井上卓也
ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より
OMC38−15BQは、低域のダンプが適度であり、音の粒子はやや粗く感じられるが、ヴォーカルの子音を強調せず、スッキリとクリアーにコントラストをつけて表現する、オーソドックスなMC型の魅力があり、個性が表面的にあらわれない立派な音である。やや、全体の表情がリズミックでない面もあるが性質は素直で、音場感は拡がりがあり、音像はクリアーに立つタイプである。
OMC38−15AQは、15BQよりもおだやかなウォームトーン系の音である。中域はやや硬調で、ヴォーカルはハスキー調となりやすい。低域は15BQよりも量感があり豊かだが、密度は少し薄くなる。全体に音の輪郭はシャープではなく、線が太くなるが、純鉄がもつ独得の暖かさに似た印象があって落着いた雰囲気が感じられる。
最近のコメント