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ダイヤトーン DS-205

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 ダイヤトーンの今年の新製品であるが、本家帰りというイメージの佳作である。往年のモニターシステムのよさを再認識したのだろう。ラウンド・コーナーのエンクロージュアにも、ユニット設計、システム構成思想にも明らかにそれが現われている。しかし技術はまったく新しい。温故知新の優れた製品である。

ダイヤトーン DS-205(組合せ)

井上卓也

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 2ウェイ構成の放送モニターシステムとして名声の高い2S305系の技術を継承し、新素材振動板を採用して、現代のディジタルプログラム時代のコンシューマーモデルとして開発されたダイヤトーンDS205は、大変に魅力的な製品。モニターの基本構成は受け継いではいても、しなやかでほどよく反応が速く、響きの豊かなプレゼンスを狙って開発されたシステムであり、容量の大きなバスレフ設計が最大の特徴だ。CDプレーヤーは世界最高の一体型、ビクターXL−Z999が、高価ながら使って納得させられる力量が見事で必須の選択。アンプは、雰囲気と表現力の豊かさを狙えば優れた管球アンプが使いたくなる。入手がいまや困難かもしれないが、レプリカ版のマランツ7と8Bが想像を絶した、現代に通用する見事な音を聴かせる。一段としなやかでナイーブかつ鮮度感のある音を求めれば、U・BROSジュニア2とU・BROS1Kを使いたい。

ダイヤトーン DS-205

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 放送用中型モニターとして活躍した2S308的な魅力を、新技術・新構想に基づいてコンシューマー用として開化させた今年最大の注目作。容積の大きい本格派バスレフ型エンクロージュアと中口径のウーファーとの組合せは、全域型ユニットがもつ独特の魅力と類似し、これに加えてB4C高域独自の音を混えた成果は実に素晴らしい。

ダイヤトーン DS-205

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DS205は、当初Aシリーズの高級機と聞いていたが、型名は伝統的な放送用モニターに準じたものに変った。側面は大きく弧を描く積層合板製で、これをバッフルと裏板で結合し、これに天板と底板を嵌めこむ構造は、簡潔だがかなり高度な木工技術の成果であろう。20cmアラミドコーン型ウーファーは、DS−A3系の振動板とアルニコ・ツボ型磁気回路を採用したもので、明快なサウンドを志向した低域として同社初の設計だ。高域は2S3003系のDS8000出使われた5cmB4Cコーン型。2S3003系を、より豊かに柔らかくパワフルにした印象の音は、清澄な印象もあり、非常に興味深い意欲作だ。