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サンスイ SP-L250, SP-L150, SP-L100

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 サンスイのスピーカーシリーズにはLMシリーズ、JBLのモニターユニットを使ったモニターシリーズをはじめ、10万円をこした価格帯で注目されたGシリーズなど、かなりバリエーションが多いが、これに加えて、新しくるシリーズの3機種が発売されることになり、一段と製品群としての厚味が増加した。
 Lシリーズは、各社の製品がもっとも激しく競合する価格帯に投入されたシリーズであり、構成面からみればLMやGシリーズと比較して個性が少なく、オーソドックスな手法により開発されている点が、返って特長といえよう。ユニット構成は各モデルともにコーン型ユニットを使う2ウェイ方式であり、エンクロージュアはバスレフ型で角型のパイプダクトを採用している。
 ウーファーはコーンに西独クルトミューラー製のパルプを使い、エッジには方向性がなく、内部損失が多い発泡樹脂を熱成型したロールエッジを採用している。ボイスコイルは超偏平リボン線を使いエッジワイズ巻きとしたショートボイスコイル型で、巻幅が狭いため大振幅にも磁気回路内で余裕ある動作が可能で、歪が少なく能率が高い特長があり、ボビンは強度が高く音の伝播速度が速い耐熱性樹脂製であり、ボイスコイル部分以外のボビン部分には強度を高めるために同じ材質を使ったシートで補強がしてある。磁気回路はセンターポールに銅キャップを使用し、中央には通気用の穴が貫通している。マグネットはフェライト磁石で、L250の30cmユニットには外径156mm、L150の25cmユニットには外径145mm、 L100の20cmユニットには外径120mmの大型なタイプが採用されている。各ユニットともに駆動部分のボイスコイルとコーン氏との結合が強固であるため、ウーファーとしてはかなり高域特性が伸びた、いわばフルレンジタイプであり、トゥイーターとのクロスオーバー周波数の選択の幅が広い特長がある。
 トゥイーターはコーン型であるが、ウーファーと同様にワイドレンジタイプで高域限界は50kHzと発表されている。振動板はコーンとセンターキャップを一体成型して特殊な樹脂溶液の含浸処理をし強化してある。ボイスコイルはボビンに耐熱性樹脂シート採用で剛性が高く、高域特性を向上するためにメリットがあり、コーン紙との接着は新開発の特殊接着剤を使用している。
 磁気回路は、L250/150が外径90mm、L100が外径80mmのフェライト磁石を使用し、16、000ガウス以上の磁束密度を得て磁気回路を完全に飽和させ、ボイスコイルに流れる電流により発生する電流歪を防ぎ、音圧レベルと高域特性をも改善している。また、磁気回路の空隙をなくすためにプラスチック材を使い振幅が大きくなるf0付近の第3次高調波歪を改善している。フレームはダイキャスト製である。
 クロスオーバーネットワークは、コイルはダンピングと能率の劣化を防止するために、線径の太い線と大型ラミネートEI型コアが使ってある。エンクロージュアは、バッフル版が共振が少ない三層構造パーチクルボード、他の部分は比重が大きいパーチクルボードで、結合は三方止めとし、エンクロージュア全体を一体化している。
 Lシリーズのシステムは、かなり反応が早く、伸び伸びと音を出し、そのクォリティがもっともローコストなL100でも充分に高く、聴く音楽のキャラクターにより、高級機、普及機といった区別なく使いわけられることが特長である。スピーカーシステムの理論どおりに中域にもっとも密度があるのは20cmウーファー使用のL100であり、スケール感が大きいのは30cmウーファー使用のL250で、さしてシステムとしてのキャラクターが変わらず充分に基本をおさえ、巧みにコントロールされている。何れのモデルを選択してもかなり使い込める点は、このLシリーズの魅力である。