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テクニクス SU-9070II

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

IIとなって格段に内容の濃さと表情の伸びやかさが加わっている。

テクニクス SU-9070II (Technics 70AII)

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 以前の70Aとは中味が全く別ものといっていい。かつてのいかにもセパレートアンプの流行に便乗した感じのある安手の音が記憶に残っているせいもあるが、II型になって印象は一変して、たいそう密度の高い、充実感のある聴きごたえのする素晴らしい音質だと感じた。従来のテクニクスのアンプが、一体に音の表情の乏しい傾向があったのに、70AIIは音の起伏が豊かで彫りが深く、パースペクティヴな音場の奥行き感もとても良い。ディテールの解像力と音の鮮度も十分だ。内蔵のMCヘッドアンプは、MC20に対してはオルトフォンらしさはやや減るもののやや線の細いきれいな響きは美しく、DL103Sではトランスにくらべて幾分若やぐが音が生き生きしてとてもいい。

テクニクス SU-9070II (Technics 70AII)

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 リファレンスパワーアンプ♯510Mとの組合せのほうが、9060IIパワーアンプとの場合よりも伸びやかさが減り、スケールも小さく感じられて、何とはなしにつまらない音になる。聴感上の周波数レンジは、平均的よりもむしろナローレンジ型であり、バランス的には中域の低い部分でエネルギー感が不足し、安定度の悪さが出てくる。音の表情でも、やや消極的で伸びやかさが不足し、フレッシュな鮮度の高さがあまり出てこない。やや中域が粗粒子型で硬い部分があるのは、♯510Mとのマッチングが悪いためであろう。スケール感は小さく、小型ながらせい一杯に頑張って音を出している印象である。

テクニクス SU-9070II (Technics 70AII) + SE-9060II (Technics 60AII)

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 マークIIでない方の、いかにも物理データ・オンリィといった感じの、一応の音はするが音楽としてどこかよそよそしさ、素気なさを感じさせる音に対して、II型は一変している。基本的には、おそらく物理特性を重視した正攻法での作り方であるらしく、音のバランスがよく、すべてのプログラムソースに対して欠点の少ない、いわば過不足のない音を聴かせるところはたしかにテクニクスだが、しかし従前までのそれとは思えないほど、音が生きていてほどよい魅力も感じとれて、極上とはいえないまでもかなりの随順でのできばえだ。ひとつひとつのぷろぐらむそーすについて細かいことを言い出せばいろいろ注文もある。たとえば弦楽四重奏では、鳴りはじめた瞬間から聴き手をひきずりこむほどのしっとりした雰囲気までには至ってないし、ベーゼンドルファーの音も基本的な骨格はしっかりしているが、あの独得の艶と色気までは出しきらない。ただそれはこの価格帯のアンプには少し無理な注文だと思う。

テクニクス SE-9060 (60A), SU-9070 (70A)

岩崎千明

サウンド No.7(1976年発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(アンプ編)」より

 2年ほど前から、米国の新しい小さな電子メーカー、マークレビンソンのプリアンプの優秀性が話題となっている。プリアンプといっても、フォノイコライザー回路を独立させて、それに左右独立の音量調整用ボリュームをつけた形の、純粋にディスク再生のための文字通りのプリ(補助)アンプであって、トーンコントロールやフィルターさえ付いていないが、雑音発生量が極度に抑えられていて、いわゆるSN比は今までの常識よりはるかによい。そのために小さなレベルでの再生がきわだってクリアーでスッキリしている。こまやかなニュアンスもよく出る。こうした点が、高級マニアの注目するところとなった。ただ、あまりに高価で、VUメーターのついたのが90万円を軽く越し、メーターなしの超薄型のでも50万円を越すという驚くほどの価格だ。誰にでも買えるものではないが、この高価格なのが又、新たな話題となって、ますます注目されるという2重のプラス(?)を生んでいる。ただし、うまい商品であるし、商売でもあろう。
 商品としての巧妙さは、また逆にその裏をかかれることにもなるが、持ち前の電子技術を誇る日本のメーカーが黙ってみているはずがない。この半年に、マークレビンソンのフォノイコライザー・アンプを狙った製品がいくつか出てきた。その一番バッターがテクニクスの70Aだ。外観的にはよく似たアンプで、SNもかなりよく、性能的にはテープモニターを2系統プラスしている。音の方も、より暖か味ある日本のマニア好みの音だ。肝腎のSNの点で、もう一歩という所だが、7万円という価格からは止むを得ないのだろう。プリント回路の質的な面で、もう少し良ければなあと望むのは欲ばりすぎかも知れないが、パワーアンプ60Aの出来具合のすばらしさにくらべて、プリの内側はちょっと淋しい。パワーアンプ60Aは、8万円という価格の中で外観、内容とももっともユニークかつ魅力を持ったアイディアと個性にあふれた製品だ。組合わせて聴くと、おとなしい音は大人のマニア向けという感じで生々しく、自然な響きが質の高さを示す。