井上卓也
ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より
独立3ヘッド構成、クローズドループ2キャプスタン型の走行系に、世界初の自動アジマス調整機構をビルトインした半速を含めた2スピード型の高級機。ヘッドは半速で15kHzを保証可能な独自のタイプで、並のデッキの標準速度に匹敵する音を聴かせる。2速度型のキューイング、自動選曲など機能も充実し、現代デッキの頂点に立つデッキである。
井上卓也
ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より
独立3ヘッド構成、クローズドループ2キャプスタン型の走行系に、世界初の自動アジマス調整機構をビルトインした半速を含めた2スピード型の高級機。ヘッドは半速で15kHzを保証可能な独自のタイプで、並のデッキの標準速度に匹敵する音を聴かせる。2速度型のキューイング、自動選曲など機能も充実し、現代デッキの頂点に立つデッキである。
井上卓也
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
昨年、480、580、600ZXシリーズと3シリーズの新製品群を一挙に発表し注目を集めたナカミチの事実上のトップモデルの製品が、この680ZXである。各シリーズともに、テープトランスポート系のメカニズムは新開発のデュアルキャプスタン方式で、テープのたるみ自動除去機構付。カセットハーフ側のテープパッドをメカニズムにより押し、テープパッドなしに使う独自の構想により設計されたタイプである。600ZXシリーズは、再生ヘッドの自動アジマス調整機構を備えるのが他のシリーズにない特長であり、なかでも680ZXは、テープ速度が半速を含む2段切替型であるのが目立つ点だ。
600ZXシリーズは、他のナカミチのシリーズとは型番と機能の相関性が異なり、660ZXは録音・再生独立ヘッド採用で、アンプ系が録音・再生兼用型で、670ZXが独立3ヘッドの標準型である。
型番末尾のZXは、自動アジマス調整付の意味で、内蔵発振器を使いキャリブレーション時には録音ヘッドアジマス(垂直角度)をモーター駆動で自動調整をし、20kHzをこす周波数特性をギャランティするユニークなメカニズムを装備している。この機構は、カセットハーフの機械的強度のバラツキによる特性劣化を補償できるメリットをもつ。とくに、半速で15kHzという高域特性を確保するために不可欠のものだ。
テープトランスポート系は、2モーター方式フルロジック型の操作系と周波数分散型ダブルキャプスタン方式に特長がある。ヘッドは、録音、再生独立型で、独自のクリスタロイを磁性材料に使い、再生ヘッドギャップは、標準速度で30kHzをクリアーさせるため0・6ミクロンと狭い。
アンプ系はDC録音アンプ、ダブルNF回路を採用し、メタルテープのダイナミックレンジを十分にクリアーする性能を備える。機能面では、ピーク・VU、キャリブレーションなど多用途ワイドスケール蛍光ディスプレイ、18曲までの自動頭出し機構、2速度に切替わるキューイング機構、ピッチコントロール、REC・MUTE、マスターボリュウム、3種類のテープに対し、標準速度と半速にそれぞれ左右独立した感度調整機構を備えた性能と機能を両立させた特長があるが、マイクアンプは省略された。
680ZXにメタル、コバルト、LHの各社のテープを組み合わせて使用してみる。走行系の安定度は抜群に優れ、ヘッドを含みアンプ系のマージンが十分にある。メタルテープ使用では、ドルビーレベルを0dBとしたレベルメーターのフルスケールまで録音レベルを上げても、さして破綻を示さない。デッキの性質は、粒立ちがクリアーで緻密さのあるやや寒色系の音で、帯域感は広くスッキリとしたクォリティの高い音である。ドルビー使用の半速でもコバルト系テープで必要にして十分なクォリティが得られ、並のデッキ標準速度に匹敵する。かなり厳しいディスクファンの耳にもこのデッキ音は、余裕をもって答えられるだけの見事なクォリティをもつ。
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