Category Archives: アキュフェーズ - Page 3

AGI Model 511b + アキュフェーズ M-100

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 この組合せにおけるオーケストラの音は、豊かさや重厚さに欠ける。その代り、透明な中高音域の質感は、特筆に値する美しさであった。マーラーのシンフォニーの響きとしては必ずしも私の好みとはいえないが、これが古典派の曲なら捨て難い魅力だろうと思う。フィッシャー=ディスカウも、少々細身の声で、テノールがかる。ピアノの明瞭な響きは美しい。ジャズは、明瞭だが、低域の押し出すような重量感が物足らなくもう一つの感じだ。

アキュフェーズ C-280

アキュフェーズのコントロールアンプC280の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

C280

アキュフェーズ C-240 + M-100

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 音がこっちに向ってくるというより横にひろがる傾向があるようである。ひびきには多少の湿り気があり、そのために⑤のレコードでの音などは独自のなまなましさを示すともいえる。②、ないしは③のレコードなどは、この組合せに適していない。力強い音への対応でいくぶんものたりないところがある。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ごり押しにならないところは美点であるが、消極的にすぎるといえなくもない。①のレコードではひびきが音場的に横にひろがり、そのためかどうか、音の身ぶりが大きく感じられる。しかしながら音像そのものはかならずしも大きいとはいえない。ひびきは暗めである。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 4343でのきこえ方としては異色というべきであろうが、③のレコードでのベースの音がふくらみぎみであった。①のレコードではひびきが総じて重く感じられた。②のレコードは効果的にきかせはするものの、本来の力強さを求めるといま一歩といわざるをえなかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

アキュフェーズ E-301

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 やわらかくしなやか音に対して反応がすぐれている。したがってCのレコードでのきこえ方などは大変にこのましい。Aのレコードでのオーケストラのひびきのひろがり方などなかなかのものである。Bのレコードではいくぶんもったりした感じになりがちである。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 総じて音像は大きめである。しかしながら暖色系の音はこのましい。もっともこのましかったのがCのレコードで、フラウト・トラヴェルソの音は大変になまなましかった。ヴァイオリンの微妙な音色の変化もよく示していた。Bのレコードは水ぶくれした音のきこえ方で、疑問を感じた。
JBL・4343Bへの対応度:★
 どうやらこのスピーカーとは相性がよくないようであった。Aのレコードでは弦も声もきつくひびいて、しなやかさに欠けていた。Cのレコードでも本来はしなやかに感じられるはずの音が筋ばっていた。フラウト・トラヴェルソの音はいつになく太く力をもってきこえた。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

アキュフェーズ E-301

アキュフェーズのプリメインアンプE301の広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

E301

アキュフェーズ C-200X, P-300X

アキュフェーズのコントロールアンプC200X、パワーアンプP300Xの広告
(スイングジャーナル 1981年9月号掲載)

アキュフェーズ

アキュフェーズ C-200X

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 アキュフェーズのオリジナル・デビュー製品、C200のマイナーェンジのパネルデザインだが、中味は、メイジャーチェンジで生れ変ったもの。アキュフェーズらしい堅実だが、少々野暮な顔つきが特徴。しかし癖や嫌味がなく、仕上げのクォリティが高いので、長年使って、あきないはずだ。内容にほれ込めば、あばたもえくぼとなるだろう。価値ある製品だ。操作性も向上して、内容の充実にふさわしい質の高さだ。

音質の絶対評価:9

アキュフェーズ C-230

菅野沖彦
’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ブッシュボタン式の使いやすいパネルレイアウトは、上級機C240と共通のイメージだが、私は、あまりこのパネルは好きではない。決してセンスがよいとは思えないし、高級感があるわけでもない。もちろん、アキュフェーズらしい美しい作りだし、仕上げの質も高いのだが、魅力が感じられないのだ。機能性とオリジナリティは認めた上で好みの問題だ。操作性、感触は質が高く、緻密なクォリティを感じさせるものだ。

音質の絶対評価:7.5

アキュフェーズ P-400

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 B級A級切替のできるパワーアンプで、8Ω負荷時にそれぞれ200W、50Wのパワーを引き出せる。また、モノーラル接続では、ほぼ倍のパワーとなる。ピークホールドの可能なメーターの精度は高く読みとりやすい。ステレオ両チャンネルが電源から独立し、MOS・FET使用のDCアンプという、アキュフェーズとしてはP260とともにより新しい設計のセカンドジェネレーション・アンプと見ることができるものだ。

音質の絶対評価:9.5

アキュフェーズ P-300X

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 姉妹機P300Sのリファイン・モデルと見ることもできるが、内容は別物だし、デザインイメージもフェイス・リフトされている。4Ω負荷で200W+200Wが保証されている。8Ω負荷では150W。あらゆる点で、P300シリーズを土台にしただけあって、充分信頼性の高いものだし、物理特性も、よくリファインされている。モノ接続が簡単にできて8Ωで400Wとなる。メーターはピーク、ピークホールドで見やすい。

音質の絶対評価:9

アキュフェーズ P-260

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 アキュフェーズらしいといえばいえるが、あまり重厚なデザインではない。MOS・FETを使ったDCアンプで、A級、B級の切替ができる現代アンプ。B級130W、A級30Wというパワーは、単体パワーアンプとしては標準的で使いやすい。出力直読、ピークホールドのできるメーターを備えているが、照明色調ともに、本格派というよりはデザイン的である。それも、少々センスが安っぽいのが惜しまれる。

音質の絶対評価:7

アキュフェーズ C-240

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ボリュウムとバランス・コントロールだけが回転式で、あとはすべて、プッシュ式という新鮮なアイデアで登場した高級プリアンプ。C230という弟分でもこのデザインを踏襲していることからみても、アキュフェーズのプリアンプの代表的な顔として、今後もこのマスクが続くだろう。コンピューター・エイジにはふさわしいとはいえるだろうが、それだけに、反面、音楽表現に連る心情性は希薄な印象。しかし中味は凄い。

音質の絶対評価:8.5

アキュフェーズ C-7

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「MCカートリッジ用トランス、ヘッドアンプ総テスト(上)」より

 RET入力完全対称型プッシュプルA級DC構成のヘッドアンプ。聴感上でのf特は最新アンプにありがちなワイドレンジ志向ではなく、ナチュラルな帯域バランスが特長。MC20IIでは、整然とした凝縮した緻密な音が聴かれ真面目な表現が目立つ。ロッシーニは、少し表情に硬さがあり、ドボルザークは、整理された音が少し遠くに広がる。峰純子は重い低域と穏やかな丁寧な歌い方となり音質は少しソフトにまとまる。
 DL305にすると、音色は暖色系で柔らかくスムーズでキメ細かさが出てくる。ロッシーニは気軽に楽しめ、ドボルザークは少しスケールが小さくキレイにまとまる。キャラクターは少なく手堅く音を美しく聴かせる点が特長で、長時間聴いても疲れない音質。

アキュフェーズ T-104

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 ほんらいは、コントロールアンプC−240、パワーアンプP−400とマッチド・ペアでデザインされた製品。三台をタテに積んでもよいが、横一列に並べたときの美しさは独特だ。だがそういう生い立ちを別としても、アナログ感覚を残したディジタル・メモリー・チューニング、リモートコントロール精度の高いメーター類などは信頼性が高い。そしてそのことよりもなおいっそう、最近の同社の製品に共通の美しい滑らかな音質が魅力だ。

アキュフェーズ P-300X

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 この社の第一世代の製品ともいえるC−200、P−300、そして小改良型のC−200S、P−300Sのシリーズに関しては、音質の点でいまひとつ賛成できかねたが、C−240、P−400に代表される第二世代以後の製品は、明らかに何かがふっ切れて、このメーカーならではの細心に磨き上げた美しい滑らかな音質がひとつの個性となってきた。P−300Xは、そこにほんの僅か力感が増して、C−200Xと組合わせた音の魅力はなかなかのものだ。

アキュフェーズ E-303

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 プリメインタイプの最高機をねらって、著名ブランドがそれぞれに全力投球している中にあって、発売後すでに3年近くを経過しながら、E303の魅力は少しも衰えていない。特別のメカマニアではなく、音楽を鑑賞する立場から必要な出力や機能を過不足なく備えていて、どの機能も誠実に動作する。ことにクラシックの愛好家なら、その音の磨き上げた美しさ、質の高さ、十分の満足をおぼえるだろう。操作の感触も第一級である。

アキュフェーズ M-100

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 500W? へえ、ほんとに出るのかな。500W出した音って、どんな凄い音がするのかな……と、まず思うだろう。
 いかにもその期待に正確にそして誠実に答えるかのように、M100には、8Ω負荷の際のピーク出力を数字で表示するディジタル・パワーディスプレイがついている。そして、鳴らしはじめのあいだは、つい、耳よりも目がそちらの方に気をとられてしまう。刻々と移り変わる数字に目をうばわれていると、ふと、音を全然聴いていないことに気づいて愕然とさせられる。
 そして、おそらく誰もが、このアンプの音質を虚心に聴き分けることのできるようになるためには、パワーディスプレイの存在の珍しさが、意識の中から消え去ってからでなくてはダメだと思う。それくらい、このディスプレイは楽しい。
 出力のディスプレイは、次の4レンジに読みとりを切り換えられる。
  0・001W〜0・999W
  0・001W〜9・99W
  0・1W〜99・9W
  1W〜999W
 ごく絞った音量で鳴らしているときは、0・001Wのレンジで十分だ。過程で、静かに音楽鑑賞をするときの出力は、ちょっと拍子抜けするほど小さいことが読みとれる。0・001W近辺でけっこう大きな音が鳴らせることがわかる。
 しかし、たとえばコンボ・ジャズの録音の良いレコードを、あたかも目の前で演奏しているかのような実感で味わおうとすると、出力は、途端に、10W、50W、100W……と大きく動きはじめる。あ、と思った瞬間に、インジケーターの数字は200を軽く越えて、350、400、450……と指示する。500Wという数字から恐るべき音量を期待していると、軽く裏切られる。それは当然なのだ。私たちはつい最近まで、200Wから400Wのアンプを日頃常用したりテストしたりしてきて、実演に近い音量に上げたときには、200Wの出力がすでにものたりないことを体験している。500Wといったって、それは、200Wにくらべて3dB強、最大音量に余裕が出来ただけの話、なのだから。そういいう意味では、こんにち、すでに500Wどころか、1kWでも2kWでも、もし安定度と音質の良さの保証がありさえすれば、いますぐにでも欲しいのだ。
 単にハイパワーというだけなら、すでに実験機、試作機を含めて、私たちは体験しているし、PA用のアンプでは、音質は少々犠牲にしてでも、トータル数kWないし数十kWという出力はいまや日常の話になっている。けれど、過程で音楽をふつうに鑑賞するときの平均音量は、むしろ1W以下、ピアニシモでも0・001Wよりもさらに下、などというのがふつうだ。そういう極小出力で、十分に質の高い、滑らかな歪の少い、透明度の高く魅力的な音質を確保しながら、一方でどこまで高出力を出せるかというのが、これからの本当のハイパワーアンプのあり方だ。アキュフェイズM100は、そ命題に本気で応えた、本当の音楽鑑賞用のハイパワーアンプだといえる。
 そのことは、次のような比較ではっきり聴きとれる。
 比較の対象として、同じアキュフェイズのステレオ・パワーアンプの最高級機P400(200W+200W)を、もう一方に、M100より一歩先んじて発表されたマッキントッシュの同じく500Wアンプ(ただしこちらはステレオ構成)MC2500をそれぞれ用意した。プリアンプは、アキュフェイズのC240、マッキントッシュC29、それにマーク・レヴィンソンML7。これらを交互に組み代えて、音を比較する。
 まずアキュフェイズどうし。プリはC240に固定して、P400とM100(×2)の比較──。
 M100のディスプレイで、ピーク出力で50ないし80W、つまりP400の最大出力を十分に下廻る余裕のあるところで音量をほぼ同大にして比較してみるが、たとえば交響曲のトゥッティや、ピアノ独奏の最強音のところで、M100の悠然とどこまでもよく伸びる音を一旦耳にしてしまうと、P400の音が、どことなくピークで飽和しているような、音の伸びがどこかで停まってしまうあるいは抑えられてしまうかのような、印象として聴きとれる。そしてピアノの打鍵音の実体感が、M100の方が優れている。引締って、くっきりと形造られ、しかも硬質でなく十分弾力的だ。
 次にもう少し小さなパワー、M100のディスプレイがピークでも5〜6Wまでしか示さないような、ごく日常的な音量で比較してみる。それでも、M100の質の高さはすぐに聴き分けられる。音に何となくゆとりがある。私自身でも何度か例えとしてあげた話のくりかえしになるが、大型乗用車をぐっと絞って走らせたような力の余裕、底力、を感じさせる。
 ただ、P400にも良いところはある。弦のこまやかな合奏などのところで、いっそう繊細だ。それはM100よりもう少し女性的な表現といえないこともない。悪くいえば線が細いといえるのかもしれないが、裏がえしてみればいっそうナイーヴな表現をするともいえる。
 このまま(つまりプリアンプがC240のまま)、パワーアンプだけ、マッキントッシュMC2500にしてみる。音の性格が、アキュフェイズとはまるで反対だから、組合せとしてはベストとはいえないが、一応、同条件でのパワーアンプどうしの比較にはなる。
 たとえばピアノ・ソロ。M100よりも彫りが深く、一音一音のタッチがくっきりと際立つ。そして強打音での伸びがM100よりも力強い。ピアニストの指の力が増したような、ことにP400と比較すると、女性ピアニストと男性ピアニスト、ぐらいの差がつく。差のあることはわかるが、必ずしもどちらが良いかは速断できない。MC2500のほうが、少し元気すぎるともいえなくないが、しかしP400は逆に控えめすぎるともいえる。となると、M100がちょうどよいのか──。これはどうも、C240との相性の問題もありそうで、ピアノ独奏に関しては、案外、C200XとM100あたりの組合せがよいのかもしれないと思った。残念ながらC200Xを用意していなかったので、確認はできなかった。
 ところでMC2500だが、ピアノではともかく、交響曲では首をかしげた。使ったレコードは、アムステルダム・コンセルトヘボウだったが、それが、アメリカ系のたとえばシカゴ交響楽団とまではいいすぎかもしれないにしても、ちょっと、ヨーロッパの音にしては抑制と渋味が不足している、あるいは、明るすぎる音に仕上って聴こえる。
 このあと、プリアンプをレヴィンソンML7に変えて同じく3台のパワーアンプの比較をした。プリアンプの変ったことによって、組み合わせた結果の音の味わいは変ったが、パワーアンプ相互の音のニュアンスの差は、前記の印象と大筋において違わなかった。
 プリアンプをマッキントッシュC29に変えての試聴では、MC2500の音がぐんとピントが合って、音の色調が当然とはいえ、よく揃い、マッキントッシュの新しい世代のサウンドに、ちょっと感心させられた。反面、アキュフェイズのパワーアンプに対しては、マッキントッシュの華麗、アキュフェイズのナイーヴ、互いの個性が殺し合って、これは明らかにミスマッチだった。
 さきほどのピークパワー・ディスプレイの数字は、ホールドタイムが0・5秒、3秒、30分に切り換えられる。そしてホールドしているあいだにも、より大きなピークが入ってくれば、即座に応答して表示する。0・5秒では刻々と変化する出力上下の幅がいかに大きいかを直感的に読みとれる。3秒になると、もう少しゆっくりと、考えるヒマを与えてくれる。30分のホールドは、レコード片面を通して、最も大きな出力を表示してくれる。この機能はすばらしく便利で、前述のように、つい音を聴くことを忘れさせるほど、最初のうちは見とれてしまう。
 いったい、どこまでの出力が出せるものかと、ハイパワー限界のテストをしてみた。こういうテストは、もしもクラシックで、ピーク500Wを出そうとしたら、ふつうの部屋ではとても耐えられない音量になってしまう。むしろ、最近の録音の良いジャズやフュージョンの、むしろマイナー・レーベル(たとえばオーディオ・ラボやシェフィールドなど)のほうが、一瞬のピーク出力が制限されずにそのままカッティングされている。いいかえれば、音量感の上ではむしろ意外なところで、出力の表示は数百Wを軽くオーバーシュートして、びっくりさせられる。
 ともかく、今回の本誌試聴室の場合では、640Wまでを記録した。これ以上の音量は、私にはちょっと耐えられないが、アンプのほうは、もう少し余裕がありそうに思えた。500Wの出力は、十二分に保証されていると判断できた。
 しかし、M100の本領は、むしろ、そういういパワーを楽々と出せる力を保持しながら、日常的な、たとえば1W以下というような小出力のところで、十分に質の高い音質を供給するという面にあるのではないかと思われる。
 そのことは、試聴を一旦終えたあとからむしろ気づかされた。
 というのは、かなり時間をかけてテストしたにもかかわらず、C240+M100(×2)の音は、聴き手を疲れさせるどころか、久々に聴いた質の高い、滑らかな美しい音に、どこか軽い酔い心地に似た快ささえ感じさせるものだから、テストを終えてもすぐにスイッチを切る気持になれずに、そのまま、音量を落として、いろいろなレコードを、ポカンと楽しんでいた。
 その頃になると、もう、パワーディスプレイの存在もほとんど気にならなくなっている。500Wに挑戦する気も、もうなくなっている。ただ、自分の気にいった音量で、レコードを楽しむ気分になっている。
 そうしてみて気がついたことは、このアンプが、0・001Wの最小レンジでもときどきローレベルの表示がスケールアウトするほどの小さな出力で聴き続けてなお、数ある内外のパワーアンプの中でも、十分に印象に残るだけの上質な美しい魅力ある音質を持っている、ということだった。夜更けてどことなくひっそりした気配の漂いはじめた試聴室の中で、M100は実にひっそりと美しい音を聴かせた。まるで、さっきの640Wのあの音の伸びがウソだったように。しかも、この試聴室は都心にあって、実際にはビルの外の自動車の騒音が、かすかに部屋に聴こえてくるような環境であるにもかかわらず、あの夜の音が、妙にひっそりとした印象で耳の底で鳴っている。
 モノーラル構成2台で100万円、というのは、決してささやかとはいえない。2台の重量の合計が83kg。そのことよりも、10W近辺まで純A級で動作するという回路構成から、消費電力は無信号時でも250W(2台だから500W!)と、無視できない価である。ピーク出力時では、仮に一瞬であっても、8Ω負荷500W出力で840W(×2)を消費するから、それ相当の覚悟をしないと、なかなか自分のラインにはとりこみにくい。しかし、冷却ファンなしでも、発熱は想像よりずっと少ない。ファンを追加もできる構造だが、家庭用としては不必要ということだし、ファンなしで済むということは、無用の機械雑音に悩まされずに済むということで、神経質な愛好家にも歓迎されることだろう。

アキュフェーズ C-200X

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 高級アンプメーカー、ケンソニック社のデビュー作品としてC−200は生れた。第2世代としてC−200Sとなり、このC−200Xは第3世代にあたる。原形を踏襲しながら、パネルデザインもリファインされているが、内容的にも一新されたアンプである。きわめて高品位のコントロールアンプで、その滑らかで、豊潤なサウンドは第一級のものだと思う。品位、信頼性の点で、現在の国産製品の最高度のものだろう。

アキュフェーズ AC-1, AC-2, C-7

アキュフェーズのカートリッジAC1、AC2、ヘッドアンプC7の広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

AC2

アキュフェーズ E-303

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 まず一聴して、とてもきれいで滑らかな音という印象を与える。これは最近のアキュフェーズのアンプに一貫した特徴ともいえ、一部には、この音を美しすぎ、あるいはその美しさがやや人工的と評する人もいる。どちらかといえばややウェット型の、中~高域に特徴を感じさせる音だが、基本的な音の質が練り上げられ、緻密な音に支えられると、この音色はひとつの特徴として立派に生きてくる。
●カートリッジへの適応性 オルトフォンVMS30/IIでのベートーヴェン第九(ヨッフム)のプレイバックでは、第四楽章のコーラスとオーケストラの音の溶け合い、ハーモニーがたいへん美しく、テノールも金属的な響きにならずに滑らか。トゥッティの部分での奥行きの深さがよく再現され、各楽器のバランスも良好。「サンチェスの子供たち」でも、中域から低域にかけての支えのしっかりしているわりに、ローエンドをひきずることがなく、切れこみがよく、いくぶんウェットだが十分楽しめる音を聴かせる。エムパイア4000DIIIでも音がウェットになる傾向はあり、この組合せに関してはもっと乾いた音をよしとする人もあるだろう。エラック794Eで傷んだレコードをトレースすると、軽いヒリつきぎみのノイズがまつわりつく傾向があるが、全体としては美しく聴かせるタイプで、古いレコードのプレイバックも安心してできる。
 内蔵のMCヘッドアンプにも、本機の基本的な性格に共通した、独特の音の艶、鮮度の高さがあり、中~高域がくっきりと艶やかにきわ立ってくる。そこを支える低音の力もしっかりしているために、音がうわついたりすることなく、バランスもよいことで楽しませる。オルトフォンMC30のえもいわれぬ魅力をたいへん美しく聴かせてくれる点、プリメインのMCポジションとしては随一といえるかもしれない。デンオンDL303ではノイズはいっそう減少し、アンプ自体がいくぶん女性的な音を聴かせるにもかかわらず、意外といえるほど音の支えがしっかりし、303の弱点である、時として細くなりがちな音をほどよく整える。したがって、外附のトランスその他は、ノイズレベルがほとんど耳につかないところまで改善されるというメリット以外には、必ずしも必要はないといえるほどだ。
●スピーカーへの適応性 アルテック620Bカスタムを、相当程度まで魅力的に鳴らすことができ、このことからも、いろいろなスピーカーの魅力を抽き出し、生かすタイプのアンプということができる。
●ファンクションおよび操作性 MM/MC切替え、インプット切替えおよびスピーカー切替えはすべて、ミューティングスイッチが約1秒のタイムラグで動作するため、ボリュウムを上げたままで切替えても、ノイズは全く出さない。フォノ聴取時チューナーからの音洩れも全くない。
●総合的に いわゆる高級プリメインアンプの名作が数多くある中でも、きわ立って音の魅力を美しく抽き出すタイプで、たいへん好感をもった。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:小
2. MCポジションでのノイズ:小
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):3
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):2+
5. TUNERの音洩れ:なし
6. ヘッドフォン端子での音質:3
7. スピーカーの特性を生かすか:2+
8. ファンクションスイッチのフィーリング:3
9. ACプラグの極性による音の差:小

アキュフェーズ C-200X, P-300X

アキュフェーズのコントロールアンプC200X、パワーアンプP300Xの広告
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

C200X

アキュフェーズ C-230

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

デジタル表示チューナーT103、パワーアンプピ260とコンビとなるコントロールアンプ。オリジナル全増幅段対称型プッシュプル駆動、A級DC方式に新しくDCサーボ方式が導入された。

アキュフェーズ P-400

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

シンセサイザーチューナーT104、コントロールアンプC240とラインナップを組む製品。パワーMOS型FET、全増幅段対称型プッシュプル駆動、DCサーボ方式採用。純A級に切替使用可能。

アキュフェーズ P-400

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

シンセサイザーチューナーT104、コントロールアンプC240とラインナップを組む製品。パワーMOS型FET、全増幅段対称型プッシュプル駆動、DCサーボ方式。純A級に切替使用可能。

アキュフェーズ AC-1

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 高級アンプメーカーとしてユニークな存在であるアキュフェーズ初のMC型カートリッジである。
 発電方式は巻枠に磁性体を使う伝統的な方式で、カンチレバーは、西独製アルミ・マグネシウム合金パイプ全長の約60%にベリリウムの芯を入れた二重構造。ダンパーは、2種類のダンパーを同軸に使うダンプド・ダンパー方式。磁気回路はサマリウムコバルト磁石採用で、パーマロイ材に0・035mmの銅線を一層巻としたインピーダンス4Ωのコイルにより0・2mVの出力を得ている。カートリッジボディは、強度的に弱い例が多く見られるが、ここではアルミダイキャスト採用で内部損失と剛性の高さを併せもつ設計。別売にMCヘッドアンプが用意されている。
 MCヘッドアンプ使用で、全帯域にシャープに焦点のあった、細やかでクォリティが高く、彫りの深い音だ。