Category Archives: 菅野沖彦 - Page 18

マッキントッシュ MC502

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マッキントッシュとしては異例の薄型のプロポーションを採用したアンプで、50W+50Wのステレオアンプ。グラス・イルミネーションは全く同じで、金文字がパワー・オンでグリーンに美しく変色する。ブルー・メーターはないが、明らかにマッキントッシュのアンプであることは一目瞭然。パワーガードが威力を発揮し、まずクリップ音は出てこない。モノ接続で150Wアンプとなる。伝統のアウトプットランスは持たないAB級。

音質の絶対評価:8.5

マッキントッシュ C32

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 同社のプリアンプの最高峰がこの製品だ。はっきりいって、エキスパンダーは余計なもので、このアンプを使う人たちの音への要求と、この機能はちぐはぐだと思う。これは日本人とは異なる発想としか思えない。しかしこれをスイッチ・オフして使わないとしても、このアンプの魅力は、いささかも損なわれない。C29とはひと味違った楽音のニュアンスが、ここには聴ける。29同様、大人の風格と、王者の貫禄をもったプリアンプ。

音質の絶対評価:10

アキュフェーズ C-200X

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 アキュフェーズのオリジナル・デビュー製品、C200のマイナーェンジのパネルデザインだが、中味は、メイジャーチェンジで生れ変ったもの。アキュフェーズらしい堅実だが、少々野暮な顔つきが特徴。しかし癖や嫌味がなく、仕上げのクォリティが高いので、長年使って、あきないはずだ。内容にほれ込めば、あばたもえくぼとなるだろう。価値ある製品だ。操作性も向上して、内容の充実にふさわしい質の高さだ。

音質の絶対評価:9

アキュフェーズ C-230

菅野沖彦
’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ブッシュボタン式の使いやすいパネルレイアウトは、上級機C240と共通のイメージだが、私は、あまりこのパネルは好きではない。決してセンスがよいとは思えないし、高級感があるわけでもない。もちろん、アキュフェーズらしい美しい作りだし、仕上げの質も高いのだが、魅力が感じられないのだ。機能性とオリジナリティは認めた上で好みの問題だ。操作性、感触は質が高く、緻密なクォリティを感じさせるものだ。

音質の絶対評価:7.5

スタックス DA-100M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 100WのA級モノーラルアンプで、AB級でもパワーは同じに抑えられている。AB級動作では、その分、省エネにつながるはずだ。放熱はヒートシンクを使わず、ヒートパイプによる。いかにもスタックスらしいユニークさをもっている。デザインや仕上げは取り立てていうほどのこともなく、むしろメーカー製らしい魅力のないところを平然と打ち出すあたり、アメリカの新生小メーカーと共通の野暮と驕りが感じられる。

音質の絶対評価:8.5

スタックス CA-X

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 スタックスはユニークな技術をもったグループで、いかにも専門メーカーらしいアイデアと執念で独善的に製品をまとめ上げる。このプリアンプもパワーサプライが左右独立して、さらに左右独立のイコライザー、コントローラーとも上下にセパレートという潔癖ぶりで、デザインも、それがそのまま現われたというそっけなさ。夢もセンスもない、ただひたすら機械としての必然性に徹するのがスタックスの魅力というべきだろう。

音質の絶対評価:7

パイオニア M-Z1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 あらゆる点でユニークなパワーアンプである。独自の回路により、NFBを避けて音の鮮度を図った発想だ。60Wのモノーラルアンプで、そのボディは、プリアンプ、プリプリアンプと共通のタテ長のプロポーションでシステムイメージをもたせている。プリアンプでは不自然さを指摘したそのプロポーションも、パワーアンプでは問題するに当るまい。ガラス越しに見えるピークインジケーター、トランスも面白い。

音質の絶対評価:9

マッキントッシュ C29

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 現在アメリカのオーディオメーカーの中で最もメーカーらしい信頼性と安定性で製品の高性能・高品質を保っているのはマッキントッシュだと思う。この製品にもそれが現われていて、バランスのとれた感覚と設計技術がうかがえる。部分的には決してマニアックではないし、流血革命派のような気負いもない。しかし、ここにはメーカーとしてのキャリアが、最新技術と伝統をバランスよく製品に生かした高品位の大人の風格がある。

音質の絶対評価:10 

マッキントッシュ C504

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 同社として初の薄型のプロポーションをもったプリアンプだ。伝統あるガラスパネル・イルミネーションを踏襲しているので一目瞭然、同社の製品であることがわかる。エモーショナル・レスポンス・フォー・ミュージックを大切にする同社の考え方は、このグラス・イルミネーションに現われている。比較的手頃な価格でマッキントッシュ・フィーリングを所有出来るアンプで、パワーアンプMC502とのバランスが大変よい。

音質の絶対評価:8.5

パイオニア C-Z1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Zシリーズとして登場した、ノンNFBアンプのプリアンプ。パワーアンプM−Z1と共通のプロポーションにまとめたシステム・デザインだが、必ずしも、これが使いやすさにつながるともいえないようだ。ガラス越しにブロックダイアグラムが見え、これにダイオードが点灯するというマニア好みの味つけは楽しいし、好ましい。ヘアライン・ブラックフィニッシュが、少々緻密感とデリカシーを損なっているのが惜しい。

音質の絶対評価:8.5

マークレビンソン ML-2L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Aクラス動作で25Wのモノーラルアンプがこの大きさ! いかにもMLらしい大胆な製品である。やりたいこと、やるべきことをやるとこうなるのだ、といわんばかりの主張の強さがいい。そして2Ω負荷100Wを保証していることからしても、アンプとしての自信の程が推察できるというものだ。パネルはML3に準じるが、ヒートシンクが非常に大きく、上からの星形のパターンが目をひく。2台BTL接続端子がついている。

音質の絶対評価:9

マークレビンソン ML-3L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マーク・レビンソンのパワーアンプらしい風格をもった製品。200W+200W(8Ω)のステレオアンプで、見るからに堂々たる体躯のシンメトリック・コンストラクション。前面パネルにはパワースイッチだけがセンターに、その真上に、あのモダーンなロゴがプリントされている。両サイドのハンドルを含め、シンプルながらきわめてバランスのよい美しさである。これぞ、パワーアンプという雰囲気だ。

音質の絶対評価:8.5

マークレビンソン ML-6AL

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 左右独立、それも電源からボリュウムコントロールまでという徹底ぶりだ。その勇気と潔癖症には脱帽するし、こういう製品が一つぐらいはあってもよいと思う。しかし、これはもう一般商品とはいえないし、プロ機器としては、さらに悪い。本当は業務用こそ、誰が使っても間違いなく、容易に使えて、こわれないものであるべきなのだ。この製品の登場は業務用機器のメーカーではないことを立証したようだ。

音質の絶対評価:7.5

マークレビンソン LNP-2L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもマニアックなクォリティに満ちた製品で、見てもさわっても、音を聴いても、他製品とは全くちがう肌ざわりを感じる。これは明らかに業務用機器のもつ質感である。その意味では、きわめて高い可能性をもった機器なのだ。しかし、ハイファイ製品(良い意味で)は、それが、さらにリファインされていなければならない。プロ機器が常に一般機器の上とは限らないのである。もう一つ大人になってほしい製品だ。

音質の絶対評価:9

マークレビンソン ML-7L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 LNP2Lより、さらに生硬な印象をうけるが、音は別稿の通り立派なものだ。ただし、マーク・レビンソンの一連の製品についていえることだが、明らかに一般ハイファイ・マニアを相手にしながら、プロ機器仕様とデザインを決めこんでいるのはどうかと思う。車でいえば、トラックやブルトーザーのようなデザインばかりではないか。中ではLNP2Lが一番まともだが、決して使いやすくもない。

音質の絶対評価:9

マランツ Sm-1000

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マランツのパワーアンプ・シリーズの旗艦として、かつての500シリーズに代って登場した製品である。400W+400W(8Ω)、650W+650W(4Ω)のパワーを誇る。ラックマウント金具をサイドに持つが、これは木製のキャビネットにも入るはずだ。センスのよいメーターの色調、仕上げの高いパネルなど、高級アンプにふさわしい風格を備える。豊富なスピーカー切替ファンクションをもっている。

音質の絶対評価:8.5

マランツ Sm-9

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Sm6の上級機種で、これはマホガニー・キャビネットに収められている。150W+150W(8Ω)のパワーをもち、Sm10とはわずかな価格差だが、コンセプトの異なるアンプ。マランツのシリーズは豊富で、それぞれの要求にキメ細かく対応しようというメーカーの意欲が感じられる。これも一段と高級感をもったマランツ伝統のイメージを踏襲し、現代的にリファインした美しいデザインと仕上げをもっている。

音質の絶対評価:8

マランツ Sm-10

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120WのパワーはAB級で8Ω負荷時、別に切替でA級30W+30W(8Ω)、350Wモノーラルアンプとしても使えるDCアンプ。モノーラルアンプを2台カップルして、ステレオユニット化した構造が外観からもわかるし、これがデザインの基調ともなっている。作りも仕上げも美しく、往年のマランツのイメージをよく生かした製品だ。Smシリーズの中でもユニークな存在で、個人的にも好きな製品である。

音質の絶対評価:8.5 

マランツ Sm-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 AB級120W+120W(8Ω)、A級動作で30W+30Wのパワーハンドリングは、上級機種Sm10と同規格であるが、こちらはデザインもコンストラクションも違う。パワーメーターつきパネルフェイスはSm7や9と共通イメージのマランツの現代の顔である。といっても、もう伝統的といってもよいイメージだ。木製キャビネットは別売り。美しい仕上げだし、メーターの色彩も華麗で使う楽しみをもっていてよい。

音質の絶対評価:7

UREI Model 6500

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 一見して、プロフェッショナルな製品であることがわかる。これからみるとマークレビンソンの製品などは、きめの細かいコンシュマー用であることが明白だ。作りといい、デザインといい、タフネス一点張りのもので、そのコンストラクションの剛性の高さは特筆に値する。275W+275W(8Ω)のパワーをもち、安全対策はよく出来ている。まさに、ヘヴィデューティ機であることが、その全体から感じられる。ファンによる強制空冷システム。

音質の絶対評価:7.5

オンキョー Integra M-509

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 オンキョー始まって以来の高級アンプとして登場しただけあって、実力豊かな力作である。200W(8Ω)のパワーは4Ωで280Wを保証される。歴代の同社のパワーアンプのデザインイメージを踏襲したブラック・フィニッシュ、大型パワーメーターのパネルフェイスだが、これは一廻りスケールが大きく立派な作りである。高級アンプにふさわしい風格が感じられて好ましい。本格派と呼べるパワーアンプである。

音質の絶対評価:9.5

オンキョー Integra M-506

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120Wの出力をもったパワーアンプで、4Ω負荷160Wも保証される。大型のパワーメーターを基調にデザインされたブラック・フィニッシュのパネルは仕上げがよいので、価格以上の高級感を感じさせる。スイッチ・オンで、メーター照明がオレンジ系から動作状態を色の変化で伝えるなどの洒落っけも持っている。売物Wスーパーサーボと称するサーボオペレーションを採用した効果が認められる。

音質の絶対評価:8.5

スレッショルド STASIS 1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 スレッショルド社のプレスティジ製品であり、ステイシス・シリーズのトップモデルである。現実は、ほぼ受注生産に近いもと思われるが、これだけのアンプを開発する同社の実力は凄い。200Wのモノーラルアンプで、テクノロジーと物量のすべてはクォリティに奉仕する。パワーではステイシス2と同じだが、モノアンプでありながら、重量は逆に重い。つまり、2倍以上ということになる。独特なレスポンスをもつメーター付。

音質の絶対評価:10

スレッショルド STASIS 2

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ステイシス・シリーズ中の代表機種といっていい存在である。200W+200Wのパワーをもち、スピーカーのインピーダンス変動にはきわめて安定した動作をもつ。シンメトリック・コンストラクションによる剛性の高い本体とパネルの作りは、さすがに最高級品の名に恥じないものがある。ピークパワーインジケーターを中心にまとめられたデザインは、大変現代的で美しく、しかも軽々しさがまったくない落着いた雰囲気をもつ。

音質の絶対評価:9 

オンキョー Integra P-309

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 P306の上級機として登場したこのプリアンプは、内容的に明らかにリファインされているし、オンキョーとしては力の入った高級機らしい高級機だ。ブラック・フィニッシュはマチエールの美しい、高い仕上げで、細かいコントロール類はサブパネル内に収めた、すっきりしたデザイン。ウォームアップの状態を視覚的に確認できるインジケーターをつけるなど、なかなかマニアックだが、ちょっとやり過ぎの感じもある。

音質の絶対評価:8