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パイオニア CS-955

菅野沖彦

最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・ブックシェルフ型スピーカー特選8機種」より

 パイオニアのCS955というスピーカーは完成に、紆余曲折をもって開発されたスピーカーだ。このスピーカーの開発の過程をつぶさに見てきて、わかるが、常識的に言うと、スピーカー・システムとしてトータルの完成は難しいと思われるようなユニット構成なのである。スコーカーにかなり大口径のドーム型を使っていて、トゥイーターにはリボン型という、珍しい特殊な構成がそれだ。スピーカーというのは変換器としての性能と別に、必らず構造上、あるいは材質上からくる音のキャラクターをもつ事は避けられない。そういう意味からすると、コーン・ウーファー、ドーム・スコーカー、リボン・トゥイーターという組合せは、キャラクターを統一させることが非常に難しいものだといわざるを得ない。
 ただ、個々のユニットは実に最高性能をもっていて、PT−R7というリボン・トゥイーターはパイオニアの単体として売られて非常に高い評価を得ているすばらしいものだし、ドーム型のスコーカーは単体売りはされていないが、その昔、これの原型になる大変手の込んだ手づくりのスコーカーの発展したものだ。パイオニアはこの原型のスコーカーを使って3ウェイのシステムを出したことがあるが、その時にスコーカーがすばらしすぎて、ウーファーとのつながりが悪くて、まとまりが難しかった。これはある部分がよすぎるのもたいへんなことだなということをわれわれに感じさせたほど、大変すばらしいスコーカーだったのである。それをかなり仕様変更してリファインしているわけだが、基本的には同じ設計の大型ドーム・スコーカーをここでも使っている。
 CS955の成功の秘訣は、2つのユニットのすばらしさはもうわかってる事だけれども、結局ウーファーだと思う。ウーファーとエンクロージャーがうまくいったためにこの3つのユニットが非常にスムーズにつながったのではないかと考えられる。
 というような、かなりこまかいプロセスを経た結果、CS955は、大型ブックシェルフ・スピーカーとして最高の品位をもったスピーカー・システムと言っても過言ではないものに仕上った。音について部分的なことを言っても意味がないが、先ほどいったように、スコーカーとトゥイーターは単体の変換器として最高の性能をもっているので、部分的に悪かろうはずがない。そして、全体がここまでの違和感のないトータル・バランスでまとまったということは、システムとしての完成度がいかに高いかということの証明になるだろう。
 非常に繊細でなめらかで、しかも豊かな音。力感という点においては大型ホーン・システムには一歩譲るところもあるが、実に品位の高いシステムだ。どちらかというと、低能率変換器タイプの音で、音がワッと屈託なく出てくるというのでなく、ある節度をもって出てくるという傾向の音である。
 このスピーカー・システムはブックシェルフだから、ほんとうはあまり大げさではないアンプで鳴らしたい気持ちもある。つまり、プリメインアンプの高級なもので鳴らせたらベストだと思うが、このスピーカーをフルに生かすとなると、矢張りイメージアップしてくるのがセパレートアンプということになってしまう。そこでコントロールアンプとしてはアキュフェーズのC200S、パワーアンプとして同じアキュフェーズのP300S、この2つをドライヴィング・アンプとして使えば、このスピーカーとして100%の性能を発揮させることがてきると思われる。
 プレイヤー・システムは数ある中から特にこれにとってピッタリくるシステムを選ぶことは非常に難しいが、現在出ているプレイヤー・システムの中から、これならばこのクラスの製品と格負けもしないし、性能的にも相当すばらしいものというような意味で、ビクターのQL−A7。これはコストとしては最高級という値段ではないが、堅実で緻密な仕上げの価値の高い製品。特に今までビクターのプレイヤーで私が個人的に一番気にいらなかったベースのデザインが、これはとてもよくなった。ローズウッドの美しいつやのあるビニール加工が施こされたベースで、これならプレイヤーとしてレコードをかける楽しみを感じさせてくれるという感じになった。使い勝手もいいし、ハウリング・マージンも大きくとれているし、機能的な面でも実用的な価値の高いプレイヤー。
 カートリッジはエラツクのSTS455Eと並んで私の好きなカートリッジで、高域に多少味というか、魅力というか、引っくり返せばくせというか、そういう感じが気になる方には気になるかもしれないし、好きな方にはそれが魅力になるフィリップスのGP412IIを選ぼう。

オンキョー M-55

菅野沖彦

最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・コンパクトスピーカー特選4機種」より

 オンキョーのM55というスピーカーはブックシェルフ型の完全密閉型2ウェイ・スピーカーで、エンクロージュアのサイズからすると、これは俗称コンパクト・スピーカーといわれるところに位置するものだ。現在のスピーカーの一つのストリームの中で、コンパクト・スピーカーとミニ・スピーカーというのはかなりの流行のきぎしを見せている、あるいは、実際流行しているのかどうかは知らないが、このM55はそうしたストリームの中で開発されたコンパクト・スピーカーだと私は思う。このぐらいのサイズのスピーカーは昔からいくらでもあるわけだが、ことさらいまこのスピーカーにわれわれが注目するというのは、そうしたコンパクトなサイズの流行の背景を意識してオンキョーが開発したというところだろう。この手のスピーカーで評判のいいスピーカーは他社から幾つか出ているわけだから、そういうスピーカーの中でのコンペデイターとして非常に新しく開発されたスピーカーだけあって、なかなかいいところをもったスピーカーである。
 スピーカーそのものをもうちょっと詳しく説明すると、20センチ口径のウーファーにソフト・ドーム・トゥイーターを組み合わせたものだ。現代のスピーカーは、きわめて明快なハイ・フィデリティ的な再生をするが、音がとにかくシャープであってあくまても克明に再現をする一方、音楽のもっている雰囲気とか、やわらかさとかあたたかさというものをついつい犠牲にしてくるようなスピーカーが多い。その中にあってこのスピーカーはたいへんにウォームな音をもっている。
 これはひっくり返せば、実は、このスピーカーのもの足りなさにもつながるだろう。小さいスピーカーはともすれば、小さいけれども大型に負けないぞというような気張りが、普通はあるが、そうした気張りのあるスピーカーに限って、高域に相当くせがあったり、低域がやたらに強調されたりするものだが、このスピーカーの音の出方は非常に素直におおらかにフワッと出てくる。つまり、そういうう音の気張りのないところが、このスピーカーの何よりもいいところであろう。
 それでいて、実はこのスピーカーはたいへんな耐入力特性をもっていて、実際にピークで150ワット・200ワットは平気で音くずれなく再生する。そういう意味では、非常にタフなスピーカーであることは事実だ。タフネスという点ではミニ・ジャンボだが、しかし音そのものが、あくまでも大型スピーカーに対抗しようというふうなつっぱりがないところが、このスピーカーのよさではないかと思う。
 組合せだが、こういう小さいスピーカーは、小さいから小さいワット数のアンプでと考えると、危険性がある。かといって、いくら何でも、2万円台の、しかも小型スピーカーに何10万円の大型アンプというのも、アンバランスだ。そういう点からなんとかこのスピーカーを鳴らすのに適当なアンプリファイヤーということになれば、プリメインアンプの中級品ということになってくるだろう。サンスイのAU607、707、あるいは、オンキョーのインテグラA705DC、これらのアンプで鳴らせば、このスピーカーがかなりの実力を発揮してくれるのではないかと思う。
 プレイヤーはあまり大げさなものを使う必要はないだろう。ビクターの一番新しいQL−A7なら申し分ない。
 カートリッジの方は、少し締めて鳴らしてもいいと思うので、エラツクのようなカートリッジよりも、むしろオルトフォンのF15とかFF15の方が、このスピーカーのちょっとした甘さをカバーして、明快な感じに音をバランスさせてくれるであろう。

ヤマハ C-I

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

多機能コントロールアンプの先鞭をつけた高級機のひとつの典型だ。

サンスイ CA-2000

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

スッキリと爽やかなプレゼンスを聴かせる見逃しがちな力作。

ウエスギ U·BROS-1

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

暖かく、それでいて独特のプレゼンスの豊かさをもつ管球ならではの音。

アキュフェーズ C-200S

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

C200の内容を充実させ現代的となった信頼度の高さが魅力である。

デンオン PRA-1003

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

適度に反応が早く、フレッシュな音をもつデンオンの新しい魅力。

マランツ Model 3250

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

このクラスとしては抜群の伸びやかな音を聴かせる注目の製品である。

テクニクス SU-9011A

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

価格を感じさせぬクォリティといきいきとした音は新しい魅力だ。

ソニー TA-E86

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特の構造を採用した、伸びやかな音をもつソニーの魅力的な製品。

マランツ Model P3600

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

際立った特徴をもたないが、比較試聴に強いのはやはり伝統である。

ビクター P-3030

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

超薄型パネルにフル機能を装備し、活気ある音を聴かせる野心作。

ソニー TA-E88

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しいソニーの音を感じさせるフレッシュさと構造が魅力的である。

ビクター TT-101

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

音質の良いDDモーターの一つ。ゴムシートに埃のつきやすいのが難。

ビクター EQ-7070

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特のシャープで解像力の優れた魅力をもつ現代アンプの代表作。

ラックス PD121

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

製造中止の噂が伝えられるが、ぜひとも残して欲しいユニークな製品。

テクニクス SP-10MK2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

何のかのいってもやはり当分のあいだはDDモーターのスタンダード。

ヤマハ B-4

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

鮮度の高いよく磨かれた彫りの深い音はいままでのヤマハとは思えない。

マランツ Model P510M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

比較試聴の際に現代のひとつのスタンダードとして信頼できる優秀機。

パイオニア Exclusive M4

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

素晴らしくナイーヴで繊細で、上品でウェットな音質はいまだに無類。

デンオン DL-103D

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

単なる優等生の枠から脱して音質に十分の魅力も兼ね備えた注目作。

テクニクス EPC-100C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

おそろしく精密で手の込んだ使い方でMMの水準を大幅に引上げた。

ヤマハ CT-7000

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

主張の強いデザインにオーソドックスな機能と性能が内包されている。

アキュフェーズ T-101

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しい製品ではないがすべてにチューナーの基本性能を確立した優秀機。

オーレックス ST-720

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

ユニークなアイデアの使う楽しみに溢れたマニア向きチューナー。