オットーのレシーバーDCX1300の広告
(スイングジャーナル 1970年6月号掲載)
Category Archives: アンプ関係 - Page 103
オットー DCX-1300
ソニー TA-1166, ST-5300
テクニクス SU-50A (Technics 50A)
パイオニア SA-70
岩崎千明
スイングジャーナル 6月号(1970年5月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
ステレオ・ハイファイの隆盛と共に生長し、その急上昇カーブはしばしば経済誌や週刊誌にとり上げられるところとなり、専門メーカーの中でもひときわ頭角を現わした第一級メーカー、それが「パイオニア」だ。
スピーカー・メーカーとしてスタートを切っただけにスピーカーには傑作、逸品が陸続としていて不思議はない。そしてこれらスピーカーに並んで市場においてもっとも好評なのがPLシリーズのレコード・プレイヤーである。PL41を始めとして文字通りベストセラー製品が続いて、スピーカーだけでなくあらゆるセクションに優秀な技術を誇り得る体制がステレオ専門メーカー、パイオニアに築かれつつあったのである。
その時点、正確にいうと2年前に新シリーズがSA70をきっかけに発表されたのがあった。
パイオニアのアンプは、それまでにもなかったわけではない。いやそれどころか、対米輸出を始め多くの製品がスピーカー同様世界にバラまかれていた。しかし国内市場では、レシーバーと呼ばれるチューナーつきアンプにのみ重点が置かれ、マニア・ライクなプリ・メイン・アンプは、常に他社の独歩を横目でにらんでいたとしかいいようのないものだった。
マニアの層が厚くなり、若い層がプリ・メイン・アンプに手を出すようになった2年前、やっと売る気になったのであろうか。商品企画としても十分納得できる製品が待望の中で発表されたのであった。それがSA70でありSA90だ。
SAという呼称はステレオ・アンプのイニシャルからであろうが、パイオニアの従来のSAアンプにくらべて、SA90、70、50の新製品ははっきりと区別される。それはまず、トランジスタ化されたプリ・メイン・アンプであり、さらにつっこんでいうと量産性を十分に考慮されている製品である。それまでのSAアンプは真空管による構成であった。トランジスタ化されたのはレシーバーのみであった。逆にいうとレシーバーにおいて研究し尽された技術の蓄積が新シリーズのアンプの土台となっている。それは、単なる技術だけでなく、実際のパーツ、プリント板の各部においてもハッキリと認められる点である。例えばトーン・コントロール・セクションのプリント板はすでに量産され全世界に送り込まれているレシーバーの一機種と全然変らないもので新型アンプに「流用」されているという具合である。このパワー・セクションはあのレシーバーと共通部分、という組合せによって、パーツのクリアランスは少数生産の時よりはるかに押えることができ、ひいては製品の質の均一性、信頼性を高めることになっている。さらに重要なこと、特に需要者にとって重要なことはこの量産性が製品のコストを引下げる点である。
新型アンプは同じ級の他社製品とくらべると、明らかに割安だ。同じ価格ならパワーが大きいとか、アクセサリーが豊富な点だ。
SA70のムービング・コイル型カートリッジ用ヘッドアンプはこの価格の他社製品には見られない。
そして安いからといってその再生音は少しも濁りがなく、素直なトーンクォリティは多くの専門家も認める所である。大出力に支えられた低音の量感、歪の少なさに基づく中音から高音にかけての品の良いスッキリとしたソフト・タッチ。
トランジスタ化されて一段とパワーを望まれるとき、パイオニアのアンプの魅力はまだまだ尽きることはないがコスト的に見てベストバイにはSA70が強いだろう。爆発的というわけにはいかない。しかし、本当のベストセラーというものはこのように長く、じっくりと売れる製品をいうのである。
オンキョー Integra 624
アカイ SW-125, AA-6000, X-200D
パイオニア SX-90, SX-100S
サンスイ AU-999, TU-999
アイワ TPR-2001, TP-1009
サンスイ AU-555A, AU-666, TU-666
ビクター MCP-105, MCM-105, CF-105
ソニー TA-1166, ST-5300
パイオニア SA-70
テクニクス SU-50A (Technics 50A)
サンスイ SP-10, SP-70, AU-555A, AU-666, TU-666, SR-1050, SR-2050, SD-7000
オンキョー Integra 613
オンキョー Integra 714
ビクター MCT-105
サンスイ AU-999
岩崎千明
スイングジャーナル 5月号(1970年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
サンスイから、やっと待望の大出力アンプAU999が発表された。
やっと、というこの言葉をもっとも痛切に感じているのは、このアンプの常用者になり買い手となるべきマニアの側ではなくして、おそらくサンスイというメーカー自身ではないだろうか。
サンスイがブラック・フェイスという独特のメカニカルなデザインを打ち出したトランジスタ・アンプのPBシリーズ、AU777を頂点として爆発的なベストセラーを続けたのは、今を去る3年前であった。このAU777の売れ行きは、まさに伝説として残るほど驚異的であり絶対的であった。高級マニアにトランジスタ・アンプの良さを納得させ、トランジスタ・アンプの愛用者を確実に個定化したのもこのサンスイAU777の大きな業績といえるだろう。それまでは、トランジスタ・アンプは音が良いという以外の何かの理由で使用するだけであったのである。
AU777の驚くべき人気に刺激されたトリオ、さらにパイオニアなどのステレオ専門メーカーが、このAU777の後を続けとばかり、ぞくぞくと一連の製品を充実させて今日のトランジスタ・アンプ全盛期を迎えている。今では、特にことわらなければ、アンプといえば、トランジスタであるのが常識である。それは、そのままトランジスタ・アンプの性能の向上と現在の優秀性を物語るのである。そして、市場のアンプの充実が著しい最近の情況下に於いては、定評のあったAU777も多くのライバル製品にその地位をおびやかされる現状である。AU777は中音コントロールを加えAU777Dとして諸性能を充実させたが、ライバルメーカーのより大型のアンプ群を相手に、ベストセラーの伝統に輝くサンスイ・PBシリーズの象徴製品たるには物足りなくなって来たのは事実である。それをもっとも強く感じていたのが、かつての栄光を意識するサンスイと言うメーカー自身であって何の不思議があろうか。
その山水が逐に他を圧する本格的大出力アンプを出したのである。
AU999は単に大出力というだけでなく、PBシリーズの最高級、いやそれ以上に「象徴」たるにふさわしい幾多の「内容」に充たされている。
その最大のポイントは、なんといっても全段直結パワー・アンプという点であろう。最近の高級トランジスタ・アンプのひとつの流行がこの全段直結である。JBLのアンプSE400の改良型によって初めて採り入れられたこの回路方式は、トランジスタ回路によってのみ実現の可能な、いいかえれば、トランジスタにふさわしい回路方式であり、これは初めカウンター回路のために開発された直流増幅器であった。高速カウンター回路への発達が、そのままオーディオ用としてもっとも理想的な回路方式を創ることになったとしても、少しも不思議ではなく、トランジスタとその回路の発展として考えればごく当然な結論であった。ハイ・ファイ用として終局的に理想とされるのがこの全段直結であり、これを製品化したのがJBLであった。さらにサンスイがJBLの日本総代理店を兼ねていることから、サンスイのアンプにJBLの息のかかった全段直結が応用されるのもまた当然であり、サンスイならそれが最良の状態で活きてくることも想像できる。
サンスイとJBLの結合はすでにスピーカー・システムにおいても見られるが、アンプにもこの優れた成果が遂に通せられたと見るべきであろう。
このことはAU999の音質を聞けばだれしもが納得するのではないだろうか。力強く、あくまでも豊かな低音、輝かしい中高音、そして冴えわたる高音のひびき。JBLのアンプとの違いはより充実し厚みと力を増した中音域に
あろう。それはテナーのソロを聞くときに強く意識させられ、中音コントロールをも備えるAU999にとって大きなメリットとなろう。
AU999のもうひとつのポイントは2台のデッキにより、テープからープの録音再生が容易な点であり、これは今日のテープ隆盛期においてのマニアには大きな魅力といえよう。
全段直結と名を冠した各社の高級アンプの中でも本命とみられるこの50/50Wの大出力のアンプが85、000円と割安なのもファンにとってはかけがえのない製品といえるだろう。
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