Category Archives: 国内ブランド - Page 63

ビクター MC-2E

井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近注目を集めているMC型カートリッジのなかでも、発現のメカニズムが大変ユニークな製品として高い評価を得ているMC1に続く、ビクター第2弾のMC型カートリッジの新モデルである。
 発電方式は、タテ型の磁気回路を採用し、カンチレバー先端のスタイラスに近接した位置に取付けられたマイクロコイルを使って発電するビクター独自のダイレクトカップル方式で、MC1で開発されたものだ。
 マイクロコイルは、IC製造技術を応用し、ウエハー(基板)上に蒸着された導体をフォトエッチングしコイル状としたもので、重量も200μgと巻線型コイルにくらべ数十分の一以下と超軽量であり、かつ空芯コイルであるため磁気歪とは関係がなくなる利点をもつ。この超軽量コイルの開発で、カンチレバー先端部にコイルを置くダイレクトカップル方式の採用が可能となったわけだ。この方式は、針先とコイルが近接しているため一体で振動し、特性がフラットで位相遅れが少なく、コイルが針先に近いため、カンチレバー、ダンパーの温度変化の影響が少なく安定した性能が得られる特長がある。
 磁気回路には、サマリュウムコバルト磁石と鉄・コバルト合金のパーメンジュールを使用し、高磁束密度を得ている。
 MC2Eは、周波数帯域を10〜25、000Hzに設定してあるため、針先は特殊ダ円針となっている。出力は0・2mV、針圧は1・5g。

テクニクス EPC-101C

井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 同社のトップランクカートリッジ100Cをベースに業務用の使用に耐える高安定型としたタイプが、この101Cである。業務用の過酷な使用条件に対応すべく、ダンパー材には温度変化に極めて強い新材料TTDDを採用。カンチレバーはチタニュウムナイトライドのテーパード型だ。100Cと相互の針先交換が可能であり、本体構造は同等と考えられる。

TDK SA

TDKのカセットテープSAの広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

TDK-SA

ラックス 5C50, 5M21, 5T50, CL36, M-4000, T-110

ラックスのコントロールアンプ5C50、CL36、パワーアンプ5M21、M4000、チューナー5T50、T110の広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

5C50

オーレックス SY-C15, SC-M15, ST-F15

オーレックスのコントロールアンプSY-C15、パワーアンプSC-M15、チューナーST-F15の広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

Aurex-M15

ヤマハ A-1, A-3, T-3

ヤマハのプリメインアンプA1、A3、チューナーT3の広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

A1

オーレックス HR-X1

オーレックスのヘッドフォンHR-X1の広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

HR-X1

フィデリティ・リサーチ FR-7

菅野沖彦

最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・MMカートリッジ特選3機種4万8千円以上」より

 フィデリティ・リサーチが、MCカートリッジを作ってデビューしたメーカーであることを知らない人はいない。FR1という製品がそれで、その当時、これを聴いた時の感動をいまだに思い出す。その繊細緻密な高音の再生能力と、ふくよかに息づくような豊潤な中低域に、聴き馴れたレコードが一際生彩を加え、愛聴盤のほとんどを聴きなおしたほどだった。その後、このFR1は、幾度かのリファインを重ねて、現在まで、ほぼ10年に近い年月を同社の代表製品として支えてきた。併売されていたMM型には、もう一つ説得力に欠け、作る側自身の情熱の欠如を感じとったのは私だけではあるまい。FRは、やはりMCカートリッジに、ディスク変換器としての理想を求める技術集団だったのではあるまいか……。この事は、今度発売された、このFR7を見て、聴いて、よりー層はっきりした形で、同社の、こうした体質への推理を認識させられたように感じられる。おそらく、このFR7は、FR1の開発とリファインのプロセスの中で育て上げられたMCカートリッジに関するテクノロジーとノウハウの蓄積を成果として現われたもので、その意味では、きわめて長い開発期間を経て来たものであろう。
 FR社の特質は、メカニズムやマシンに対するマニアックな感覚がいつも、その製品に息づいているが、いわゆる通好みの材質感や加工精度のもたらす美が生きている。最近の製品ては、トーンアームのFR64Sがそうで、ステンレス加工の、このアームの魅力は、FRならではのものだ。こうした、機械系の信頼性と、多分、業界随一の長く豊かなカートリッジ作りの経験をもつ同社の社長の情熱が結びついて出来てくる製品には、当然、並のものとは一味も二味も異る風格が滲み出る。
 ところで、このFR7は、昔、FR1を聴いた時のような、ショックを再び味わうことになったもので、その鋭く深い彫像の確かさは、まさにベールをはいだという表現がぴったりのクリアーな再生音である。レコードに刻み込まれた音は、いかなる微細なものも、ことごとく拾い上げる。濁りがなく、僅かな位相差も忠実に再現してくれるので、録音時のマイクの置き方が明確に判別出来るのには驚ろいた。定位のよさと、空間感(フェイズの忠実な変換能力による)の再現は全く素晴しいの一語に尽きる。また、全体に、音の基本的な質感が、きわめてエネルギッシュでたくましい。底力のある低音の迫力は、多くのカートリッジと歴然とした違いを感じるのである。
 それだけにレコードのムードを生かしてくれるという性格を期待するわけにはいかない。録音再生全体のプロセスの相関関係に頼ってムードをかもし出してきたレコード音楽の長年の歴史は、この辺でピリオドを打たれてしまうのであろうか……。見るからに充実感に溢れたこのFR7を前に圧倒されながら、昔によき時代を感じる郷愁の念も否定できずにいるこの頃である。

パイオニア CS-955

菅野沖彦

最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・ブックシェルフ型スピーカー特選8機種」より

 パイオニアのCS955というスピーカーは完成に、紆余曲折をもって開発されたスピーカーだ。このスピーカーの開発の過程をつぶさに見てきて、わかるが、常識的に言うと、スピーカー・システムとしてトータルの完成は難しいと思われるようなユニット構成なのである。スコーカーにかなり大口径のドーム型を使っていて、トゥイーターにはリボン型という、珍しい特殊な構成がそれだ。スピーカーというのは変換器としての性能と別に、必らず構造上、あるいは材質上からくる音のキャラクターをもつ事は避けられない。そういう意味からすると、コーン・ウーファー、ドーム・スコーカー、リボン・トゥイーターという組合せは、キャラクターを統一させることが非常に難しいものだといわざるを得ない。
 ただ、個々のユニットは実に最高性能をもっていて、PT−R7というリボン・トゥイーターはパイオニアの単体として売られて非常に高い評価を得ているすばらしいものだし、ドーム型のスコーカーは単体売りはされていないが、その昔、これの原型になる大変手の込んだ手づくりのスコーカーの発展したものだ。パイオニアはこの原型のスコーカーを使って3ウェイのシステムを出したことがあるが、その時にスコーカーがすばらしすぎて、ウーファーとのつながりが悪くて、まとまりが難しかった。これはある部分がよすぎるのもたいへんなことだなということをわれわれに感じさせたほど、大変すばらしいスコーカーだったのである。それをかなり仕様変更してリファインしているわけだが、基本的には同じ設計の大型ドーム・スコーカーをここでも使っている。
 CS955の成功の秘訣は、2つのユニットのすばらしさはもうわかってる事だけれども、結局ウーファーだと思う。ウーファーとエンクロージャーがうまくいったためにこの3つのユニットが非常にスムーズにつながったのではないかと考えられる。
 というような、かなりこまかいプロセスを経た結果、CS955は、大型ブックシェルフ・スピーカーとして最高の品位をもったスピーカー・システムと言っても過言ではないものに仕上った。音について部分的なことを言っても意味がないが、先ほどいったように、スコーカーとトゥイーターは単体の変換器として最高の性能をもっているので、部分的に悪かろうはずがない。そして、全体がここまでの違和感のないトータル・バランスでまとまったということは、システムとしての完成度がいかに高いかということの証明になるだろう。
 非常に繊細でなめらかで、しかも豊かな音。力感という点においては大型ホーン・システムには一歩譲るところもあるが、実に品位の高いシステムだ。どちらかというと、低能率変換器タイプの音で、音がワッと屈託なく出てくるというのでなく、ある節度をもって出てくるという傾向の音である。
 このスピーカー・システムはブックシェルフだから、ほんとうはあまり大げさではないアンプで鳴らしたい気持ちもある。つまり、プリメインアンプの高級なもので鳴らせたらベストだと思うが、このスピーカーをフルに生かすとなると、矢張りイメージアップしてくるのがセパレートアンプということになってしまう。そこでコントロールアンプとしてはアキュフェーズのC200S、パワーアンプとして同じアキュフェーズのP300S、この2つをドライヴィング・アンプとして使えば、このスピーカーとして100%の性能を発揮させることがてきると思われる。
 プレイヤー・システムは数ある中から特にこれにとってピッタリくるシステムを選ぶことは非常に難しいが、現在出ているプレイヤー・システムの中から、これならばこのクラスの製品と格負けもしないし、性能的にも相当すばらしいものというような意味で、ビクターのQL−A7。これはコストとしては最高級という値段ではないが、堅実で緻密な仕上げの価値の高い製品。特に今までビクターのプレイヤーで私が個人的に一番気にいらなかったベースのデザインが、これはとてもよくなった。ローズウッドの美しいつやのあるビニール加工が施こされたベースで、これならプレイヤーとしてレコードをかける楽しみを感じさせてくれるという感じになった。使い勝手もいいし、ハウリング・マージンも大きくとれているし、機能的な面でも実用的な価値の高いプレイヤー。
 カートリッジはエラツクのSTS455Eと並んで私の好きなカートリッジで、高域に多少味というか、魅力というか、引っくり返せばくせというか、そういう感じが気になる方には気になるかもしれないし、好きな方にはそれが魅力になるフィリップスのGP412IIを選ぼう。

オンキョー M-55

菅野沖彦

最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・コンパクトスピーカー特選4機種」より

 オンキョーのM55というスピーカーはブックシェルフ型の完全密閉型2ウェイ・スピーカーで、エンクロージュアのサイズからすると、これは俗称コンパクト・スピーカーといわれるところに位置するものだ。現在のスピーカーの一つのストリームの中で、コンパクト・スピーカーとミニ・スピーカーというのはかなりの流行のきぎしを見せている、あるいは、実際流行しているのかどうかは知らないが、このM55はそうしたストリームの中で開発されたコンパクト・スピーカーだと私は思う。このぐらいのサイズのスピーカーは昔からいくらでもあるわけだが、ことさらいまこのスピーカーにわれわれが注目するというのは、そうしたコンパクトなサイズの流行の背景を意識してオンキョーが開発したというところだろう。この手のスピーカーで評判のいいスピーカーは他社から幾つか出ているわけだから、そういうスピーカーの中でのコンペデイターとして非常に新しく開発されたスピーカーだけあって、なかなかいいところをもったスピーカーである。
 スピーカーそのものをもうちょっと詳しく説明すると、20センチ口径のウーファーにソフト・ドーム・トゥイーターを組み合わせたものだ。現代のスピーカーは、きわめて明快なハイ・フィデリティ的な再生をするが、音がとにかくシャープであってあくまても克明に再現をする一方、音楽のもっている雰囲気とか、やわらかさとかあたたかさというものをついつい犠牲にしてくるようなスピーカーが多い。その中にあってこのスピーカーはたいへんにウォームな音をもっている。
 これはひっくり返せば、実は、このスピーカーのもの足りなさにもつながるだろう。小さいスピーカーはともすれば、小さいけれども大型に負けないぞというような気張りが、普通はあるが、そうした気張りのあるスピーカーに限って、高域に相当くせがあったり、低域がやたらに強調されたりするものだが、このスピーカーの音の出方は非常に素直におおらかにフワッと出てくる。つまり、そういうう音の気張りのないところが、このスピーカーの何よりもいいところであろう。
 それでいて、実はこのスピーカーはたいへんな耐入力特性をもっていて、実際にピークで150ワット・200ワットは平気で音くずれなく再生する。そういう意味では、非常にタフなスピーカーであることは事実だ。タフネスという点ではミニ・ジャンボだが、しかし音そのものが、あくまでも大型スピーカーに対抗しようというふうなつっぱりがないところが、このスピーカーのよさではないかと思う。
 組合せだが、こういう小さいスピーカーは、小さいから小さいワット数のアンプでと考えると、危険性がある。かといって、いくら何でも、2万円台の、しかも小型スピーカーに何10万円の大型アンプというのも、アンバランスだ。そういう点からなんとかこのスピーカーを鳴らすのに適当なアンプリファイヤーということになれば、プリメインアンプの中級品ということになってくるだろう。サンスイのAU607、707、あるいは、オンキョーのインテグラA705DC、これらのアンプで鳴らせば、このスピーカーがかなりの実力を発揮してくれるのではないかと思う。
 プレイヤーはあまり大げさなものを使う必要はないだろう。ビクターの一番新しいQL−A7なら申し分ない。
 カートリッジの方は、少し締めて鳴らしてもいいと思うので、エラツクのようなカートリッジよりも、むしろオルトフォンのF15とかFF15の方が、このスピーカーのちょっとした甘さをカバーして、明快な感じに音をバランスさせてくれるであろう。

ヤマハ C-I

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

多機能コントロールアンプの先鞭をつけた高級機のひとつの典型だ。

サンスイ CA-2000

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

スッキリと爽やかなプレゼンスを聴かせる見逃しがちな力作。

ウエスギ U·BROS-1

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

暖かく、それでいて独特のプレゼンスの豊かさをもつ管球ならではの音。

アキュフェーズ C-200S

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

C200の内容を充実させ現代的となった信頼度の高さが魅力である。

デンオン PRA-1003

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

適度に反応が早く、フレッシュな音をもつデンオンの新しい魅力。

マランツ Model 3250

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

このクラスとしては抜群の伸びやかな音を聴かせる注目の製品である。

テクニクス SU-9011A

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

価格を感じさせぬクォリティといきいきとした音は新しい魅力だ。

ソニー TA-E86

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特の構造を採用した、伸びやかな音をもつソニーの魅力的な製品。

マランツ Model P3600

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

際立った特徴をもたないが、比較試聴に強いのはやはり伝統である。

ビクター P-3030

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

超薄型パネルにフル機能を装備し、活気ある音を聴かせる野心作。

ソニー TA-E88

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しいソニーの音を感じさせるフレッシュさと構造が魅力的である。

ビクター TT-101

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

音質の良いDDモーターの一つ。ゴムシートに埃のつきやすいのが難。

ビクター EQ-7070

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特のシャープで解像力の優れた魅力をもつ現代アンプの代表作。

ラックス PD121

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

製造中止の噂が伝えられるが、ぜひとも残して欲しいユニークな製品。

テクニクス SP-10MK2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

何のかのいってもやはり当分のあいだはDDモーターのスタンダード。