。高音域のおとなしい感じもいわゆるウォーム・トーン(暖かい音質)というダイナコ伝統のマニア好み。うるさいヒトほど惚れ込んでしまう、うまい音だ。ボリュームを上げて行くと、分厚い低音の確かさにも一度惚れ直す。
ダイヤトーン DA-P100 + DA-A100
ダイヤトーンのプリアンプの端正なたたずまいは、なにかマランツをうんと品よくしたといいたくなるような優雅さをただよわす。管球アンプを思わすパワー・アンプのゴツイ形態は、いかにもパワー・アンプだ。それはひとつの目的、エネルギー増幅の実体をそのまま形に表わした、とでもいえようか。このコンビネーションのサウンドはまた実に品のよいサウンドで、いかなるスピーカーをもこの上なく朗々と鳴らす。まさに、アンプはスピーカーを鳴らすためにある、ということをもう一度教えてくれるアンプといえそうだ。
100/100ワットと今や、やや小ぶりながらひとまわり上のパワーのアンプとくらべても聴き劣りしないのは充実した中声域にあるのか、あるいはその構成の無理なく単純化された回路にあるのか。あまりワイド・レンジを意識させないのに、深々と豊かな低域、すき透るように冴えた高域、なぜか手放せなくなるサウンドだ。
パイオニア Exclusive C3 + Exclusive M3
ズラリ並んだ国産アンプ中、スッキリとした仕上げ、にじみ出てくる豪華な高級感、加えて優雅な品の良さ。やはりパイオニアの看板製品にふさわしく、もっとも優れたデザインといえる。
このデザインは、サウンドにもはっきりと出て、品の良さと底知れぬ迫力とを同時に味わせてくれろ。やや繊細な音のひとつぷひとつぶながら全体にはゆったりとしたサウンドはこうした超高級アンプならではで、さらに加えて「パイオニア」らしいともいえようか。このM3にさらにAクラス動作50W+50WのアンプM4が加えられるという。A級アンプというところに期待と限りない魅力を感じさせる。待ち遠しい。
アムクロン DC-300A
ギラギラした独特のヘアライン仕上げのパネルは、いかにも米国製高級趣味といえようか。でもこのアンプの実力は、その製品名の示す通り、ラボラトリ・ユースにあり、直流から数100万ヘルツという超広帯域ぶり。ガッチリと引き締って、この上なく冷徹なサウンドが、なまじっかの妥協を許さない性能を示していも。米国でのハイパワー化のトリガーともなったこのDC300、今日でもずばぬけた実力で、マニアならマニアほど欲しくなりそう。
マッキントッシュ MC2300
ここでとやかくいうまい。SJ試聴室のスタンダード・アンプというより今やあらゆるアンプがハイパワー・アンプとしての最終目標とするのがこの2300なのだから。サウンドの管球的なのもつきつめれば、出力トランスにあり、このアンプのあらゆる特長となっているサウンドに対する賛否もここに集約されるが、誰もが説得させられてしまう性能とサウンドに正面切ってケチをつけるやつはいまい。
サンスイ AU-9500
黒くてデッカクて、やけに重いアンプ。山水の9500は75・75ワットっていうけれど、どうしてどうして、100/100ワットのアンプと互角以上にその力強い馬力をいや応なしに確かめさせてくれる。,
ECMのすざましいばかりのドラムは、このアンプの13万なんぼというのが信じられないはどに力いっぱい響いてくれる。SJオーディオ編集者のすべてが認めるこのジャズ向き実力はハイパワ一時代、まだまだ当分ゆるぎそうもない。
テクニクス SU-10000 + SE-10000
以前、SJ試聴室での試聴では保護回路の敏感すぎから、実力を知るに到らなかった10000番シリーズ、今宵はガッチリとたんのうさせてもらった。さすが……である。
なんとも高品質な迫力と、分解能の良さに改めて10000番の良さを確めた。一式95万と高価なのだからあたりまえといえなくもないが、金にあかして揃えられるマニアなら、やはり手元にぜひおきたくなるだろう。物足りないくらいの自然さは最終的なレベルといえるだろう。
スタックス
A級150/150ワットというそのメリットよりもスタックスの製品というところにこのアンプの意義も意味も、また魅力も、すべてがある。世界でもっとも早くからスタテック・イクイプメントコンデンサー・カートリッジ、コンデンサー・・スピーカーをファンに提供し続けてきたスタックス。数々の幻の名器を生んできたメーカーの志向がアンプの特長の根底にずっしりとある。サウンドは、それこそまさにコンデンサースピーカーのそれだ。加えてローエンドの底なしの力強さに惹き込まれて時間の経つのも忘れさせるワンダフルな機器だ。(発売時期末定)
ラックス CL350 + M-150
309のパワーアンプを独立させたのがM150。75/75ワットというパワーもそれを物語る。アンプの高級ファンをガッチリと把握している企画と音作りのうまさはM150でもっとも端的にはっきりと現われている。しぶいが落ちついた品のよいその外観と音。加えてソフトながらいかにも広帯域をと力強さにも感じさせるサウンド。物足りないといわれるかも知れないが、しかし飽きのこない親しさもまた大きな魅力なのだ。
ESS/BOSE
日本にはこれから入ってくるだろうと予想される話題のスーパー・アンプ2種。ハイル・ドライバーで一躍注目されてるESSのモデル500。みるからどでかくゴツい力強さを外にまでみなぎらせて、早く聴きたいアンプだ。
もうひとつはペンダゴン型ボックスのスピーカーで有名なボーズのアンプだ。これは品のよいスマートな個性で粧おいをされた豪華大型。インテグラル・システム100/100ワットで200ドルと安いのが早くも出てきおったぞ。
アキュフェーズ C-200 + P-300
国内製品では実力ナンバーワンを目されているのが、ケンソニックのP300だ。このところ目白押しの国内ハイパワー・アンプ。なんてったって世界市場を意識して企画され、価格を設定されたというところにこのケンソニックのすべての製品の特長と意義がある。つまりケンソニックのアンプは実力を世界に問うた姿勢で作られているわけで、逆にいえば世界のマニアに誇れる高性能を内に秘めてもってことになる。
事実、このアンプをマッキンと較べ、マランツと比べても、一長一短、ブラインドで聴かせれば、どちらに軍配が上がるか率は半々。透明度の高さ、中域の緻密さにおいて特にすぐれ、高域の明るさと、低域の豊かさにおいて聴く者を魅了してしまう。
プリアンプC200のこの上なくナチュラルな音に、P300の良さはますます高められて国産ハイパワー・アンプの大いなる誇りを持つものにじっくりと味わしてくれる。
かくいうこのオレも、P300、C200のスイッチを入れない日はなく、メイン・システム、ハークネスはP300のスピーカー端子にガッチリと固定され、ひんばんに変っていたアンプが変わる気配もない。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より
改良型のデザインはシャープで垢抜けしている。国産スピーカーの中でも良いデザインの方だが、外観もさることながら、従来は背面についていたレベルコントロールがバッフル面についたことの方が、ユーザーにとってはありがたい。というのは、この製品についているスーパー・トゥイーターが、レベルセットのスイッチを「インクリーズ」のポジションにした場合だけ動作して、音にピリッとスパイスを利かせ、「ノーマル」や「ディクリーズ」では切離されるという独特な設計であるだけに、その日の気分や聴く曲によって、ふつうのスピーカーの場合よりもいじる機会が多いからだ。ところでかんじんの音質だが、おおすじでは変っていない。28号の251のところで書いた中域の張りは最近のダイヤトーンの音のポリシィとしてむしろ強まっているし、中低域で箱の共鳴ふうの、(原因は違うかもしれないが)音をふくらませる性質も、目立って変ったようには聴きとれなかった。細かくみると良くなった点もある反面価格もペアで7千円上ってしまったので、価格ぬきで評価すれば28号とほぼ同点だが、綜合評価では0・5マイナスということになった。
周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆
総合評価:☆☆☆
瀬川冬樹
ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より
発売以来三年あまりというのは国産では寿命の長い方だが、内外の新型のあいだに混じると少々古い感じの音に聴こえる。前回(本誌23号)聴いたものと印象が少し違って、ことに女性歌手が老けて聴こえ、はつらつとした生気を欠き情感や色気が出にくい。中低音から中音にかけての音域に重点を置いて、音楽の土台はしっかり支えている反面、中音域では音の薄いところがあり、またDS251などとくらべるとスーパートゥイーターがさほど効ているように思えず高音域のレインジがせまく感じられるためか、ソロ・ヴァイオリンの高域の張りつめた響きが冷たく切れこんでゆく感じ、弦合奏のハーモニクスがふわっと浮く感じ、シンバルやスネアの乾いてスキンのよく張った感じ、などが出にくく、ことに音量を絞った場合に総体に粘ったような重い鳴り方をする。パワーを思い切り送り込むと様相は一変して音離れの良い、よく張って切れこむ音質になるがそういう長所を発揮できるのは、かなりのハイパワーアンプで音量を思い切り上げた場合に限られる。狭い部屋ではこの良さを生かすのは少し難しい。
周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆
総合評価:☆☆☆
瀬川冬樹
ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より
ダイヤトーン製品に共通の中音域のよく張った特徴を持っているにしても、その中では音のバランスに関するかぎり最もくせの少ない製品と聴きとれた。たとえば前号げてふれたDS26Bあたりの中域の張り出した音質は私には少々やりきれないほどやかましく感じられる場合があったが、22BRではそういうこともなく、すべてのプログラムを通じてあまり過不足を感じさせないうまいバランスを保っていた。ただしこれもダイヤトーン製品に共通の、高音域をある点からスパッと切る作り方は22BRでも同じらしく、少なくとも聴感上はハイがスッと延びているようには聴こえず、ステレオの音場の漂うような繊細感が感じられない。音の表情のしなやかさを出すというタイプでなく、生真面目に音をきちんと鳴らすという感じである。ことに弦の独奏や合奏では、音の芯の硬さがいまひと息とれてほしいように思う。パワーにはわりあい強いタイプで、ジャズの実況録音(”Live at Junk”)をかなりの音量で鳴らした場合も音がくずれたり濁ったりせずによく延びて、快適な音を聴かせてくれた。国産のローコスト型としては水準以上の立派な出来だと思う。
周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆
総合評価:☆☆☆
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