Category Archives: CDプレーヤー関係 - Page 3

アキュフェーズ DC-61

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 ディジタルプロセッサー単体として開発された製品。一体型CDプレーヤー、DP75のSFCを発展させて搭載し、リサンプリングは44・1kHzと48kHzが選択可能。片チャンネル6個の20ビットDACによるMMB方式を採用。同軸はRCA2、BNC1とTOS光入力にも対応する。

エソテリック P-30

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 ティアックの高級ブランドのCDトランスポートである。軽くテーパーしたアルミダイキャスト・ターンテーブルによる安定した回転構造には世界的に定評がある。DSRLL回路によるジッターを100分の1に減らす対策も注目される。価格以上の高品位な再生音が得られる優れたトランスポートである。

デンオン DP-S1

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 SシリーズとしてはDACのDA−S1とペア開発されたプレスティッジ商品である。アルミの砂型鋳物シャーシの重量級のトランスポートである。ディジタル信号の完全で安全な読み取りを目標として、音圧や光による外乱にさえも配慮した、パーフェクト主義思想が徹底している。CDは完全に密閉されて演奏される。

デンオン DA-S1

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 世界に先駆けてPCM録音を実用化した素晴らしい実績をもっているだけに、独自の量子化歪低減回路ALPHAプロセッサーは完全なアナログ波形再現のための技術として見事な成果。音は、S1シリーズ共通のスムーズに伸びた広帯域型fレンジとナイーブでキメ細やかな音の再現性に優れたセンシティブな魅力をもつ。

アキュフェーズ DC-91

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 多数並列使用のDAC採用で高SN比を実現した本機の技術は、現時点でもいささかのゆるぎを見せないほど先進的である。高級システムでも充分に実用性のあるディジタルボリュウム調整機能を備えており、ニュートラルで信頼性が抜群に高い音は、パワーアンプ直接駆動にも好適。現代のリファレンス機的な実力は見事である。

ソニー DAS-R10

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 ディジタル入力信号の情報量を最大限に音として引出すことをD/Aコンバーターの理想とすれば、このDAS−R10は、文句なしに世界のトップに位置付けされる現時点での超弩級モデルだ。ただし、録音の良否には非常にシビアに反応するため、気軽に音楽を聴くときには躊躇気味にあるあたりが短所かもしれない。

エソテリック D-30

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 独自の優れたVRDS式CDトランスポートをもっているだけに、D/Aコンバーターは本来の性能をダイレクトに音にして引出せる多くの可能性を持っているはずだ。DSRLLなど数多くの新技術が搭載されており、ディジタルプリアンプとしても非常に魅力的なモデル。機能が多いだけに使用者は力量が問われる点に要注意。

ティアック VRDS-T1

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 独自のVRDS方式のターンテーブル採用のCDトランスポートとしてベーシックモデルに位置づけされる製品。このメカニズムもすでに実績のあるタイプで、機械的なSN比の高さに特長があるが、音を聴いていると、まだ多くの可能性をこのメカニズムが残している実感があり、さらに一般型メカとの格段の差を引き出してほしい印象もある。

エソテリック P-30

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 固定型ターンテーブル方式、VRDSシステム採用のエソテリック・ブランドのベーシックモデル。すでにワディアなど海外メーカーにも採用され実績のある機構だけに、機械的SN比の高さは電気系では実現不能の異次元の世界で、これと独自のジッター低減回路の組合せは効果絶大。ただしDSRLLのOFFは必要だろう。

ワディア Wadia 16

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 力強く、ダイナミックで、躍動感のタップリとしたワディアならではの魅力が、一体型CDプレーヤーのなかに濃密に凝縮したような実感があるモデル。価格対満足度の高さでも同社製品中では抜群であり、それも一体型ならではの魅力を備えている点が素晴らしい。実感的に音楽を聴く人にベスト。

アキュフェーズ DP-65

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 安定感があり、一体型CDプレーヤーとしては常にリファレンス機として絶大な信頼感をもつDP75の弟分である本機は、反応が早く、キビキビとした闊達な音を聴かせる音を聴かせる会心作である。昨年来、同社伝統のオーディオ的にクォリティの高い音に、伸びやかさとしなやかさが加わり、さらに音楽性の豊かさが加わっているが、その見事な証しがこのモデルだ。

ティアック VRDS-25

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 いささか超個性的過ぎた印象のVRDSシリーズに、安定感のある大人の雰囲気が感じられるようになった注目作。VRDSならではのメカニズム的なSN比が高く、暗騒音レベルに安定感がある。また独自のジッター低減回路と相乗効果的に働き、静かであり、かつダイナミックな音として完成した内容は大変に濃い。

ビクター XL-V1

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 デザイン、表面の仕上げ、精度感など総合的にリファインされた小型高級機として十分に磨かれた本格派の大人のテイストにマッチした雰囲気の見事さが大変に嬉しい。外観と音質の相関性はオーディオの趣味で非常に重要な部分だからだ。悪い録音は程よくカバーし、良い録音はそれなりに聴かせる大人っぽいまとめかたは絶妙。

パイオニア PD-T04S

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 同社独自のターンテーブル方式ならではの、豊かでしなやかに反応する中低域をベースに、ナチュラルな帯域バランスを聴かせる安定した音は、納得させられるだけの信頼感があり、価格を超えたオーディオ的なクォリティの高さは特筆に値する。かなり、高級なシステムに組み込んでも音楽性の高さは見事だ。

マランツ CD-17D

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 カセットテープに代わるベーシックソースとしてのMDに焦点を絞ったディジタル入力端子付の単体DACとしても使用できるCDプレーヤー。CDプレーヤーとしての時代の要求に答える傾向にも高域が伸びきった印象のある広帯域型のfレンジと程よくセンシティブで小気味よく機敏に反応するフレッシュな音が気持よい。

ナカミチ Dragon-CD + Dragon-DAC

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ナカミチでは、DRAGONのネーミングに特別な思い入れがあるようで、不可能なこと、無だなアプローチと片づけられるテーマに決定的解決法を手にし、世に送り出す製品に、この名称が与えられる。CD時代の現代にこの名機を復活させた製品が、DRAGON−CDとDRAGON−DACである。
 DRAGON−CDは、独自のミュージックバンクCD連装メカニズムを、エアータイト構造の筐体内部にフローティング懸架する振動遮断構造を実現したモデルで、独立した電源部に表示系が組み込まれている。この振動遮断方式は、空気振動、床振動、電磁誘導、高周波雑音など、すべての外乱をシャットオフする異例の構想を現実のものとした、まさにDRAGONの名称に値するものだ。
 DRAGON−DACは、DRAGON−CDの電源部を共用し、そのディジタル出力端子専用の唯一無二のパートナー、とナカミチが表現するDAC。
 7枚のディスクを収納するミュージックバンク機構は、隣接ディスクに交換するのに2・5秒のクイックアクセスを誇り、ナチュラルで誇張感がなく清澄で、活き活きとした表現力のある音は、聴き込むほどに魅力的になるようだ。

マランツ CD-16D

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CD16Dは、モデルナンバーから考えると従来のCD16SE系のモデルと思われやすいが、基本的にはCD17Dの上級機として開発されたモデルだ。CDドライブメカニズムも、リニアトラッキング型ディジタルサーボ採用のCDM12・1が採用されており、かつてのCD16の価格帯に位置づけられるモデルである。
 気宇面では、モデルナンバーの末尾にDのイニシャルがあるように、CD17D、CD23D LTDに続く、第3番目のディジタル入出力端子を採用したマランツの一体型CDプレーヤーになる。
 このモデルの特徴は、アナログ出力部にタスキ掛けにNFがかけられた新構成のHDAMを採用しているため、本質的にバランス出力を優先する設計になっていることだ。従来の同社のNF巻線付出力トランスによるバランス出力部とは、完全に異なる点に注意されたい。
 アンバランス出力は、バランス出力部の片側を使うが、音質的にはアンバランス出力の方がナチュラルで穏やかな音を聴かせる。これに対して新設計のバランス出力では、反応が素早くシャープで、分解能の高い音が聴かれ、安定度重視の重厚な音を特徴とした従来同社の出力トランス採用バランス出力とは歴然たる違いがある。
 どちらを好むかといえば、それぞれに魅力的な部分があり、判断に迷うが、世界的に中高級機の入出力がバランス型優先になっている時代背景を考えれば、本機のバランス回路のほうを現時点はスタンダードと考えたい。
 低域レスポンスが十分に伸びていながら分解能が高く、エネルギー感に満ちた低音が楽しめる。これに、従来モデルに比べて一段とスムーズにハイエンドに向かって伸びた高域がバランスした音は、すでに事実上ディスコンになっているCD15と比べても、いかにも新製品らしい。この爽やかさと反応の素早さは、価格を超えて新鮮な音の魅力として浮上してくる。試聴したモデルは最終仕様ではなく、さらに追い込んだ状態で生産されるということだ。

ボルダー 2010, 2020

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 今秋、従来のシリーズには隔絶したような超高級機がボルダーから登場。これは驚異的だ。
 2000シリーズと名づけられたこの新シリーズは、プリアンプ2010とD/Aコンバーター2020の2モデルで、基本構想は、リモートコントロールの全面的採用、左右チャンネルの完全独立化とコントロール/表示系の独立、3系統の電源部を内蔵した別筐体電源部による相互干渉の低減である。表示部とコントローラーのあるフロントパネルには、LED表示が採用されている。筐体上部には、左右チャンネルが独立した強固なハウジングがあり、背面からアンプ、DACをプラグイン固定する構造だ。
 注目は、DACも左右独立に専用ハウジングに収納されていることだ。シャーシ電位的には同一筐体であるため各部は共通だが、究極の左右チャンネル間干渉を避ける設計、とボルダーでは自信をこめて言っている。詳細は省くが、とにかく物凄い構想の超高価格機である。

マランツ CD-23D LTD

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CD23D LTDは、CDM9PROの生産中止に伴う200台限定モデルで、CD23のチューンナップ機として発売される。
 もともとCD23はミュージックリンク・システムのために開発されたCDプレーヤーではあるが、キュービックでオリジナリティ豊かなユニークなデザインをもつ高級機である。最近のように管球式アンプが増えてくると、平均的なコンポーネント型CDプレーヤーではデザイン的に違和感があり、音質的にもナチュラルな帯域バランスとアナログライクな音の魅力が活きてくる。
 このLTDモデルは、筐体正面のメーター部の照明色が、濃いブルー系からかなり淡いブルー系に変更され、トップカバーの色調も濃くなった。機能的には、ディジタル入力部が新しく設けられ、汎用性が高められている。従来のCD23と比べて、サラッとした感覚のリファインされた音に変った印象を受けるが、現時点ではまだ最終仕様の状態ではなく、さらに一段と追い込まれることになるだろう。

マランツ CD-16SE

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CD16SEは、CD16のスペシャルエディションで、CD15ほどの重厚さ、密度感はないが、広帯域型のfレンジと、粒立ちがよくシャープに反応するスピード感は、このモデル独自の魅力。また、本機に採用のCDM4MDをはじめ、CDM9PROなどメカニズムが製造中止になり、独自のスイングアーム方式1ビーム・メカニズムの在庫分も残り少なく、次第にCDM12/14などリニアトラッキング方式3ビーム型に移行されようとしている。その意味でも貴重なモデルだ。

マランツ CD-17D

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDプレーヤーのCD17Dは、一体型モデルとしては初のディジタル入力をフロントパネルに備えた製品で、最近急速に需要が増したMDポータブル型やDATにも対応したことに特徴がある。ディジタル入力系は光2系統(フロント/リア)、出力は光と同軸の2系統あり、ディジタルボリュウムコントロール機能も備える。
 CD駆動ユニットは、新リニア型CDM12・1と新サーボ/デコーダーIC・CD7採用のディジタルサーボが特徴。DAC部はデュアルビットストリームDAC7、ディジタルフィルター部はSM5841Dの20ビット8fs型だ。
 アナログ部は新HDAM採用で、数MHzまで高周波ノイズは差動増幅でキャンセルされ、22・05kHz以上はアクティヴフィルターで十分に抑圧される。すっきりとよく伸びたfレンジとシャープで反応の速いフレッシュな音は、この価格帯としてユニークな存在といえよう。

テクニクス SL-P860

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 SL−P860プレーヤーも、上級機SL−P2000の特徴を受け継いだベーシック版で、内容の濃い高CP機。

テクニクス SL-P2000

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 SL−P2000CDプレーヤーは、SアドヴァンストMASH・1ビットDAC、インストゥルメンテーション差動回路、クラスAA出力アンプバッテリー駆動と同等にクリーンなヴァーチャル・バッテリー方式電源、ディジタル光学系サーボなど、同社が全ジャンルの製品に提唱するサイレント・テクノロジーに基づいて開発された製品だ。

ソニー CDP-XA50ES, CDP-XA30ES

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDプレーヤーCDP−XA50ES/30ESは、光学固定方式、カレントパルスDAC、Rコアトランスに加え、ジョグダイアル操作の機能として新たに20kHz以上の帯域を合計9種類の遮断特性とする、可変係数ディジフィルを採用。ただ、微細な調整が可能だが、一方では悩みの種にならないだろうかと思わざるを得ない面もある。50ESのみ亜鉛ダイキャスト光ピックアップベースと、2電源トランスが追加される。

ソニー CDP-XA7ES

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDプレーヤーCDP−XA7ESは、光学固定方式採用の初の中堅機で、フル・フィードフォーワード・ディジフィル、FET駆動DCサーボ出力アンプ、スタティック点灯FL表示管などを備え、手堅く安定した音は正統派で、幅広いソースに確実に応答を示す音だ。