パイオニアのスピーカーシステムCS-E900の広告
(スイングジャーナル 1970年12月号掲載)
Monthly Archives: 11月 1970 - Page 2
パイオニア CS-E900
スコッチ No.202, No.203
パイオニア CS-900
ビクター BLA-V7, MCA-V7, MCT-V7, SEA-V7, SRP-V7, MTR-15M
オンキョー Integra 725
サンスイ TAC-505
ビクター MCA-V7
マイクロ MR-211, MB-300
アルテック Santana
フィリップス N2400
岩崎千明
スイングジャーナル 12月号(1970年11月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
フィリッブスの新型ステレオ・カセットN2400が出た,というニュースはEL3312Aを使っていた私を少なからずがっかりさせた。
というのも、それまで自分のもっていたステレオ・カセットがなんとなく旧式化してしまった気を起させるからだ。これと同じ気持を、多くのフィリップス・ステレオ・カセットの愛用者が感じたに違いない。
しかし、この新型はたしかに新製品であるが、それは若い新らしい層を、はっきり意識した新商品ということができ、その意味では救われるようだ。
メカニックな、金属的なデザイン。カチッとひきしまったプロフィルからも感じられるように、この新製品は新らしい音楽ファンを対象として企画されたに違いない。
重厚さというか品の良さからは一歩遠ざかってデザインは鮮かなイメージを見たものに植えつける。ヨーロッパ調から米国調への移行を感じさせるこの変り様は、そのまま商品の狙いを示しているようだ。
例えば、REJECTのつまみは、テープマガジンのすぐそばに移されて、少さく、軽いタッチで、軽るやかにふたがあく。ガチャンボンからスーツパッというようにメカニカル動作のイメージも変った。
今までのピアノ・キー式の操作ボタンも、はるかに柔かく、ストロークも深くなって操作に確実さが一段と増した。それより、なによりも、このキーが、クロームメッキの強烈ともいえる輝きをもったデザインに改められたことだ。丸くくぼんで指頭にぴったり吸いつくような凹型が、デザインのポイントとして、実用性との両頭から大きな特長となっている。
このメッキされたことにより、表面のよごれだけでなく、損傷からも保護されることとなって、より多くの使用者に対する、より多くの表面的なトラブルのチャンスがなくなっていることを見逃すべきではないだろう。
加えて、表面パネル、全体のヘアーライン仕上げとのコンビが、メカニカルなデザインと現代調の製品感覚をもたらしていることも新鮮だ。
再生された音は旧製品にくらべて、一段と高音域のレンジののびを感じさせるが、低音から中音にかけての豊かな音作りが、少しも余分なものを思わせぬ華麗さを持っていて、それがフィリップスのデッキ共通のよくいわれる音作りのうまさのポイントとなっている。
録音、再生の音の良さは、これはもういままでに事あるごとにいわれ、賛えられてきているが、やたらなレンジの広さを追うことなく、しかもカセットと思えぬ豊かな低音から中音部。スカッとした高音へのつながりのスムースさ。カセットを品位の高いアンプとスピーカーを通す時には、カセットということを忘れさせてしまうほどの音だ。これは、音のバランスというよりも絶対的な歪の少なさがもたらすものであろう。ジャズ独特の力強さとか迫力とかという点で、19センチのオープンリールと互に張り合うことは無理かもしれぬ、しかし歌とか、ハードでないジャズに対してなら、オープンリールに劣ることのない能力をまざまざと知らしてくれる。
カセットが4chソース・ステレオ時代に、大きくアピールされることはもうすでに約束されているといえる。数年先のその時まで、このステレオ・デッキがあらゆる音楽ファン層の大幅なかなりぜいたくな希望を満たしてくれることは間違いない。このカセット・デッキは、それだけの性能を具えていることはこれを一度使ったものなら誰しも認めるであろう。
パイオニア C-660A
パイオニア S-55
ソニー TC-9400
パイオニア LE-30
フィデリティ・リサーチ FR-5, FR-5E
パイオニア PL-41A
パイオニア CS-E700
サンスイ SP-150
サンスイ SAX-350D
アンペックス AG440
菅野沖彦
スイングジャーナル 12月号(1970年11月発行)
「世界の名器を探る Summit Sound」より
AMPEXといえばテープレコーダーの王様として有名。泣く子もだまるほどの名声だ。ALEXANDER M.PONIATOFF氏の創設したEXPERIMENTATIONからくるネイミングだということを知っている人はそう多くなかろう。アメリカが第2次大戦の勝利で、ドイツから持ち込んだ磁気録音機をもとにこれを完成させたのが3Mだとも、また、このアンペックスだともいわれている。とにかく、世界的にテープレコーダーを普及させたのはアンペックスで、その信頼性の高いプロ機は、放送局やレコード会社のスタジオにはなくてはならぬ存在となっている。このAG440は同社のライン・アップの最新モデルであって、トランスポートはプロ機としてはきわめてコンパクトにまとめられ、メカニズムは、アンペックスが完成したオーソドックスな3モーター、キャプスタンはダイレクト・ドライブである。このメカの最大の特長は、ヘッド・アッセンブリーを交換することによって、1/4インチ巾のフル・トラック・モノーラルから、2トラック・2チャンネル・ステレオ、さらに1/2インチ巾4トラックまで容易に変化させられることだ。この時、ピンチローラーやガイドは交換の必要がない。また、ちょっとした改造で1インチ巾8チャンネルにも使えるという広いユティリティをもっている。エレクトロニクスはオール・トランジスタ化されプリント基盤による完全なユニット・コンストラクションである。オッシレーター、プレイバック、レコーディングの各アンプが独立パネルのプラグイン式となっている。この機械はもちろんプロ機ではあるが、最近は熱心なマニアで、これを買う人もいるというから驚ろきだ。アンペックスは、コロラドスプリングスでこうしたプロ機を生産し、シカゴのエルクグローヴでテープのプリント、民生機器の生産をおこないヘッドクォーターはカリフォルニアのレッドウッド・シティにある。ミュージック・テープやレコードまでも生産販売するという、今や音響の綜合メーカーに発展してしまった。それだけに同社がより専門色をもっていた時代、その頃の製品を懐しむのは私だけではなさそうだ。
オットー DCA-1400, FMT-1400
ソニー PS-2100, PS-1000, PS-1200, PS-2000A, PS-3000A, TTS-4000, PSE-4000
オンキョー E-63A MKII
岩崎千明
スイングジャーナル 12月号(1970年11月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
私がオンキョーのE83Aをこのページで紹介してから、もう1年以上の月日がたってしまった。
E83Aはその後、といっても半年ほど前に各ユニットのマイナー・チェンジが行なわれて、セプター・シリーズとなり、E83AMKIIと名も改めた。依然としてスピーカー・メーカーとしての、いゃ、ステレオ専門メーカーとしてのオンキョーの看板製品であることにはかわりない。価格が少々アップしたが、その製品の金のかかり方といい、出てくる音の再生品位のレベルの高さから考えると、今日においても市販スピーカー・システム中で大型システムの5指には入る。お買徳のスピーカー・システムであろう。
その音は「例」の傑作HM500A中音ホーンを中声部の芯として、ガッツと迫力に富んだ、ヴィヴィッドなサウンドで、ジャズに最も大切な力とアタックのよさは特筆できるオンキョーの力作であった。
このE83Aの弟分ともいえる製品が今度新たに発表された。E63AMKIIがこの新製品である。
音は、一聴してE83AMKIIの流れをくむものであることが判るし、この製品ナンバーのE63AMKIIという名称からも判断される。
このシステムに対するメーカーの姿勢は、看板製品ともいえるE83AMKIIと同じシリーズとして扱うことからも知らされる通り、かなりの自信と、力の入れようを意識させられる。
このようなことをわざわざ書き記すのは理由のないことではない。音の傾向が同じで弟分的存在でありながら、このスピーカー・システムの中音はホーン型ではないのであ! このことは音を聞いたときには想像だにできなかったことだ。グリルを外して眼前にドーム・ラジエターの中音用をまじまじと見るまでは、まさかこの音がダイアフラム型スピーカーから出てくるものだとは夢にも思わなかったのである。つまり、このE63AMKIIの中音は実にホーン的なサウンドだ。パーカッシヴな音の力強さが、国産のドーム・ラジエターから出るものとはそれまで想像でき得なかったからだ。
米国のAR3が出たとき、中音、高音にドーム型ラジエターをつけていたことで注目され、同じくエンパイアのグラナディアにも同型式の中高音がついた。その後、米国のブック・シェルフ型スピーカーの中音にドーム・ラジエターをそなえたものが多くなるにつれ、その効果と特性の優秀性が最近日本でも注目されてきた。
AR社のシステムの優れた音響特性の多くは、この中高音の指向性と過渡特性のよさに支えられていることが判る。日本にもこれと同じ型式のスピーカーが使用されたシステムが最近急激に増えてきた。
パイオニアのCS10の3年前のデビューをかわ切りに、この所いくつかを聞いたが、はっきりいって、このドーム・ラジエター型中音スピーカーには共通といってよいほどの物足りなさを感じた。それは「中音域の品のよさ」という、言葉で粉飾されているが、力のなさというかエネルギー不足である。
ジャズのように楽器のエネルギーを直接ぶつけられるような状態を再現する場合には、この中音エネルギーの不足は、それが軸上正面上の特性ではフラットな音響特性であっても、かなりの物足りなさを私が強く感じたようにジャズ・ファンの多くに与えるに違いない。
オンキョーのE63AMKIIによって、私はこのドーム・ラジエターに対する不満感を完全にくつがえされたのである。
それは従来、ホーンからのみ得られるとされていたサウンドを、このE63AMKIIのドーム・ラジエターが楽々と再生し得るのを知ったときであった。
5万円近い価格は、ブック・シェルフ型としては安いものではないかも知れない。しかし、このアタックの切れの鋭どさが、中音の分厚い音とが同じスピーカーから出るのを知ればE63AMKIIの存在が大へんな価値を持っていることを認めない者はいないだろう。
E83Aに対しておくった賞賛に倍する柏手を、このE63AMKIIに対しておくることに、ピーターソンの「ハロー・ハービー」を聞きながら、私は少しのためらいもないことをつけ加えておこう。
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