アルテックのスピーカーシステム843B、848A、847A、890A、836Aの広告(輸入元:日本楽器)
(ステレオ 1967年9月号掲載)
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シュアー V15 TypeII, M75, M44
オルトフォン PLAYER 16, PLAYER 12
オルトフォン PLAYER 12, PLAYER 16, オーディオニックス SP-5, AS-33
アコーステック ACOUSTECH II, ACOUSTECH IA
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
このアンプは、音色の柔らかさ・おとなしさをことさらに意識させる。マランツ、マッキントッシュ、ダイナコ、JBLと並らべて切換えてみると、アコースティックがもっともソフトな音質で、JBLの浮き上るような繊細感のある音質と対照的な両極に位置した。あまりにも違う音色が不思議で、トーンコントロールのとレベルのツマミを、アコースティックをプラスの方に2ステップ上げ、JBLを二目盛下げてみたが、本質的な音の傾向は少しも変らない。つまりこれが、良くも悪くも両者のキャラクターなのであった。
このソフトな音は、管球式アンプのやらかさとは全然性質の違うもので、かえってトランジスターということを無理に意識させられて、個人的には好きになれない。この独特の音色は、パワーアンプよりもプリアンプの方で作られたもののようであった。
JBL SG520, SE400S
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
音の豊潤さでマッキントッシュに一歩譲るが、それよりももうひと桁ばかり分解能に優れている。たとえていえばマッキントッシュが満々と水をたたえた湖なら、JBLは水の量では勝てなくとも水の透明度に於て桁ちがいによく湖の底の底まで見通せるという音だ。マッキントッシュにJBLの透明な分解能が加われば、あるいはJBLにマッキントッシュの豊潤さがあれば申し分ないアンプになる。JBLのすばらしい低域特性は、スピーカーの低域が1オクターブも伸びたような錯覚を起させる。JBLとマッキントッシュの両方の良さを兼ね備えたアンプを、私はぜひ自分の手で作ってみたい気がする。
アンプとしてみれば、JBLにはスピーカーを選ぶ弱みがある。タンノイ15、アルテック604などは、JBLでは音が硬くなる。やはりトランジスター・アンプの弱点といえようか。
マッキントッシュ C22, MC275
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
こういう音になると、もはや表現の言葉につまってしまう。たとえば、池田圭氏がよく使われる「その音は澄んでいて柔らかく、迫力があって深い」という表現は、一旦このアンプの音を聴いたあとでは至言ともいえるが、しかしまだ言い足りないもどかしさがある。充実して緻密。豊潤かつ精緻である。この豊かで深い味わいは、他の63機種からは得られなかった。
おもしろいことに、このままプリをマランツ7型(7Tではない)に変えるともうこの音にはならないし、ましてC22を他のパワーアンプと組み合わせてもこうはならない。もちろん微妙な違いと云ってしまえばそれまでだが、この微妙な違いがどうでもよいという人には、音の世界の楽しさはわかってもらえまい。スピーカーを選ばずよく鳴る点でも最高だった。
QUAD 22, II
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
素直ではったりのない、ごく正統的な音質であった。
わたくしが家でタンノイを鳴らすとき、殆んどアンプにはQUADを選んでいる。つまりタンノイと結びついた形で、QUADの音質が頭にあった。切換比較で他のオーソドックスな音質のアンプと同じ音で鳴った時、実は少々びっくりした。びっくりしたのは、しかしわたくしの日常のそういう体験にほかならないだろう。
タンノイは、自社のスピーカーを駆動するアンプにQUADを推賞しているそうだ。しかしこのアンプに固有の音色というものが特に無いとすれば、その理由は負荷インピーダンスの変動に強いという点かもしれない。これはおおかたのアンプの持っていない特徴である。
10数年前にすでにこのアンプがあったというのは驚異的なことだろう。
ダイナコ PAS-3X, Stereo 120
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
パワーアンプ♯120は、発売当初からウォーム・トーン(温かい音色)ということを強調していただけあってトランジスターアンプの中では、充実感のある力強いマッシヴな音質だった。
ただ、PAS3Xと組み合わせた場合には、プリアンプの方のキャラクターがそれに加わって、もう少しソフトで丸くなって、音の解像力が少し不足する感じになる。もうだいぶ以前に発表されたまま未発売のトランジスタープリアンプPAT4と組み合わせればおそらく全体にもう少し品位の高い音になるだろうと思う。現にプリアンプだけほかのものに変えると、音のグレイドはずっと向上する。
しかしプリメイン合わせた輸入価格の13万6千円というのは、性能を考えお買徳であろう。
マッキントッシュ MA5100
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
使いやすさとかスピーカーの選り好みなど総合的に評価すると仲々良いアンプだけれど、JBLと並ぶと相当聴き劣りする。マッキントッシュのアンプは275に限る。
JBL SA600
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
このアンプの特徴はよくのびた低域特性と、ローレベルでも澄んだ切れこみの良い解像力の良さに集約される。低域の良さはオルガンの再生によく現われて、このアンプを使うとスピーカーの低域がグンと延びたように思われる。一方、音量を絞り込んだときにもディテールを少しも失わない切れ込みの良さは、まるで澄んだ深い湖を覗き込む感じである。しかしスピーカーはかなり選ぶ。
フィッシャー 700T
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
さすがに手馴れたもので欠点は無いが、輸入して24万円強という価格では、これでなくてはという魅力に乏しい。
オルトフォン S15M, S15MT, S15T
トーレンス TD224
アルテック 604E, 755C, 402D, 3000H, 2000D, 806A, 811B, 416A
オルトフォン S15M
グッドマン AXIOM80, Maxim, AXIOM301, AXIOM201, Twin AXIOM10, TRAIX10M etc
オルトフォン S15, シュアーV15 TypeII, ADC ADC10E
岩崎千明
スイングジャーナル 3月号(1967年2月発行)
「話題の輸入カートリッジ/SJオーディオ・コーナー オーバーシーズ・セクション」より
最近の高級ハイファイ・マニアの話題の中心は、2つの輸入カートリッジに集まっている。
すでにお知らせしたオルトフォンS15M、もうひとつは、シュアV15マークIIの2製品がこれだ。
■オルトフォンS15
カートリッジは、その名の如く挿換えが可能である。オーディオ技術にくわしくない音楽マニアも高級ピックアップを使っているのなら、簡単に交換することができる唯一のハイ・ファイ・パーツである。
そして、これによって装置のグレードの向上も期待できる。しかも、レコードをかけるごとに、眼につくカートリッジであれば、買気をそそられることも十分ある。というわけで、マニアならカートリッジへの関心は特に浅からぬものといえる。
ところで、話題の2つのカートリッジに眼をそそごう。まずオルトフォンだ。
代理商店が、ソニーから日本楽器に移ったのは昨年後半だが、とたんに、マニアにぐっと身近かになったのがこのオルトフォン。
高教マグネット型カートリッジを大きく分けると3つに分類できる。
①ムービング・コイル型
②ムービング・マグネット型
③ムービング・アイアン型
①の代表的製品が、オルトフォンのカートリッジである。ムービング・コイル型は針先に続いた部分にコイルがあり、この針先の動きに応じてコイルがレコード音溝の振動通りに動いてくれる。このためコイルはごく軽く小さく作られている。
コイルが小さいため出力は微弱で、そのままアンプに接続して使えるものは、サテン音響製品以外は皆無。オルトフォンの場合も、トランスを用いて、出力電圧をアンプに合わせるようになっている。
カートリッジそのものの出力はオルトフォンでは0.2mV前後、これをトランスによって10mV近くまで上げている。
オルトフォンのカートリッジの最大の特長は、このマッチング用トランスがカートリッジの中に内蔵されているT型というのがある点だ。必要ない場合はついてない型を選べばよい。この価格の差は2千円程度である。
新型オルトフォンはS15MとトランスつきのS15MTの2種がある。
トランスつきのS15MTが一般向といえる。
このS15の評判になっているもうひとつの理由は、日本楽器から2万円で発売されているという点であろう。米国内で89ドルという高価なS15が日本では2万円、つまり60ドル(換算)程度で求められるのは、高級ファンにとって、大きな魅力といえよう。
オルトフォンのカートリッジは、従来から日本のファンの間でシュア・V15と並び、あるいはこれをしのぐほど最高のランクを与えられている。
ちょっと厚ぼったい音だが、すなおな再生は比類ないほどで、ちょっと聞くとなにかすっきりしないにも関らず、音の分離のよさやまとまりのよさはさすが世界一という称号を与えたくなるのも当然といえるほど。
S15になって、このオルトフォンの音は高音がさらにのびて、スッキリした音になったことが明瞭だ。
■シュアV15II
最近のアメリカのオーディオやハイファイ・ステレオ雑誌は毎号のように、カートリッジの追随性に関する記事を見かけることができる。
新着のハイ・フィデリティ誌にはシュア社のチーフ・エンジニアの記した4ページものが出ていた。
これはレコードの音溝を、完全にトレースするにはどのようなカートリッジがよいかということを、根本的に研究して得た新らしい結論を展開したものだが、当然、この技術にのっとって、シュア社の最高級カートリッジV15が改良され、マークIIとなったことが判る。マークIIは、別名スーパー・トラックともいわれ音溝の追随性のすぐれていることを示している。
外観も、今までのシャープな角型から、やや流れるような線を取り入れて、スマートな外観を示している。
ムービング・マグネット型という、それまでなかった新らしい型を、50年代に開発したシュア社は、ダイネティックという名でこのカートリッジを普及させた。ステレオ期に入るや、この型がきわめてすぐれたものであることがはっきりしてきた。
ステレオ用として、左右の音の分離や、軽針圧用として優れた性能を示して、それまでの他のあらゆる型式をはるかに越える優秀な製品が、つぎつぎに発表された。M3、M7などがこれで、シュア社はステレオ用カートリッジでは全米きってのトップメーカーとなってしまったのである。さらにM44/5、V15が出るや、ヨーロッパの多くのセットに採用され世界的なカートリッジとなった。
超高域に、ちょっときらびやかな響を持ち、豊かな低音と張りのある中低音が特長といえよう。
このV15の新型では、高音域のきらびやかさがぐっと減ってスッキリし、超高音まで十分音がのびたのが一聴して判る。
V15はやっと市販されるが、価格は従来のV15が26000円だったのに対して、28000円となっている。
S15M、V15IIに共通して高音域ののびが認められるが、この点こそ、新らしいハイファイ期の条件ともいえそうである。しかしこの点すでに先駆者的カートリッジがあるのを見落してはならない、
■ADCの新型
ADCオーディオ・ダイナミック・カンパニーがこのメーカーだ。50年代の終りにADCが、モデル1を発表して以来62年まではハイ・コンプライアンスというだけで注目をひくほどの製品ではなかった。
しかし、シュア社とムービング・マグネットMM型の特許問題を争ってADCは、MM型でないカートリッジを発表した。
これがムービング・アイアン型。ADCではインデュースド・マグネットIM型といっている。
マグネットを本体にうめこんでしまって鉄分だけを音溝の振動に従って動かそうというのがこれだ。
振動部は、長いマグネットがついていないので、ごく小さく、ADCでも宣伝するように、いままでのどのカートリッジの振動部分より1/3以下というほど。
従って、高音ののびは抜群で、音のすなおさも驚くほど。くせがない音ということばがぴったりだ。レコードのよい悪いがはっきり出てしまうので、かえって使い方がむつかしいといわれるのもこのためだ。
最初の製品は針先半径が普通のカートリッジの0.5ミルより細く0.4ミルなのでポイント4と呼ばれた。
その改良普及型が660だ。これが標準品種。
そのあと高級品として一昨年の暮、ダエン針つきの10Eが発表された。0.5gr〜1grという超軽針圧と神経質なほどせんさいな音で、音の分能能力やステレオの分離はちょっと比類がない。
最近は、チェンジャー用のCGタイプが770として改良されている。針圧は2〜5gr。(国内未発売)660は本国ではダ円針つきのみとなって39・5ドル。日本では、0.7ミルの針つきで8900円。
10Eは本国で59・5ドルだが日本では23000円。
米国ではさらに昨年秋から220が新型として出ており、これは日本では発売されそうもないが、9ドル50セントという超安価が眼を引く。ハイファイ入門者用として宣伝されている。
ポイント4は、米国ではすでに姿を消したが、日本では、高級マニアの間で好評といわれ、12000円で発売されている。
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