Tag Archives: XF1

フィデリティ・リサーチ FR-66fx, XF-1

フィデリティ・リサーチのトーンアームFR66fx、昇圧トランスXF1の広告
(別冊FM fan 33号掲載)

FR66fx

フィデリティ・リサーチ XF-1

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「MCカートリッジ用トランス、ヘッドアンプ総テスト(上)」より

 低インピーダンス専用のスイッチレス型トロイダル巻線採用の高性能トランス。
 聴感上でナチュラルに伸びたワイドレンジ型に近いレスポンスと、音の粒子のキメが細かく、滑らかに磨込まれた美しく爽やかな印象が特徴で、クォリティはFRT3Gより一段と高い。
 MC20IIとの組合せは、豊かに量感タップリに鳴る、低域から中低域をベースとした情報虜が多い音である。音色は暖色系で滑らかさがあり、楽器の固有音をかなり正確に鳴らす。
 FR7fとすると帯域バランスはナチュラルとなり、音色もニュートラルになる。素直に聴かせる分解能の高さ、ダイナミックで余裕のある表現力、ナチュラルに拡がる音場感のプレゼンスなど、優れたカートリッジの性能をフルに引出した音。

フィデリティ・リサーチ FR-7, FR-7f, XF-1

フィデリティ・リサーチのカートリッジFR7、FR7f、昇圧トランスXF1の広告
(別冊FM fan 30号掲載)

XF1

フィデリティ・リサーチ XF-1

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 最近でこそ、ほとんどのプリメインアンプはMC型カートリッジをダイレクトに接続して使用できる機能を備えているが、MC型のファンにとって、最新のエレクトロニクス技術の粋を集めたヘッドアンプか、それとも古典的な昇圧トランスかの選択は以前から論議の集中するポイントであった。
 今回、空芯の純粋MC型カートリッジを作るメーカーとして独特の存在であるFRから、低インピーダンスMC型専用昇圧トランス、XF1が新しく発売された。
 FRの昇圧トランスは、1967年に民生用として初めてトロイダル巻線を採用したFRT3以来、独自の巻線機を開発して一貫してトロイダル巻線を使用している点に特長がある。この方法は鉄芯に同心円状に積層構造をしたリング型コアを使い、これに巻線をくぐらせて巻いたタイプで、信号伝達損失が一般型にくらべ少なく、低出力のMC型には最適の構造といわれている。
 XF1は、鉄心に厚さ0・005mmのスーパー・パーマロイ系の最新材料を何百層もラミネートした従来の同社製品の約4倍のボリュウムをもつ広帯域型を使用し、コア表面に特殊絶縁処理を施し密着巻に近く、コアのケーシングを除いた新方式を採用したトランスがポイントである。
 ステレオの左右チャンネルを同じケース内で取り扱うトランスの内部構造は、現実のトランスでは、優れたトランスそのものの性能を充分に発揮させるために不可欠の要素である。XF1では、入力系、トランスユニットとトランスのシールドドレイン及び出力コードを完全に左右独立構成として、左右チャンネル間の電気的、磁気的クロストークを極限にまで抑え、再生音的に優れたステレオフォニックな音場感を得ることに配慮されている。なお、トランスユニットは、それ自体の性能が高いほど外部誘導の影響を受けやすいため、ここでは78%パーマロイの4層積層シールドを使用している。
 XF1は、3Ω以下の低インピーダンスMC型専用トランスであり、一般的なバイパスを含むスイッチは全て高性能化のため使用されていない。FR7fやMC30などを使って試聴をすると音の表情は非情に細かく滑らかでナチュラルな反応を示し、それにトランス独特の力強さも加わった見事な音を聴かせる。やはり、低インピーダンスMC型はトランスに限るといった感想だ。