Category Archives: 井上卓也 - Page 64

ラックス 5T50

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 一連のラボラトリー・リファレンス・シリーズのコンポーネントは、プリメインアンプ、セパレート型アンプなどのアンプが中心だが、周辺機器としてトーンコントロールアンプ、グラフィックイコライザー、ピークインジケーターなどがあり、ここでは、デジタルシンセサイザーFM専用チューナー5T50を取り上げることにする。
 このモデルは、FM多局化に備えて開発され、多くの新しい機能がある。
 受信周波数は、デジタル表示されるほかに従来のダイアル的感覚を残すために、FM放送帯を1MHzごとに示すLEDがついたダイアルがあり、別に1MHzの間を100kHzだとに示す10個のLED表示部分を組み合わせアナログ的な表示が可能である。同調はオートとマニュアルを選択可能で、操作はUPとDOWNの2個のボタンでおこなう。オート動作では、目的方向のボタンを押せば、次の局の電波を受けるまで探し同調し止まる。マニュアルではボタンのワンタッチで100kHzでと上下に移動し止まり、押しつづければ連続して動き、放せば止まる。このチューニングスピードは、任意に調整可能である。
 また、このモデルにはスイッチによるプリセットチューニングが7局できる。プリセットは機械式ではなく、C−MOS ICを使い、デジタルコードで記憶させる電子式で、希望局の記憶、消去が簡単であり、電源を切っても記憶させた局が消去することはない。シグナルメーターはないが、放送局の受信状態の目安を0〜5までの数字で表示するシグナル・クォリティ・インジケーターが採用してあるのも面白い。
 実際の選局はオート、マニュアルとも違和感がなく快適にチューニングでき、プリセットチューニングの記憶、消去も容易で、とくに慣れを要求しないのが好ましい。
 このチューナーの音は、T110などを含めた従来同社のチューナーよりも、クリアでスッキリとし、粒立ちがよく、滑らかさも十分にある。

ラックス 5L15

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ラックスのプリメインアンプには、高級機としてSQ38FD/II、L−309V、そしてこの5L15のいわば新旧三世代のモデルが共存していることが大変に興味深く、オーディオの趣味性を強く捕える、いかにもラックスらしさがある。それにしても5L15は、ラックス育ちの現代っ子の音がするようだ。

デンオン PMA-700Z

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 最新技術内容を誇るプリメインアンプが数多く登場しているなかにあって、このモデルはすでに旧製品となったように思われるが、ゆったりと余裕があり、陰影の色濃い音を聴くと、何故かホッとした感じになるのが面白い。やはり、ある程度以上の完成度があるアンプは、時代を超越した独特な魅力があるようだ。

ヤマハ CA-1000III

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 CA−1000以来、すでに三代目になっているだけに、音もやや神経質な面があったCA−1000から、よりダイナミックなCA−1000IIを経て、現在の洗練された風格がある音に変わっている。整然と緻密な音を聴かせるこのモデルの音は、スケールも十分にあり高級スピーカーを余裕をもって駆動する。

ビクター JA-S75

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 同じビクターのプリメインアンプであるJA−S41と比較するとより新しく、上級モデルであるだけに、音の新鮮さより、むしろ洗練された完成度の高さと、しなやかさが感じられるようになっている。しかし、音楽に対する働きかけは、ビクターの製品らしくアクティブであり活気にとんでいるのはもちろんだ。

ヤマハ CA-R1

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 CA−2000/1000IIIを特別クラスとすれば、このモデルは事実上のヤマハのプリメインアンプの中心機種である。アンプとしての性格は、当然、一連のヤマハ製品らしさを備えているが、厳しく音を整理して端正に聴かせる上級モデルよりは、より開放感があり、おだやかさがあり、幅広い支持が得られよう。

ビクター JA-S41

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 現在のプリメインアンプでは、もっとも需要が多い価格帯に置かれたモデルだけに、単なる周波数レスポンスの拡大という方向ではなく、巧みに聴感上のレスポンスをコントロールして、アクティブに音楽を楽しむ方向でまとめてあるのは大変に好ましい。とくに、楽器らしさを感じさせる低音は気持よく聴ける。

サンスイ TU-707

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 シリーズ製品として甲乙がつけがたい個性的なプリメインアンプ、AU−607/707のペアとなるチューナーである。とかく、類型的になりやすいチューナーのなかでは、幅広くとったダイアル面の白に近い淡黄色とブラックフェイスのパネルとのコントラストがクッキリとつき、このユニークさが、かなり楽しい。

マランツ Model 1250

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 セパレート型アンプに匹敵する性能をベースとしたこのモデルの音は、これぞマランツの音であり、大人の音である。2台のデッキを駆使できる独特のファンクション、マイクジャックなど、実用性が高い機能は、音楽を聴くということからよりアクティブに音楽を楽しむ方向で、はじめて魅力として生きてくる。

マランツ Model 1150MKII

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 マークIIに改良されてから、このモデルは、おだやかでバランスが良い音から鋭角的で反応が速く、彫りの深い緻密さのある音に大幅にグレイドアップされたように感じる。それだけに、音楽を聴くこと自体がかなりアクティブな方向に変わり、聴くというよりは、よりリアルに、より楽しめるようになった。

トリオ KA-7700D

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 プリメインアンプに左右チャンネル独立2電源方式とDCアンプ構成を最初に導入したトリオ製品のなかでは、新しいモデルだけに、その完成度の高さの点では上級モデルをしのぐものがある。とかくDCアンプ構成では、音が柔らかくなりやすいが、このモデルの直線的な音の表現はユニークとも思われる。

オンキョー Integra T-7, Integra T-5

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 2機種のチューナーは、それぞれ、対応するプリメインアンプとペアとなるモデルであり、T7はFM専用機、T5はFM/AMチューナーである。
 機能面ではT7が水晶発振子を使い、常にIF周波数を10・7MHzにロックするクォーツ・ロック方式で同調ズレがなく、ワイアレスマイクのように周波数が変動しても十分にフォローする能力がある。選択度切替、エアチェックキャリブレート用の440Hz発振器などがある。T5はICを使ったサーボロック方式で、音質最良点から±50kHz以内に入るとロックインジケーターランプが点灯、音質最良点に自動的にチューニング可能だ。T7/5ともに異なっているが、常時音質最良点に同調が保たれるため、タイマーなどを使う留守録音ではわずかの同調ズレで音質を損なう心配がないのがこのタイプの利点だろう。

サンスイ BA-2000

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 サンスイのセパレート型アンプのなかでは、最新のモデルであるだけにデザイン的にもシャープさがあり、比較的にコンパクトにまとまっているのが魅力だ。音の性質もパワフルに推し出すタイプの上級機種とは全く異なった、応答性の速さとステレオフォニックな音場感を広く聴かせる新鮮さがある。

パイオニア SA-8900II

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 8000シリーズは、IIとなって完全に内容、外観とも一新されて、もっとも現代的なプリメインアンプとなった。左右チャンネル独立型の電源の採用をはじめ、上級シリーズである9000シリーズの面影のあるパネルフェイスなどがあり、音を含めても、このモデルのバランスの良さはトップランクにある。

デンオン POA-1001

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 マランツがソリッドステートパワーアンプの初期に採用した、2台のパワーアンプを機械的に結合してステレオアンプとする独得の発想が、現在のマランツよりもデンオンに受け継がれているのが大変に興味深い点である。パフォーマンスは、100W+100Wであり、量よりも質を優先する本来の意味でのセパレート型アンプらしさが感じられ、管球型POA−1000Bゆずりのレスポンスが速い出力計の支持は小気味よい。

ラックス MB3045

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オーディオ用に新しく開発した出力管とドライバー管を採用しているのが、このMB3045の最大の魅力であろう。モノーラル構成のパワーアンプには、ダイナコMKVIがあるが、三極管でそれに匹敵するパワーを得ているのは、現在でも、過去でも、この製品の他に例はないはずである。いわゆる管球アンプらしい音よりは、パワフルであるだけに、マッシブであり、最新のディスクの利点を十分に聴かせるだけの性能がある。

パイオニア M-25

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 パイオニアのセパレート型アンプ群のなかでは、20シリーズの製品に、単純化、高性能化の方向がいちじるしい。M−25は、パワー的に不足感があったM−21の上級モデルであり、優れた高域特性を得るためにパワートランジスターにリングエミッター型と呼ばれる新タイプを採用している点に特長がある。滑らかで色付けの感じられないナチュラルで素直な音は、かなり躍動的に音楽を聴かせてくれる。クォリティ重視のモデルである。

QUAD 405

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 コンパクトで独特なコンストラクションとデザインをもつパワーアンプとして愛好家が多いQUADの第二世代のソリッドステートアンプとして登場したものが、この405である。100W+100Wの性能を超小型の近代的なデザインにまとめたこの製品は、回路構成が独特であり、音も現代アンプの最先端をゆく鮮鋭さがあり、感覚的なひらめきがある。音場感を爽やかに拡げ、クッキリと音像が立つ実体感は凄い魅力である。

ダイヤトーン DA-A15

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ダイヤトーンのセパレート型アンプは、従来からもパワーアンプに、その機能的魅力を重視した簡潔なデザインが採用されていることに特長がある。このモデルは、コントロールアンプとの一体化をも含めた汎用性を狙ったデザインと、パワフルでストレートな音が巧みにバランスしたオーディオ的な魅力あふれる製品だ。

パイオニア SA-8800II

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 パイオニアのプリメインアンプのなかでは、8000シリーズがもっとも大きなウェイトをもつ存在であり、性能、機能、音質、デザインなど、どのポイントをとってみても、もっとも多くの市場の要求に十分に満足のいく解答が得られることに最大のメリットがある。このモデルは、万人が望む汎用性が魅力である。

ヤマハ C-2

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 薄型コントロールアンプとしては、標準的な機能を備えた、いわば本格的なコントロールアンプと呼ぶに応わしいモデルであり、性格的にも高級モデルであるC−Iとコントラストをなす製品である。FETとトランジスター混合構成の増幅系は、応答性が速く、活き活きとして機敏な音をもつことでは、国内製品中で最右翼に位置づけることができる。何れ、関連製品であるFMチューナーなどが加われば、また魅力は倍増しよう。

デンオン PMA-501

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オーソドックスであり、やや保守的な路線を進んでいたデンオンのプリメインアンプは、要求に答えてか、このモデルの登場により、かなり今日的な姿に衣がえしたようである。このモデルは、質と量のバランス点を保ちながら、カートリッジのクロストークをキャンセルする機能をも備えているのがユニークだ。

ラックス CL32

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 薄型コントロールアンプとしては、もっともオーソドックスともいえる、最小限度の機能をもつクォリティ志向型の製品である。しかし、このモデルは、増幅素子に真空管を採用している点が大変にユニークな存在であり、別にキットフォームのモデルをもつのも、いかにもラックスらしさがある。現代アンプらしく物理的特性が優れ、音質的にも新しさがある点では、ラックス管球コントロールアンプ中では抜群の存在である。

ビクター P-3030

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 フラット型のプロポーションをもつ、コントロールアンプのなかでも、もっとも薄い製品が、このP−3030である。一般的に、シンプルなデザインのフラット型は、機能面でもディスク再生を重点的にし、必要最小限度まで省略することが多いが、このモデルは、ほぼ標準的な機能を備えているために、いわゆるセパレート型アンプらしい使用法よりも、メカメカしくないオーディオとして小型の利点を活かして使いたい。

マランツ Model 510M

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 250W+250Wのパフォーマンスを、かなりコンパクトな寸法にまとめたマランツの第二世代のハイパワーアンプである。コンストラクションは、外観から受ける印象を完全に覆す見事さであり、電源部は、ハイパワーアンプらしい底力が感じられる。標準アンプ的に使えるマランツの伝統をもつ音は信頼度が高い。