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(オーディオアクセサリー 27号掲載)
Category Archives: テープデッキ関係 - Page 2
ティアック X-1000M, V-2RX, V-4RX
ヤマハ NS-200M, MUSIC GX
ナカミチ DRAGON
ティアック X-1000R
オーム AC-200, LB-300, ST-580, CQ-2, CA-70, SL-15, JT-50, PRO-10, OHC-002
オルソップ・スリー A-300, A-310, A-320
オットー RD-D65
マクセル EW-340, HE-44, AE-320
TDK MA, MA-R
ナカミチ 1000ZXL Limited
井上卓也
ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より
ナカミチの1000ZXLは、並はずれた驚異的な音質とコンピューター制御の多機能さで、現時点でのカセットデッキの究極の姿を示す、スーパーカセットデッキとして、まさにカセットデッキの王者の位置づけに君臨する製品である。今回、この1000ZXLをベースとして、ゴールドパネルに代表される外観のみならず、内部機構及びエレクトロニクス系を厳しく追求しブラッシュアップした新製品、1000ZXLリミテッドが限定、受注生産で発売されることになった。
主な改良点は、テープ走行系メカニズムでは、フライホイールを1000ZXLの鉄製からより比重の大きい黄銅棒材削り出しとし、フライホイール効果を増大させ走行性の安定化とフラッターの抑制を向上させるとともに、回転系支持アルミシャーシの表面にブラックアルマイト処理を施し振動吸収効果を高めている。また、ヘッドは独自のクリスタロイヘッドの特別選別品を採用し、シールドケースには外来雑音の除去と相互干渉をなくする目的で金メッキ処理が施されている。また、メインシャーシもブラッククロメイト処理で、耐蝕性を向上している点も見逃せない。
エレクトロニクス系は、電源ブロックのヒートシンクが銅板金メッキ処理となり、接触抵抗、熟抵抗、電気抵抗を低減しリップルを抑えるとともに電源効率を高めている。また、回路接続用コネクター類はすべて金メッキ処理で、性能向上と長期間にわたる安定度を保証している。
なお、本機にはドルピーCタイプノイズリダクションユニットNR100が標準付属だが、これはブラックパネルの一般モデルである。
1000ZXLとの一対比較試聴での結果は、リミテッドのテープヒスの量が一段と少なく、質的にもピーク成分が抑えられているのが明瞭な両者の差だ。音の粒子は一段と細かく、滑らかに磨かれており、低域から中低域のまろやかで豊かな印象と中高域から高域のナチュラルでありながら分解能の高さは、1000ZXLの音がやや線が太く、硬質のメリハリ型のサウンドに感じられるほどである。このクラスの重量級デッキでは、設置する置き台を強固なものにしないと本来の緻密な高クォリティの特長が出ないため、注意が必要である。
デンオン DR-L1
30万円以上の価格帯の特徴(カセットデッキ)
井上卓也
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
30万円以上の価格帯は、100万円以上のセパレートアンプや、同様な価格のプレーヤーシステム以上に、まったくのスペシャリティ的な製品が存在するところで、特別にカセットデッキに興味がないかぎり、実質的に持つことの喜び以外には、ディスクファンには関係のないプライスゾーンである。しかし、このクラスの超高級国内製品ともなると、各種テープに対するチューニングは全てデッキ側で自動的に調整され、テープ間のf特的な特長はなくなり、本来のキャラクターが引出せるほか、走行系、アンプ系ともに非常に高度なものを備えるため、これがあのカセットテープの音かと驚嘆するような見事なサウンドが得られる。ノーマルテープでさえ、中級機程度のメタルテープの音とは比較できない優れた音質を聴かせる。
海外製品は、これに比較してカセットの範囲内での個性的なサウンドとユニークな機能が特長で、ひと味ちがった楽しさがある。
ナカミチ Nakamichi 1000ZXL
菅野沖彦
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
カセットデッキの最高峰といってよい、ナカミチらしい力作である。マイク/ライン録音にあらゆる面から対処し、テープへのバイアス、イクォライザー、レベルは、マイコンにより全自動化されている。マニュアルでは、イクォライザー2段、バイアス3段切換えだ。録音15曲のコーディング、再生30曲のメモリー選曲、タイマー、ピッチコントロールなど至れり尽くせりの高性能デッキで、まさにカセットのリファレンスにふさわしい。
13万円〜30万円未満の価格帯の特徴(カセットデッキ)
井上卓也
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
15万円以上の価格ともなると、当然のことながら製品の機能・性能は非常に高くなるものの、ディスクとは異なり、デッキ特有の各種各様に存在するテープの選択と、デッキとテープとのマッチング、さらに録音レベルの設定による音質変化と転写の問題などが最終的な音質と直接関係するクラスであり、使いこなしを充分におこなわなければ、せっかくの高性能デッキが活かされないことになりかねないので選択には注意されたい。この価格帯も20万円を境界線として二分するほうが選択には便利だろう。20万円未満は実質的な高性能デッキの存在するところで、使いこなせば10万円未満とは一線を画した優れた音質が楽しめるはずである。20万円以上は、事実上各社のトップモデルが置かれる価格帯である。各社各様の開発方針が色濃く出た製品がほとんどで、フルオート化を選ぶか、マニュアルチューニングの高性能機を選ぶかが選択の要点。
7万円〜13万円未満の価格帯の特徴(カセットデッキ)
井上卓也
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
7〜13万円の価格帯は、8万円と10万円を境界線として考えるほうがよい。7〜8万円は、従来からも優れた実用モデルともいうべき製品が置かれていた価格帯で、3ヘッド型が多くなり、それぞれ専用ヘッドを備えるだけに性能も高く、音質も優れる。また、オートリバースの高信頼度のモデル、新ノイズリダクション方式の採用の製品など、ディスクファンの平均的要求に好適な内容をもつデッキが多く、ぜひともこの価格帯から、デザインを含み、性能・機能を実際にチェックしてから選出してほしいものだ。10〜13万円クラスは、それ未満の延長線上に位置するモデルが存在するところだ。製品数は比較的少ないが、価格的にも余裕があり、デッキメーカーとしてのキャリアと実績をもつ各社の製品であるだけに、いずれを選択してもさしたる問題を生じないのがこのクラスの特長である。最近のデッキの進歩を知ることができるのもこのクラスだ。
7万円未満の価格帯の特徴(カセットデッキ)
井上卓也
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
カセットデッキは、メタルテープ対応以前から6万円未満の59800円が各社間の製品競争が激しいところで、他社と差別化するために、性能・機能ともに優れた製品が次々に新製品として登場し、製品寿命も短いのが特長である。7万円未満では、やはり、6万円未満と区別して考えるべきである。6万円未満でも実質的には5万5千円未満と以上でさらに二分され、性能・音質はやはり1ランク異なるようだ。このうち6万円未満の59800円クラスの製品が、カセットデッキを本格的に使うためのベーシックモデルで、性能優先型か、性能と機能のバランス型かどちらかを選ぶ必要がある。また、ドルビーCなどのノイズリダクションを新採用のモデルは、そのベーシックモデルがベストバイだと思う。6〜7万円は、それ未満のバリエーションモデルや3ヘッド型、オートリバース型と選択は広くなるが、音質もやはり、一段と高い。
ルボックス B710
瀬川冬樹
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より
たとえば、カートリッジを比較の例にあげてみると、一方にオルトフォンMC30又はMC20MKII、他方にデンオンDL303又はテクニクス100CMK3を対比させてみると、オルトフォンをしばらく聴いたあとで国産に切換えると、肉食が菜食になったような、油絵が水彩になったような、そういう何か根元的な違いを誰もが感じる。もう少し具体的にいえば、同じ一枚のレコードの音が、オルトフォンではこってりと肉付きあるいは厚みを感じさせる。色彩があざやかになる。音が立体的になる。あるいは西欧人の身体つきのように、起伏がはっきりしていて、一見やせているようにみえても厚みがある、というような。
反面、西欧人の肌が日本人のキメ細かい肌にかなわないように、滑らかな肌ざわり、キメの細かさ、という点では絶対に国産が強い。日本人の細やかな神経を反映して、音がどこまでも細かく分解されてゆく。歪が少ない。一旦それを聴くと、オルトフォンはいかにも大掴みに聴こえる。しかし大掴みに全体のバランスを整える。国産品は、概して部分の細やかさに気をとられて、全体としてみると、どうも細い。弱々しい。本当のエネルギーが弱い。
B710とナカミチ1000ZXLとの比較で、まさにそういう差を感じた。そしてここでテープまで変えると、その差はいっそう大きく開き、ナカミチにはTDKのSA又はマクセルのXLIIを、そしてB710には、今回小西六がアンペックスと提携して新発売するマグナックスのGMIIを、それぞれ組み合わせると、国産はハイ上がりのロー抑え、いわゆる右上り特性の、ややキャンつきぎみの細身の音に聴こえるし、ルボックスはその正反対に、中〜低域に厚みのたっぷりある、土台のしっかりした、ボディの豊かな音に仕上る。そしてとうぜんのことに、こういう音はクラシックの音楽を極上のバランスで楽しませる。総体に、派手さをおさえて音を渋く、落ち着きのある色合いを聴かせるのだが、こういう音は、残念ながらこれまで国産のどのデッキからも聴くことができなかった。
試聴はほとんどドルビーONの状態。そしてメカニズムその他の詳細については、残念ながら紙数の制約のため割愛せざるを得なかった。
ソニー TC-K777
井上卓也
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
カセットデッキの性能向上を最大のポイントとし、かつてのオープンリールデッキの名器といわれたモデルのナンバーを受継いで開発された、ソニーひさしぶりの3ヘッド構成の製品。性能志向型のため機能はミニマムに抑えられているが、各テープに対応するマニュアルチューニング機構、最新アンプ系と電源を備え、その音質は、デッキやテープの現在の水準をするためのリファレンスとして最適であり、その信頼性の高さは抜群である。
パイオニア CT-970
井上卓也
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
基本的な性能をCT770におき、内容を高級機にふさわしく一段と充実させた本格派のカセットデッキである。オリジナリティが豊かで使いやすく優れたデザインは、視覚的にも実用上でも、従来のカセットの範囲を超えたもので、リールが回転し走行状態を示すディスプレイは視覚的にも楽しい。音質はCT770の上級機らしく同じラインではあるが、音の粒子は一段と細かく滑らかになり、分解能の高い中域から高域は類例のない見事さだ。
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