Category Archives: パワーアンプ - Page 25

マークレビンソン ML-2L

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

定格出力と聴感上のパワー感の常識をくつがえした超高級モデルだ。

QUAD 405

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

コンパクトでパワーがあり、反応の早い音は、これならではの魅力。

ヤマハ B-4

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現代のA級増幅の魅力の世界を聴かせる内容の充実した新製品。

マランツ Model P510M

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現在のリファレンスパワーアンプの座を維持する実力派の貫禄がある。

パイオニア Exclusive M4

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

A級アンプの独特な魅力の世界を開いたパイオニアとして貴重な存在。

アムクロン DC300A IOC

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ハイパワーDCアンプの元祖のような存在だが、前回のDC300Aまでは、たしかに音の力あるいはスケールは十分に鳴らす反面、ごく高域で粒子の粗くなる部分があって、どことなくザラついた印象が拭いきれなかったが、IOCになってそうした粗さは全く姿をひそめて、滑らかで十分に緻密で、反応が鋭敏でありながら音に冷たさがなく、充実した安定感のある大らかな音が楽しめるようになった。質感は乾いているのだがそれさえ聴き手に気持の良い感じを与えるということは、基本的にクォリティが高いからだろう。300Aまでのモデルは、アメリカではプロのモニター用に最も多く採用されている実績を持つが、IOCのような音になれば、鑑賞用としても価値が出てくる。

スレッショルド 400A Custom

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ドルビー(ただし一般的なBタイプでなくプロ用のAタイプ)をはじめとするノイズリダクションシステムを通すと、ヒスノイズを含めてそこにまつわりつく何かよごれっぽい雑音がきれいさっぱりと除かれると共に、極めてわずかながら音の余韻の最後のデリケートな響きをあるレベル以下できっぱり断ち切ってしまうようなところもあるが、400Aの鳴らす音には、そういう意味を含めて高級なノイズストレッチャー回路を通したような、とてもよく磨かれた汚れのないクリアーなイメージがある。一種人工的な美しさといったらいいだろうか。そしてさらに、総体に音を引き締めて鳴らす。これはかなり個性的な音で、他に類のないアンプだ。

スレッショルド CAS1 Custom

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 兄貴分の400Aのかちっちりと引き締った音と較べると、CAS1の音はスケール感や密度の点では多少聴き劣るが、反面、しなやかさが増してきて、音のひびきにゆとりがあって、そのためかニュアンスの再現はこちらの方が好ましく聴こえるところがある。むろんそれは同じメーカーのカラーの中での話で、本質的にはスレシュオールドというメーカーの音には、どこか生真面目な面があって、ひとつひとつの音をやや慎重につみ上げてゆくような、したがってそこにもう少し自在さが出て欲しいと思わせるような感じが残るが、公称出力よりも実感としてはよく音が伸びて、中域から低域にかけてのほどよい充実感もあって、総合的になかなかいいアンプだという印象を受けた。

ルボックス A740

ルボックスのパワーアンプA740のサービスマニュアル
Revox_A740_Serv

ルボックス B740

ルボックスのパワーアンプB740のサービスマニュアル
Revox_B740_Serv

スチューダー A68

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 本格的なスタジオ仕様で、ローインピーダンスの平衡型インプットなので、入力回路に不平衡→平衡の変換アダプターを使って試聴したときと、不平衡のままで入力を入れたときとで、音の傾向が少し違う。まず平衡入力では、いかにもヨーロッパのプロ用らしく節度のあるバランスの良い音がする。かなり芯の硬いところがあるが、それは表面的な硬さではなく音像をしっかり支える力として、ひよわなところのない緻密な音を形造る。細部を目立たせるのではなく、やや大づかみに輪郭をかちっとくまどってゆく。不平衡入力にかえると、いくらかコントラストが増してクリアーな音になり、レインジの広がった感じになるが、本質的には抑制の利いた渋い良い音質だ。

スペクトロ・アコースティック Model 202

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 輸入品の100Wクラスのアンプとしては、価格もそれほど高くない。外観の造りをみれば贅を尽くした高級品ではなく、実質本位に徹した製品らしいことは容易に想像できるが、出てくる音を聴くかぎりは、ローコスト化のために手を抜いたというような感じはなくて、ローレベルでも滑らかによく磨かれて質感も悪くないし、切れこみのよい新鮮な印象で、音の密度にも不満はなく、ハイレベルでやかましくなったりもせず、要するにかなり良くできたパワーアンプであることがわかる。たとえば「オテロ」冒頭のオルガンの低い持続音も振動的な感じがよく出ている。価格の割に内容のしっかりした製品といってよさそうだ。

ヤマハ B-3

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 すでにBI、B2を発表して、ヤマハとしては三台目のパワーアンプだが、外観の全く変ったことにもあらわれているように、中味の改善も著しい。どういうプログラムソースを使ってテストしても、なにしろ時間をかけてよく磨き込まれ練り上げられたという印象の音で、一聴して際立つような切れ味の鋭さとか豊かさというものは感じられないが、実に透明感の高い、滑らかで、しなやかで、耳当りはやわらかいが決して音の輪郭をぼかすようなことのない上質の洗練された味わいを持っていて、長時間にわたって聴き込むにつれてそのよさがじわりと聴き手に伝わってくるという感じの、これはまさに本ものの良さだ。単体としても良いがC2との組合せもいい。

ビクター M-7070

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 モノーラルコンストラクションで、二台揃えると価格も相当だが、さすがに音の質感のよさ、緻密さはローコストアンプとは違う。が、おもしろいもので、コントロールアンプにマーク・レビンソンのLNP2Lを組み合わせても、出てくる音にむしろビクターのアンプの性格で聴かせてしまうという面からみると、かなり個性の強い音、といえそうだ。コントロールアンプの(EQ)7070のところにも書いたことと共通しているが、総体に音に明るい華やいだ光沢をつける。それも音全体にというよりも音の輪郭を細い光の線でいろどるという印象で、そのためにいかにも切れ味の鋭さが目立ってくるが、基本的な音の質の高さと透明さゆえにそれを必ずしも嫌味に感じさせない。

SAE Mark 2600

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音の透明感と表現力のずば抜けて優れたアンプだと思う。透明感という点でこれに勝るのは、マーク・レビンソンのML2Lぐらいのものだから、SAE♯2600はその点でわずかに負けても、どこか凄みのある底力を感じさせるダイナミックなスケール感と音の肉づきのよさで勝る。旧モデルの♯2500も含めて、低音の量感がこれほどよく出るパワーアンプは少ないし、ハイパワーでいながら高域のキメの細かいこと、ことに音量をどこまで絞っても音像がボケず、濁りもないこと、まさに現代の最上級のパワーアンプだろう。♯2500にくらべると、低域がややひきしまり、中〜高域の音色がわずかに冷たく硬質な肌ざわりになったところが、多少の相違点といえる。

ビクター M-3030

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 M7070と比較すると、これは価格も1/4になるのだからとうぜんかもしれないにしても、コントロールアンプの7070と3030の比較とよく似て、こちらはかなり音の切れこみの点で聴き劣りするのはやわをえないところか。ただ、コントロールアンプの場合は7070にくらべて3030が、やや時間を置いて聴いてもおそらくはっきりと聴き分けられるであろう程度の差のあったのに対して、パワーアンプの場合には、同時に聴きくらべれば、という程度の差には追い込まれていて、価格を頭に置いて聴くかぎりは国産として一応の水準には達している。欲をいえば7070のあのスカッと気持のいい切れ味や、彫りの深い立体感や透明感がもっと欲しいという感じ。

ルボックス A740

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 たとえば「オテロ」の冒頭のトゥッティを相当な音量で鳴らしても、それぞれのパートのあるべき姿で展開しながら決してわめいたり騒々しくなったりせず、一瞬のピアニシモではどこかひっそりした感じさえ与える。少しもギラつかないでしっとりと、どちらかといえば渋い感じのするところはヨーロッパ製品でなくては決して聴くことのできない音色で、そうした性格はことに弦やヴォーカルに長所を発揮してとても滑らかで品位の高い自然な音が楽しめる。といって、シェフィールドのパーカッシヴなエネルギー感や、テルマ・ヒューストンの黒人特有の声の艶とバックのコーラスを含めて聴きごたえのある音を出す。これはとても素晴らしいパワーアンプだ。

トリオ L-07M

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 コントロールアンプのL07Cとペアに設計された全く同時期の開発だけに、音の傾向は07Cととてもよく似ている。ひとことでいえば目鼻立ちくっきり型。音のコントラストをかなり際立たせるタイプ、といえる。どちらかといえばぜい肉をおさえる鳴り方で、中〜高域では骨細だが芯の強さがある。低音の鳴り方も07Cで書いたと同様に、ポップス系の場合には引き締めたよさが、音のダブついた感じのないしっかりした低音を快く聴かせる。クラシックの場合には、どちらかといえばバランスのとりかたのように思え、音量をおさえぎみで聴くときには、低音の量感というか豊かさがもう少し欲しく思われる。

トリオ L-05M

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 引き締った切れこみのよさ。いかにもプログラムソースに対する反応の鋭敏さを思わせる音は、どこか国産らしからぬ面さえ持っていて、かなり新しい感じのすぐれたパワーアンプだ。たとえば「オテロ」冒頭でも、十分に安定感を保ちながらひとつひとつの音の彫りが深く、ドラマティックな表情をとてもよく再現する。弦楽四重奏の四つの弦楽器も、バランスよく、芯がかちっとしていながらしなやさかもニュアンスもよく出る。総体にぜい肉をおさえた印象なので一聴してやや冷たい肌ざわりだが、無機的でなく、ブーミィなところがないがローエンドもよく伸びている。07Mのようなコントラスト過剰という感じがせずに、総じて07M以上の優秀機だと思う。

テクニクス SE-A1 (Technics A1)

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 一聴しただけではひかえめすぎる感じさえするおとなしさ、ひずみ感のないおそろしく透明でこまやかな美しい音。脂こさや過剰な肉づきを感じさせず、いくらか冷たい肌ざわりはどこか取り澄ました感じさえ与える。いかにも日本人ならではの繊細な神経が注意ぶかく作り上げた印象の音だ。だが外面のやさしさからは想像のつかないほど芯の強い面もあって、テストソースのすべてを通じて、どこまでパワーを上げても少しも腰のくだけることのないアンプは、A1を含めて内外を通じてほんの数機種しかなかった。基本的に持っている中〜高域にかけての線の細いところは、LNP2Lとは悪い方向の相乗効果になって聴こえる。また音の色あいの点でも互いに異民族という感じがする。

パイオニア Exclusive M4

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ナチュラルで、明るく安定感のある、伸びやかな音のパワーアンプである。
 聴感上での周波数レンジは充分に伸びており、バランス的にはローエンドとハイエンドが少し抑えてあるような印象である。定格パワーは50W+50Wと、現在の水準からはローパワーであるが、4343をかなり鳴らせるだけの実パワーがあり、音の粒子が細かく、表情がみずみずしく、かなり反応が早い音を聴かせる。とかくこのタイプの音は、スケール感が小さくなるが、M4は充分なスケール感がある。ステレオフォニックな音場感は、大変にスッキリと広がり、パースペクティブを充分に、音像をクリアーにナチュラルに立たせる。

パイオニア M-25

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 コントロールアンプC21とくらべると、格段に音のクォリティが高いパワーアンプである。聴感上での周波数レンジはかなりワイドレンジ型で、バランス的には、低域が豊かで柔らかく、,中高域から高域にかけて、滑らかで粒立ちがよく、スッキリと明るい音をもち、いかにも現代のアンプらしい伸びやかさがある。中域は、この種のパワーアンプ共通の、やや薄く密度不足の面があるが、音の反応が早いために、とくに問題とするほどのことはない。ステレオフォニックな音場感は、左右方向・前後方向ともによく広がり、音像定位もかなりクリアーに立つタイプである。リファレンスのLNP2Lとは少しミスマッチの印象である。

パイオニア M-75

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ガッチリと力強さを感じさせる、男性的なキャラクターをもつパワーアンプである。
 聴感上での周波数レンジは、ローエンドとハイエンドをシャープにカットしたかのような印象であり、バランス的には中域は量的に充分なものがあるが、低域は柔らかく軟調傾向が強く、中域以上ではやや粗粒子型で、ソリッドな音をもっている。
 トータルなバランスからみれば、リファレンスコントロールアンプLNP2Lとは、キャラクター的にかなりミスマッチのようで、より細やかでおとなしく、ソフトなコントロールアンプが応わしいようだ。パワーは充分に余裕があり、パイオニアのスピーカーではCS955がマッチしよう。

オンキョー Integra M-505

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 かなりオーソドックスなバランスの音をもつパワーアンプで、トータルの音のクォリティは、コントロールアンプのP303よりも、パワーアンプのほうが一段と高いようだ。
 スッキリと細やかな音で、エネルギー感、スケール感はさほど望めないが、トータルの音まとまりの良さが特長である。周波数レンジも広いタイプで、聴き込めば、中域の密度がもう少し欲しいことや、基本的に低域が甘く、中域以上がスッキリ型という音色の統一感でも問題も持ってはいるが、スッキリとまとまりよく音や音楽を聴かせる個性は、このパワーアンプの最大の魅力である。音場感は、かなりナチュラルに広がり、プレゼンスをよく聴かせるタイプだ。

QUAD 405

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 単体のテストでは、オリジナルのQUAD33との組合せ(その項参照)のときの、節度のある、渋い、しかし聴きようによってはどこか燻んだ感じの音と違って、一種清々しい新鮮な艶と、彫りの深い立体感が増してくる。いかにも清潔で余韻の美しい響きで、音像がスピーカーの奥に展開し、こちらに出しゃばるようなことがない。ただ、荒々しさやスケール感を要求するようなタイプの音楽の場合でも、そこをやや小造りに上品にまとめてしまうようなところがあるので、やはりクラシック中心に聴く人のためのアンプだろう。最近入荷した製品は、入力感度を調整できるようにしてあるため、従来のようにノイズを拡大するようなことがなくなって、使いやすくなった。