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ラックス MQ36

井上卓也

ステレオサウンド 50号(1979年3月発行)
特集・「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」より

 現在でも管球式アンプをつくりつづけているラックスには、それぞれの時代に名を残した名作が多いが、そのなかでも傑出した製品は、このMQ36をおいて他にないだろう。
 管球式のパワーアンプでは、パワー管とスピーカーのインピーダンスマッチングのために必然的に出力トランスを使わざるをえない。出力トランスの得失はあるにせよ、アンプの物理的な特性を向上するには、この出力トランスの存在が大きなネックとなり、出力トランスを使わないアウトプット・トランス・レスの方式がかなり以前のモノーラル時代から研究され、特殊なハイインピーダンスのスピーカーを前提として製品が海外で開発された例もあった。
 現在では、アンプがソリッドステート化され、OTL方式は当然のこととなり、逆に出力トランスを採用したパワーアンプのほうが例外的な存在となっているが、かつてはOTL方式は夢のパワーアンプとして考えられはしても、現実の製品は海外製品を含めて無にひとしい時代であった。
 MQ36は、管球式からソリッドステート式に移りかわる時代に、管球式パワーアンプの性能限界に挑戦するかのように開発された、同社トップランクのパワーアンプであるとともに、管球式パワーアンプの代表作としてデザイン、性能、音質を含めて、オーディオの歴史に残るラックスの最大傑作である。
 特殊双三極管6336Aを片チャンネルあたり2本をSEPP構成としたステレオパワーアンプで、物量を投入した回路構成もさることながら、シャーシーを含むパワーアンプのコンストラクション、オーバーオールのデザインなど、どの点をとってもパワーアンプの頂点に位置するものがあり、現在に生きている素晴らしい製品である。

ラックス SQ38FD, CL35II, CL350, MQ36, MQ60, MQ60 CUSTOM

ラックスのプリメインアンプSQ38FD、コントロールアンプCL35II、CL350、パワーアンプMQ36、MQ60、MQ60 CUSTOMの広告
(ステレオ 1972年11月号掲載)

Lux

ラックス CL350, CL35/II, MQ60, MQ60 Custom, MQ36

ラックスのコントロールアンプCL350、CL35/II、パワーアンプMQ60、MQ60 Custom、MQ36の広告
(ステレオ 1972年10月号掲載)

LUX

ラックス SQ38FD, CL35II, MQ36, MQ60, LX77, BOSE 501, 901, B&W DM-1, 70 Continental

ラックスのプリメインアンプSQ38FD、コントロールアンプCL35II、パワーアンプMQ36、MQ60、スピーカーシステムLX77、BOSEのスピーカーシステム501、901、B&WのスピーカーシステムDM1、70 Continentalの広告
(スイングジャーナル 1972年7月号掲載)

Lux

ラックス PL45, MQ36

ラックスのコントロールアンプPL45、パワーアンプMQ36の広告
(ステレオ 1967年9月号掲載)

Lux

ラックス PL45, MQ36

瀬川冬樹

ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より

 はじめPL45とMQ36お組合せで聴いてみたが、何かもうひとつ音に冴えが無く、全体に靄がかかったように輪郭が甘く抜けが悪い。この原因を掴むため、試みにPL45とMQ36を切り離して、それぞれを素性の判っているプリアンプ、メインアンプに互いに組合せを変えてテストしてみたところ、どうやら問題はPL45の方にあることが判明した。
 MQ36は、テクニクス20AやビクターMST1000と並んで,まさに優劣つけ難い、優れたパーフォーマンスを持った品位の高いパワーアンプであることが感じられた。特にデザインを含めて評価すると、これは立派に世界水準をゆく製品といえる。
 その点、PL45には、まだ解決すべき問題が残されていると思われた。