サンスイのプリメインアンプAU666、チューナーTU666の広告
(スイングジャーナル 1970年6月号掲載)
Category Archives: FM・AMチューナー - Page 16
サンスイ AU-666, TU-666
ソニー TA-1166, ST-5300
サンスイ AU-999, TU-999
サンスイ AU-555A, AU-666, TU-666
ソニー TA-1166, ST-5300
サンスイ SP-10, SP-70, AU-555A, AU-666, TU-666, SR-1050, SR-2050, SD-7000
ビクター MCT-105
トリオ KT-3000, KT-5000, KT-7000
ビクター MCA-105, MCT-105
トリオ KT-7000
岩崎千明
スイングジャーナル 4月号(1970年3月発行)
「SJ選定 best buy stereo」より
KT7000が出た時、この製品が日本のHiFi市場において、類に無い傑作であると感じた私は、トリオの工場へファルコンを駆って取材にいった。
クリスタル・フィルターを用い、選択度のずばぬけたIF回路、ICを本格的に採り入れた回路構成、FETを採用して、入力混変調をシャット・アウトしたフロントエンド(入力同調回路部分)、さらに何よりも注目すべき帯域1メガヘルツ(MHz)のFM複調回路(ディスクリミネ一ター)。歪を極度におさえセパレーションを格段に向上させ、高音域までも信号洩れをおさえたステレオ・アダプタ回路、いずれをとってみても今までのFMチューナーの国産品はおろか海外製品をはるかに上回る高性能ぶりはカタログを見ただけではすべてを納得できなかったのであった。
開発部長兼任の春日常務(当時)の部屋で手にしたKT7000は、中身も今までのチューナーの概念では計れないものだったし、その性能ぶりも予想を上回るすばらしさだった。
「カートリッジを換えて音がよくなるのをマニアならだれでも知ってるでしょう、チューナーだってまったく同じですよ。KT7000に換えれば今までのチューナーがどんなに音を取り逃がしていたかわかりますよ」という春日常務の言葉が少しも大げさでなく納得できたのである。
チューナーにおいてその性能を判断する一つの手軽な方法として私は次のようなことをいつも試みる。
局側でステレオ開始時に調整のためのソースを流すが、右チャンネルから音が出るとき、左の音をボリュームを上げて聞いてみる。左側の場合も同じだ。洩れ信号は必ずといってよいほどザラついて汚たない。つまりセパレーションの悪いチューナーでは単にセパレーションが悪いだけでなく、それは明らかに「歪」そのものなのである。
この方法で確かめたとき、かたわらの出原開発部長がニンマリと笑って「KT7000は大丈夫ですよ。アダプタ回路の帯域が今までのよりずっと広いんです。これは縁の下の力みたいに目だたないのですが、技術的にも価格的にも大へんな仕事でした……」
なるほど、見えない努力はここだけでなく、あらゆる点におよんでいた。クリスタル・フィルターのシャープな選択度特性は、単に数個組合わせただけでは完全なフラットな帯域特性をうることはむずかしく、さらに従来なおざり視されていた位相特性をよくする点がからんでトリオのすこぶる優秀な技術陣でも大へんな努力の積み重ねが強いられたという。しかしこれらの数多い技術的試練も成果を上げたといえよう。その後の、そして今日において.もベストセラーを続けるKT7000がすべてを物語る。
このKT7000の人気が KA6000の評価を高め、その後この2機種を主力としたトリオのアンプ全体の売れゆきを高める索引力として大いに力あったようだ。
最近KT7000が特にテープ・マニアに多く使われると聞く。私自身、接したテープ党にも圧倒的に使われており、また推めてもいる。理由は、最近ますますレンジが拡がり、ステレオ放送録音で高域でのビートを起こしやすいのがKT7000によって解消するからだ。つまりオーディオ・マニアが増えるにしたがい、オーディオ技術、ステレオ再生技術が向上するにしたがってKT7000の真価がいっそうはっきりし、その存在がクローズアップするというわけだ。
このベスト・バイ紹介記に数多くの商品が登場してきたが、このKT7000は、おそらく今まで以上に長いベスト・バイを続けるにちがいない。本当に優秀な製品というのはそういうものだ。
サンスイ AU-999, TU-999
コロムビア MAS-160 SERIES (PRT-10, PRT-11, 10MT-10, PCT-10, MTT-3, MTT-4)
パイオニア TVX-90
パイオニア TX-70
岩崎千明
スイングジャーナル 2月号(1970年1月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
新聞の片隅の「東京地区の新らしいFM局に春早々に予備免許がおりる」ことを報じた記事が目に止った。
もっとも、この新局は現在の唯一つのFM民間局、FM東海が合併されるとのことであったから、東京地区で新局開局によってすぐFM放送局が増すというわけではないらしい。
しかし、新局は現在のFM東海にくらべて放送電力がかなり大きいことが予想されるから、サービス・エリアはぐっと拡がるだろう。それに東京ではさらに4局ぐらいは増すことになると伝えられているから、FM放送もテレビなみに番組によりいくつかの放送の中から選んで聞けるという日ももうすぐである、
しばしばいわれるように、米国ではFM民間局が極端に発達していて、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロスアンジェルスといった主要都市では、大小さまざまの20から40局ものFM局がダイアルいっぱいにひしめいている。日本でもそれほどではないにしても、FM多局時代がやってくることはまちがいなく、今やFM全盛時期を目前に控えた準備時期ともいえるようだ。
このFM多局時代をはっきりと感じさせる製品、それがパイオニアの最新型チューナーのTX70である。
放送局サイドの開局準備が着々と進んでいるのと平行して、聴取者も来たるべきFM花ざかりの時代に応じた意識を、今から植えつけることは決して無意味なことではない。
テレビ全盛の今日、聴取者側のあり方といったものが日ごとのようにジャーナリズムをにぎわしているのをみるとき、新らしいマスコミとしてのFM放送の受けとり方といったものも論じられるのは当然であろうし、それ以上に必然性をもっていよう。そして、その最低条件として、物理的な意味での、質のよい電波とその受けとり方自体がまず問題となる。
特に音楽番組に重点を置いた場合、周波数レンジ、ダイナミック・レンジ、雑音とあらゆる点において優秀性を示すFM電波の特長を十分発揮するために、この点が一層重要な問題となるのである。
放送電波の質については、生放送、高速テープなど放送局側に期待せねばならないが、受信側の不完全により、せっかくの良質の内容を見逃がし、あるいは損なっては、大きな損失であろう。特に音楽ファンにとって借痛にちがいない。
FM電波をより良く受信するには大きなアンテナと並んで「正しい同調」が大切だ。FM電波はテレビの音声と同じように、同調点が正しく合っていないと音は小さく、そして歪む。しかも、この正しい同調点はダイアル面上で針を突いたようなただ一点しかないのである。
そこで、FM放送を正しく同調させるためにSメーターや、中央指針の同調メーターが必要となり、それは高級チューナーでは、アクセサリーとしてより、それ以上に重要な必需品となっている。高価なチューナーでは、正しい同調のためのオシログラフさえ組み込まれているのだ。
そこで実用性の高い押ボタン同調機構が注目される。
FM放送にあって、押ボタン同調方式(プリセット式)はカーラジオなど中波におけるよりはるかに重要な意味を持っているのである。単に「便利」というのではなく、めんどうなFM受信の「正確な同調点が容易にキャッチできるという点が注目されるのだ。
バイオニアのTX70は製品としては日本で初めての押ボタン式同調機構を採用したチューナーだ。
FMの押ボタン同調メカニズムは電波が超短波のために大きく深い幾多の問題点をかかえてきた。それを克服しなければ製品化はでき得ない。この簡単な、素人にも正確なFM受信を可能としたメカニズムには、しかし最新のエレクトロニクスと高度の精密技術と、新らしい高周波材料とが秘められている。
この新らしい機構にかえて、技術的良心の行きとどいた回路は、高級な音楽マニアも納得するFM再生を可能にする。それはこのTX70をT社の最高級チューナーと切換スイッチにより、SJ試聴室で音を確かめたとき裏付けされた。
まったく驚いたことに、切換えたことが判別できないほどにすばらしいものであった。
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