菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
1993年の発売以来、時は経っているが今もCDトランスポートのリファレンス的存在。その筐体は、正確な読取りを徹底した結果の重さだが16.7キログラムもある。同軸と光学式の3系統ずつの各種出力端子の他、XLR出力も持つ。同社のD/Aコンバーター、DA−S1のマスタークロックを受けて同期運転するST端子も備えている。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
1993年の発売以来、時は経っているが今もCDトランスポートのリファレンス的存在。その筐体は、正確な読取りを徹底した結果の重さだが16.7キログラムもある。同軸と光学式の3系統ずつの各種出力端子の他、XLR出力も持つ。同社のD/Aコンバーター、DA−S1のマスタークロックを受けて同期運転するST端子も備えている。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
No.37Lは薄型トレイ式のトランスポートを採用し、価格はNo.31.5Lと比べ低減化しているが、マークレビンソンの名に恥じない高級品。No.360SLは24ビットやハイサンプリングへの対応が可能で、DSPによる高精度なディジタル・インターフェイスを持つ。両者の組合せによる音は、奥行のある豊かさと精緻な解像度を感じさせる品位が高いものだ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
デンマークの製品。なんといってもデザインと造りが素晴らしい。マニュアル操作性を重視したことからも再生音楽へのこだわりが感じられるであろう。レコード音楽にどれだけの価値感を持っているかが問われるプレーヤーだ。HDCD対応で、音は重厚で陰影の濃い聴き応えのある音楽表現が魅力である。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
アメリカのワディア社とのフレンドシップモデルと称され、ワディア社設計のディジタル・プロセッシング回路を持つ。2系統のディジタル出力端子を装備するほか、ティアック独自のVRDSメカニズムと呼ぶアルミダイキャストのターンテーブル圧着式の安定した回転機構を持つ、一体型の信頼性の高い高級CDプレーヤーである。
井上卓也
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
「注目の新着コンポーネントを徹底的に掘り下げる EXCITING COMPONENTS」より
英国ノッティンガム・アナログ・スタジオの製品は、ヨーロッパでは、ハイエンドのADプレーヤー工房として定評があるようであるが、国内市場では『ザ・スペースデッキ』が最初に登場して一躍注目をあつめ、続く『ザ・メントール』でハイエンド・ADプレーヤーメーカーとしての実力が認められるようになった。今回新製品として開発された『アンナ・ログ』は、同社のモデル中の最高峰に位置づけられるADプレーヤーである。
現在における理想のADプレーヤーを目指して作られた『アンナ・ログ』は、ノッティンガム・アナログ・スタジオ社が、5年間の歳月をかけて開発したモデルで、従来からの同社独自のユニークな技術にさらなる試みが加えられて完成されたという。
同社の主宰者トム・フレッチャーが、英国の産業革命時代の、なんと1740年頃にカナダから輸入された樹齢200年を超える古い樺の巨木に出会ったことから、この『アンナ・ログ』の開発がはじまったという。樺は原木のまま保管されていたわけではなく、何らかの建築物や建造物に使用されていた木材だと推測されるが、とにかく古い巨木に出会ってインスピレーションがわいたことが『アンナ・ログ』開発の契機となったことは事実のようだ。
外観からもわかるように、『アンナ・ログ』は、同社のADプレーヤーづくりの独特な考え方に基づいている。各種構成部品がネジ止めにより構造体が作られる一般的な方法ではなく、「ベース材料の上に各種構成部品を積み重ねて置く」という非常にシンプルで、わかりやすい方法を採用している。
システムの基礎となる厚い平板上の部分は、MDFより一段と高密度なHDFと呼ばれるブナ集積材で作られている。
重量級の超弩級ターンテーブルが取り付けてあるターンテーブルベースが、開発のポイントになった、カナダ産の古巨木の樺材を使ったブロックである。この樺材は、25mm厚の正方形にカットされ、19個をスパイラル(らせん状)に角度をずらして重ね合わせ、巨大な圧力をかけて特殊接着される。さらにブロックの中心を少しオフセットして、軸受けベアリングがマウントされる。トム・フレッチャーによれば、このブロックは、「貴方が指の爪で引っ掻いてみても、何ら固有音は聞えず、貴方の爪の音しか聞こえません」という。
ターンテーブルベース両側は、長さが違うスタビライザーが置かれており、ターンテーブル中心からターンテーブル両端に向かって伝わる振動を抑制している。
ターンテーブルは、二重構造で自社内の専用工場で作られ、材料は3年間エージングしたものを加工している。合金材料は公表されず、たんに重量25kgと発表されている。ターンテーブル上部には、カーボングラファイトの重量3kgのターンテーブルマットと呼ぶには抵抗を感じる円盤と組み合わせて、異種材料の構造体を形成している。軸受けは、さまざまな材料を組み合わせたスペシャルベアリングである。
駆動は、円断面ゴムベルトを使うベルトドライブ方式で、駆動モーターは精密24極超低トルク・シンクロモーターが採用される。ターンテーブル起動時には、ターンテーブルを直接指で回すという、単純明解な方法が採用されている。駆動モーターは、HDFベース下に単純に置くだけの別置き型設計である。
カートリッジの針先が、ディスクの音溝の振動をピックアップして電気信号に変換するアナログディスク再生においては、ターンテーブルおよびモーターの振動を無視できるような低レベルに抑えることが重要である。このため同社では、慣性モーメントの巨大なターンテーブルと、定速回転を保つだけの最小限の駆動力を与える超低トルクモーターを組み合わせる方法がベストと考えている。
トーンアームは、単純に『アンナ・アーム』と名付けられたモデルだ。長さ30cmのこのトーンアームは、手加工で作られたアルミブロック削り出し一体型ヘッドシェルをもつ。アーム部分はカーボンファイバー製で、軸受け部は一点支持型かつ無制動としてユニークな設計で、無共振・無振動のパイプ中には7本の純銀単線が通っている。内容は不明だが、左右信号系4本と、他は独立したアース系のリードであろう。適応カートリッジの重量は、6〜20gと発表されている。
このトーンアームで特徴的なことは、アームリフター優先設計でヘッドシェルには指かけがなく、現実的にはマニュアル操作は不可能に近い。したがってアームリフターの差同範囲は非常に広く、リフターが上がっているときには、まずディスク上に針先を落とすことが不可能な安全設計となっている。また、アーム操作はかなり慣れが必要なタイプで、特に針圧操作は、スケールをもたないスライド式の針圧調整ウェイトを指先で調整する方法のため、別に針圧計が必要となろう。
試聴にはオルトフォンの最新型MCジュビリーを組み合わせて使った。自重10・5g、針圧2〜2・5gの規格で、好適なペアだ。
カートリッジが現在の最先端技術を組み合わせたモデルであるだけに、スクラッチノイズの質はよく、量も低く抑えられ、伸びやかに広帯域型の音を聴かせる。しっとりした、ほどよくしなやかで潤いのある音は非常にナチュラルで、SN比の高さは格別の印象である。確実に音溝を拾いながらも、エッジの張った音とならず、情報量豊かに静かに内容の濃い音を聴かせるパフォーマンスは見事である。
簡単に聴くと、穏やかな音と感じられるが、他の100万円旧のADプレーヤーと比較試聴すると、予想以上の格差があり、あらためて『アンナ・ログ』の実力の高さに感銘を受ける。従来の針先が音溝を拾う感じのあるリアリティの高さもアナログの楽しさだが、この静かなストレスフリーの音も新世代のアナログの音である。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
同社のMMB方式4パラレルのDACはジッター軽減のディジタル復調器を持つ。豊富な機能を持ち、一体型だがDACとしても自立し、ディジタル機器とのインターフェイスも装備する。またリアパネルにはスロットが設けられ、オプションボードが豊富に用意されている。アキュフェーズらしい確度の高い実感のある音だ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
SACDプレーヤーの1号機で、CDプレーヤーとしてもなかなかの力作である。アクセスタイムが長く、慣れないとイライラさせられるかもしれないが、集中して聴くには、これもいいと思う。いかにも新世代のプレーヤーらしい精緻さを感じさせる音だが、柔軟な質感や曖昧模糊とした雰囲気の魅力には欠ける。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
音にこだわるラックスらしいプレーヤーである。HDCDでコーダーを内蔵するのは上級機D10と同じ。DACはマルチビット式の20ビット・サインマグニチュード型。筐体もしっかりできていて12キログラムとどっしりしているので外部振動に強い。力感に富んだ再生音は本格派と言える域に達している。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
ヴァーチャル・バッテリー・オペレーション、MASH方式クラスAの1ビットD/Aコンバーター、竹繊維のセパレーターを採用した電解コンデンサーなどなど、テクニクスのオーディオ技術をふんだんに盛り込んだプレーヤーだ。透明感とすっきりとしてクリアーな再生音は価格を上回る品位を持っている。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
ウエストボロウ・シリーズは木目調の大人っぽいデザインで成功をおさめたミュージックコンソレットである。基本的にはCDチューナー・アンプからスタートしたが、時代の要求に応じて機能の拡張を続けている。バランスのよい音作りは、ボーズの優れた小型スピーカー技術あってこそのものであろう。Vは縦型プロポーションである。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
ボーズらしいコンセプトとデザインで、マニアックな要求にも応える心憎い組合せがボーズらしい。アクースティマス・ベースとサテライトSPはつぼを心得た音のチューニングが巧みで、なにを聴いても適度に刺激的で聴きごたえを感じさせる。この音なら、若い層にも年輩層にも薦められる。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
同社のプリ、コヒレンスやシナジー用のフォノイコライザーであり、汎用製品とは言えないかもしれない。デザインもアルミ削りだしの筐体も共通だ。入力はバランスが本来であるが、アンバランス変換アダプターも付属している。その透徹な音はプリアンプと同質の音触で、アナログディスクとは思えない透明感さえある。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
伝統的なSPUを最新の素材と設計でリファインしたカートリッジ。金と銀の混じった自然金にヒントを得たエレクトラム合金を採用し、これをコイルに使ったもの。柔軟なしなやかさと繊細感を持つSPUである。インテグラル・トーンアームでも使えるSPUで、その顔とも言える例のシェルには取り付けられていない。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
デンマークのオルトフォンが発売した最新設計によるもので、素晴らしいパフォーマンスを持つ。高性能で高品位な傑作である。従来のオルトフォンとは違って音もより現代的で、すっきりしてしなやかだが、決して弱々しいものではない。意欲的な設計と精密な作りは、さすがにオルトフォン・カートリッジの名門の貫禄である。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
TP90スタティックバランス型トーンアームを付属するカートリッジレスのセミオート・プレーヤーシステムである。ほどほどの価格で、さりげなくアナログディスクを楽しみたい人達に広く薦められる製品である。トーレンスらしいバランス感覚が好ましいし、ブラックアッシュ仕上げも地味だがブラックディスクによく似合う。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
イギリスで作られるユニークな手作りのアナログプレーヤーである。これはカーボンファイバー製のトーンアーム付システムである。スタート時はターンテーブルを手で回してやらなければならない。負荷がなくても自身では起動不可能な弱いトルクのモーターで、自重25キロのターンテーブルはベルト駆動される。実に静粛である。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
XRTシリーズの上級機種。23基のトゥイーターを持つコラムとメイン・エンクロージュア部がセパレートされている。低音を歪なく20Hzまで確実に再生する数少ない既成のシステムだ。全帯域のタイム・コヒレント、無指向性に近い高域の拡散、そしてエネルギー・フラットを実現する再生音は自然感に満ちている。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
SMEのトーンアーム3012Rを装備したセミオート・プレーヤーでカートリッジは付いていない。本格派のアナログプレーヤーの標準的な製品といったところである。音はトーレンスらしい適正なダンピングとQのコントロールにより、大人の雰囲気を持ち、柔軟性と高解像感のバランスは中庸を保っている。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
クラシックの録音モニターとして広く使われている同社のMatrix801シリーズの後継機となる最新モデルだが、今回は大幅な変更を受けて801という型番が不自然なほどである。作りも音も充実した力作である。従来の801にあった甘さと繊細さは姿を変え、より精緻な解像力を持ちスケールもいちだんと大きくなった。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
オランダの製品で、この2.0は現在本邦に輸入販売されているCeramiqueシリーズのミドルクラス機である。このシリーズはセラティック・コーンを使っているのが特徴で、音は精緻である。本機は13cmのセラティック・コーンを3ウェイの中域用に使ったものだ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
このイタリアのメーカーは、まさに工房と呼ぶに相応しい。特にヴァイオリンの名工の名前が付けられたオマージュ・シリーズは同社を主宰するフランコ・セルブリンの思い入れが作らせた入魂の作品。気の遠くなるような入念な手仕事によるエンクロージュアは芸術品だ。音は明晰かつ豊潤で音楽が生き生きと躍動する。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
アメリカのアヴァロンはティールと並び現代アメリカ・スピーカーメーカーの代表的な存在。この製品は同社の中核を担うミディアムサイズのもので、ノーメックスとケブラーの複合材による22cm口径ウーファーは、この上のエクリプスと同じものだが、トゥイーターはチタン製逆ドーム型。すっきりと明るい高解像度の音だ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
ボレロ・シリーズの馴染みの深いスイスのメーカーの最新製品である。同シリーズは今年、全面的にステラ・シリーズに入れ代わったが、これはその上級機種である。従来のボレロ・グランデに相当するものだ。美しいエンクロージュアとチューニングの巧みなバランスの音がさらに洗練され、いっそうの特性向上が感じられる。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
前面に1基、背面に8基のユニットを持つ、この901シリーズこそ、BOSEスピーカーシステムの基本的コンセプトが体現されたモデルであり、今も創業以来、ユニットの改良を重ねて常にトップモデルとして存在させているのは立派である。このWBは美しい仕上げのシリーズ最高のモデルである。実にユニークで素晴らしい。
菅野沖彦
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
プレスティッジ・シリーズの中では手頃な価格の製品だが、100リッターの内容積を持つ。天然無垢材によるクラシックで上質のエンクロージュアはディストリビューテッドポート型である。25cmデュアル・コンセントリック内蔵の本機はスターリングの系譜である。
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