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マイクロ RX-3000 + RY-3300

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 最高級機の5000に続く第2弾の超重量級糸ドライブシステムだ。直径16mmの軸受部、10kgの砲金ターンテーブルの部とドライブモーター部の2ブロック構成で、ターンテーブル裏面と本体間のギャップは狭く、エアダンプ効果をもたせている。

マイクロ RX-3000 + RY-3300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/上級機の5000シリーズと同じように、レーシングマシン(さしずめF1か?)的な性格を持っているので、5000同様、使いこなし次第で良くも悪くも出る。ところで3000の場合、5000とくらべると駆動ユニットも、ターンテーブルの重量も、そのベースも、それぞれ大幅にコストダウンされているので、比較する前は、たとえばエクスクルーシヴのP3とP10のような差が出るのではないかと考えた。けれど、うまく調整ができてみると、価格や見た目の差から想像していたほどの大きな音質の差は出てこなかった。言いかえれば、これはいわゆるコストパフォーマンスが良い(5000と比較しての話、だが)ということになるのかもしれない。
 とはいうものの、むろん違いはある。たとえば重低音の量感。5000よりもごくわずかとはいえ、しかし決して無視できない程度に、低音域での量感が減る。5000の二連ドライブとでは比較するのは割が合わない気がするが、あえてそれとの比較でいえば、重低音でかすかに聴こえるような性質の音が、3000では「消える」とオーバーに表現したくなるような違いはある。けれどそういう音は、5000の二連ドライブのベストの状態でしか、聴けない音、ともいえる。AC4000MCを組合わせての試聴感でいえば、調整がうまく行った際の音質では、リンやトーンレスよりはむろん上廻るし、L07Dをも凌ぐ。ただ調整には多少のコツが必要。たとえば糸の結び目のところでのゴトンゴトンというノイズが、音量をかなり上げて耳につかないようにするには、糸の張り方(テンション)を相当入念に調整する必要がある。ユニットを置く台、その他については5000の項をご参照いただきたい。
●デザイン・操作性/5000ほどの重厚さのない点が好き嫌いの分れみちか。駆動ユニットの操作性は5000よりもやや良い。

マイクロ RX-3000 + RY-3300

井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 超重量級ターンテーブルユニットと駆動用のモーターユニットを組み合わせ使う糸/ベルトドライブ兼用アームレスプレーヤーシステム、RX5000/RY5500と同じ構想による新製品である。
 RX3000ターンテーブルユニットは、ユニークなデザインを採用したダイレクトドライブ方式のアームレスプレーヤーシステムDDX1000、DQX1000と同じく3本脚構造のデザインを受け継ぐ。ターンテーブルの回転による共振は、機械的強度、重量で吸収する設計である。設置時の安定性は高く、3本の脚部にそれぞれトーンアームが取付可能であり、場所的制約も予想以上に少ないという特徴がある。
 ターンテーブルは、銅85%、錫その他15%の合金である砲金製。比重や内部損失が大きく、直径31cm、重量10kgというヘビー級だ。フレームとターンテーブル裏側との間を凹凸型に加工し、このギャップ間の空気層でもターンテーブルの共鳴をダンプする構造を採用している点はこのモデルのみの特長である。直径16mmステンレス製シャフトは熱処理、研磨後、軸受と一対の組合せ鏡面仕上げされる。シャフトに接する軸受側は特殊ベアリング採用で、油膜に鉛の分子が均一に析出され、滑らかな回転を保てる特長がある。シャフトとベアリング間はオイルバス方式である。
 RY3300モーターユニットは、4極6スロット・アウターローター型サーボモーター使用で、ベルトと糸共用のプーリー付。糸はアラミド繊維製である。
 RX3000/RY3300に、オーディオクラフトのトーンアームを組み合わせて使ってみる。糸がけなどセッティングは手順を考えて行なえば比較的容易である。速度調整もストロボ板でチェックしたあとは、回転数の安定度は高い。RX5000/RY5500と比較すると、充実感は一歩譲るが、音色の明るさ、反応の速さではこちらの方が勝るようだ。重量級ターンテーブルの特長である緻密で内容の濃い、情報量の多い音は、並のDD型とは一線を画した独特の魅力で、カセットを聴いていてオープンリールを聴いた場合の印象と比較できる。置場所は剛性の高い台上がよく、ターンテーブルシート、スタビライザーなどは、ケース・バイ・ケースで試用するのが好ましい。