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オンキョー Integra M-505

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

特性のよさよりも音のよさが印象づけられる製品。

オンキョー Integra M-505

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

いささかウェットでやさしくナイーヴな音質が独得。デザインは減点。

オンキョー Integra M-505

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 かなりオーソドックスなバランスの音をもつパワーアンプで、トータルの音のクォリティは、コントロールアンプのP303よりも、パワーアンプのほうが一段と高いようだ。
 スッキリと細やかな音で、エネルギー感、スケール感はさほど望めないが、トータルの音まとまりの良さが特長である。周波数レンジも広いタイプで、聴き込めば、中域の密度がもう少し欲しいことや、基本的に低域が甘く、中域以上がスッキリ型という音色の統一感でも問題も持ってはいるが、スッキリとまとまりよく音や音楽を聴かせる個性は、このパワーアンプの最大の魅力である。音場感は、かなりナチュラルに広がり、プレゼンスをよく聴かせるタイプだ。

オンキョー Integra M-505

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 どちらかといえばウェットなタイプの音、あるいは女性的な美しさを持った音、ともいえそうだが、清らかでなよやかな表情のやわらかさは、ごく良質なアンプでなくては聴けない上等の音質だ。「オテロ」冒頭のトゥッティでは、音像の奥行きや深みや発声のニュアンスも十分で、ステージの雰囲気さえ感じとれ、弦楽四重奏やアメリンクの声、伴奏のピアノの表情なども、音がよく響きよく溶けあってほどよく弾み、いかにも音楽している楽しさが感じとれる。LNP2Lの情報量を全部は出しきれないところはあるし、やや甘口で弱腰のところはあるが、この音の良さはもっと注目されていい。外観の武骨さが、かなりイメージを悪くしているのではないかと思える。

オンキョー Integra P-303 + Integra M-505

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 大づかみにウェット型そしてどこか女性的なやさしさ。しかしLo−Dの7500や7300のところで書いたような、線の細い感じとは少し違う。決して音がひょろひょろしたり頼りなくなったりしない充実感も密度も、そして低音のしっかりした支えもほどよく持っていて、音域の中での欠落感のようなものがなく、バランスもよく整っている。その上で、音楽している演奏者の表情というか、表現上のニュアンスがとてもよく感じとれ、さらに空間にひろがってゆく音の余韻の響きと溶けあいの繊細な美しさも十分に再現できる。たいそう滑らかで上質の音といえる。弦や女声はもちろん、ベーゼンドルファーの艶や弾みもよく出るアンプはこれ以外には少ない。欲をいえば、こういう柔らかな音を鳴らしながらも、もうひとつピシッと引き締った冷徹な切れ込みも聴かせてくれれば満点なのだが、それはぜいたくというものだろう。しかしこのアンプくらい、鳴ってくる音と見た目の印象のちぐはぐなのも少ない。

オンキョー Integra M-505

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 A722nIIで確立したオンキョー独自の音質に、いっそうの磨きをかけてセパレートタイプに仕上げた印象。やわらかく繊細でしなやかに音楽の色気を大切にした音が魅力だ。ただしデザインは音に似合わずやや武骨。音と同様に、もっとエレガントな雰囲気が外部に具わってくれば、もっと評価も上るに違いない。