Category Archives: パワーアンプ - Page 5

スイスフィジックス Model 4

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

ハイエンドとローエンドをピシッと抑えた充分な帯域コントロールと、やや硬質で明快な抜けのよい音をもつアンプだ。プログラムソースとの相性は、全体に音を整理して、小さな枠の中で聴かせる傾向があり、いわばミニチュアの世界を見せられた印象が強い。1曲目のヴォーカルは、響きも美しく、子音の抜けもキレイであり、弦楽合奏もスケールは小さいが小出力アンプのメリットの活きた音だ。スピーカーは低域の量感重視でセッティングしたい。

音質:84
魅力度:86

オンキョー Integra M-510

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

響きの豊かな、滑らかでトロッとした独特の雰囲気の音をもつ個性的なアンプである。1曲目のヴォーカルは、一語、一語、言葉を丁寧に歌うようなイメージとなり、音像は少し大きい。カンターテ・ドミノは、ライブネスがタップリした広い空間の再現に特徴があり、天井の高さや暗騒音の細部は出にくいようである。音を聴いた印象からは、充分に手が加えられ磨き込まれた音ではあるが、基本的な音の傾向はかなり個性的であり、万能型ではないようだ。

音質:85
魅力度:85

カウンターポイント SA-20

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

豊かな中低域と、明快な中高域がバランスした帯域バランスと、海外製品としては数少ない、正確に音を聴かせようとする印象のアンプだ。音色は、低域は柔らかく滑らかで、少し暗さがあり、中域から中高域は、硬く、明るいタイプである。音像は大きいが明快であり、音場感は標準より少し狭く、見通し不足気味だ。ウォームアップは、ソフトフォーカス気味の粗い硬さのある音から、余裕のある安定した音に変わるタイプ。堅実な手堅い音のアンプである。

音質:83
魅力度:88

ナカミチ PA-50

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

スムーズでキレイな音を指向した音だがバランス的には低域が不足気味で、坐りのよい安定感のある印象に欠けるようだ。プログラムソースは、全体に小さく表現し、それぞれの録音のキャラクターは素直に聴かせるだけのクォリティをもっている。太鼓の連打での立ち上がりの甘さは、電源部に起因するもののようで、問題がクリアーされれば、中域以上の質が高いだけに、かなり優れたアンプになりそうな印象が強い。

音質:73
魅力度:78

パイオニア M-90

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

ナチュラルな帯域バランスと解像力を豊かに音として聴かせるだけの本格派の音をもつアンプだ。プログラムソースにはナチュラルに対応を示し、充分な力感に支えられて、正確に、無駄なく音を聴かせるパフォーマンスが目立つ。聴き込むと、弦の合奏での分解能、教会コーラスでの高さを感じさせるディフィニションに少しの不満を残すが、価格帯満足度は充分に高い。アッテネーターの硬調さの影響のないアンプだ。

音質:83
魅力度:90

ハフラー XL-280

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

無理なく充分にコントロールされた帯域バランスと適度に明快でメリハリの効いた判りやすい音が特徴のアンプだ。1曲目のヴォーカルは少し硬質な出だしであったが6曲目あたりからは安定した音になる。音像はクリアーで、シャッキッとしたプレゼンスが聴かれる。高域はクッキリと聴かれるが、リンキング気味で細部は見えないが大変巧みな音づくりが効果的に活かされている。思い切りよく、まとまった音が特徴。

音質:74
魅力度:79

クレル KSA-50MK2

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

スムーズなレスポンスをもつ素直なキャラクターが特徴のアンプだ。プログラムソースは、小編成のものに、軽く程よく抜けた雰囲気のよい音が聴かれ、楽しいが、反応は穏やかであり、鮮度感もやや不足気味である。音像は小さくまとまるが、輪郭は柔らかく、音場感はスピーカーの奥に拡がり、教会などの空間は小さく感じられる。音色もフワッとした軽さ、柔らかさがあるが、全体にパステルトーンの淡い色彩感だ。高能率スピーカーが必要なアンプ。

音質:83
魅力度:88

オーディオラブ 8000P

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

安定感のある穏やかな帯域バランスに、一種のまろやかさを感じさせる、ゆったりした音が特徴的なアンプだ。少し細かく聴くと、中低域の量感はあるが、最低域と最高域は緩やかに落ちるレスポンスをもち、中域には潜在的に粗い硬さが残るようだ。音場感は、QUADよりもナチュラルにCDらしく拡がるが、少し音が遠く感じられるたいぷ。音色は暖色系で、長時間聴いても疲れない反面、表情は単調で突っ込み不足。

音質:73
魅力度:76

ヤマハ MX-10000

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

安定感のあるピシッと伸びた、フラット型の帯域バランスと、カラッとした良い意味での乾いた、硬質な魅力をもつ音だ。低域は質的には高いが柔らかいタイプで、中高域の少しメタリックな質感と巧みにバランスしている。プログラムソースとの対応は明快な音で表現するが、雰囲気も充分に伝える。太鼓連打での反応は、電源部の強力さが感じられ、並の250Wクラストは異なった力強さが聴き取れるが、なぜかアタックの瞬発力は標準プラス程度に留まった。

音質:86
魅力度:92

新藤ラボラトリー F2a

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

高、低両エンドを抑えた安定感のある帯域バランスと、サワッとした、程よく明快さを感じさせる、良い意味での木綿の肌触りに似た、一種の粗さが特徴の音だ。プログラムソースには全体に安定な対応を示し、硬質にクッキリとコントラストをつけて、判りやすく聴かせる。太鼓の連打でも左右の太鼓の違いを明瞭に聴かせ、低域の安定度、質感はかなりのものだ。音像は少し大きいがクッキリと立ち、音場感はやや見通し不足気味で、奥行きの感じが出ない。

音質:82
魅力度:84

マッキントッシュ MC7270

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

バランスのよい安定感のある音である。低域は柔らかく、中低域の量感がタップリとあり、適度に硬さのある中域が、このアンプの潜在的な味わいの中核である。高域はなだらかに落ちているように聴こえる。プログラムソースには、かなりアクティブに働きかけ、バランスを保ちながら、雰囲気よく音楽を伝える。太鼓の連打では、予想よりも軟調な表現となり、瞬発力よりはジワッとした力感であるのが判る。音像はやや大きく、音場感はほぼ標準的か。

音質:81
魅力度:90

ウエスギ UTY-5

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

スムーズな帯域バランスと濃やかさのなかに、適度な緻密さがあり、色彩感の淡いキレイな音を聴かせる。プログラムソースとの対応はナチュラルで、やや淡泊な傾向に聴かせるが、必要な要素はかなり正確に伝えるため、これはこれで、ひとつの姿、形にピタッとはまった完成度の高さが感じられる。音像はスッキリと小さくまとまり、音場感は少し遠くに拡がる。ウォームアップは、穏やかで、濃やかさ、密度感が徐々に加わるタイプだ。

音質:86
魅力度:93

QUAD 510

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

帯域幅をコントロールした、フラット型の帯域バランスと、クッキリとした硬質なストレートな音が特徴のアンプだ。プログラムソースとの対応は安定感があり、必要な情報量はかなり正確に伝えるが、一定の枠にピタッと抑えるあたりは、いかにもQUADのアンプらしいキャラクターである。音像は明快だが少し大きく、音場感はやや奥に拡がる傾向がある。音色は少し重く、暗く、鮮明感がもう少し欲しい。ウォームアップで少し穏やかさが加わる。

音質:83
魅力度:86

アキュフェーズ P-500

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

スムーズに伸びた帯域レスポンスと、ナチュラルで、キレイな音を聴かせるアンプだ。プログラムソースには、素直な反応を示し、対応は穏やかであるだけに、それぞれの個性を少し抑えて聴かせる。リファレンス用としての信頼感は高いが、欲をいえば、もう少し積極性が欲しいように思う。ウォームアップは、ソフトフォーカスで線の細い音から、中低域の量感が増し音の見通しがよくなるタイプで、ほぼ、数分で安定する。入念に作られた好ましいアンプだ。

音質:87
魅力度:93

サンスイ B-2301L

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

穏やかな安定感のある帯域バランスと、余裕があり、伸びやかな音だ。今回の試聴では、従来に比べて音のキャラクターが変わったようで、音の粗さ、単調さが改善され、聴感上でのSN比の向上がポイントである。この店はカンターテ・ドミノの空間の拡がりや、音の消え方などで聴き取れる。音色は、やや暗い面があり、反応の早さが加われば、かなりなアンプになるだろう。ウォームアップは、初期は硬質で線が細く、数分で本来の音に移行するタイプ。

音質:84
魅力度:89

アキュフェーズ P-300V

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

穏やかなキャラクターで、音をキレイに聴かせるアンプだ。第1曲のヴォーカルは、P102的なスッキリとしたシャープさで始まるが、カンターテ・ドミノの9曲目あたりから穏やか型に変わり、サロン風な響きをもった安定したスムーズな音を聴かせる。スピーカーのセッティングを少しハード側に寄せれば、クォリティの高さがあるだけに、華やかさ、プレゼンスの良さが引き出せる。低域は少し抑え気味か。

音質:84
魅力度:84

QUAD 405-2

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

CDがアナログディスク的な帯域バランスとコントラストになる特徴的なアンプだ。音の粒子は、やや粗粒子型で、ヴォーカルの子音はラフになり、教会でのコーラスの反響、余韻の細部が不明瞭になる。全体に、マクロ的に音をまとめるのが特徴だ。ビル・エバンスは、少し軽いが、リズム感も優れ、かなり聴きごたえのする音だ。小粒ながら基本は抑えてあり、太鼓連打でも、小出力ながら予想以上の音が聴かれた。

音質:72
魅力度:80

デンオン POA-2200

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

細身のシャープな音が目立つアンプだ。プログラムソースは、全体にスケールを小さく、整理して聴かせる傾向があり、音像は小さく、クリアーである。聴感上でのSN比は、標準的にとどまり、見通しのよい音場感というには少し不足気味だ。音色は軽く、適度に明るく、質的にも充分の高さがあるが、低域の量感と力感が不足気味。スピーカーの設置などで対応したい。エージング不足傾向があり反応の早さは標準的だ。

音質:75
魅力度:85

クラッセ DR-3

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

サラッとした線の細い音と、ややナローレンジ型の帯域バランスが特徴のアンプだ。音の粒子は少し粗く、エッジに適度な輝きがあるために、音の輪郭にコントラストをつける効果的な働きがあり、スッキリとした音のイメージに結びついている。プログラムソースは、全体に、スケールを小さく、音を整理して聴かせるが、情報量が不足気味で、教会などの空間の拡がり、反響、暗騒音などは聴こえにくい。筐体関係の共振や共鳴が音を粗くする要因だろう。

音質:80
魅力度:82

エアータイト ATM-1

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

ナチュラルな帯域バランスと、適度にタイトでクリアーに立つ音像定位、ややアナログディスク的にまとまる音場感が特徴である。2系統の入力は、フロントパネル側が鮮度感が高く、いわゆる管球アンプらしさを要求する向きにはリアパネル入力がふさわしいだろう。カンターテ・ドミノは、アナログディスク的に適度にコントラストをつけて聴かせ、木管楽器独特の硬質さとまろやかさの対比も、らしく聴かせる。

音質:80
魅力度:85

ハーマンカードン Citation 24

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

中低域の量感がタップリした、穏やかな帯域バランスで、適度にキメ細かく、滑らかで、雰囲気よく音を聴かせるアンプだ。プログラムソースとの対応は全体に音像をソフトに大きく聴かせ、音場は奥に拡がるタイプだ。中域から高域の分解能が一段と向上すれば、反応も早く、一種のベール感もクリアーされるだろう。目立たぬが中域には潜在的に硬さが残り、スピーカーには、素直でキメ細かなタイプが必要だろう。

音質:72
魅力度:75

マイトナー MTR-100

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

高、低両エンドを適度にコントロールした無理のない良い意味でのナローレンジ型の帯域バランスと、プログラムソースを全体に整理して、やや小さくキレイにまとめる特徴があるアンプだ。音像定位は小さくクリアーであり、音場感はスピーカーの奥に距離感をもって拡がるタイプだ。音色は軽く、適度に明るく、表情は抑え気味で、表現はやや消極的なタイプだ。鮮度感が少し寂しいようだ。

音質:78
魅力度:81

ミュージカルフィデリティ P270

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

安定度を感じさせる穏やかな帯域バランスと、暖色系の音色をもち、サロン風な雰囲気に音をまとめる特徴がある。A級増幅であるが、聴感上ではウォームアップが感知され、1曲目での低域軟調、高域硬調型バランス空、6曲目あたりになると硬さがなくなり安定度が向上した音になる。聴感上でのSN比は不足気味で、音場感的な奥行きはもう少し必要だろう。個性はかなり強く併用機器の選択がポイント。

音質:78
魅力度:80

B&O Beolab 150

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

やや、ナローレンジ型の帯域バランスとマクロ的な音のまとまりが特徴のアンプだ。ヴォーカルでは、音色も乾き気味だ。カンターテ・ドミノは、教会の空間の拡がりが狭くなり、テープヒスが少し耳ざわりになる。アンプの基本設計は、筐体面で、下側に基部をつけ、上側にスピーカーを載せて、ベストになる構成であるだけに、今回のように単体の試聴ではリスクが大きいのは仕方ない。

音質:70
魅力度:75

アクースタット TNT-200

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

安定度の高い、ややナローレンジ型の帯域バランスと、中低域の量感がタップリとした、穏やかで雰囲気型の音のまとまりが特徴である。1曲目のヴォーカルは、線が細く、スタティックなヴォーカルになるが、2曲目になるとウォームアップでの変化が現れ、反響の多いタップリとしたエコーを伴った教会の音になる。太鼓連打でも乱れは少なく、音色面での重さがないのがメリットだが、反応が少し遅いようだ。

音質:78
魅力度:80