サンスイのスピーカーシステムSP30、SP70、SP150の広告
(スイングジャーナル 1972年1月号掲載)
Category Archives: サンスイ - Page 9
サンスイ SP-30, SP-70, SP-150
サンスイ QS-1, QS-100
サンスイ FR-2060
サンスイ SP-1005, SP-2005
サンスイ AU-666, TU-666
サンスイ QS-1, QS-10, QS-100
サンスイ FR-2060
サンスイ AU-888, TU-888
サンスイ FR-2060
サンスイ SP-LE8T, JBL L44, L77, L88 Nova, L100 Century, Lancer 101, Aquarius4, S99 Athena, Olympus S8R
サンスイ QS-100
サンスイ QR-1500
サンスイ SP-2005
岩崎千明
電波科学 11月号(1971年10月発行)
「電波科学テストルーム」より
今や市場に優秀なスピーカシステムを提供するメーカーとしてすっかり名の通った「サンスイ」が、4チャネル時代を迎える今日、新らしく発表したスピーカシステム、それがSP2005とSP1005である。
この新シリーズが今までのスピーカシステムと大いに異なる点はつぎの2つにある。
そのひとつは、「音場再生を狙って設計した」という点であり、もうこひとつは、ブックシェルフといわれる寸法でありながら、それはフロアー形である点である。
この2つの点において、山水の新シリーズは、従来のこの種のスピーカシステムとは、その存在を明確に違えているのだが、その端緒となったのは、すでに半年ほど前に発表された、ひとまわり大形のシステムSP3005だ。3005が発表会でわれわれの眼にふれたとき、少なくとも私はこのスピーカの意図したサウンドが、他のメーカーより一歩早く4チャネル時代を先取りしたものであることを意識させられたのだ。ただし、その再生品位という点で、この豪華、かつ、すばらしい技術的着目に追いつききれず、少なからず不満を感じた。音の捉え方が大まかで、5万というこの価格にふさわしい節度を保っているとはいい難いのである。
ただこのような欠点がありながら、このSP3005の創る音場は、実に魅力的で、今までの国産スピーカにないスケールとフィーリングが満ちていたことをすぐれたデサインと共に痛感したのであった。
このSP3005発表の時点で、4チャネルサウンドはサンスイのシンセサイザQS1による2-2-4方式での再生のみで普及していた。
しかし、4チャネルステレオが、ますますクローズアップしてくると、SP3005の狙っていた特長こそ、新らしい4チャネル再生用として正しい狙いをつけた、もっとも優れた企画であり、技術的所産であるということを、ますます知らされたのである。
それが音場再生のための中音域以上のずばぬけて優れた指向特性であり、フロアータイプというそのデザインである。
このサンスイの新シリーズを聴いておそらく誰しもが感じるのは、歌とか、楽器のソロ、オーケストラならメロディーのハーモニーの厚さ、コンチェルトならその協奏楽器の響、ポピュラー系ならボーカルやギターソロなど、いわゆる音楽のもっとも主要部である中音域のひびきが実に充実して、いわゆる音が前に出るという感じをまっさきに味わうに違いない。この中声部の豊かさこそ、サンスイが扱っている米国JBL社の世界一といわれるずばぬけた中音の豊かさをがっちりと導入して自社製品に引継いた最大の特長なのである。ここに聞かれる中声部というのは、いわゆる技術的な「中音」とは、まったく違っていて、数字の上で表すとすれば、それはなんと、200Hzから2000Hzまでの従来の2ウェイまたは3ウェイスピーカでは、低音用ユニットにおいて分担する音域範囲にも収まる周波数帯域だ。 一
つまりこの中声域の充実のためには低音ユニットが、中音ユニットと共に重要な要素となる。
従来ブックシェルフ形ではウーハがどちらかといえば超低音の再生、低音の迫力を狙って作られていたのだが、このかたくなな技術屋の迷信をぶちやぶったのが、サンスイのスピーカシステムの特長であった。
その特長は、SP3005を初めとする今日のSP2005、さらにSP1005において一段とおし推められてきた。
従来から、サンスイのオーディオコンポーネントはすべて中音の充実感という点で他社に一歩先んじていたように思うが、それが今回のスピーカにおていても明確に感じられるのである。
ではその中声域の充実した輝きのもととなっているのは何であろうか。
ウーハの中域における向上とともに、新シリーズの最大の特長となっている中音ユニットにある。これは、やや内側に向けて傾けて並べられた2個のコーン形ユニットで、その指向性の改善ぶりは著しく、2個のユニットによる豊かなエネルギーと、正面に十分に分散される優れた指向特性を創っているのである。
もしこの辺の中声部を単にウーハだけで受けもたせれば、従来からのスピーカシステムにおけるように、音が正面に集中してしまうし、そうかといって、中音ユニットの小さい振動板からでは絶対的なエネルギー不足となってしまうわけで、これをあえて強行すれば、ダイアフラム形ではビリつきの原因となるし、コーン形では中音用ユニットの高域部に影響を与えてしまうことになる。
つまり、中声部の充実、指向特性の向上というのは、マルチウェイスピーカの最大の泣きどころでもあるわけなのだ。
サンスイのSP2005を始めこの新シリーズでは2個の中音ユニットを用いることによりこの難点を克服し、その従来からの特長をさらに一段と明らかに打ち出したという巧妙さは、まさに舌を捲くほどだ。高音とともに中音域用にも2つのユニットを用いることによるコストアップは、この新シリーズが従来よりやや高価になった大きな原因であろうが、この大きな進歩を考えれば、そのマストアップに十分みあった性能向上は補うにあまりあるといいたい。
さて、現実にこの製品にふれて、今までのサンスイのスピーカシステムともっとも大きく違って感じられるのは中音ではなく、低音域に相違ない。というのは中音の充実というのは、耳にはっきりと捉えても、脳で感覚として捉える点で、かなり多くをカバーしてしまうからだ。中音エネルギーの大きく抜けているスピーカ、例えばAR3などを品のよいすぐれた音と感じるマニアが多いことがそれを裏づけるのだが、低音感は聞こえる通り感じるものだ。
スピーカを聞きくらべたとき、高音と低音の違いが、音楽マニアでなくとも感じられるのはそのためだ。
サンスイのSP2005は、SP2001とくらべ、またSP1005はSP1001とくらべその低音感に誰しもはっきりとした差を認めるだろう。今回の新シリーズのそれは、力強く低音に張りと冴えが加わったことがその意識を分折した結果だ。
つまり従来のサンスイのシステムにおいてよくいわれた豊かなゆったりした低音だが、力強さがもう少し欲しいというマニアの声がここに見事に反映している。
さて、この低音の一段と向上した力強さは、むろんユニット自体のそれも磁気回路を含めた改良によることは当然だが、加えてこの小形ながらバスレフレックスタイプの箱は、チューンドダクトに加え半密閉の要素を持たせて、実にクリアーな低音を得ることができ得たという。その構造は4隅の4本のプラスネジを外しネットを外してみるとはっきりと見ることができる。
2つに別けられたチューンドダクトは、これが開口部を使用者の好みによって調節できるように、可変の蓋がついていて、それを傾けて調整するように作られている。
このダクトの調節次第で閉じた状態では密閉箱に近い低音の立上り、完全開放に開けた状態ではバスレフ形のゆたかな低音の響きを得られるという奇抜でユニークなアイディアが具体化されているのである。
文字のスペースが少なくなってしまった所で、どうしてもはっきりした形で述べておきたいことがある。
それはこのスピーカが一見従来と同じブックシェルフタイプでありながら実は歴然としたフロアータイプ、つまり床に縦において用いるということ.を主張したデザインである点だ。
このことは、4チャネルになってくれば部屋の4隅に配置せねばならず、そのためにはどうしても縦におく方が、そのスペースファクターという点で有利なことを予め企画段階で考えていたことを意味する。
それは、前面の組格子がゆるやかにカーブし、広い指向性を具象化し、ワイドスクリーンを象徴しているデザインにもみられるのである。
つまり、SP2005とSP1005はともに明らかに4チャネルステレオ再生を目的とした現代版スピーカなのである。
サンスイ QS-1, QS-10, QS-100
サンスイ QS-100
サンスイ SP-1005, SP-2005
サンスイ SP-70
岩崎千明
スイングジャーナル 9月号(1971年8月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
ブックシェルフ・タイプという形態のスピーカーを日本のオーディオ・ファンの間に定着させたのは、米オリジナルのARでもなければ、それをイミた形でスタートしたパイオニア製品でもない。
ほかならぬサンスイのスピーカー・システムSP100、SP200のシリーズだろう。この製品のずっと以前からこの形をとったシステムがないわけではないが、サンスイが始めてスピーカーに手をのばして発売したブックシェルフ・スピーカーが高い人気と業績をあげたのは注目に価する出来事としてわがステレオ史に残るだろう。
ブックシェルフとしては大体ARを原点とした物が多く、製品がARほどのサウンドに至らなかった当時は「ブックシェルフの音は低音がつまっている」と酷評されるのが常であった。この常識をサンスイのシステムはぶちこわし踏み越えた。
サンスイはこれらシステムを発売するに約2年先立ち、JBLの日本総代理店として扱い製品は、JBLのスピーカーを中心としてすべてにおよんだが、このキャリアはハイ・ファイ製品にもっともむつかしい音作りに貴重な経験となった。そして具体的なポイントとしてはJBLのブックシェルフ・スピーカーとして名乗りを上げたランサー・シリーズが、すべてチューンド・ダクトと呼ばれるバスレフレックス・タイプか、またはその変形とされているドローン・コーン形式のパッシブ・ラジエーターによって低音特性を得ていることにある。
この世界的な名器を範にとったサンスイのブックシェルフ型の低音特性が従来のそれとまったく違ったサウンド低音感として大いに受けて、画期的な売行きとその後のスピーカーの方向をすら変えてしまったわけである。
このバスレフレックス・タイプの箱に入れるべき「ユニット」は、オリジナルのブックシェルフともいうべき密閉箱型式のユニットにくらべて、f0がかなり高くとり得ることこそ特長だ。というのは、このためコーン紙を含む振動系のf0の低いものとくらべて軽くできるという特点をそなえ、これがスピーカーという電気機器にとってその性能の最大点である能率の向上をはかれる点にある。「ブックシェルフになってスピーカーは能率が低下した」という点はサンスイのものに限っては、決してそうでない点がサンスイのみの特長でもあるわけだ。この利点はスピーカーが小さくなればなるほど重要な意味をもってくる。つまり、小型スピーカーを使用する需要者にとっては、なるべく安上りのコンポーネント・システムを狙うため、いきおいアンプに対する価格をおさえ、必然的にパワーの小さいアンプを用いてシステムを構成することになる。小型スピーカーほど小出カアンプで鳴らされるという矛盾がごく普通にまったくの無頓着さで行われているのだ。小型スピーカーほど低能率、従ってハイ・パワーを必要とするのに、小型システムを低価格の小型アンプで鳴らすという理にそむいたことが平然と行われ、常識となっている現状なのだ。そこで小型スピーカーの高能率化こそ良い音へのなさねばならぬ急務である。いや、急務であったのである。
一般のアマチュアやファンがそれに気付く動機こそ、SP70の出現だった。SP70が、小型ブックシェルフの中でもズバヌケた売行きだということだ。それは、消費者がむつかしい理くつを抜きにして、SP70が他の類形的なシステムと違う点、高能率という点を「音の良さ」という形で気付いているからに違いない。
4チャンネル化時代をむかえたオーディオの世界で、SP70の存在は、まだまだ重要なものであるに違いない。また4チャンネル用としてSP70が部屋の四隅におかれるのは、ある意味で理想的なリスニング状態といえるのである。
最近のコメント