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デンオン SC-11, SC-101

デンオンのスピーカーシステムSC11、SC101の広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

SC11

デンオン SC-101

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 デンオンSC101は、きわめて質のよい小型ブックシェルフで、その明るく透明な音の美しさは、このクラス(1本5万円未満)の中でも特に優れたものといえるだろう。20cmウーファーとドーム・トゥイーターの2ウェイで、レンジもかなり広く、バランスは美しくまとめられ、すべての音楽をいい意味での〝精緻な箱庭〟として楽しく聴かせてくれる。

デンオン SC-101

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 ボクシングのランキングにたとえれば、モスキート級ということになるだろう。当然のことにヘビー級のスピーカーからきこえる音と比較して四の五のいってもはじまらない。こういうスピーカーには、こういうスピーカーなりの使い方があるし、できることなら重量級のサウンドを必要とするレコードはさけたいところだ。このスピーカーのいいところは、ひびきがあかるいところだろう。ただ、それは、逆の面からいえば、陰影にとぼしいということにもなる。強打されたピアノの音とか、ブラスの強奏などは、このスピーカーのもっとも不得手とするところだが、ひっそりとうたわれた歌のインティメイトな表情は、それなりになまなましい。もっともその場合にも、スピーカーとあまり離れないで、比較的近くできいてという条件はつく。使い手が、このスピーカーの持ちあじを心得て、愛情もってつかっていきる。

総合採点:7

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(物足りない)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(ほどほど)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)

デンオン SC-101

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 このサイズではいわゆる重低音を望むのは無理であるのは当然だが、リスナーの目よりやや低めで廃品を固い壁に近寄せて設置すれば、低音の量感も一応補われる。中〜高域にわずかに張りがあって、それは一見線の細いようにも感じさせるが、反面、高域端(ハイエンド)にかけてくせが少なく素直で、レインジも十分広いため、質の良い艶が感じられ、実況録音(ライヴレコーディング)などの雰囲気もなかなかよく出る。アンプとの適応性はあまり神経質でなく、価格相応のローコストアンプでもよさは一応抽き出せる。ただ、カートリッジはエラックのようにやや個性の強い音の場合、中〜高域が少し張りすぎる傾向もある。
 同価格帯のライバル機種の中では、オンキョーM55ほどの重量感は出ないがヤマハNS10Mよりはもう少しこってりした味わいがある。反面、ヤマハやビクターのあの明るい軽やかさと比較すると、いくぶんほの暗い感じも受ける。音楽はポップスからクラシックまで、広い傾向に適応できる。

総合採点:9

●9項目採点表
❶音域の広さ:6
❷バランス:7
❸質感:6
❹スケール感:5
❺ステレオエフェクト:6
❻耐入力・ダイナミックレンジ:6
❼音の魅力度:7
❽組合せ:普通
❾設置・調整:やさしい

デンオン SC-101

菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 何の変哲もないオーソドックスなスピーカーシステムだが、小型ブックシェルフとしては大変よくまとまったシステムだ。まとまりだけでなく、一つの魅力をも備えている。鋭さと柔らかさが、ほどよくバランスしているところが強みで、楽音によって、時として鋭さが難となる場合があるが、オーケストラなどを聴いても実感のある雰囲気が楽しめる。全体の音色としては明るく、プレゼンスの豊かなもので、2ウェイらしい自然な音場感が楽しめる。ヴァイオリン・ソロではもう一つ弦特有のしなやかさが欲しかったが、ピアノは粒立ちのよい輝きのあるものだった。小型スピーカーだから圧倒的なスケール感を味わうには、低域の量感、出し得る最大音圧レベルからいって無理があるが、一般家庭での平均的な音圧レベルで聴くには不足はないだろう。トゥイーターがもう一つスムーズになると一層素晴らしいシステムとなるように思うが、かといって、それがこのシステムの味の素として、重要な因子なのかもしれない。

総合採点:9

デンオン SC-101

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 同社の最新モデルで、小型ローコストにまとめられているが、再生音には癖がなく、それでいて決して物足りなくないという点で、いろいろなプログラムソースでも満足感が味わえる製品だ。