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デュアル CL172

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 とてもバランスの良い、上質の響きを持ったスピーカーだ。価格の割には小型で、低音弦の胴鳴りのようなスケールの大きい響きまでを実感的に鳴らそうというのは無理だが、たとえば、カラヤン/ベルリン・フィルのエグモント序曲の場合など、この価格帯の製品の中でもことに好ましいバランスで、適度の厚みもきめの細かさもあり、内声の動きも問題なくすべてバランスして、緻密に、ユニゾンの響きも美しく聴きほれさせる。低音から高音までのバランスのとり方は、国産でいえばSX551にどこか似ているともいえるが、それよりももう少し抑制の利いた光沢を感じさせるところがやはり海外製品だ。ただしブラウンやヘコーから予想するような、かつてのドイツのスピーカーに際立っていた硬質な音はこの製品からはあまり聴きとれない。それだけいわばインターナショナルな方向に磨きをかけた音になっているわけだ。低音のファンダメンタル領域の厚みを欠くためか、わずかながら冷たい傾向の音質だが、なかなかいい味わいを持った製品だった。

デュアル CL172

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 構築のがっしりした引き締ったクリアーな音を鳴らす点、ヘコーなどとも一脈通じるいかにもドイツのスピーカーの音質だ。レベルコントロールがついてないが、そのままではことにヴォーカルで女声男声とも子音が強調されすぎる印象なので、トーンコントロールでハイをわずかにおさえた方がよさそうだ。そうしてうまく補整すると、やや硬質で骨太の低音から中音の支えの上に、中~高音の生々しい目のさめるようなエキサイティングな鳴り方が独特の魅力を撒きちらす。クラシックからポピュラーまで、音楽的なバランスのよさはみごとなもので、色濃く味わいの濃い、聴き手(リスナー)を引きずりこむような強引な音もいえ、ときにはもう少し淡々とした鳴り方にあこがれるという具合になる。しかしティンパニーやスネア・ドラムのスキンの張りが実によく出るし、ソロ・ヴァイオリンの指板をおさえる音も生々しい解像力で、パワーを上げてもそうしたクリアーさ、引き緊った硬質な性格そのものがあまり変化しない点、立派といえる。ただオーケストラの強奏ではそうした面が少々嫌味に聴こえることがあり、音楽の鳴り方にもう少し柔らかな弾みが出てくれば、この魅力はもっと説得力に富むのではないかと思われる。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆