Category Archives: 井上卓也 - Page 31

ヤマハ C-2a

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 物量を投入し、多機能と高性能を追求した、いかにも高いアンプらしい音で貫禄を示したCIに続いて開発された、シャープな感覚のC2をベースにモディファイされた薄型コンロトールアンプの典型的な製品。第二世代のアンプらしく、内容の充実ぶりは、発売以来の歳月は経過しているが、新製品と比較をしても、安定感、トータルバランスの良さは見事なもので、それぞれのパワーアンプの性質を引出して聴かせる力量は見事だ。

ビクター A-X5D

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 A級増幅の低歪とB級増幅の高能率を両立させた独自のスーパーAクラス方式に加えて、新しくピュアNFB方式を採用した、実力派のプリメインアンプ。兄貴分のA−X7Dの安定感のある魅力もさることながら、このX5Dのシャープでキビキビとした反応の早い音は、このクラスのトップランクだ。伝統的な音場再生のセオリーにのっとった、ディフィニションが優れ、明快な音像定位と、パースペクティブの再現力は試聴上の本機のポイントである。

パイオニア S-F1 (S-F1 custom)

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
特集・「第3回《THE STATE OF THE ART 至上のコンポーネント》賞選定」より

 一昨年の全日本オーディオフェアに出品されて以来、約一年の歳月を経て発売されたS−F1は、現時点で考えられる最新の技術と材料を駆使し、スピーカーシステムのひとつの理想像を現実のものとした、まさに画期的な製品である。
 マルチウェイ方式のスピーカーシステムは、スピーカーとしての原型であり、一つの振動板から可聴周波数帯域全体を再生する、フルレンジユニットの性能の向上する目的から考えられた方式である。この方式は、現在のスピーカーシステムの主流の座を占めているように、その性能・音質は帯域分割の多い、2ウェイ方式より3ウェイ方式になるほど向上し、現実的なシステムとしては4ウェイ方式まで製品化されている。が、反面において、マルチ化が進むほど音源が分散しやすく、指向性の面で左右方向と上下方向の特性を揃えにくく、ステレオフォニックな音場感の再現性や音像定位の明確さをはじめ、聴取位置の変化による音質の違いなどでデメリットを生じることは、日常しばしば経験することである。
 この点では、各ユニットを同軸上に配置した同軸型ユニットが古くから開発され、業務用のモニタースピーカーをはじめ、コンシュマー用としても音像定位のシャープさというメリットが認められている。ユニット構成上は、歴史的に有名な3ウェイ方式のジェンセンG610Bが生産中止となったため、現在ではアルテックやタンノイの2ウェイ構成に留まるにすぎず、使用ユニットも、コーン型ウーファーとホーン型ユニットという異種ユニットの混成使用であるのが、同軸型としては問題点として挙げられる。
 今回のS−F1は、世界最初の同軸4ウェイ構成と、全ユニットを平面振動板採用で統一するという快挙をなし遂げた異例の製品である点に注目したい。
 平面振動板ユニットは、分割振動を制御するために一般的に節駆動を採用するが、このため駆動用ボイスコイルは巨大な寸法を必要とし磁気回路も比例して大きく、しかも同軸型とするためには、非常に複雑な構造が要求されることが最大のポイントである。つまり、磁気回路の占める面積が大きくなるために、振動板背面の空気の流通が妨げられるわけだ。
 現実には、低音と中低音用にストロンチュウムフェライト磁石を使う新開発直線磁気回路を、中高音と高音にはアルニコ7磁石を2個スタック構造に使う複合磁気回路を使用し、難問に見事な回答を与えている。ちなみに、低音用ボイスコイルは32cm角という巨大なものである。
 振動板材料は、ハニカムコアにスキン材を接着したサンドイッチ構造だが、コア部分のみにエポキシ系の接着剤を表面張力を利用して、接合箇所以外に接着剤のデッドマスをなくし、スキン材を直接貼り合せた独自の構造を採用している。このため振動系は超軽量であり、システムとして94dB/Wの高能率を得ている点に注目したい。スキン材は低音、中低音がカーボングラファイト、中高音と高音がベリリウム箔採用である。なお、低音と中低音は角型ボイスコイル、低音ボビンは平面性、耐熱過度が高い集成マイカを使用する。
 エンクロージュアは230ℓのバスレフ型で、重量68kgの高剛性アピトン合板製。仕上げは2種類用意され、ネットワークは各帯域独立配置で基板を使わない端子板配線と各帯域毎に最適の特殊な無酸素銅線を選択使用しているのが目立つ。なお、マルチアンプ端子は、これによる音質劣化を避けるため廃止されている点にも注目したい。
 S−F1は、平面振動板システムにありがちな振動板の固有音の鳴きが見事にコントロールされ、スムーズなレスポンスと立上りが早く、それでいて滑らかで分解能が優れた音をもち、前後方向のパースペクティブを見事に再現する能力をもつ。同軸型本来の特長を最大限に引き出した世界に誇れる製品である。

ラックス PD300

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 レコード盤とターンテーブルを空気により吸着一体化し、無共振化するバキュアム・ディスク・スタビライザーを採用したベルト駆動プレーヤーシステムを世界初に商品化し先鞭をつけたラックスの、第2弾製品が、このPD300である。
 プレーヤーシステムとしての基本構成は、トーンアームレス、各種トーンアーム用に用意されたアームベース別売システムだ。
 ターンテーブルは、直径30cmアルミダイキャスト製、重量3・5kg、表面には外周と内周部にシーリングパッド、内側シーリングパッドの外に空気吸入口を備える、軸受部は10mm径ステンレスシャフトと真ちゅう製軸受、超硬鉄ボールの組合せ。
 キャビネット構造は、脚部の高さ調整可能のサブインシュレーターとターンテーブル軸受部分とトーンアームベース取付部分とを非常に強固な一体構造で結んだブロックのメインシャーシに3個の大型のメインインシュレーターを組み合わせたダブルインシュレーター方式で、外部振動を遮断している。このメインインシュレーターは、天然ゴム、シリコングリス、スプリングを組み合わせたラックス独自の2段階制動式で、水平調整ツマミでターンテーブルの水平バランスが調整可能である。なお、別売のアームベースは厚さ8mmのアルミ削り出しで作られ、各種市販トーンアームに対応できるように4種類が用意されている。アーム取付穴はオフセットしているため、ベースを回転してカートリッジのオーバーハング調整が可能な構造を採用している。
 PD300の最大の特長は吸着システムである。これはコロンブスの卵的なユニークな発想のふいごの原理を利用した真空ポンプ使用でキャビネット前面のレバー操作で容易に吸着と解除がワンタッチでできる。動作は確実で、吸着状態を表示する表示ランプがレバーの横にあり、解除で橙色、吸着で青色に切り替わる。また、本機には、アンプに採用されたAC電源極性チェッカーが備わっている点も注目したい。
 トーンアームにSAEC WE407/23、ベースにTF−MTを組み合わせる。吸着は容易であり安定度、操作性ではむしろPD555をしのぐ印象がある。音は、価格帯としては安定感があり重厚な低域は特筆に値する。使いこなしのコツは速度調整の微調でサウンドバランスをとること。

Lo-D TU-1000

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 昨年のオーディオフェアに出品され、一部のマニア層の熱い視線を集めた注目のプレーヤーシステムである。
 プレーヤーシステムとしては、トーンアームレスタイプで、電源部はキャビネットから分離をした独立タイプである。
 直径33cm、重量6kgのアルミターンテーブルは、下面に特殊加工を施した特殊粘弾性体を充填した防振構造を採用。モーターは、重量級ターンテーブルを33 1/3回転時に1/3回転で定速に駆動できるだけの5kg・cmの高起動トルクを発生する新開発のストロンチウムフェライトマグネットをローターに使ったLo−D独自の磁気浮上式ユニトルクモーターを組み合わせている。
 新開発のモーターは、300極精密着磁をおこない磁気誘導全周積分方式により高い周波数で高精度の速度検出信号を取り出し、クォーツロック回路で安定度が高く、応答性の優れたサーボコントロールをし大慣性ターンテーブルと軸真円度0・1μの高精度軸受機構で、測定限界にせまるワウ・フラッター0・006%(WRMS/FG法)に達している。なお、モーターシャフトはDD型としては異例の直径16mm、特殊ステンレス鋼を熱処理をしたタイプを使い、磁気浮上方式はローター磁石とヨーク間の磁気吸引力がターンテーブル重量を打ち消す作用をし、実質的には軸受重量は1/3以下に軽減され、重量6kgのターンテーブルは2kg弱の重量に相当することになる。
 キャビネットは、特殊積層材使用80mm厚ソリッドタイプで、裏面を特首謀浸材でダンプした合金キャスト製パネルをパーティクル材及び粘弾性材多層構造の本体に固着した構造である。なお、アームベースは特殊合金製重量1・5kgで、加工が難しいため使用アームに合わせてLo−D工場で加工され直接送付される方式をとっている。
 TU1000にSAEC WE407/23を組み合わせる。聴感上の帯域バランスはナチュラルな広帯域型で、音色は適度に明るく滑らかであり、いかにも高級機らしい格調の高さが音に如実に感じられる。音場感はナチュラルだが少しパースペクティブを抑える様子だが、これも超高価格機との比較での差である。高性能と強固なメカニズムを併せもった聴感上でのSN比の高さに特長がある見事な製品である。

アントレー EC-30

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 ひとくちにMC型カートリッジといっても、設計ポリシーから分類すれば、インピーダンスを低く2〜3Ωにとり、出力電圧より出力電流を多く取り出すことを目的とした電力発電効率を重視したタイプ、インピーダンスを数10Ωと高くとり、出力電圧を多く出力電流を少くした、ややMM型などのハイインピーダンス型に近い電圧型のタイプ、その中間の数Ω〜20Ω程度の中間派と、ほぼ3種類が市販されているが、アントレーの製品はもっともMC型らしい低インピーダンス型である点に特長があり、本来は昇圧トランスを使って優れた性能を発揮するタイプだ。
 今回、トップモデルとして発売されたEC30は、アルミ合金シェル一体構造を採用し、ボロンカンチレバーとダイヤチップの銀ロウ接合、センダスト巻枠、パーメンダー削り出しヨークなどに特長がある。
 ET200トランスとの組み合わせた音は、力強くダイナミックな低域をベースとした鋭角的で見事な音を聴かせる。帯域はナチュラルなバランスを保ち、アコースティックな楽器のリアリティは特筆に値する。音の性質は、かなり正統派の優等生で抑制のきいた安定で真面目なタイプである。

オーディオテクニカ AT-34EII

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 カッターヘッドと相似形動作を設計ポリシーとする独自のデュアル・ムービングコイル型カートリッジのトップモデル、AT34を改良発展した同社のトップモデルである。構造上はシェル一体型のインテグレーテッドタイプで、主な特長はカンチレバーに先端0・2mm、基部が0・3mmのテーパード形状のベリリウムのムク材を使い、表面には耐蝕と制動を目的として0・3μm厚の金を真空蒸着して使用している。スタイラスは0・07mm角ダイヤブロック使用でAT34の0・09mm角より一段と小型化された。カンチレバーとの接着部分は銀蒸着を施し、セラミック系接着剤で加熱溶着し剛性を高めている。コイル部分はアニール銀銅線をバナジウム・パーメンダーコアに巻き、磁気回路はバナジウム・パーメンダーヨークとサマリウムコバルト磁石で磁気エネルギーは従来より30%向上しているとのことだ。
 試聴はAT650との組合せで行なった。従来のAT34とくらべ、音の粒子が一段と細かくシャープになり、分解能が向上した点が大きい変化である。テクニカらしい安定したサウンドと、トップモデルらしい安定度をもつ優れた製品だ。

リン Asak

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 ターンテーブルでの情報損失を重視した高性能33 1/3回転専用ベルトドライブ型ターンテーブル、LP12で特異な存在として知られる英国のスコットランドにあるリンから今回、同社初のMC型カートリッジ、リン・アサックが発売されることになった。
 この製品の特長は、カートリッジボディを剛体化し、トーンアームに強固に取り付ける目的で、可能なかぎり幅広いプロポーションを与えた点にある。これは、針先の振動がカンチレバーを介してボディや磁石を振動させる情報損失をトーンアームとターンテーブルのマスを利用して防止しようという構想に起因した必然的な結果らしい。
 発電メカニズムの詳細は不明だが、規格から推測すれば、コイル巻枠に磁性体を使った、いわゆるオルトフォンタイプのようで、インピーダンス3・5Ω、出力電圧0・2mVと発表されている。
 試聴はLP12とリン・イトックLVIIを組み合わせて行なった。スケールが大きく重厚な低域をベースに、適度に輝きがあり、コントラストがクッキリとついた中域から中高域が個性的である。ローエンドを適度にカットしたことによって得られる安定感が他にはない独特のポイントだ。

ADC Astrion

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 現在の軽質量、軽針圧型カートリッジの原型とも考えられるADC1をステレオ初期に開発し、一躍注目を集めたADCから同社のトップモデルとしてASTRIONが新しく発売された。
 発電方式は、当然、振動系外部に固定された磁石で振動系のミューメタルを電磁誘導し磁化してMM型と同様な動作をさせる独自のIM(電磁誘導)型である。ASTRIONは、カンチレバー材料にレーザー加工で作られたサファイアシャフトを採用した点が同社初のチャレンジである。硬度が高く、制御が難しい宝石カンチレバーを使いこなすために、振動系支持機構に新しくOrbitalピボットを開発して採用している。IM型独特のカンチレバー重心位置を振動系支点とするためには支持機構が重要な部分だが、ここではミューメタルの精度加工とS9サスペンションブロックという構造で見事に解決を与えている。
 聴感上の帯域バランスは典型的な広帯域型で、伸びた重低音は印象的である。音は滑らかで細かく、余裕のある穏やかさが目立つ。また宝石カンチレバーに聴取れやすい固有音はほぼ完全に制御され、現在市販されている製品ではベストの完成度をもつ。

KEF Model 105.4

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 KEFが、1976年夏のシカゴのCESでプロトタイプとして発表した105は、フロアー型スピーカーシステムに要求される技術的な要素を独創性のあふれたデザインにまとめあげた特異な存在の製品であった。今回、発表されたMODEL105・4は、105の子供に相当する位置づけにあり、より安い価格帯の製品でありながら、出力音圧レベルを向上。当然のことながらMODEL105の特長をすべて受け継いだ注目の新製品である。
 フロアー型のエンクロージュアは、内容積40ℓの密閉型。低音用と、上部に乗った独自のピークレベルインジケーター兼最適聴取位置を指示するリスニングウインドウ付の中音と高音用の独立した8・5ℓの密閉型エンクロージュアの2重構造を採用。上部の中・高音用は上下方向に首を振り、聴取位置の調整が可能の設計である。
 ユニット構成は、口径20cmのベクストレンコーン採用のB200ユニットを2個直列接続で使用するパラレル駆動ウーファーをベースに、口径11cmベクストレンコーンとPVCロールエッジ、直径25mmボイスコイル採用のB110スコーカーと、口径2・5cmドーム型T33トゥイーターの3ウェイ方式である。
 ネットワークは、この製品で最も興味深い点だ。その第一は、スピーカー入力端子直後に480μFの超低域カット用コンデンサーが使用してあることであり、その第二は、中音用の能率を向上する目的でローカット用Lを利用したオート・トランス方式である。その他、中音のハイカット以外はすべて18dB/oct型であることも国内製品と比較して変っている点といえるだろう。
 付属機構の主なものは、聴取位置に座り、視覚的にスピーカーの音の主軸をチェックするリスニングウインドウと200W入力時に点灯するピーク表示を兼ねたLEDインジケーターと過大入力保護用S−STOPプロテクターがある。なお、取扱説明書は詳細をきわめ、部屋の設置例やスピーカーコードの長さと太さの相関関係など親切なハウ・トゥが記されている。
 柔らかく伸びやかな低域をベースに少し抑え気味の滑らかな中域と繊細な高域がバランスしプレゼンス豊かな音が105・4の特長である。使用アンプは音場感の優れた現代型アンプが105・4のマストである。

セレッション Ditton 300

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 英国のスピーカーメーカーとして屈指の伝統を誇るセレッションの製品は、以前から、その独特の技術と穏やかで安定したサウンドをもつDITTONシリーズで高い評価を獲得しているが、昨年来、新しいシリーズ製品に装いを変えて置き換えられている。
 すでに、DITTON130、150それに200の3モデルが登場しているが、今回、この新シリーズの最上級モデルとしてDITTON300が発表された。これによって〝スーパー・ナチュラル〟サウンドと名付けられた新シリーズの全製品のラインナップが揃ったことになる。
 DITTON300の特長は、新シリーズ中で唯一のオーソドックスな3ウェイ方式を採用し、ベーシックトーンを受け持つウーファーに、口径25cmの専用ユニットを採用している点にある。
 使用ユニットは、高音用に、シリーズ共通に採用されており、口径2・5cmのトゥイーターとしては定評の高いHF1001を、中音用には、口径12cmのコーン型スコーカーを組み合わせ、クロスオーバー周波数は、4・5kHzと650Hzである。
 エンクロージュアは密閉型で、外形寸法状ではDITTON200よりひとまわり大きいが、内容積は同じ37ℓ、±3dBの再生周波数帯域では、低域で52Hzと発表され、5Hzほど伸びていることになる。
なお、出力音圧レベルは87・5dBで、英国製のシステムとしては比較的に高能率タイプに属する。
 DITTON300は、新シリーズのトップモデルらしい質感をクッキリと安定に表現する高級機らしい雰囲気を感じさせる低音に特長がある。帯域バランスは、中域の情報量がタップリとした、いかにも、3ウェイ構成らしい独特のバランスであり、他の新シリーズのシステムとは一線を画している。スピーカーシステムの基本的キャラクターは、英国の製品としては中域を含み、音にクッキリとコントラストをつけて、ストレートに聴かせるタイプで、サランネットを外して聴くと一種のモニターサウンド的傾向が明確に感じられる。聴感上の能率は実用上で十分のレベルにある。音色は低域が少し重く、暗い傾向があるが、力強さもあり安定感につながる。トータルバランスの優れた好感のもてる製品である。

フィデリティ・リサーチ XF-1

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 最近でこそ、ほとんどのプリメインアンプはMC型カートリッジをダイレクトに接続して使用できる機能を備えているが、MC型のファンにとって、最新のエレクトロニクス技術の粋を集めたヘッドアンプか、それとも古典的な昇圧トランスかの選択は以前から論議の集中するポイントであった。
 今回、空芯の純粋MC型カートリッジを作るメーカーとして独特の存在であるFRから、低インピーダンスMC型専用昇圧トランス、XF1が新しく発売された。
 FRの昇圧トランスは、1967年に民生用として初めてトロイダル巻線を採用したFRT3以来、独自の巻線機を開発して一貫してトロイダル巻線を使用している点に特長がある。この方法は鉄芯に同心円状に積層構造をしたリング型コアを使い、これに巻線をくぐらせて巻いたタイプで、信号伝達損失が一般型にくらべ少なく、低出力のMC型には最適の構造といわれている。
 XF1は、鉄心に厚さ0・005mmのスーパー・パーマロイ系の最新材料を何百層もラミネートした従来の同社製品の約4倍のボリュウムをもつ広帯域型を使用し、コア表面に特殊絶縁処理を施し密着巻に近く、コアのケーシングを除いた新方式を採用したトランスがポイントである。
 ステレオの左右チャンネルを同じケース内で取り扱うトランスの内部構造は、現実のトランスでは、優れたトランスそのものの性能を充分に発揮させるために不可欠の要素である。XF1では、入力系、トランスユニットとトランスのシールドドレイン及び出力コードを完全に左右独立構成として、左右チャンネル間の電気的、磁気的クロストークを極限にまで抑え、再生音的に優れたステレオフォニックな音場感を得ることに配慮されている。なお、トランスユニットは、それ自体の性能が高いほど外部誘導の影響を受けやすいため、ここでは78%パーマロイの4層積層シールドを使用している。
 XF1は、3Ω以下の低インピーダンスMC型専用トランスであり、一般的なバイパスを含むスイッチは全て高性能化のため使用されていない。FR7fやMC30などを使って試聴をすると音の表情は非情に細かく滑らかでナチュラルな反応を示し、それにトランス独特の力強さも加わった見事な音を聴かせる。やはり、低インピーダンスMC型はトランスに限るといった感想だ。

ナカミチ Nakamichi 1000ZXL

井上卓也

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 カセットデッキは、現在ではオーディオコンポーネントシステムに不可欠の存在となった。一部ではデッキ中心のコンポーネントシステムが愛用され、いわゆるカセット時代が到来し、その性能、音質ともにハイファイのプログラムソースとして充分に使えるだけに成長を遂げている。
 このカセットデッキが、オーディオのプログラムソースとして、あれほどの小型なカセットハーフと低速度ながら素晴らしい将来性を持つことを最初に印象づけたのは、昭和48年に発売されたナカミチ1000が登場したときであった。
 カセットデッキとしては異例に巨大な業務用ラックマウントサイズのパネルを採用した1000は、たしかに価格的にも異例なほど高価格な製品ではあったが、ダブルキャプスタン・スタガ一方式の走行系メカニズムとパーマロイ系のスーパーアロイを採用した独立3ヘッド構成をベースに、独自のヘッドアジマス調整機構、ユニークな3チャンネルマイクアンプ、リミッター機構などを備え、驚異的な性能と音質により聴く人を唖然とさせたことは、現在でも鮮烈な印象として残っている。
 当時、オープンリールを超した性能と音質といわれたが、確かに、3モーター・3ヘッド構成の2トラック19cm/secのデッキとの比較試聴でも、誰にも明瞭に聴き取れる優れた音質を1000は聴かせてくれた。
 それから4年後に発展、改良して登場した1000IIは、テープの多様化に対応してバイアスとイコライザー単独切替、アタックタイムを早くし、従来の−20〜+3dBから−40〜+10dBにレンジを拡大したピークレベルメーター、走行系の操作ボタンが機械的な押ボタン型から電気的なタッチセンサーに改良されるなどをはじめ、巻本的な走行系の中間プーリーの改良、耐久性を向上したスーパーアロイヘッド改良のステイブルレスポンスヘッド採用などかなり大幅な変更を受けた結果、聴感上でもよりナチュラルに伸びたワイドレンジ感と分解能の向上として聴きとれ、その内容が一段とリファインされた。
 しかし、時代背景として各社の開発競争の激化、とくに中級機から普及機ランクでの性能、音質が急激に発展し、高性能テープの登場とあいまって、1000が登場した当時ほどの格差は実感的に感じられなかった。世界最高のカセットデッキとしての座は不動のものではあったが、この第2世代の王者は完成度が高まった内容を持ちながら、印象度としてはさほど強烈なものではなく、いわば、安定政権とでもいった存在であったと思う。
 昭和53年になるとメタルテープの実用化が発表され、カセットデッキは激しい動乱の時代に突入し再スタートを強いられることになった。メタルテープの実用化に先だち、海外テープメーカーとも密接な関係をもつナカミチでは、早くからメタル対応モデルの開発が行なわれており、メタル対応デッキの技術開発は発表されていた。しかし、製品化はメーカーとしては比較的遅く、かつての1000の登場当時に似た、いかにもナカミチらしい凄さを感じさせた製品の登場は、1000IIのメタル対応機ではなくそれまでの500シリーズと700の中間を埋める位置づけにある680であった。
 この680の優れた性能とクリアーで抜けきった鮮明な音質は、またもやメタルテープ時代での新しいナカミチの独自の魅力を聴く人に印象づけた。680は、短期間のうちに自動アジマス調整機構を新採用した680ZXに発展し、670ZX、660ZXとでシリーズ製品を形成する。
 この時点から1000IIのメタル対応機の登場は時間の問題として噂され、すでに限界とも感じられる680ZXに、どれだけの格差をつけて登場するかが話題であった。
 今回、ベールを脱いで登場した1000ZXLは、第3世代のカセットデッキの王者の座に相応しい見事な製品である。
 フロントパネルのデザインは一新され、外形寸法的には、1000IIにくらべ高さが40mm低く、奥行きが103mm深くなり、重量は17kgから19kgとなった。ディスプレイ関係は大幅に充実し、相口径の操作ボタンがカラフルに照明され、全体に華やかな印象となったが、もっとも大きい変更点はカセットリッドで、テープが左から右に走行する標準型のタイプとなり、テープ残量が視覚的に確認できるようになったことだ。
 内容は完全に一新され、現時点での世界最高級機たるべく電子制御回路が多用されているのが特長である。代表的なABLE(アジマス・バイアス・レベル・イコライザー)機構は、8ビットのマイコンを使い、自動調整されたテープは−20dBの録音レベルで20Hz〜20kHz±0・75dB、18Hz〜25kHzで±3dBの特性となる超高精度の自動キャリブレーション機構である。また、最適MOLバランスにバイアスが調整される特長があり、手動でOVERとUNDERに切替可能だ。調整データはメモリー機構により、ノイズリダクションの情報を含みメモリー可能である。
 その他新しく5Hzの信号を使う30曲自動選曲、15ポイントコード化可能のRAMM、デジタルテープカウンターをはじめ、パラメトリック消去方式、共振拡散型走行系、クリスタロイ独立3ヘッドなどが特長である。
 1000ZXLは、異例に豊かで深々とした低域をベースとしたスケールの雄大な音である。これと比較すると、さしもの680ZXも大人と小人の対比にすぎず、またもナカミチはカセットの限界を一段と拡大した。

デンオン SC-5000

井上卓也

ステレオサウンド 56号(1980年9月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 デンオンのフロアー型システムは、古くはコロムビアブランドの時代から常にシリーズのなかに核時代を代表するモデルが存在していた。70年以降の最近の例でも、デンオンが輸入をしている米ボザーク社の大型システムの陰にかくれた印象があったが、41cm口径コラーゲンウーファーと中音及び高音にホーン型を採用したVSS8000、40cmコーン型ウーファーをベースに独特な音響レンズを持つホーン型の中音と高音を組み合わせたD9があった。
 今回のSC5000は、デジタル録音やダイレクトディスクに代表されるプログラムソース側の高性能化に対応すべく高能率、高耐入力、低歪率なスピーカーシステムを実現する目的で開発された新製品だ。その最大の特長は、High−M(高剛性)振動板を開発し採用した点にある。この新タイプ振動板は、低域用にはPタイプと呼ばれる、伝統的な紙の利点を最大限に活用し、特殊なリブ一体成型の特性ラミー繊維を木材パルプに配合し剛性を高めながらも軽量化が可能で、ピストン振動帯域を従来の約1・5倍の1kHzにまで高めたタイプを採用している。磁気回路は、直径220mmのフェライト磁石使用で低歪化がおこなわれ、直径100mmのボイスコイルの磁束密度は11、000ガウスを誇っている。
 15cm中域用と5cm高域用ユニットは、Tタイプと呼ばれる高弾性アラミド繊維織布を特殊樹脂で強化したコーン採用だ。磁気回路は中域用が直径140Mmフェライト磁石、高域用が直径120mmストロンチウムフェライト磁石採用で、それぞれ97dB、97・5dBとコーン型としては異例の高能率を発揮している。
 エンクロージュアは、側板が3種類の高密度パーチクル板をサンドイッチ構造とした35mm厚。他は25mm厚高密度パーチクルボード使用の185ℓのバスレフ型である。
 SC5000は、充分に余裕のある安定した低域をベースに比較的反応が速く、明るく軽快な音色の中域と高域がスムーズなレスポンスでつながるワイドレンジ型の音である。キャラクターが少ないため97dBという高能率ながら刺激的な感じがなく、ゆたりとエネルギー感のある音が聴かれる。アンプ、カートリッジに対する反応はかなり鋭敏で、固有のキャラクターの少ないタイプでないと本領が発揮されない。

ダイヤトーン DS-505

井上卓也

ステレオサウンド 56号(1980年9月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 ダイヤトーンのスピーカーシステムは、長期間にわたる放送用モニタースピーカーを主とした業務用機器での技術開発と実績を背景として、これをコンシュマーユースの製品開発に活かすという、他のメーカーにはない特長がある。
 業務用機器では要求される物理的な特性をベースに、高信頼度、高安定度が必須の条件である。たとえば、ユニット構造ひとつを例にあげても、同社の製品はコーン型ユニットを主とし、これにドーム型ユニットを中域、高域に配する手法が基本的である。振動板材質でも長期にわたり安定した性能を備え、充分に使いこなした紙がメインであり、高分子化合物のフィルムや金属などの採用は、むしろ例外的な使用ということもできるほど同社の設計方針は堅実である。
 今回発表されたDS505は、ユニット構成、新種振動板材料の全面採用、新型ネットワークなど、いずれの点からみても従来の製品とは一線を画した80年代の新システムともいうべき意欲的な製品である。エンクロージュアは完全密閉型を採用した大型ブックシェルフ型であり、同社の製品のなかでの位置づけは、小型、高密度設計をテーマとした高性能ブックシェルフ型の3桁のモデルナンバーをもつ、最初期のDS301、これに続くD303という、それぞれの時代に存在したブックシェルフ型システムのトップモデルを受け継ぐ同社のプレスティッジモデルである。
 DS301、DS303、DS505はともに4ウェイ構成である点は共通であるが、それぞれの時代のプログラムソースであるディスクの基本性能、それを再生するスピーカーシステムに対する要求の相関性から、4ウェイ構成のクロスオーバー周波数の設定には非常に興味深い変化があることに気付く。
 DS301が低域と中域のクロスオーバー周波数を比較的高い1・5kHzとし、それ以上を3ウェイ構成とした、いわば2S305のトゥイーター帯域を3個のユニットに分担させた高域重視の設計であったのに対して、次のDS303は、低域と中域のクロスオーバー周波数が約1オクターブ下った600Hzとなり、標準的3ウェイ構成プラス・スーパートゥイーターという設計に発展している。今回のDS505は、さらにクロスオーバー周波数が低く、350Hzとなり中低域と中高域が1・5kHz、中高域と高域が5kHzというブックシェルフ型システムとしては異例の本格的な4ウェイ構成に発展している。
 また、中域以上の振動板材質でも、DS301が紙系を主としたドーム型と超高域にメタルコーン型を採用していたのに対して、DS303では中域がフェノール系ダイアフラムのドーム型、中高域がパルプ系のドーム、超高域が軟質アルミのドーム型という材料の分散使用に変る。D得する505は、定位機中低域が数年前にダイヤトーンで開発し、製品に一部採用されたハニカムコンストラクションコーンのスキン材を改良し、新しくスキン材に芳香族ボリアミド系樹脂であるアラミド繊維で強化された可撓性レビンを特殊配合し、内部損失をもたせた新ハニカムコンストラクションコーンを採用した32cmと16cm口径のコーン型を使用している。
 一方、中高域と高域には、従来のドーム型の構造を抜本的に発展させた、ボイスコイルボビン部分とドーム型ダイアフラムを深絞り一体構造とし、 
これにサスペンション用のダンパーを接合した直接駆動型ボロン化ダイアフラムを採用している。ボロン化は、チタン箔を深絞り加工した後に、高温ボロン化処理をしたサンドイッチ構造の従来の方法とは異なるタイプで、全て社内で製造されている。
 その他、低域、中低域ユニットボイスコイルボビンを従来のポリアミドフィルムの約3倍のヤング率をもち、耐熱性、耐寒性が優れたポリイミドフィルムの採用、磁気回路のストロンチウム磁石と独自のニッケル系磁性合金を使った低歪磁気回路などがユニットで注目すべきところだ。
 エンクロージュアは、モーダル解析をベースに、ヒアリングをも加えて検討された完全密閉型であり、丈夫の中低域ユニット部分は独立した大型のバックチャンバーを備え、高音ユニットは、このバックチャンバー部分に取り付ける構造を採用している。ネットワークは、12dB/Octタイプだが、コイル関係の硅素鋼板を特殊樹脂で熱圧着積層した新タイプの採用、二重防振構造のポリエステルフィルムコンデンサーなどの主な素子を分散配置し、配線剤の無酸素銅化をはじめ、素子や配線の圧着方式によるワイヤリングをベースに新しい構想に基づくネットワーク理論の導入により、従来とは一線を画した低歪ネットワークとし、各ユニットの基本性能を充分に発揮できるように検討されている。
 DS505は、ステレオサウンドのリファレンスシステムで駆動したときに、従来には聴かれなかった広い周波数レスポンスとナチュラルなエネルギーバランス、全域にわたる高い分解能を示し、ここには、慣例的に持っていた、いわゆるダイヤトーンサウンドを感じさせるイメージはほとんど存在しない。
 とくに、各種ディスクの録音状況、製盤プロセスの優劣に対する反応はシャープでありマルチトラック録音でトラックダウンをしたディスクでは、エンジニアのテクニックが目に見えるように聴き取れる。また、使用コンポーネントに対する反応もシャープでアンプやカートリッジの得失をクリアーに引き出す。
 したがって、使用方法、使用条件によって、結果としての音はかなり変化をし、短時間の試聴では新世代のリファレンスモニター的傾向は把握できるが、にわかには、これがDS505の音と判断することはできない。それほど、異次元のシステムであるわけだ。

B&O Beogram4004

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 光学センサーによる電子制御フルオートプレーヤーの、世界最初の製品4002の改良モデル。リニアトラッキングアームにはMMC20EN付、ターンテーブルはベルトドライブ型、操作軽の変更の他に、リモートコントロールが可能になったことが、このモデルの特長。

パイオニア PL-50(L)

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 独自のSHローター方式モーターとオイルダンプ型のアームを採用したマニュアルプレーヤーで、型番末尾にLの付くタイプは、オートリフトアップ機構を加えた製品。音は穏やかだが安定感があり、各種カートリッジのキャラクターを素直に引出し聴かせる。

デンオン SC-307

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 デンオンのSC304以上のシステムは、デンマーク・ピアレス社と共同開発のユニットを採用した点が国内製品としてユニークな存在であり、国産ユニットとはひと味ちがったユニットのキャラクターを充分に引き出した独自のサウンドと完成度の高さはすでに定評が高いが、SC304/306につづき、今回SC307が第2世代の300シリーズの型番で発売された。
 ユニット構成は従来のSC107を受け継いだ3ウェイ・5スピーカーシステムだ。ウーファーは、25cmユニット×2のツイン駆動方式。軽量振動系で35cmウーファーに匹敵する振動面積をもち、
ユニット振幅が少なくリアリティが優れる特長をもつ。10cmスコーカーはフレーム一体構造のダイキャストバックチャンバー付で、裏面に制動材を塗布したノンプレスコーンとアルミボイスコイルボビン採用。トゥイーターは5cmコーン型のパラレル接続ツイン駆動だ。
 エンクロージュアは65・5ℓ密閉型。2種類のグラスウール、アルミ箔ラミネート型ブチルゴム制動、補強棧レス、ユニットは独自のサンドイッチ支持方式取付け。ネットワークは、コンデンサーは全て2個並列使用、種類はアルミ・プレーン箔電解、メタライズドフィルム型だ。
 本機はSC107に比較し、フラットな帯域感、素直な高域の伸び、粒立ちの細やかさなど完成度が格段に向上した。

サンスイ XR-Q9

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 独自の構想に基く、最適支持方式を採用したストレート型アーム。磁気検出型の自社開発クォーツロックDD型モーター、大型の3本のダイキャスト型脚部に吊り下げ構造を組み合わせた、ユニークなサスペンション方式のプレーヤーベースを備えた高性能フルオート機。

ダイヤトーン DP-EC3

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 光学センサーによる30cmと17cm盤の自動サイズ選択と速度、、ターンテーブル上のレコードの有無をはじめフールプルーフに使えるフルオートプレーヤーである。ナチュラルな帯域感と素直な音は常用するにふさわしい製品である。

ビクター QL-Y5

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 Y7とシリーズをなす最新のセミオートプレーヤー。トーンアームは、電子式ダイナミックバランス型で、針圧、アンチスケート、ダンピングは独立した調整ツマミで電気的にコントロールできるのが最大の特長。伸び伸びとした力強い音は、聴いていて大変に心地よい。

デンオン DP-40F

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 独自の開発による無接触式電子制御フルオート機構を採用したクォーツDD型プレーヤー。前面操作型でダストカバーを閉じたまま、レコード盤上の任意の位置に針先を落とせるポジションセレクター、電子式アンチスケートなどを備える。安心して使える中級機である。

ヤマハ MC-7

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 独特な垂直・水平発電系をもち、マトリックスにより出力を取出すユニークな構想によるMC型だ。力強く、ダイレクトな音は、このタイプ独特の魅力。

アントレー EC-15

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 MC専門メーカーらしいアントレーのヤング向けモデル。活気のあるフレッシュな表情とMC型らしい分解能の高い音はバーサタイルに使える。

ヤマハ P-750

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 低共振の左右対称ストレート型ARSアームがフレッシュな印象を与えるクォーツロックDDフルオートモデル。ヘッドシェルはネジで着脱可能であり、パイプ状をスライドする針圧ウェイとは大変に使いやすい。帯域感が広く、シャープでクリアーな音が特長である。