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マランツ Model 1250

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

セパレート型の魅力を凝縮した内容の濃い長時間使える安定感がある。

マランツ Model 1250

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 セパレート型アンプに匹敵する性能をベースとしたこのモデルの音は、これぞマランツの音であり、大人の音である。2台のデッキを駆使できる独特のファンクション、マイクジャックなど、実用性が高い機能は、音楽を聴くということからよりアクティブに音楽を楽しむ方向で、はじめて魅力として生きてくる。

マランツ Model 1250

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 往年のマランツの系統を引継いだパネルレイアウト・デザインは、今なお魅力的であり、美しい。同社のプリメインのトップモデルの名に恥じない風格である。おとは、まさに絢爛豪華なアメリカン・サウンドで、実にブライトである。力強く、積極的に、スピーカーが雄弁に鳴りはじめるのである。

マランツ Model 1250

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 設計がアメリカ・マランツで製造が日本。いわばハーフだが、そのせいか、純国産のアンプとはひと味違った、バイタリティに富んだ積極的な鳴り方をする。明るく輝きのある音が独特だが、質的によく練り上げられているために、上すべりしないで良い意味の華やかな音として聴き手に満足を与える。

マランツ Model 1250

瀬川冬樹

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 大づかみな音色でいえば♯1150のところで書いたことと同じ傾向だが、基本的な音のクォリティに格段の差があるとみえて、♯1150のような目鼻立ちのくっきりしすぎという感じがなく、この明るい輝かしい音色をマランツの性格として受け入れさえすれば、この音はさすがにゴージャスな気持にひたしてくれるようなぜいたく感があって、聴いていて楽しくなってくる。陰気さとかウェットという印象が全然ない。本質的に楽天的な音といえる。したがって、フィッシャー=ディスカウの声が若がえったようにきこえたり、ウィーン・フィルの音など少し明るく輝きすぎるようなところもある。が、ローコストのその手の音にありがちの上すべりするような欠点とはならず、それがこのアンプの明らかな個性といえるところまで仕上っている。グレイドの高い製品でなくては、こうは聴かせないだろう。聴き終って満足感の残る音だ。

マランツ Model 1250

菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 確かな手応えと輝かしい魅力をもった音のアンプである。たくましい躍動感のあるベースの弾力的なはずみのある音はリズムに血が通う。華麗で艶っぽい高域は、プログラムソースによっては少々個性が強過ぎる嫌いはあるが、中低音が大変に品位が高いので、破綻としては感じられない。なにを聴いても音楽がリッチに響き、いじましさや、ドライな寒々しさは全くない音だ。空間のプレゼンスも立体的な奥行きがあって、実在感の豊かなしまった直接音を華麗に包み込み、決して野放図な空虚感にはならない。声の艶や湿感は色あせず、生き生きとして、みずみずしい。弦楽器の高域が一番このアンプに対する好みの分れるところだろうが、強調感はあるが、ゆとりのないヒステリックでドライな響きとはちがう。艶であり、輝きである。かなり明確な個性をもったアンプだが、音楽的な情緒を絶対に失わないので大きな魅力となる。昔ながらイメージの残るパネルフェイスもいい。

マランツ Model 1250

井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「コンポーネントステレオ──世界の一流品」より

 最近の多様化したセパレート型アンプの登場によって、プリメインアンプはその本来の意味を問われることになり、とくに高級プリメインアンプにともすればプリメインアンプとセパレート型の境界線に位置するだけに、かなり苦しい立場に立たされているように感じられる。マランツ#1250は、基本型をコントロールアンプ#3600とパワーアンプ#250Mにとり、一段とリフアインされた内容をもっているために、質的にも量的にも、はるかに価格が高いセパレート型アンプに匹敵するものがある。機能面は、とくにテープ関係が#3600より一段と実戦的なものに発展し、使いやすく、大型フロアースピーカーを充分にドライブするプリメインアンプの本格派である。

マランツ Model 1250

岩崎千明

ジャズランド 8月号(1976年7月発行)

 今日、米国のオーディオ界で最も成功しているメーカーとして、名前を挙げるのがマランツだ。それは一度でも米国に行ったことのある人なら、否応なしに知らされる事実だ。
 ところで、日本のオーディオ界を考えると、オーディオの各パーツのなかで、アンプが他の部分より成功していることは誰もが気がつくだろう。事実日本の多くの製品が世界のオーディオ界に進出しているけれど、なかでもアンプは他の追随を許さないほどの成功を収めているのだ。こうした、国産アンプの優秀さは国内市場においても明らかで、アンプに関する限り、海外ブランドは超高級品以外は、全く国産ブランドの独壇場といってもよいくらいだ。たった一つの例外を除いて……。
 それが、実はマランツなのである。
 マランツのファンは大きく分けて、二つの世代に分れるといえる。その一つはいわめるオールド・マランツの支持者達であり、今はなきマランツの旧製品を愛する古くからのファンだ。それに対して、黒い窓枠を与えられた個性的なフロント・マスクに代表される新しい製品群を手許に置き、あるいは置きたいと願う若い世代のファンがいる。この両者は重なり合うこともあるし、はっきり区別されることもある。
 ただ、これを個々の製品の内側からみると、ニュー・マランツにおいても、マランツの伝統を踏まえたサウンドを持ち、その意味ではまぎれもなくマランツそのものだ。ただこの二つが違っているのは、ニュー・マランツの、現代のアンプとしての多機能性を盛り込むためにデザインされたフロント・パネルの違いだけだ。
 マランツの製品の最高ランクのプリメイン・アンプとして登場したMODEL1250の大きな特長として指摘できるのは、1150などのそれとははっきりと一線を画したそのフロント・デザインから、かってのマランツのイメージをより豪華にアレンジしてパネルに盛り込んだという点である。高い完成度に優雅さを漂わせたともいえるそのデザインは大いに魅力だ。
 内容的には1150をさらにパワー・アップし、130W+130Wというハイパワーを誇り、テープ回路等に使い易さを拡大した点にある。漸新な回路技術を駆使して得られたその成果は、1250がマランツのみならず、全てのオーディオ・アンプの中の最前線に位置することを示している。
 1250は20万弱と決して安いアンプではない。しかし、オールド・マランツ・ファンも納得し、新しい若い世代のオーディオ・マニアにも熱い眼差しを向けさせるだけの、マランツ・ブランドの最高級たるに相応しいプリメイン・アンプなのである。

マランツ Model 1250

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 マランツのプリメインアンプは、普及機から徐々にラインナップを固めてきたが、そのトップモデルとして開発されたものが、このモデル1250である。基本的には、コントロールアンプのモデル3600とパワーアンプのモデル250Mを、ひとつのシャーシに組込んだプリメインアンプと考えてよいが、各ブロックのユニットアンプは、かなりモディファイされているように思われる。
 フロントパネルは、いわゆるマランツの伝統的なマランツサイズであるが、デザインは、最近の一連のモデルとは異なり、以前のマランツ同様にフラットフェイスになっているのが目立つ点である。この変更はモデル1250が、セパレート型アンプと比較されるスペシャルクラスのプリメインアンプであることを考えれば、他のモデルとの差別化の意味があろうし、それとは関係ないが、古くからのマランツファンには親しみやすいことは事実である。この変更で、副次的なメリットとして生じているのは、コントロールのツマミが大型化されたことで、実際に使ってみると操作性は、かなり向上していると思われる。
 なお、このモデルも、他のマランツアンプ同様に、オプションのRA−2ラックアダプターを使えば、標準サイズのラックに取付け可能であり、RA−2は、ゴールドメッキ仕上げで、横受ブラケットが付属した業務用的構造の製品である。
 機能は、モデル3600コントロールアンプや、モデル1150プリメインアンプに準じているが、本機独得のファクションとしてレコードセレクタースイッチがある。2個のスイッチがペアとなる、このセレクターは、RECORD・SELECTOR1が、メインのテープデッキの入力を選択し、RECORD・SELECTOR2がサブ、もしくはエクスターナルテープデッキの入力を選択する。2個のセレクターと入力切替スイッチを組み合わせて使用すれば従来のこの種のスイッチより、はるかに、多角的にテープデッキが活用できるメリットをもっている。
 回路構成上の特徴は、初段差動のイコライザー段は、40dBのゲインがあり、許容入力が1kHzで300mVと米国系のアンプとしては、充分なマージンがあり、MC型カートリッジを安心して使用できる。トーンコントロールは、高音と低音がターンオーバー2段切替型で、中音も±6dB変化することができる。パワーアンプ部は、全段直結OCLタイプであり、電源部は、他のモデルにくらべ、かなり強化されている。
 モデル1250は、よい意味で、マランツのアンプが伝統的にもつニュートラルでカラリゼイションのない音を受継いでいる。際立った特長こそないが、他と比較したときに初めてクォリティの高さが判かるという音である。パワーも充分にあり、グレイドの高い点では、セパレート型アンプの域に達したプリメインアンプである。