菅野沖彦
ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より
ビクターSX3IIIは、改良を重ねてきたロングセラーの製品で、25cmウーファーとソフトドーム・トゥイーターという構成は、オリジナルから一貫して変らない。ユニークな外観もそのままで、根強い人気を持っている。豊かな低域、中高域のしたたかな再現能力は、現在でも立派な現役システムとして評価できるものだ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より
ビクターSX3IIIは、改良を重ねてきたロングセラーの製品で、25cmウーファーとソフトドーム・トゥイーターという構成は、オリジナルから一貫して変らない。ユニークな外観もそのままで、根強い人気を持っている。豊かな低域、中高域のしたたかな再現能力は、現在でも立派な現役システムとして評価できるものだ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より
トゥイーターはソフトドームを使った、ブックシェルフ型の代表といっていいロングライフのものだけあって、リニアリティもよく、本格的な再生にも小音量で鳴らすにもいいスピーカーだ。音のタッチに明確な実感がある。
菅野沖彦
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
オリジナリティとその数回にわたるリファインにより独自の存在。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
2度の改良を経て完成度を高めた、内容の濃い同社の中級機。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
2回の改良で、ローコストグループの中でもとりわけ熟成度が高い。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
ひとつのプロトタイプを(原形)を、時間をかけて少しずつ改良してゆけば、いつか必ずロングセラーの名作に成長するはずだが、そういう製品は残念ながら国産にはきわめて少ない。その数少ない中でも、かけ値なしに優秀と折紙のつけられるひとつが、SX-3IIIだ。初期のSX-3のあの耳当りのやわらかな音も貴重だったが、ジャンルを問わず万能的に音楽をこなすという点で、たしかにIII型になっていっそう成長している。
菅野沖彦
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
国産スピーカーの中で、最も早く、オリジナリティに目覚めた製作者の手で作られたといってよいユニークなシステムがSX3だと思う。ソフトドーム・トゥイーターの採用は、欧米に習ったものとはいえ、それを完全に自家薬籠中のものとして消化し、念入りなエンクロージュア、フィニッシュの独自性などは、タイプIIIとしてリファインされた今日も、立派に存在の必然性をもっている。国産ブックシェルフの傑作として上げたい。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より
良きライバルであるダイヤトーンのDS251/IIが中域のよく張った鮮明さで売っているのに対し、SX3/IIはどちらかといえばヨーロッパ的な柔らかな響きを大切にした作り方で、耳あたりよくソフトなバランスに仕上がっているので、ちょっと聴くとこもったような感じもするが、長い時間聴きこんでゆくにつれて、柔らかな中にも適度の解像力があって、ことにクラシック系の弦や声を主体としたプログラムに対しては、しっくり聴き込むに耐える完成度の高い音質だといえる。本誌28号でテストしたSX3に望んだ注文がほとんどかなえられて、以前の製品に比較して、中域の密度も増してきたし、やや抑えられているとはいうものの渋い艶も聴きとれる。この価格帯では内外を通じて眺めても、注目製品のひとつと言っていい。背面や側面を部屋の壁からなるべく離す方が音質の生きるタイプ。床の上に直接置いたり出窓や床の間に置いたりすると、音がこもってしまい、せっかくの音質が生かされにくい。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
音楽の種類にかかわらず妥当なバランスで、音が生き生きと弾み、愉しく聴かせる。音の質はやや甘い方。マークIIになってより一層完成度が高まった。
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
豊かで、厚みのある低域が特長のスピーカーである。性格は明るく、やや、バタくさいところもあるようだ。音楽を楽しく、細部にこだわらずマクロに掴む点がよい。
菅野沖彦
スイングジャーナル 11月号(1972年10月発行)
「SJ推選ベスト・バイ・ステレオ」より
SX3というスピーカー・システムは今オーディオ界で大きな話題となっている。あれこれとスピーカー・システムをつくり続けて来たビクターの初のヒットといっても過言ではないだろう。音響機器専門メーカーとしてのビクターの伝統と実力が実ったという観が強い。もっとも、今の話題の半分はこの製品の優秀性で、あとの半分は製品が足りなくてオーダーして数ヶ月も待たされるといった不満である……。こうなると、ますます欲しくなるのが人情で、SX3を渇望するマニアの数はどんどん増えているらしい。
SX3の生産が追いつかないということは、このスピーカー・システムの本質と、あえてそうした製品をビクターのような大きなメーカーがつくった意義とを説明することにつながるのである。つまり、このシステムは、たいへん手のこんだ作業を要する手造りの性格が強いのである。オーディオ機器が通り一辺の理論と設計技術と生産技術では、最高の製品たりえないということは私が常々いっていることなのだが、このシステムはそうした常識を超えた製作者の音への執念と情熱、そこから発した多くのアイディアと実験に裏づけされた試行錯誤、それを一つの完成度の高い製品にまとめる、高い技術が生きているようである。このスピーカー・システムの生みの親は同社のスピーカー技術の中核である林正道氏だが、林氏のスピーカーづくりへの情熱は並々ならぬものである。しかし、今までは、正直なところ、氏の情熱と探求の努力、技術の蓄積は多とするが、それがスピーカーの音として私たちを説得するまでには至らなかった。氏の独得のねばりは、今までの不評によく耐えて、謙虚にそして入念に、幾度かスタート・ラインへもどって音響変換器としてのスピーカー、音楽を奏でるスピーカーという二つの性格を正しく把握して、このSX3を生みだしたといえるだろう。と同時に、こういう人間の自由な創造性を暖かく保護し、開発に余裕を与えたビクターという会社もほめられてしかるべきであろう。こういう体質がなくてはオーディオ・メーカーとして、これからの時勢を乗り切っていくことはできないといっても過言ではない。技術は人間の積み重ねてきた体系的所産であるが、それは常に発想に触発されて前進すべきものである。発想は創意という、人間が神から与えられた偶発的な要素の濃いもので、すべての創造の基盤となる。すばらしい発想は優れた才能と、その才能を開花させる環境から生れるものだと思うのだ。音そのものはもとより、人間のつくり出したスピーカーという変換器ですら、そのすべてが解析されてはいない複雑な要素からなるものだから、これに既成の理論と技術だけで当っていては、できる製品はたかがしれているというものである。
SX3の随所に見られるアイディア、豊富な実験から得られた新しい前向きのオリジナリティは、こうした私の考え方からして高く評価できるものなのである。しかし、そうした姿勢があるだけで、よいものができるわけでもないし、またSX3が最高のスピーカー・システムというつもりはない。
SX3はやはり、メーカーに利益をもたらす商品として生み出されたものだから、そこには多くの制約も妥協もある。小型(実際上は中型といえるが)ブックシェルフ・システムという市場でもっとも人気のある形態、3万円を切る小売価格などという商品としての条件の中でつくられたものであることは当然で、その結果、強烈な音響再現を可能にする大型システムや、そうした音を要求する音楽には自ずから限界はある。しかし、この範囲での製品としてトップ・クラスのものであることは保証する。25cmウーファーとソフト・ドーム・ツィーターの2ウェイ。手のこんだ材料と工作によるシステムとしての念入りなアッセンブルは非常に豊かでリアリティのある低音をベースに、スムースで奥行のある中高域とステレオフォニックなプレゼンスを再現してくれるのである。
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