マッキントッシュ C40

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド別冊・1994年春発行)
「世界の一流品 アンプリファイアー篇」より

 マッキントッシュの現行プリアンプのトップモデルが本機である。同社のプリアンプは、その豊富な機能と、それにもかかわらず音が高品位に保たれているのが大きな特徴で、プリアンプという呼称よりコントロールアンプと呼ぶほうがふさわしいものだ。同社ではオーディオ・コントロール・センターと呼んでいる。
 一度、マッキントッシュのコントロールアンプを使い慣れると、もう他の製品の扱い勝手の悪さに腹が立つほどで、いくらオーディオアンプの理想が増幅度を持った針金といわれようと、そのコンセプトの子供っぼさに呆れさせられるのである。
 レコード音楽の鑑賞は、レコード(CDやテープ)を自由に操って、自分の好きなように音楽の再演奏を創造的に能動的に楽しむのが最大の喜びであるだけに、なかで最も頻繁に、効果的に操作可能なのが、プリアンプのコントロール機能であるのは当然のこと。だから、いちいち後面の入出力端子を抜き差ししたり、外付けの複雑なプロセッサーを用意したり、分岐スイッチを通したりするのは、かえって音質を害する結果になるし、不便この上ない。
 その点、このC40のフロントパネルでできる豊かなコントロール機能は驚くほどで、5バンド・イコライザー、入力ソースの豊富な切替、L/Rチャンネルの単独使用や合成切替、3系統の出力の自在なオンオフ、独立タイプの録音・再生機能などなど、さらにエクスパンダー・コンプレッサーはともかく、20W×2のモニターアンプ内蔵により、スピーカーを鳴らせるし、アイディア次第でいろいろな使い方に対応可能である。
 そして、ゴールド・レタリングの、点灯時にグリーン・イルミネーションに変る、あのグラスパネルの美しさと、機能性は最高だ。暗がりで使えるのはこのアンプだけ。イルミネーションパネルは、コスメティックな意味で美しいだけのものではないのである。あの色は、最小の光量で最大の視認性を目的としたリサーチの結果、選ばれたものだ。

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