Tag Archives: SC77

サンスイ SC-77

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 標準サイズボディに充実した内容を盛り込んだ中級クラスのスタンダードモデルである。2モーター方式の走行系は安定感があり、優れたアンプ系のバックアップで、情報量は桁はずれに多いメタルテープの魅力を引出し、拡がりのある音場感とクッキリとした音像定位を聴かせる。メタルテープは単価が高いだけに、音や音場感でも格差が必要である。

オーレックス SC-77

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 マーク・レビンソンLNP2Lとの組合せでは、音の厚みが加わり、低域の伸びや中域の薄さがかなり改善された、バランスの整った音になるが、まだ音楽に対する働きかけがパッシブな面が残っており、実体感の薄い音である。しかし、このSC77は、特定のキャラクターが少なく、素直でよくコントロールされたアンプであることは、充分にわかる音だ。
 音像定位はかなり安定し、音像は一段と小さくなって、標準的な大きさである。音像の輪郭もかなりシャープである。また、ステレオフォニックな音場感でも、SY88との組合せよりも、前後方向のパースペクティブが感じられるようになる。

オーレックス SC-77

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 パワーアンプ単体のテストには、コントロールアンプにマークレビンソンのLNP2Lを組み合わせているわけだが、ときに必要以上に音をこまかく浮き上らせるとさえ思えるLNPの音が、SC77と組み合わせると意外に起伏のおさえられて一様に均されたような音になる。そのことからSC77自体の持っている方向は、かなり客観的でおとなしい、ややスタティックな音質であることが想像できる。バランス的には重低音域がおさえぎみ。またステレオの音像は、奥行きを感じさせるよりも平面状にひろがるタイプだ。「オテロ」冒頭でも歪感はなくクリアーで混濁しない点は立派だが、総じて音は淡泊な傾向で、いわゆる音の深味や充実感をことさら聴かせるというアンプではない。

オーレックス SY-88 + SC-77

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 いままでに何度か、オーレックスのプリメインアンプを試聴した機会にも、またスピーカーの試聴でも感じたことだが、このメーカーの鳴らす音は、つねに慎重で、おとなしい模範サラリーマンふうのところがあって、荒々しさや歪っぽさをごく注意ぶかく取除いて作られている。そうした傾向は、音のやかましさやおしつけがましい個性を嫌う人には歓迎されるだろうが、しかし音楽には荒々しさと引きかえに躍動する生命感も、高ぶる感情を抑えながら情感をこめた歌い方もある。そうしたいわば演奏家の生きた表彰あるいはバイタリティ、または情熱のような部分を、このアンプはどちらかといえばかなりおさえて、むしろよそよそしいといいたような感じに仕上げて聴かせる。また、コントロールアンプにもパワーアンプにも、中低音域から重低音にかけての量感や厚みをおさえる傾向があったが、両者の組合せではいっそうその傾向がはっきりしてくる結果、中〜高域重視型のバランスに聴きとれる。

オーレックス SC-77

井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 SC55と同寸法のシャーシに収まったものパワーアンプで、出力は120Wである。回路構成は、初段カスケード接続差動2段、3段ダーリントン全段直結順コンプリメンタリーOCLで、電源分は、トロイダルトランスと低倍率電解コンデンサーのコンビ。ゲイン切替、メーター端子のほか、サブソニックフィルターがある。