井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
適度に反応が早く、フレッシュな音をもつデンオンの新しい魅力。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
適度に反応が早く、フレッシュな音をもつデンオンの新しい魅力。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
たいへんバランスのよく整った音で、こういう音は言葉で言い表そうとするとかえってむずかしい。要するにこれといった際立った特徴があるわけでなく、たとえば難しい「オテロ」冒頭のトゥッティでも音のつみ重なりや各声部の表情を、曲の内容をいちおう聴きとるに不足しない程度には鳴らし分ける。この価格ということを頭に置いて言えば、これはかなり出来の良いコントロールアンプといえる。ただ、価格を別とすれば、低音での支えがもうひと息欲しいし、また中〜高音域では、わずかながら表情に硬さもある。音の密度という点でも、もう少し充実感も欲しく思われる。コントロールアンプ単体として10万円以下のローコスト機という前提でのおすすめ品ということになる。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
聴感上の周波数レンジが、ワイドレンジタイプで、反応が早く、鮮度が高い音を聴かせるコントロールアンプである。
音の厚みと低域の重量感は求められないが、中域が少し薄く、爽やかに伸びた音は、オーディオ的に魅力があり、ステレオフォニックな音場感が広がり、音楽の雰囲気をかなり正確に伝えるのは、このコントロールアンプのメリットである。
音楽への働きかけは、適度に聴いて楽しい音にするという意味ではなく、色付けが少なく素直にディスクに刻まれた情報量を増幅するという意味で、かなりアクティブといえる。価格的にも10万円を割るクラスにあり、出色のコントロールアンプという感じだ。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
大づかみにとらえると、プリメインタイプの名作といわれたPMA700Zの傾向をきめこまかくグレイドアップした感じの音質で、バランスがよく整っているし、際立った個性もないかわりに音楽の表情を抑え込むようなことがなく、クラシックからポピュラーまで、いろいろなプログラムソースをひととおりの水準で楽しませる。ただ、セパレートタイプとしてもまた最近の高級プリメインタイプと比較しても高出力型ではないせいもあって、音のスケールの大きさの要求される(例えば「オテロ」のような)曲では多少小造りになるし、ハイパワーを要求する(例えばシェフィールドのような)レコードでは極端なハイパワーは出せないというように、価格の制約を頭に置いて選択の対象にしないと不満が出るかもしれない。しかしデザインや必要なコントロールの機能などを含めて全体のまとめかたは、とてもよくこなれていて、セパレートアンプを手に入れようという期待感を裏切ることはないだろう。
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