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B&W DM4/II

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 イギリスのB&W社の存在は地味だが、それは、その外観にも音にも滲み出している。つまり、渋味のある、じっくりと聴き込むほどに滋味の味わえるといった音である。DM70やDM6などの大型システムから、この4のようなコンパクトなものまで、一貫したポリシーをもっているが、他社製品との価格比較の上からすると、断然、生彩を放つのが、このシステムだ。クラシック・ファンにはとくに推めたい家庭用のさりげない優秀品。

「私はベストバイをこう考える」

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ベスト・バイは、一般的な邦訳ではお買得ということになる。言葉の意味はその通りなのだが、ニュアンスとしては、ここでの、この言葉の使われ方とは違いがある。日本語のお買得という言葉には、どこかいじましさがあって気に入らない。これは私だけだろうか。そこで、ベスト・バイを直訳に近い形で言ってみることにした。〝最上の買物〟である。これだと、意味は意図を伝えるようだ。つまり、ここでいうベスト・バイとは、その金額よりも、価値に重きをおいている。
 価値というのは、きわめて複雑な観念であるから、ものの価値判断というものも、そう簡単に決めるわけにはいかないだろう。本当の意味での価値というものは、観念という精神的なものであるからだ。ものそのものの価値というのは、むしろ、値打というべきだと私は思っている。価値というものは、本来、形や数値で表わせるものではないのはいうまでもないことだ。言語学的には、価値という言葉も、もっと現実的な唯物論的な意味なのかもしれないが、甚だ独善的で申し訳ないが、私は、価値と値打を使い分けるように心がけている。ものの値打などというものは、値下りすればそれまでだ。ほとんどのものは、買った途端に中古になる。中古は新品より安くなる。値打の下落である。オーディオ・コンポーネントで、持っていて値上りするなどというものは滅多にない。オーディオ機器に限らず、本当に値打のあるものなどはそうあるものではない。だから、けちはものを買わないのである。けちが買うのは、儲かるものだけだ。
 しかし、価値は違う。どんなに高額でも、また、日々値上りしても、そのものが、ウィンドウの中に置かれていて価値を発揮することはない。ものの価値は、そのものが人と結びついたときに、その人によって発揮されるものなのだ。あるいは、その人の中に芽生えたものなのだ。価値は、人の価値観によって決まる。価値観は教養と情操の問題である。価値観は、よきにつけあしきにつけ、他人の侵すべからざる領域である。ものには値段がつきものだから、それに支払う代価の数値と、この価値との間の問題はきわめて複雑だ。ある人にとっては、100万円の代価を払っても価値あるものも、別の人にとっては無価値かもしれぬ。また、同じような価値観を持った人同志でも、もし、その二人の経済力に大きな差があれば、価値の評価がかわってくる。
 ここで、大変重要な問題について考えねばならない。お金持ちが、そのものが自分にとって価値ありと認め、100万円を高くないと感じて買ったとする。そして、それほど金持ちではない別の人が、その同じものに価値を見出し高い! と思いつつ、無理をして100万円を出したとする。つまり、同じものに価値を見出した二人だが、果して、この経済力の違う二人にとって、そのものの価値は同じであろうか。ごく単純に考えても、同じには思えない。金持ちにとっての100万円より、貧乏人にとっての100万円は、はるかに高い価値への代価であるはずだ。ポケットマネーと全財産のちがいが同じ重味であるはずはない。つまりこの話には無理がある。金持ちと貧乏人が、代価を払わなければ所有できないものについて、同じような価値観を持つことは不可能に近いことだ。そして、もう一つの無理は、ものの価値を代価という数値で表現していることである。値打は同じでも、価値は大違いたということだ。価値とはこういうものだろう。だから、価値を考えれば、同じものでも、金持ちからは100万円とっても貧乏人からは10万円しかとらないという理屈も成立つ。昔の職人や芸人には、こういう考え方を持っていて、実行したという話を聞くのである。一概に、それが美徳だとは思わないが、一理はある。
 しかし、大量生産、つまり、工業化時代の現代では、こういうことは起り得ないのだ。ベスト・バイの価値基準などないといっても過言ではない。1台のアンプを値段なしで市場へ出し、それぞれの人の価値判断と経済力で、100万円になったり10万円になったりすることはあり得ないのだ。かかったコストを基準に、諸経費・諸利益を上乗せして価格が決められる。考えてみれば公正なようでいて、決してそうとはいえない。材料費や労賃は大同小異にしても、それを生みだした人の英知や能力、そしてセンスはまちまちであるはずだ。量産では、生産量が価格を大きく変動させるが、同時に、製品の出来具合にも大きな影響がある。大量生産ならではのよさもあるし、小量、手造りならではのよさもある。これらを総合して考えてみると、価格の高低で、そのものの価格はもちろん、値打を判断することすら困難である。
 ベスト・バイ、最上の買物が、金額より価値に重きをおくと先に書いた。しかし、今まで述べた価値の難しさからいって、そんなベスト・バイ製品をどう選んだらよいのだろうか。コスト・パフォーマンスという言葉が一時流行ったが、あれは、リッター何キロ走るかという経済性だけで車のすべての値打や価値を判断するのとそっくりの、ドライで貧しい発想である。車なら、まだ、それも許されるとして、音楽を聴くオーディオ機器に──趣味の世界に──そんな発想を平気てするのは空恐しい。ベスト・バイというからにはむろん、値打を無視することはできない。つまり、経済的であるにこしたことはない。しかし、それだけで判断できるとすれば、オーディオなど、絶対に心の対象として存在し得るはずがないだろう。
 私が考えるベスト・バイの条件は、ただ、値段の高低による値打、性能の差という縦の線のみならず、要は、そのもののオリジナリティと存在理由の有無である。オーディオ機器は、性能の高い低いという縦のバリエーションも幅広くあると同時に、音がちがうという横のバリエーションが無限にある。それぞれの機器が、その値段の範囲で、水準以上の性能を発揮し、かつ、魅力ある製品であることが、私の考えるベスト・バイの条件である。その魅力とは、もちろん音の美しさ、仕上加工の水準、デザインなどの総合で、つまるところ、その製品に感じられる創った人間の中味の密度と次元の高さと誠実さである。100万円と10万円の同ジャンルの製品を縦割だけで考えることはナンセンスである。100Wのアンプより、はるかに音の美しい50Wのアンプだってある。数十万円の大型スピーカーがすべてではあるまい。数万円の小型スピーカーが、よりしっくりと、その時々
の音楽的欲求を満たしてくれることだってあるだろう。そして、逆に、どうしても大型スピーカーで大パワーアンプでなければ得られない、音の世界が存在するのである。
 いずれにしても、最終的な価値判断は、それぞれの人の問題だ。そして、価値の発見とその必要性と、それを得る可能性は、全くそれぞれに別問題であろう。この三つの結びつきのコントロールは読者に任せる他はない。ここにあげたベスト・バイ製品のそれぞれに、私は相応の価値を見出してはいるが、だからといって、そのすべてを必要とはしないし、また、それを所有する力もない。
 編集部から渡された、各コンポーネントの膨大なリストの中から、かなり客観的な思惑を交えながら、出来るだけ広範囲に選んだが、その結果、あまりに多くの製品になってしまい、正直のところ困り果てている。それぞれの製品について、短いコメントをつけるだけでも、気の遠くなるような仕事になってしまった。実に、トータルで190機種にも及ぶ。しかし、これだけの数の機器に、それなりの価値と、存在理由とオリジナリティを見出せるということは、たとえ、かなり客観性をもって選んだとしても、オーディオの楽しさを今さらながら感じさせられる。相互的に組合せて、システムを構成したとすると、うまくいかない組合せをのぞいても、かなりの数の優れたシステムが誕生することになるであろう。そして、それらは、一組として同じ音色やニュアンスで鳴るものはないのである……。

ビクター SX-3III

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 国産スピーカーの中で、最も早く、オリジナリティに目覚めた製作者の手で作られたといってよいユニークなシステムがSX3だと思う。ソフトドーム・トゥイーターの採用は、欧米に習ったものとはいえ、それを完全に自家薬籠中のものとして消化し、念入りなエンクロージュア、フィニッシュの独自性などは、タイプIIIとしてリファインされた今日も、立派に存在の必然性をもっている。国産ブックシェルフの傑作として上げたい。

ダイヤトーン DS-25B

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 中型ブックシェルフ・スピーカーとして完成の域に達したシステムであろうと思う。明るく解像力の高い再生音は、プログラム・ソースを生き生きと鳴らし、快い。中級システムとして一般家庭では十二分な能力をもった優秀な機械である。あえて機械であると表現した所が、多少の私の不満を現わしたところである。

セレッション UL6

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 スピーカーの音をどうしたら、人の感覚に美しく響かせることが出来るかをよく心得たセレッションらしい傑作だ。スピーカー作りのキャリアのベテランが、家庭で音楽を聴くという目的を十二分に知りつくして作り上げたコンパクトながら、堂々とした音の再生も可能なシステム。品位の高い音の風格が感じられる。

ステラボックス SP-7(S-19-38)

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 スイスのステラボックスは、ナグラと並んで超精密度のメカニズムをもつ高級プロ用ポータブルデッキメーカーで、その製品は、放送、映画関係のプロに絶対の信頼性をもたれている。4スピードで76cm/secまで可能で、アダプターにより10号リールまで使える。長年のリファインが見事な水準に達した感がある。

アカイ PRO 1000

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 GX400Dプロという2トラック・2チャンネルデッキを基本にしながら、全く別物といってよいほどまでにリファインしグレイドアップしたのが、このプロ1000てある。2トラック・38cmの抜群の特性に裏づけられた高度な音質と、プロ機としての操作性と信頼性をもつ名実ともに充実した本格派である。

パイオニア RT-2022

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 パイオニアの2トラック・2チャンネルステレオ・オープンデッキの高級機で、トランスポートとアンプ部は独立して、それぞれ可搬型のケースに収められている。パーマロイヘッドによるオーソドックスなバランスを重視した設計で、音質はスムーズで重厚である。機能も豊富な本格的な2トラック38デッキだ。オッシレーターも内蔵し、その調整範囲の広さも、いかにもマニア向きで、使い手の技術が生かしも殺しもするだろう。

ソニー TC-4550SD

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ソニーのプロフェッショナル級のカセットレコーダーで、ポータブル機としての諸条件がよく検討された、信頼性の高いマシーンである。デザインも内容も、ソニーのキャリアが生きた堂に入ったもので、完成度の高い、持つ者に高い満足感を与えずにはおかない高級機である。しっかりした音と作りだ。

ティアック PC-10

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ティアックのポータブル・カセットレコーダーで、高度な性能をもつ専門メーカーらしい製品。モーターは、キャプスタン、リール用が独立で、それぞれ2段切替式だ。振動対策もほどこされ、安定した録音が可能である。音は大変に素直でSN比もよい。

アイワ AD-7800

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 カセットホルダーは7500とちがって斜めに保たれるが、これが専用モーターによるオートマチックローディングというこったメカニズムであり、確実に、無理な力なく、セットされる。メーターをはじめ、調整用ヘッドの装備など、いずれもきわめて本格的でオリジナリティ溢れた高級機の風格である。

テクニクス RS-670U

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 2モーターによる、スムーズなトランスポートを特長とする、テクニクスのカセットデッキで、これはヴァーチカルユース・シリーズのベーシックモデルである。この種のデッキに要求されるノイズリダクション、イコライザー、バイアスを実用的に備えた機械で、誰にでも無難にこなせるよさがある。

パイオニア CT-9

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 かなり大型のカセットデッキで、前面操作式の、充実した製品である。内容の充実さ、機能の豊かさ、仕上げの高さからくる感触のよさ等、こうした諸条件がよくバランスしたもので、デッキを使う喜びがある。まず録音に必要な機能は完全に備えていて、使い手の要求には万全の備えで応じる。音質は、聴きよいバランスで、サウンドのまとめがうまい。

デンオン DR-370

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 デンオンのオープンリールデッキと、共通のデザインイメージでまとめられた、ヴァーチカルユースのカセットデッキで、諸機能も充実している。走行性能の安定度は高く、ヘッドタッチもよい。カセットハーフの不安定さに対する押し込みがきいていて、ドロップアウトの少ない安定した録音ができる。

ダイヤトーン DT-4400

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ダイヤトーンのカセットデッキは、いずれも手堅い。優秀な性能をもっていて、この社のこの分野に示す情熱がわかる。意外に地味な存在ながら、製品の実質は高い。このDT4400は、ヴァーチカルユースのコンポーネントデッキで、機能も充実しているし、音質もよい。実用価値の高い製品だ。

アイワ AD-7500

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 各種の新機構をもった、ユニークでオリジナリティのある、ヴァーチカルユースのカセットデッキである。カセットホルダーは正立透視型で大変扱いよいしSST方式というトランスポートメカニズムは、きわめて安定したテープのトランスポートを可能にする。SN比のよい、透明な音質も品位が高い。

ソニー TC-K3

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ソニーのコンポタイプデッキの新シリーズ、TC−Kラインのベーシックモデルといってよい、きわめて実質価値の高い普及機である。コンパクトカセットは、いまや、高級なハイファイ型に関心が集中しがちだが、本来は、このような機器で、エアーチェックや、簡単な録音を楽しむものかもしれない。

ダイナベクター DV-505

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 振動工学の専門家のプロデュースになるもので、こりにこったユニークでオリジナリティに溢れた注目すべき製品てある。数々の新しい機構・構造は、トーンアームの分野では従来見られなかった独創的なもの。機械好きにはたまらない魅力をもつ。外観からして従来のものとは全く違う。音はがっしりと締り感度高し。

フィデリティ・リサーチ FR-64

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ダイナミックバランス型のトーンアームで、そのシリーズ製品には、ステンレス材を使用したFR64Sがある。このFR64は、一般的なアルミニュウム材を使用しているところが異なるだけで、その他はFR64Sとほとんど変わらない。やはり緻密なクラフツマンシップが感じられる優秀なトーンアームである。

グレース G-714

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ピックアップの専門メーカー・グレースのユニークなウッドアームである。こうした趣味的製品は大いに歓迎すべきであろう。専用のシェルだから、ユニヴァーサルとはいえ、使いよいとはいえない。しかし、そうした点を補って余りあるのがウッドの感触と、オイルダンプによる安定した低域の再生の魅力である。

オルトフォン RMG309

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オルトフォンの伝統的な仕上げ技術が光る信頼性の高いダイナミックバランス型アームで、シンプルな構造が外観にも表われ、いかにもトーンアームらしい暖かみのある製品。どこか、材質仕上げに一味違う雰囲気をもっているのはさすがである。アンチスケートもリフターもない。Gシェルをつけるべきである。

オーディオクラフト AC-300C

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 AC300のリファインされたタイプがこのAC300Cである。オイルダンプの安定したトレーシングとダンピングにより、カートリッジの低域を素直に再生し、力のある再生音が得られ、金属的共振感は除去される。音のいいトーンアームなのだ。AC300と基本的には同じだが、こちらのほうが機能が豊富。

フィデリティ・リサーチ FR-64S

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 フィデリティ・リサーチのトーンアームには、緻密なクラフツマンシップがあって、われわれを裏切ることがない。これはステンレス材を使った高級なダイナミックバランス型で、スプリングによる針圧印可機構も精巧をきわめている。サブウェイトを使えば広い適応性をもち、高感度と押えのバランスは見事だ。

テクニクス EPA-100

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 おそろしくこったトーンアームである。少々こり過ぎて、ダンピングコントロールなどは、一般にどこまで使いこなせるかが不安でもある。しかし、ここまで精巧に作られたトーンアームを持ち、使う喜びは、また格別であろう。デザイン的には私個人の好みとはいえないが、見るからにエンジニアの情熱と、仕上げの緻密さが納得できるであろう。ユーザーのほうも、作者と同じようなこり性の人であるべき製品。

ロックウッド Major

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 タンノイの38cmコアキシャルスピーカー385HPDをユニットとして使っているが、エンクロージュアが特殊バスレフで、ロックウッドのシステムとしての独自性を持っている。きわめて豊かな低音再生が得られ、タンノイの音をさらに豊潤な響きにしている。タンノイ本家のアーデン相当のシステムであるが、価格はほぼ倍もする。この差を認めるか認めないかは難しいところだが、独自性は認めたい。