Tag Archives: C77

パイオニア C-77

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音のバランスのととのえかたは一応手なれている。国産ではわりあい手薄になりがちの中低域から低音域にかけての支えもかなりしっかりしていて、重心の低い、腰の坐りの良い音が聴ける。むしろ低音がやや重すぎて、いくらか下半身肥大的だ。そのためかアメリンクの声などいくらか太めになるし、どことなく品位が感じとりにくい。また「オテロ」のようなスケールの大きな曲で、フォルティシモでの音の伸びがいまひとつ不足する反面、ディテールのニュアンスが出にくいので、ダイナミックレインジが狭いような、あるいは反応が少々鈍いような感じを受ける。ややグラマーでプロポーションは整っているが生れや育ちのあまりよくない娘、とでもいった印象の音だった。

パイオニア C-77

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 マクロ的に音を外側からゆったりと掴み、響きを豊かに、あまり細部にこだわらず音を聴かせるコントロールアンプである。
 聴感上での周波数レンジは、ローエンドとハイエンドを抑えた、いわゆるカマボコ型のレスポンスを感じさせるタイプで、全体にウォームトーン系の音色をもち、音の粒子は粗粒子型で基本的にはソフトである。
 リファレンスパワーアンプの♯510Mとの組合せでは、ややマッチングが悪いようで、スケールは大きいが、エネルギーが加わるだけに、ややまとまりに欠け、音が素直に伸びきらない面が感じられる。積極的にトーンコントロールを活用して、効果的な音として使うべきアンプのように受け取れる。

パイオニア C-77 + M-75

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 セパレートタイプのアンプの中にも、大きく分類すると、コントロールアンプ、パワーアンプがそれぞれ別のメーカーの製品と組み合わせて使われることをかなり意識した作り方と、互いが相補う型で同じシリーズどうしで組み合わせることを前提とした作り方とがあるが、このC77/M75は後者のタイプで、単体に切り離しての試聴よりも、組み合わせた状態の方がいい。そのことは単体の試聴記の方をあわせて参照して頂きたいが、C77の大づかみでいくぶん反応の鈍い印象の音と、M75のコントラストの強い音がうまく補いあって、トータルにはまとまりのいい音に仕上っている。低音の量感は意識的に多めにしているらしく、またそれとバランスをとるためだろうか。高音域にも多少の強調があって、音をあまり聴き馴れない入門者にもわかりやすく作った、といった感じを受けるが、それだけに、セパレートタイプのアンプの中ではやや異色の、かなり表情過多な味の濃い作り方だと感じた。