瀬川冬樹
ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より
ダイヤトーンと聞くとまず中域のよく張った硬質な音を思いえがく。過去の一連の製品がそういう路線で作られていた。ところがこの287Bから、このメーカーにしては異色といいたいほど、中域をおさえて、新しいバランスを作りはじめた。初期のロットと比較しても、さらに中域をフラットにコントロールしはじめたような傾向が聴きとれる。また高域のレインジもよくのびてきて、したがって以前のダイヤトーンにくらべると、音に爽やかさが増して、キメのこまかな、楽器の音色や奏法上の音のニュアンスの変化がより正しく聴きとれるようになった。アンプやカートリッジの音色の差やグレイドの差をそのままさらけ出してしまう点、物理特性も相当に良いことが想像される。もちろんSX551のところでも書いたように、本質はやはりダイヤトーンである。国産のスピーカーのこの価格帯で、先発のヤマハのNS670やビクターのSX5/IIを追って、SX551と並んで好敵手あらわる、という印象。
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