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テクニクス SU-8080

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 回路構成や操作ファンクション、そしてデザインと、すべての面でテクニクスが新生面を切り開いた意欲作として評価したいアンプ。一聴していかにも歪の少ない、澄んだ美しい音。ひっそりとひかえめで、いくぶんとり澄ました印象を聴き手に与える。個人的にはもう少し色っぽい表情が欲しいところだが、データをまじめに追求した良さは好みを別として理解できる。操作ツマミ類、ことにボリュウムの感触は抜群。

テクニクス SU-8080 (80A)

瀬川冬樹

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 とても滑らかで優しい感じの柔らかな音が鳴ってくる。これはテクニクスの最近までの一連のアンプに共通の性格だが、80Aはその特徴に一そうの磨きがかかったように、見事といいたいほど濁りのないきれいな音を聴かせる。音量を上げていっても、粗野とか派手といった感じが少しもなく、どこかひっそりした、控えめで品の良い音が一貫している。ただ、その表情にはどこかとり澄ました冷たさも感じさせる。音自体の肌ざわりもクールなタイプだ。そういう鳴り方は、音楽の表情の大きな起伏をやや抑えるように聴かせる傾向があって、たとえていえば日本風美人の感情をおさえた印象がある。日本風……といえばこのアンプの音のバランスも、中低域以下のいわゆる音楽の土台の領域で、いくぶん柳腰のプロポーションに思える。TVのCMに出てくるような、この日本風美人を、腹の底から笑いころげさせてみたら、きっと別の生きた表情が出てくるのだろうと思うが。

テクニクス SU-8080 (80A)

菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 高い技術レベルに支えられたアンプだということが聴いてもよくわかる。プリメインアンプとしてユニークな構成で、インプットのイコライザーからダイレクトにパワーに入れるトーンディフィートなどの発想は新しい。音は、いかにも端正で立派である。品位が高く、色づけのない素直なもので好感がもてるけれど、豊潤なソノリティを出し切れないのが、もう一つ、このアンプの魅力に欠けるところだと感じられた。クヮルテート・イタリアーノのベートーヴェンの初期の弦楽四重奏など、フィリップスの華麗な音色をコントロールして格調の高い響きで聴かせてくれるが、オーケストラの中低域のニュアンスや、ピアノの巻線領域の豊かさなどの抑揚に、もう一つ血が通わない再生音になる。自分の作ったレコードにしか自信を持っていえないが、試聴に使った一枚では、明らかに意図したリズムの豊かな躍動に不足を感じた。客観的に素晴らしいアンプだと思うのだが……。

テクニクス SU-8080

井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 機能的に整理されたパネルフェイスは、類型的なパネルをもつ例が多いプリメインアンプとしては際立った印象を受けるが、本機は、内容としてもハイレベルインプット以後は、完全にDCアンプ化が可能という、いわば挑戦的な新しさがある。
 回路構成上のポイントとなっているのは、DCアンプ構成のパワーアンプ部である。通例とは異なって、初段の差動増幅用にFETではなく、デュアルトランジスターを採用したパワーアンプ部は、フロントパネルのメインアンプ・インプットスイッチをダイレクトにすると利得が42dBというハイゲインアンプとなり、AUXなどのハイレベル入力は直接パワー部に入り、結合コンデンサーレスのDCアンプとなる。セレクターがヴィア・トーンコントロールの場合には、ハイレベル入力は、トーンコントロール回路を通りパワー部に入るが、このときには、パワーアンプゲインは28dBとなり、トーンコントロール段の利得は14dBと加算してトータルで42dBとなる。また、オーディオミューティングも、パワー部のNF量を14dB変化していっていることも特長である。この構成が、テクニクスでプリメインアンプならではのDC化といっている理由である。
 機能面では、イコライザー段に内蔵されたサブソニックフィルター、カートリッジ負荷抵抗と容量の各2段切替、DCアンプ構成時に、ハイレベル入力に接続された機器からの直流成分の洩れからスピーカーを保護する、カットオフ2Hzの直流カットスイッチなどがある。
 SU8080は、色付けが感じられないストレートな音をもっている。従来のテクニクスアンプよりも粒立ちが明確で、聴感上で、力強さが加わっている。