井上卓也
ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より
アームレス型プレーヤーは、システムというよりは、ハーフメイドのカスタム型だ。
したがって、システムとするためには、トーンアームを選択しなければならないが、使用カートリッジの幅を考えれば、予想よりもその選択範囲は狭いのが現実である。
カートリッジとトーンアームを分割した現在の使用法は、各種のカートリッジを任意に選択し、交換して使うためには使いやすいが、反面において、特定のカートリッジの性能を充分に引出すためには、そのカートリッジに適合したアームは一種類に限定されるという基本に反することになる。つまり、汎用型としてアームを選べば既製のプレーヤーシステム同様に中量級のユニバーサル型を選ぶしかないわけだ。
アームレス型プレーヤーを活かす使用法は、複数個のアームか、各種のアーム部分やパイプ部分が交換できるマルチアームを組み合わせ、使用カートリッジにマッチしたアームを選んで、既製システムでは得られない、それぞれのカートリッジの性能・音質をフルに引出した、ディスクオーディオならではの独特の世界を楽しむことである。
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